記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和3年10月12日(火曜日)12時30分 於:本省会見室)

(画像)茂木大臣会見の様子

冒頭発言

アフガニスタン出国者の本邦到着

【茂木外務大臣】私(茂木大臣)の方からまず1点あります。アフガニスタン出国者の本邦到着についてでありますが、先週の金曜日、10月8日に、カタール政府の支援を得て、アフガニスタンを出国した在アフガニスタン日本大使館及びJICAアフガニスタン事務所の現地職員等53名が日本に到着しました。
 これら現地職員等の出国については、政府として、様々な外交努力をこれまでも継続してきたところであります。今回、カタール政府への働きかけが効を奏して、53名の日本入国が結実をいたしました。また、これ以外にも、既に我が国の支援を受けてカタールに出国をし、今後本邦に到着する予定の現地職員等が140名弱おりまして、このうち約50名が、明日、日本に到着する予定であります。なお、現時点までに300名を超える日本関係のアフガニスタン人がアフガニスタンを出国しておりまして、そのうち118名が、既に日本に入国したことになります。
 私(茂木大臣)自身、8月に中東訪問、カタールを訪問した時や、9月の国連総会の際に、カタールのムハンマド外相に直接協力を要請してきました。こういった要請を受けて尽力していただいたカタール政府に対して、この場を借りて篤く御礼申し上げます。
 政府として引き続き、米国やカタールを始めとする関係国と緊密に連携しながら、タリバーンとの交渉を含む外交努力を通じて、邦人及び現地職員等の安全確保、必要な出国支援を全力で続けていきたいと思っております。私(茂木大臣)からは以上です。

アフガニスタン情勢(対アフガニスタン人道支援)

【朝日新聞 相原記者】アフガン関連で伺います。先日、カタールにおいて、米国の政府代表団とタリバーンが協議をしました。そこで人道支援についても話が出たというふうに言われておりますが、今、政府は上村代表を現地に送って折衝をしていると思うんですけど、今後の人道支援の方向性についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】米国とタリバーンの会談では、テロ、人権、更に安全な移動に加えて、ご指摘の人道支援についても議論があったと、このように承知をいたしております。
 日本としては、アフガニスタン及び周辺国におけます人道支援ニーズの高まりを受けまして、国際機関を通じた6,500万ドルの新規支援を含めて、本年中に総額2億ドルの支援を行うこと既に表明しているところであります。
 タリバーンに対しては、国際社会がワンボイスで、一つは「全てのアフガニスタン人の生命及び財産の保護と社会の秩序の回復」、二つ目に「基本的な人権、特に女性の権利の保護・向上」、更に三つ目として「多様な民族・宗派を含みます包摂的な政治プロセス」を粘り強く求めるとともに、タリバーンの実際の行動、実際の行動、これを注視していくことが重要だと考えております。
 先ほど申し上げましたように、邦人であったりとか、また現地職員等々の安全確保、更には出国支援、こういったことについても、米国・カタール等々と連携しながら、引き続き、全力で取り組んでいきたいと思っております。

アフガニスタン情勢(アフガニスタンからの退避支援)

【日本経済新聞 飛田記者】冒頭のアフガンからのアフガン人の退避の件で、お聞かせください。300人を超える方が、日本にトータルで到着することになるとおっしゃっていましたけれども、これは日本政府とタリバーンとの交渉の結果もあったと思うんですけど、そのあたりの経緯をもう少し教えていただきたいのと、残り200人に関しても、今後の交渉を継続していくことになると思うんですが、そのあたり、方針を教えてください。

【茂木外務大臣】もちろん、タリバーンとも直接交渉も行っておりますし、更には、先ほど申し上げたように、タリバーンとも様々な、これまでも関係のありましたカタール政府、こういった様々な関係者とのやり取りを通じて、こういった邦人であったり、また、大使館、JICAの現地職員の出国であったり、また日本への入国と、こういったことが実現をしているところであります。
 残りの方々につきましても、それぞれ違った事情等もあるわけでありますが、そういった中で、出国の希望のある方については、安全な執行ができるように、引き続き、最大限取り組んでいきたいと思っております。

