記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年6月14日(金曜日)10時12分 於:本省会見室)

オスプレイの飛行訓練

【テレビ朝日 山下記者】オスプレイの訓練の関係でお聞きしたいのですけれども、去年も沖縄県側から日米合意違反ではないかという申し入れもあったりもありましたが、今週も月曜日から水曜日などでも、夜10時過ぎても普天間基地周辺での飛行や、また、10時50分頃、住宅地上空を飛んでいるというのが確認、撮影などもされたのですけれども、日米で合意した安全確保策が守られていないような現状があると思いますが、どう対応されるか、お考えあるかどうかお聞きしたいと思います。

【岸田外務大臣】オスプレイの訓練につきましては、沖縄、地元におきまして様々な指摘があり、そして、安全性に対する不安の声があるということは認識をしております。
 日米合同委員会での合意を遵守するべく、まず米側にしっかり働きかけていかなければならないと思いますし、こうした場を通じまして沖縄の声をしっかり伝え、今後とも地元の理解を得られるよう、米側に対して日本政府としてもしっかりと働きかけていかなければならないと考えています。是非、今後とも安全性についての理解を得るべく、政府としても努力をしていかなければいけないと考えています。

【テレビ朝日 山下記者】政府側としては沖縄県側の申し入れとかに対して、違反事案があったのかどうか、あまりはっきりしてない、または違反事案ではなかったというようなニュアンスかとも思うのですが、その辺は今どういうお考えなのか、また、違反事案がないというような根拠はどういうところをベースにしているのかなど、現状認識についてお聞きしたいと思います。

【岸田外務大臣】様々な指摘については謙虚に受け止めたいと存じます。そして、それを踏まえて米側に対して、日米合同委員会での合意の遵守をしっかり求めていかなければならないと存じます。今後とも、しっかりとした対応と説明責任を果たすべく、米側にも求めなければいけないと思いますし、日本としても、しっかりと地元の理解を得るべく努力をしていかなければいけないと思っています。

矢臼別演習場における場外着弾事案

【北海道新聞 渡辺記者】沖縄の海兵隊が北海道の矢臼別で行っている訓練で、訓練の砲弾が演習場外に落ちるという事故があった件ですけれども、人的ミスということで、米側と防衛局は、訓練の再開を地元側に、昨日求めるように地元町村に要請に行ったわけですけれども、早期再開に地元では懸念の声も強いのですが、今回の事故についての受け止めと、あと、もし再開する場合は、やはり地元の理解を得てからにすべきかどうか、その辺のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】矢臼別演習場における実弾射撃訓練におきます演習場外への着弾事案についてですが、米側からは、演習場外への着弾の原因は人為的ミスであるということ、そして、再発防止策について説明がありました。
 これを受けまして、防衛省において関係地方公共団体の皆さまに説明を行っていると承知をしております。
 具体的な訓練の再開時期については承知はしておりませんが、いずれにせよ、訓練再開にあたっては、米側において、まずしっかりと再発防止策が取られることが重要でありますし、また、地元の皆さまに対してしっかりと理解を得ていくことが重要だと認識をしております。事故原因等について、丁寧に説明することが重要と考えます。

宏池会の役割

【中国新聞 藤村記者】今の自民党の中で宏池会の果たす役割を、会長としてどういうように考えているかというのを聞かせてもらいたいのですけれども。

【岸田外務大臣】宏池会という政策集団は、昭和32年に会が発足しましたが、自民党の歴史の中でも先輩方が様々な歴史をつくられ、党のため、そして日本の政治のために努力をされてこられたという歴史に対しまして、その一員として誇りに思っておるところでございます。是非、こうした歴史を踏まえて、未来へ向けて自民党の中でしっかりと役割を果たすべく現在の宏池会のメンバーも努力をしていかなければいけない。そうした役割を担っていると認識をしています。

国連拷問禁止委員会における上田大使発言

【フリーランス 西中氏】5月に国連の拷問禁止委員会で、日本の取り調べの可視化の問題でモーリシャスの委員が発言した際に、日本の上田人権人道大使が暴言を吐いたということがユーチューブとかで動画上にもアップされていまして問題になっているのですが、この件について大臣はどの程度ご存じなのか。それから、それに対してどういう認識をお持ちなのかということが伺いたいのですが。

【岸田外務大臣】そうした情報につきましては、私(大臣)も承知をしております。こうしたやり取りの中で、まず日本の真意がしっかり伝わっていないとしたならば、これはしっかりと説明責任を果たすべく、理解を得るべく努力をしていかなければならない課題だと存じます。

