記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年7月9日(火曜日)9時43分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-エジプト情勢について

【岸田外務大臣】8日の首都カイロの軍施設前の衝突において多数の死傷者が出たことは誠に遺憾であります。すべての当事者に対し、暴力を行使せず、最大限の自制と責任ある行動を改めて強く呼びかけます。
 エジプトの今後の情勢については予断を許さず、引き続き事態の推移を強い関心と懸念をもって注視していく所存です。同時に、情勢が早期に安定し、人権や法の支配の尊重の下、民主的な手続きにより選出された政府が早期に成立することを期待いたします。
 6日、エジプト全土についての危険情報を「渡航の延期をお勧めします。」に引き上げたところですが、政府としては、今後とも邦人保護の観点から万全を尽くしていく考えです。

プーチン大統領の北方四島訪問

【テレビ東京 山口記者】プーチン大統領ですけれども、15日に北方四島を訪問するという話もありまして、ロシア側は否定しているようですけれども、日本政府として把握している情報等があればお願いします。

【岸田外務大臣】報道は承知しておりますし、また、ロシアの報道官の発言として、それを否定する発言が出されたということも承知をしております。いずれにしましても、情報収集に引き続き努めていきたいと思っています。

尖閣諸島

【テレビ東京 山口記者】尖閣ですけれども、先月、訪中した谷内参与が中国側に対して尖閣の帰属を巡って、領土問題ではなく外交問題として扱って、中国側が領有権を主張することに対しては妨げないというような話を伝えたという一部報道がありましたけれども、この事実関係と今後、日中関係は今、対話が滞っていますけれども、打開に向けてどのように取り組まれるか、改めてお願いします。

【岸田外務大臣】まず、報道は承知しておりますが、そういった事実はありません。中国との関係、大切な二国間関係の一つです。戦略的互恵関係に立って、大局的な見地から取り組んでいく、対話のドアをオープンにしておく、こうした従来の方針は変りないと思っています。

平成25年版防衛白書の公表

【テレビ東京 山口記者】防衛白書ですけれども、本日、閣議で了承されて公表されたと思うのですが、記述内容がかなり中国に対して厳しいものになっていて、あと韓国の竹島についても領土問題未解決のままというような記述があるのですけれども、これについて中韓それぞれから反発が予想されますが、防衛白書の外交に与える影響というのはどのようにお考えでしょうか。
 
【岸田外務大臣】厳しいかどうか、表現の問題も含めて私(大臣)がどうこう言うのは控えさせていただきますが、まずは防衛白書、これは我が国の基本的な立場・考え方に基づいて書かれていると承知をしております。詳細につきましては、是非、防衛大臣の方に聞いていただければと存じます。

尖閣諸島

【朝日新聞 山岸記者】先ほどの尖閣の質問の中で、そういった事実はないとおっしゃいましたけれども、尖閣について外交問題があるという、そういう言いぶり自体は、これまでも委員会答弁等で、当時杉山局長も5月に確かしておられたかと思いますし、日本政府としては表現自体を否定するものじゃないかと思うのですけれども、それを谷内さんが言ったわけではないという意味なのか、それとも立場自体も否定されるのか、その辺をお願いします。

【岸田外務大臣】まず、我が国の尖閣における立場・考え方、これは全く変わっておりません。それで、報道によると何か中国と少しいろいろとやり取りをしたような記事だったと承知しておりますが、そういったことは全くないということです。従来、我々の立場は全く変わっていないということです。

【朝日新聞 山岸記者】尖閣において外交上の問題があるという認識は大臣としてもお持ちでいらっしゃるということでしょうか。

【岸田外務大臣】従来と変わっておりません。

日インド原子力協定

【中国新聞 藤村記者】長崎市が今年の平和宣言の起草委員会を先日開きまして、その中で政府がインドと原子力協定の交渉を再開したことについて、被爆国の原点に戻るべきだという批判する内容の宣言を作ることを決めました。それについてどういうように受け止めますか。

【岸田外務大臣】そうした被爆地、また、関係者の皆さま方からいろいろ意見があるということ、これはしっかりと政府としても受け止め、そして、我が国としてどうあるべきなのか、しっかりとした方針を示していかなければいけないと思っています。

【中国新聞 藤村記者】大臣としては、NPT体制で核保有が認められていないインドに対して、核兵器廃絶をリードする日本が原子力技術を提供することについて矛盾しているというようには思いませんか。

【岸田外務大臣】インドのこうした核不拡散・NPT体制に対する態度、こうしたものをしっかりと見極めた上で、我が国としても対応しなければいけない、これは従来どおりだと思っています。インドとの協議、今引き続き続いているわけですので、インドの対応もしっかり見極めた上で我が国としてしっかりと判断していくという考え方・方針は変わってはいないと思っています。是非、今申し上げた方針で臨みたいと思っています。
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