岸田総理の対面外交

【NHK 山本記者】岸田総理の外国訪問に関係して伺いたいんですけれども、昨夜、テレビ番組で、岸田総理、最初に対面で会談したい外国の首脳として、バイデン大統領を挙げまして、まずは、日米信頼関係を作ることが基本だと述べられました。大臣も同様の認識を持ちでしょうか。また、対面での日米首脳会談実現に向けて、現在の調整状況についてもお願いいたします。

【茂木外務大臣】日米同盟、これは日本の外交・安全保障の基軸でありまして、この日米同盟を強化していくということは極めて重要だと考えております。また、同時に「自由で開かれたインド太平洋」を実現する、こういう観点から、米国・豪州・インド等々との連携といったものも重要になってくると考えております。そういった観点も含めて、総理、既にいくつかの電話会談を行っておりますが、最初に米国のバイデン大統領との電話会談を行い、更には豪州、インド首脳との電話会談も行ったところであります。
 そういった意味で、対面の会談ということについても、米国と最優先でということになると思いまして、その方向については、完全に総理と共有をしております。日程の調整等々につきましては、これからということになりますし、日程によっては、様々な日程というものが相手方にはあると思います。岸田総理の方もそうでありますから、絶対に、日米をやる前に、違う対面の会談をやらないということでもないと思っております。

経済安保担当大臣との連携

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】岸田政権で新設されましたポスト、経済安全保障担当大臣について伺います。経済安全保障については、甘利明自民党幹事長が、10月3日のテレビ番組の日曜報道The PRIMEで、中国とのデカップリングをどう戦略的に図っていくかということが、まさに経済安全保障だとおっしゃっています。
 弊社IWJが、10月5日の小林鷹之経済安全保障担当大臣の会見にて、小林大臣に「その任務は甘利幹事長に言われたような、中国とのデカップリングを主に行う大臣であるのでしょうか」と尋ねると、小林大臣は、「自分の考えとしては、日本と中国は、今世界第2位、第3位の経済大国であり、日中両国間の貿易や投資のつながりというのは極めて深い。デカップリングは極めて非現実的、日中の完全なデカップリングは必要だとは思っていない」と回答されました。
 党政権と経済安全保障大臣が、全く真逆のことを言われているわけですが、経済安全保障担当大臣と連携を図っていく外務省としまして、甘利明幹事長発言の「中国とのデカップリングを図っていく」を、どうお考えになるでしょうか。中国との外交は、本来なら外務省の仕事であろうと思いますし、軍事的な安全保障などは防衛省の所管であると思います。
 そうした中で、岸田内閣が、わざわざ経済安全保障大臣を新設した理由と、外務省との役割分担を茂木大臣はどのように認識されているのか、また、甘利幹事長と小林経済安全保障大臣の食い違いについてはどのようにお考えになるでしょうか。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】外務大臣として答えるべきこと、また答えられることについて、お答えをさせていただきたいと思います。
 まず中国に対しては、普遍的価値を共有する国々と連携をしながら、主張すべきは主張して、責任ある行動を求めると同時に、対話を続け、共通の課題について協力していきたいと思っております。
 そして、近年、安全保障、この裾野が伝統的な分野にとどまらず、経済・技術分野に急速に拡大をしておりまして、経済安全保障の分野で、国家間の競争が顕在化してきております。この中で戦略的物資であったりとか、重要技術の確保・技術の流出防止が、これまで以上に重要になってきているのは間違いないと思っております。
 関係省庁が連携をしながら、必要な法整備など、経済安全保障の確保に向けた、政府全体としての必要な取組、着実に進めていくことが重要でありまして、外務省としても、こういった分野におきましては、経済安全保障担当大臣とも連携をしながら、政府一丸となった取組に、積極的に貢献していきたいと思っております。

台湾情勢

【日本経済新聞 飛田記者】昨晩、岸田総理がテレ東の番組の中で、台湾情勢について、どんな事態にも対応できる体制、法整備をしなければならない、という趣旨の話をされまして、大臣も先日の記者会見で、注視するだけではなくて、様々な事態を考えて準備を進めるのか、しっかり検討したいとお話されていましたけれども、体制、法整備ということの念頭に置いている対応策みたいなものがもしあれば教えてください。

【茂木外務大臣】今の段階で、ご質問について、方向性について協議をいたしておりますが、こういった問題の性格上、具体的にどうである、というお答えは控えたいと思います。

記者会見へ戻る