【フリーランス 西中氏】ただ、その暴言の内容は、ただ単にそれに反論したということだけではなくて、会場から失笑というか笑いが生じた際に、シャラップ、笑わないということを2回もたて続けに言ったということで、これは内容如何にかかわらず、非常に国際社会の人権感覚に対する冒涜だと思うのですけれども、それについては大臣はどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】そのやり取りについて報告は受けていますが、実際のやり取りの中で誤解を招くようなことがあったとしたならば、しっかりと理解を得るべく、今後努力をしなければいけないと思っています。

【フリーランス 西中氏】国連の勧告が拷問禁止条約にかかわらず、ほかにも人権理事会ですとか社会権規約ですとか、いっぱい日本政府に対して出されているのですが、それに対して日本政府がなかなかちゃんと対応しないということもずっと言われ続けているのですけれど、国際人権について大臣として今後、どういうように取り組んでいきたいかという抱負があれば聞かせてください。

【岸田外務大臣】過去、歴史の中で様々な人権侵害がありました。21世紀は人権侵害のない世紀にしなければいけないということで我が国としても外交努力を続けています。こうした我が国の基本的な姿勢について、しっかりと理解を得なければならないと思いますし、具体的な様々な課題においても、我が国のこうした基本的な姿勢についてしっかり理解を得るべく、努力をしていかなくてはいけないと思っています。

矢臼別演習場における場外着弾事案及びG8における日露首脳会談

【北海道新聞 渡辺記者】先ほどの矢臼別の関連でもう一点ですけれども、矢臼別の海兵隊の訓練は、そもそもやっぱり沖縄の負担軽減という中で始まった訓練だと思うのですが、その中でやっぱりこういう事故が起きてしまったことに対する受け止めということと、もう一つ別件で、G8の日露首脳会談の件ですけれども、4月の首脳会談で、次官級協議で今後の領土の交渉を進めていくという話があったと思うのですが、それがまだ開かれない中で今回、改めてG8で首脳会談が予定されていると思うのですけれども、今回の首脳会談にどういうことを期待するか、その辺を聞かせてください。

【岸田外務大臣】まず1つ目の質問ですが、今、御指摘のとおり、米海兵隊が沖縄県のキャンプ・ハンセンにおいて県道104号線を閉鎖して実施していた実弾射撃訓練、これはSACOの最終報告に基づいて本土演習場に分散して実施しているわけですが、そのひとつが矢臼別演習場の射撃訓練ということであります。こうした沖縄の負担軽減に向けての努力は、日本全体としてしっかりと続けていかなければならないと存じます。そうした実弾射撃訓練の中で起こった、こうした演習場外への着弾事案です。是非、米国においてしっかりと再発防止、そして地元への説明に努めてもらわなければならないと考えます。こうした視点は大変重要だと考えております。
また、先日行われました日露首脳会談のフォローアップとして、次官級での議論を中心に努力を続けていきたいといったことを申し上げてきました。こうした様々なレベルでの調整は引き続き続けていきたいと存じます。そして、それと並行して首脳間での意思疎通も大変重要なことであります。日露間、大変重要な二国間関係であり、様々な課題が存在いたします。様々なレベルで並行して意思疎通が図られ、そして前進が図られることを期待したいと思っています。

宏池会の役割

【日本テレビ 菊池記者】先ほどの宏池会の今後のスタンスに関連してお伺いしますが、宏池会といいますと、これまでやはり憲法の問題であるとか、安全保障の問題であるとか、いわゆるハト派といわれる路線を行ってきたわけですけれども、今後、今、安倍政権がいわゆる憲法改正であるとか、集団的安全保障の解釈の見直しの問題とかをこれから手がけようとしている中で、宏池会は今までの路線を堅持して、そこら辺は慎重に対応していくというスタンスなのか、それともそこら辺は柔軟に対応していくというスタンスに変わっていくのか、そこら辺は今後どのような姿勢で臨まれるのか、ちょっとお聞かせください。

【岸田外務大臣】まず宏池会につきましては、先ほど申し上げましたように、今日までの歴史について今、会に所属しているメンバーはともに誇りに思っております。そして、この宏池会の立ち位置、ポジションですが、これは全体の状況自体が時代とともに変化をしています。そうした中にあって宏池会としてどういった立ち位置に立ち、どういったものの言い方をするのか、いずれにしましても、戦後、日本の経済の発展、そして平和外交において果たしてきた役割をしっかりと振り返りながら、今後、未来に向けて我が国は引き続きこの国際社会の中で平和と繁栄に大きな責任を担えるように政治全体を導いていかなければいけない。そのために役割はしっかり果たしていきたいと思っています。
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