記者会見
林外務大臣会見記録
(令和4年3月22日(火曜日)13時39分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)中国での旅客機墜落事故
【林外務大臣】私(林大臣)から2件ほどございます。
まず、3月21日の午後、中国東方航空5735便が、雲南省の昆明(こんめい)空港離陸後、広西チワン族自治区の山中に墜落する事故が発生したと承知をしております。
現在、中国当局が捜索活動を行っているところであり、被害の全容は明らかになっていないと承知をしておりますが、被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。一刻も早く捜索が進むことを願っております。
なお、現時点で、邦人が被害に遭ったとの情報には接しておりません。
(2)林大臣のTICAD閣僚会合出席
【林外務大臣】次に、3月26日及び27日、アフリカ開発会議、いわゆるTICADの閣僚会合をテレビ会議方式で開催をいたします。私(林大臣)が議長を務めまして、アフリカ各国の外相などが参加をいたします。
TICADは、1993年以降、四半世紀を超える歴史を誇るフォーラムであり、アフリカ開発を推進するため、アフリカのオーナーシップを支える形で、日本が主導してきたところであります。
今回の会合では、アフリカの優先課題について、経済、社会、平和と安定の3つの柱に基づいて議論を行い、「人」や「成長の質」、これに重点を置き、ポストコロナを見据えたアフリカ開発の針路を示すとともに、国際社会の連携を呼びかける考えであります。また、この機会に行う二国間会談も活用して、現下のウクライナ情勢や開発金融問題の対処といった日本外交の優先課題についての連携に向けた議論を行うことにしております。
今回の会合を通じて、本年8月に開催する首脳会合であるTICAD8に向け、日本とアフリカ諸国の連携を確認したいというふうに考えております。私(林大臣)からは以上です。
ロシアによる日本に対する措置の発表
【北海道新聞 文記者】ロシア外務省が声明で、平和条約交渉の拒否やビザなし交流と自由訪問の停止で、北方四島の共同経済活動からの離脱を表明しました。
この受け止めと、外務省の対応について、また、ロシアに厳しい経済制裁というのは、ロシアによるウクライナ侵略がなければ生じなかったことだと思うんですけれども、一方的に日本側の責任だとロシアが主張していることについて、どのように受け止めるとかお願いします。
【林外務大臣】ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法違反であり、断じて許容できず、厳しく非難をいたします。
今回の事態は、全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものであり、それを日露関係に転嫁しようとする、今般のロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受入れられず、強く抗議をいたします。先ほど、こうした日本政府の立場を山田外審からガルージン駐日ロシア大使に対して、伝達をいたしました。
今般のウクライナ侵略については、我が国としては、国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会と結束して、引き続き、毅然と行動をしていく考えでございます。
【NHK 青木記者】関連でお伺いします。平和条約交渉の展望につきましては、これまでは、「展望を申し上げることはできない」と、たびたびおっしゃっておられますけれど、元島民の方々に対しては、今後の方針というのを現状どういうふうにご説明していく予定でしょうか。
【林外務大臣】日本政府としては、領土問題を解決して平和条約を締結するという対露外交の基本方針、これは不変であります。
北方領土問題に関する我が国の立場や、ご高齢になられました元島民の方々の想いに、何とか応えたいという思いには、いささかも変わりはございませんけれども、今、この状況に鑑みれば、平和条約交渉の展望について申し上げる状況にはないというふうに考えております。
【北海道新聞 文記者】ロシアによる声明を受けて、ロシアが声明で拒否していることというのは…。
【林外務大臣】声明の拒否?
【北海道新聞 文記者】平和条約交渉であったり、ビザなし交流であったり、拒否や中断停止、ロシアが表明ってことは、これまで日露関係をつなぐ大きな柱の一つだと思うんですけれども、これを受けて、対ロシア制裁等どのように対応されるかお願いします。
【林外務大臣】今回の事態は、全てロシアによるウクライナ侵略、これに起因して発生しているものでございます。一刻も早くロシアの侵略を止めさせ、ロシア軍を撤退させるために、我が国としては、ロシアに対して強い制裁措置をとっていくことが必要だというふうに考えておりまして、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携をして適切に対応していきたいというふうに考えております。
広島・長崎へのバイデン大統領訪問要請
【テレビ朝日 澤井記者】今日の午前に広島と長崎の市長が、エマニュエル米国大使に対して、クワッドでバイデン大統領が首脳会合でいらっしゃったときに、あわせて広島と長崎を訪問するようにという要請をしています。この後、大臣に対してもご要請があると思いますけれども、あと、こうした今、ウクライナ情勢をめぐって、ロシアによる核の威嚇が行われている中で、こうした米国の大統領による広島・長崎の訪問についての意義を、大臣のお考えをお聞かせください。
【林外務大臣】国際社会が被爆の実相、これに関する正確な認識を持つということは、核軍縮に向けたあらゆる取組のスタートとしては、大変重要だというふうに考えております。その観点から、要人の被爆地訪問、極めて有意義だというふうに考えております。
なお、バイデン米国大統領訪日の具体的な日程、これはまだ決まっていないために、同訪日に関して現時点で確たること、これは申し上げられないということでございます。
ロシアによる日本に対する措置の発表
【北海道新聞 文記者】平和条約交渉についてなんですけれども、これまで、2018年のシンガポール合意というものが大きな交渉の前提になってきたかと思うんですけれども、今回の、そのロシアによる交渉の拒否の声明を受けて、この合意というのは、前提であり続けるのか、交渉の前提であり続けるのかということについて、どのように考えていらっしゃいますか。
【林外務大臣】日本政府として、領土問題を解決して、平和条約を締結するといった、この対露外交の基本方針、これは不変であります。
その上で、本件に対する今後の対応について、この時点で申し上げるべき状況にはないというふうに考えております。