記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年12月25日(水曜日)14時30分 於:大臣接見室前)

冒頭発言・質疑-在日米軍施設・区域における環境の管理に係る枠組みに関する共同発表

(1)冒頭発言

【岸田外務大臣】今般,日米地位協定を環境面で補足する政府間協定の作成に向けた日米協議の立上げに合意しました。これは日米地位協定発効後50年で初めての取組であります。
 地位協定には,環境保護についての規定がなく,米軍基地を抱える地元の方々から,環境条項の新設等について要請を頂いており,先般も仲井眞沖縄県知事から改めて要請がありました。
 こうした要望を受けて,日米両政府は,地位協定を環境面で補足する政府間協定を初めて作成し,協力を促進していくことが重要との認識で一致をいたしました。そのため,今回の合意に至ったものです。
 この取組は,沖縄を始めとする米軍基地の地元,そして在日米軍双方にとって互恵的な協力につながるものと確信いたします。成果を上げられるよう,今後,日米間の協議を鋭意進めていきたいと考えております。

(2)質疑

【TBS 井本記者】補足するという政府間協定ということなんですけれども,日米地位協定との関係はどういうものになるのでしょうか。

【岸田外務大臣】現在の日米地位協定ですが,環境分野についての規定が存在いたしません。ですので,この環境面を補足する政府間協定を作成する,こうしたことでこれから日米間で協議をしていく,こうした立ち上げを今回合意したということです。現在の日米地位協定との関係はそのようになっています。

【TBS 井本記者】今回の合意,政府間協定を作ろうとした経緯と,米側の反応は。

【岸田外務大臣】環境面につきましては,2010年の「2+2」の段階から,共同発表において,環境に関する合意を日米で検討するとしてきました。また,今年の「2+2」の共同発表におきましても,返還前の米軍施設・区域への立入りに関する新たな枠組みを検討することで合意をしています。環境面につきましては,これまでも日米間で様々な議論を積み重ねてきました。そして今年に入りましても,8月に軍転協から要請を受けましたし,また先日は仲井眞知事からも改めてこの環境面での要望を受けるなど,地元の要望が強まってきている,こうした状況を受けて,日米間で議論を加速化させた,そして今回の結論に至った,こうした次第です。米国の反応ですが,米側にも,こうした今までの経緯をしっかり理解してもらい,共に協力し,そして今回の合意に至ったという次第です。

【朝日新聞 菊地記者】地位協定ですが,運用改善にとらわれない見直しというのは,これは非常に困難なことであるということだったんですけれども,50年以来初,今回の政府間協定に至ったという大臣の判断と,目処というのはどのように考えていますか。

【岸田外務大臣】まず,日米地位協定につきましては,例えば刑事分野においては,日米合同委員会を通じた取組等ですね,不断の改善を行ってきました。目に見える運用改善を一つ一つ積み重ねるということで努力をしてきました。しかし,環境分野については,現在の地位協定に,環境分野に関する規定そのものがないということでありますので,今回,環境面で補足する,政府間協定を作成する,こうした方法をとるということになっています。いつからという点については,先ほどのお答えとも重なる部分がありますが,環境面については,2010年の「2+2」あるいは今年の「2+2」等におきましても,日米間において,環境に関する検討の重要性,必要性は確認されてきたわけですし,今年に入ってからも,地元から度々要請を受けてきた,こういったことを受けて,議論を加速化させた。そして今日に至った。こういうことです。

【朝日新聞 菊地記者】環境の見直しは,仲井眞知事もずいぶん取り上げられてきたことですが,今回の政府の判断によって,知事の承認が得られるとお考えですか。

【岸田外務大臣】政府としましては,地元そして仲井眞知事からの強い要請を受けて,しっかりとその要請を受け止めて,全力で努力しなければならない,こうした思いで様々な検討を行ってきました。こうした政府の対応を受けて,知事がどう判断されるか,これは知事の御判断ですので,今私から,何か申し上げるのは控えなければならないと思っています。

【テレビ朝日 藤川記者】現在ある日米地位協定を改定するのではなく,新しい協定をつくるという形にした理由は。

【岸田外務大臣】これも先ほどと少し重なりますが,現在の日米地位協定には環境に関する条項が存在しないということであります。ですので新たに補足する政府間協定を作成する,こういった手法をとる,こういったことを協議する立ち上げを日米間で合意するに至ったという,こうした次第です。

【日本テレビ 中村記者】地位協定の中に新たに環境に関する条項を入れる,そうした考えはなかったのですか。

【岸田外務大臣】これは,様々な方法を議論しましたが,今回発表させていただいた方法をとることで合意したということです。

【日本テレビ 中村記者】知事の要望は,地位協定の改定だったと思うんですけれども。

【岸田外務大臣】知事の要望をしっかり受け止めた上で,検討し,そして今回の形になっています。

【NHK 渡辺記者】今後,新しい政府間協定,具体的に中身を詰めていくことになると思いますけれども,いつ頃までに何らかの成果を出したい,そのような目処というものはあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】現在結論に至っているのは,今日安倍総理から発表させていただいた点までであります。今日,結論として発表できますことは,発表した内容が全てです。今後引き続き,関係者で努力していくことになると思います。

【NHK 渡辺記者】そうしますと,一定の何らかの成果が,具体的に示すことになるのか,知事が納得をするのに十分なものになるのでしょうか。

【岸田外務大臣】日米間で合意したこと,政府として決定したこと,これは総理から発表させていただいたことに尽きています。

【日経新聞 秋山記者】この前の「2+2」で,11月末までに立入り調査に関する合意を行うこと,これについては棚上げというふうに。

【岸田外務大臣】それも含めて,環境面について今回の合意に至ったという認識です。

【日経新聞 秋山記者】運用改善は,とりあえずは行わないということですか。

【岸田外務大臣】こうした環境面に関する政府間協定の作成を行うというのは,御指摘の点も含めて,今後議論を行うことになると考えています。

【TBS 井本記者】運用改善ではなくて,協定で全て解決するということでしょうか。

【岸田外務大臣】環境面を補足する政府間協定を作成することで日米間で合意したということです。

【NHK 渡辺記者】仲井真知事は,地位協定の改定を求めていたと思うんですけれども,今回新たに政府間協定を作るということで,その知事からの要望を受けた中で,米国とのやり取りの中で,地位協定を改定するという話を米側にしたのでしょうか。また,今回の政府間協定を結ぶにあたって,米側からどのような意見,日本側に対しての反応があったのでしょうか。

【岸田外務大臣】環境につきましては,以前から様々な議論がありました。そして先般の知事からの要請を含めて,地元から様々な要請を受けてきました。そうした要請を受け止めて,政府としては,様々な検討を行い,そして議論を行いました,その議論の中身については,ここで申し上げることは控えます。結果は今日発表したとおりであります。

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