記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年5月14日(火曜日)9時12分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)マンモハン・シン・インド首相の来日について
【岸田外務大臣】本日の閣議において、マンモハン・シン・インド首相及び同令夫人を、5月27日(月)から30日(木)まで公式実務訪問賓客として招待することが了解されました。
日本とインドの間では、日印「戦略的グローバル・パートナーシップ」に基づき、首脳、外相の相互訪問が行われております。本年3月にはクルシード・インド外相が来日され、私(大臣)との間で外相間戦略対話を行いました。 今回のシン首相の訪日によって、政治経済を含む幅広い分野でインドと戦略的関係を一段と深化・拡大することを目指します。
(2)第3回国連防災世界会議について
【外務大臣】本日の閣議で第3回国連防災世界会議を2015年3月に仙台市で開催することが了解されました。
仙台市で会議を開催することは、被災地の復興を世界に発信することと、防災に関する我が国の経験と知見を国際社会と共有し、国際貢献を行う重要な機会となり、その成功に向け全力を尽くします。
(3)第2回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話について
【岸田外務大臣】今週末(18日)に第2回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話を開催いたします。私(大臣)とカンボジアのモック・マレット上級大臣兼環境大臣が共同議長を務めます。
本会議において、東アジア首脳会議参加国の閣僚レベルで低炭素成長のための方策や地域協力を議論するとともに、この機会を活用して我が国が有する先進的な環境技術を広くアピールしたいと考えております。
国籍不明潜水艦の航行
【テレビ朝日 山下記者】久米島周辺で国籍不明の潜水艦が接続水域を通ったという話がありますけれども、その受け止めと国籍が判明した場合に公表する考えがあるのかなど、政府の対応をお願いいたします。
【大臣】事案の内容につきましては、防衛省から公表されていると承知しております。詳細につきましては、防衛省にお問い合わせいただきたいと思いますが、いずれの事案においても、当該潜水艦は、我が国の領海への侵入は行われていないと承知しております。
歴史認識問題
【フリーランス 上出氏】各紙で報道もされていますが、大阪市の橋下市長が、慰安婦は必要だと言ったり、米軍の問題で風俗の活用をしたらいいということで、だいぶ物議を醸しております。韓国の外交省からも慰安婦の問題については批判的なコメントが出ております。いろいろな問題が今、言われている中で、昨日の講演でもだいぶ苦慮されているというようなことを外相御自身が言ってたようでございますが、これについてどういうように受け止め、内閣としてのお立場もあるでしょうし、その辺、個人的な御見解も含めてお示しいただけたらと思います。
【大臣】まず、橋下市長の発言につきましては、私(大臣)も報道等で承知をしております。 ただ、この橋下市長の発言は個人としての発言であります。我が国政府の立場・考え方は従来から申し上げてきたとおりであります。これまで歴史の中で多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてきた。21紀は是非、人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていきたいと考えております。
慰安婦問題についても、筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点については、歴代内閣においても、同様の思いを持ってきたと理解をしております。
【フリーランス 上出氏】現実に韓国の外交省から批判的な見解も出ているという中で、日韓関係、あるいは日中などに与える影響、何かそういう支障が出るというようなことはどうでございましょうか。
【大臣】日韓関係は、我が国にとって最も大切な二国間関係のうちの一つであります。韓国は、さまざまな基本的な価値観も共有する大切な隣国であると認識をしております。個々の問題を全体の二国間関係に影響を及ぼすことがないよう、ぜひ大局的な見地からしっかりとコントロールしていきたいと考えております。
【朝日新聞 二階堂記者】今の問題では米国側からも不快感を示しているようですけれども、韓国だけではなくて米国を含めてどのように慰安婦問題について政府として説明をしていこうというお考えでしょうか。
【大臣】まず、先ほどの橋下市長の発言につきましては、個人の発言であります。 そして、我が国の考え方・立場につきましては、従来から再三申し上げてきたとおりであります。 そして、是非こうした我が国の考え方を今後ともしっかり、米国をはじめ、この国際社会に対してしっかりと丁寧に説明していくことは大切だと思います。引き続き、努力を続けていきたいと考えています。