記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年9月30日(火曜日)20時00分 於:大臣接見室前)
冒頭発言-日朝外交当局間会合の結果
【岸田外務大臣】瀋陽で行われた日朝外交当局間会合の結果について,本日午後帰国した伊原アジア大洋州局長から報告を受けました。以下,その報告内容につき,お話しいたします。
まず,今回の会合では,5月の日朝合意の履行や特別調査委員会による調査について,北朝鮮側の説明を受けました。
日本側からは,調査の現状,「初期段階」の意味,これまでの調査によって得られた情報,今後の見通し等について,詳細な質問を行いました。
北朝鮮側からは,今回の会合の目的は特別調査委員会による調査結果の通報ではないとしつつ,以下の説明がありました。
まず一つ目は,特別調査委員会の立ち上げ後,即時に活動が開始され,科学的かつ客観的な調査に着実に取り組んでいるということ。そして二つ目として,今の段階では,日本人一人ひとりに関する具体的な調査結果を通報することはできないが,日本側から質問のあった調査の現状について,日本側が平壌を訪問して特別調査委員会のメンバーと面談すればより明確に聴取できるであろうということです。
以上が今回の会合の結果についての報告の概要ですが,今回の会合で,北朝鮮側から,調査の現状について十分な説明が得られなかったことは残念です。日本政府としては,引き続き,拉致問題が最重要課題であり,北朝鮮側が拉致被害者を始めとする全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を行い,その結果を速やかに通報してくることを強く期待しています。
今回の北朝鮮側の説明を踏まえ,調査の現状や結果を把握すべく,引き続き最善を尽くす考えであり,今後の具体的な方針について,政府全体として早急に検討してまいります。私(大臣)からは以上です。
日朝外交当局間会合
【NHK 栗原記者】日本側が平壌に行って,特別調査委員会のメンバーと面談できるという内容もありましたけれども,そういった平壌に行くとか行かないとかそういうことも含めて,日本政府としてどのように今後対応していくか,どのようなプロセスで検討されていくお考えでしょうか。
【大臣】日本政府としましては,今回の北朝鮮側の報告を踏まえて,引き続き調査を進める上で最善を尽くす考えであり,そのために政府全体として早急に具体的な方針を検討していきたいと考えています。その具体的な方針は,その検討を得た上で決まることになると思います。
【NHK 栗原記者】日本政府としてのその具体的な検討の仕方なんですけれども,関係の閣僚ですとかそういった会合をもつというような考えはありますか。
【大臣】当然のことながら,関係閣僚を含め政府全体としてしっかりと意思疎通を図り,実態を確認した上で方針を決めなければならないと考えます。
【NHK 栗原記者】いつまでにその方針を出すとか,そういったスケジュール感とか,そういったものはありますでしょうか。
【大臣】いや,今の時点で何も決まってはいませんが,いずれにしましても,この調査を前に進めるためにはどうしたらいいのか,こういった観点から方針を決めなければなりません。是非,こういった観点から,政府全体として早急に検討したいと考えます。
【朝日 松井記者】確認ですが,先方が平壌に来たらどうかというふうに打診をしている相手方としては調査団,例えば伊原局長なり実務者の方に行っていただくという意味ですか,それとも総理や岸田大臣をはじめとした政治家の方に来てほしいと言っているわけではないということですね。
【大臣】先ほど報告させていただきました言い方は,まさに北朝鮮側の発言をそのまま紹介させていただきました。そういった北朝鮮側の説明を受けて,政府としてどう対応するか,これを具体的にこれから検討するということです。
【朝日 松井記者】向こう側は,日本側はという先ほどおっしゃり方でしたが,それ以上詳細なことは特に言ってきていないということですね。
【大臣】そうですね。向こう側の発言は,日本側が平壌を訪問して特別調査委員会のメンバーと面談すれば,より明確に聴取できるであろう,こういった説明をしています。ただ,それとあわせて,今の段階では,日本人一人ひとりに関する具体的な調査結果を通報することはできない,こういったことも先方は発言しています。
【朝日 松井記者】向こうの調査委員会の方が瀋陽に来て説明をしてくださればそもそも良かったのではないかと思いますが,それができなかったことについては何か説明はありましたか。
【大臣】今回の会合においては特別調査委員会のメンバーは出席していないという説明を受けていますが,そういったことになったこと,経緯・やり取りについては控えたいと思います。いずれにせよ,こういった形で説明を受けたということであり,これを受けて我が国として,今後どうするか,これをしっかり検討しなければなりません。
【毎日 福岡記者】平壌に調査団が行くということについて,それは場合によって第一回報告となることも,初回通報ということもありうるのかどうかというところは。
【大臣】いずれにせよ,今の段階では,日本人一人ひとりに関する具体的な調査結果を通報することはできないと先方は言っています。こういった説明を受けた上で,我が国としてどう対応するのか,これを考えなければなりません。いずれにせよ,こうした説明を受けて,政府全体として判断しなければなりません。これを早急に検討したいと思います。
【読売 仲川記者】先ほど最善の結果を出すために,今後の対応については政府全体で対応するという趣旨のことをおっしゃったと思うんですけれども。
【大臣】調査を前に進めるために最善をつくす,はい。
【読売 仲川記者】そのためであれば,最善の結果を導き出すためであれば,安倍さんや岸田さんが平壌に行かれるということも含めて検討するという意味ですか。
【大臣】それは全く何も決まっていません。こうした説明を受けて,政府としてどう検討するか,これはこれから早急に検討したいと思います。具体的には何も決まっておりません。
【フジテレビ 藤田記者】先ほど質問があった日本人については特別調査委員会に直接聞いた方がいいというお話があったと思うのですけれども。
【大臣】日本側から質問のあった調査の現状については,日本側が平壌を訪問して特別調査委員会のメンバーと面談すれば,より明確に聴取できるであろう,こういった発言がありました。
【テレビ朝日 藤川記者】先ほど大臣は調査の現状について十分な説明が得られなかったことは残念だとおっしゃいましたが,第一回の通報が遅れていることについては北朝鮮側から納得のいく説明というのはあったのでしょうか。
【大臣】いずれにせよ,いま現状において,北朝鮮側はこの日本人一人ひとりに関する具体的な調査結果を通報することはできない,このように説明をしています。今回の会合で,北朝鮮側は9月半ば頃にはその時点でお話できることについて通報する考えであった。そして,日本側は平壌を訪問して特別調査委員会のメンバーと面談をすれば,調査の現状についてより明確に聴取できるだろうとしつつも,日本人一人ひとりに関する具体的な調査結果を通報できる段階にはない,こういった発言をしています。
【朝日 松井記者】9月半ばでその時点でお出しする考えがあったということなのに,なぜ出してこなかったんですか。
【大臣】いや,だから現状では説明できない,ですからそういった状況にあると,それが現状であるということです。