記者会見

上川外務大臣会見記録

(令和5年9月29日(金曜日)14時27分 於:本省会見室)

(動画)上川外務大臣会見の様子

冒頭発言

日本文化発信

【上川外務大臣】外務大臣に就任して2週間となります。外交は絶えず動いておりまして、先週の国連総会での私(上川大臣)の会談や発信がしっかりとフォローされ、また極めて速いスピードで各国の肯定的な反応や発信へとつながっていると感じているところであります。外務大臣として、諸課題への対応等につきましては、積極的かつ迅速な発信に努力してまいりたいと考えております。
 一つうれしい話を御紹介したいと思います。ニューヨークでの日仏外相会談におきまして、私(上川大臣)がお持ちしたお茶を召し上がっていただきました。その際、コロンナ外相からは、大変強い関心が示されたところであります。お茶には日本文化の象徴の一つとして、外交的な役割があるということを実感したところであります。フランスにおいて、お茶を紹介する新たな取組も行われていると聞いており、タイムリーな発信になったと考えております。私(上川大臣)としても、こうした日本文化の発信に、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。

北朝鮮情勢(日朝接触)

【NHK 五十嵐記者】北朝鮮の関連で伺います。日本政府の関係者が、今年3月と5月の2回、東南アジアで北朝鮮の朝鮮労働党関係者と接触していたと、一部で報じられています。事実関係や、拉致問題解決に向けた、日朝首脳会談の調整状況について伺います。

【上川外務大臣】報道につきましては承知しておりますが、事柄の性質上、お答えにつきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人権問題と考えております。
 引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で、また果断に取り組んでいく所存でございます。

日韓共同宣言

【共同通信 桂田記者】日韓共同宣言についてお伺いします。1998年の日韓共同宣言から10月8日で25年の節目を迎えるにあたって、改めて宣言の意義や、両国関係に果たした役割をどうお考えでしょうか。また、今後の日韓関係の期待されることも併せて伺います。

【上川外務大臣】1998年10月8日に、小渕総理と金大中(キム・デジュン)大統領が発表した「日韓共同宣言」は、両国が未来志向の関係を構築していく上で、大きな役割を果たしたと考えております。
 日韓は、国際社会における様々な課題への対応に、パートナーとして協力していくべき重要な隣国同士でございます。厳しい戦略環境を踏まえれば、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされる時はないと考えております。
 「宣言」を発表した両首脳を含め、困難な時期を乗り越えてきた先人たちの努力を引き継ぎ、両国の協力を堅固で幅広いものとするよう取り組んでまいりたいと考えております。

北朝鮮情勢(核武力政策)

【朝日新聞 松山記者】北朝鮮に関して伺います。北朝鮮は、26日から27日に開催した最高人民会議で、核武力政策を憲法に明記することを決定しました。併せて、核戦力を高度化することなどを盛り込みまして、金正恩(キム・ジョンウン)氏は反欧米で連帯を強化する方針を示して、日米韓を北朝鮮にとって最大の脅威として非難しています。昨日は、局長級の日米韓での電話協議なども行われていますけれども、この件について、どのようなお話がされたかということと、あと、大臣として、北朝鮮にどのように今後対応していくお考えか、お聞かせください。

【上川外務大臣】北朝鮮の動向につきましては、御指摘いただいた点も含めまして、平素から重大な関心を持って情報収集、そして分析に努めておるところでございます。その一つ一つに対しましてコメントすることにつきましては、差し控えさせていただきます。
 いずれにいたしましても、北朝鮮による核、ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでございます。断じて容認することはできません。
 昨日も、鯰アジア大洋州局長が、日米韓の電話協議を実施しております。引き続き、米韓を始めとする国際社会とも協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行、これを進め、北朝鮮の非核化を目指してまいりたいと考えております。

イラン無人機への日本製部品

【毎日新聞 川口記者】ウクライナの戦況についてお伺いします。ウクライナで使われたイラン製のドローンについて、日本製の部品が使われていたと、ウクライナからG7各国へ宛てた文書に書かれていたという報道があります。この文書は、8月にG7の政府に送られたとされていますが、政府として把握されていることと、あと、また民生部品であれば輸出規制というのも、なかなか難しい部分もあるかと思いますが、今後の政府の対応を教えてください。

【上川外務大臣】ウクライナ政府の文書に、イラン製無人機から、日本や欧米の企業が製造していた電子部品が発見された旨記述されていたとの報道につきましては、承知しているところでございますが、外交上のやり取りにつきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で申し上げるわけでございますが、我が国は、日本から輸出される貨物、また提供される技術の軍事転用を未然に防ぎ、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、規制対象品目を定め、輸出管理を行っているところであります。
 また、日本といたしましては、先日の日・イラン首脳会談を含めまして、あらゆる機会を捉え、イランに対して、ウクライナ情勢に関し、イランが建設的な役割を果たすよう、働きかけを行ってきておりまして、今後も、このような取組を継続してまいりたいと考えております。

ALPS処理水(ロシアによる日本産水産物輸入規制の可能性)

【時事通信 上田記者】ALPS処理水の関連でお伺いします。処理水の海洋放出を受けて、ロシアの検疫当局が、日本産水産物の輸入制限を検討していると明らかにしました。検査方法に関する情報の提供を求めていまして、最終的な決定は、日本との協議後に行うとしています。これについて大臣の見解、今後の対応についてお伺いします。

【上川外務大臣】御指摘のロシア政府の発表につきましては、承知しているところでございます。
 日本政府は、ALPS処理水の安全性につきまして、ロシアを含む国際社会に対し、科学的根拠に基づく説明を繰り返し行ってきております。また、ロシアの国際専門家の参加も得て、IAEAによりますレビュー、これも受けているほか、中国との共同質問状で示された先方の関心に対しましても、丁寧に回答や説明を重ねてきております。
 政府といたしましては、今後とも、あらゆるレベルや機会、これを通じまして、高い透明性をもって、国際社会に丁寧に説明していく考えでございます。また、科学的根拠に基づく対応を、引き続き求めてまいりたいと考えております。

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