記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和2年2月4日(火曜日)17時37分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルスへの対応

【茂木外務大臣】新型コロナウイルスへの対応について最初にご報告したいと思います。新型コロナウイルス感染症について,現在,27か国・地域において,2万人を超える感染者が確認され,今後も感染者数の拡大であったり,地理的拡大が懸念されています。
 これまでに3機のチャーター便によって邦人565名が帰国いたしました。この関連で,まず,中国自身が感染拡大の防止に向けて懸命に努力している中,湖北省に在住する邦人の帰国のために,中国が全面的に協力してくれていることを日本として高く評価していることを改めて申し上げたいと思います。感染症拡大の防止に向けて,中国政府の取組に日本としてこれからも全力で協力していきたいと思います。
 前回の会見でも申し上げましたが,現在,帰国の希望時期,これはそれぞれ異なるものの,帰国したいという邦人が,第3便の運航を終えた時点で,武漢市内外に約140名おられ,これらの方々の要望を聴取しつつ,中国政府を含む各方面と調整しているところであります。
 その過程において,人道的観点等から,例えば中国籍の配偶者など日本国籍保持者と何らかの関係を持つ方々についても,搭乗を認めてもらうべく中国側と鋭意調整しております。
 第4便のチャーター機を今週半ば以降の出来るだけ早いタイミングで派遣をし,可能な限り多くの在留邦人の方々が,この4便で帰国できるように,引き続き調整しているところであります。それ以降も残られる邦人の方々がおられるとしてもあらゆる手段を引き続き追求し,帰国をしたいという方々が全員帰国できるよう,各方面との調整をしていきたいと考えております。
 2月2日には浙江省温州市が,市民の外出規制や高速道路の一部封鎖を発表しました。今後,こうした移動の制限措置が,他の地域・都市にも拡大する可能性があることを踏まえ,昨日,在留邦人や海外渡航者に対して,一時帰国の検討要請を含め,注意喚起のスポット情報を発出したところであります。
 さらに本4日の午後,日系航空会社が運休・減便を発表したことによりまして,在留邦人や海外渡航者の移動に影響が及ぶことが見込まれます。これを受けて,改めて,早期の一時帰国の検討要請を含むスポット情報を発出いたしました。
 引き続き外務省では,私(大臣)の指揮の下,省をあげて,現地政府及び関係機関と連携し情報収集を行い,邦人の安全確保及び適時適切な注意喚起を続けてまいりたいと思っております。

米国でのインフルエンザの流行

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 田上記者】米国のインフルエンザについてなんですけれども,こちらのほう,米国のほうで猛威を振るっておりまして,新型のコロナウイルスよりも死者の方が多いのですが,このことを外務省の方は把握しているのでしょうか。また,把握しているのであれば,なぜもっと情報を発信し,注意喚起しないのでしょうか。すみません,こちらの方をお聞きしてもよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】米国でインフルエンザによりまして多くの死者,患者が出ていることは承知をしておりまして,まず亡くなられた方々にはお悔やみ申し上げる次第であります。日本政府として在米邦人への影響も含め,状況を注視しているところであります。現段階で米国政府から特段の支援要請等はないところでありますけれども,どんな影響が出るか,状況を注視しながら必要であれば対応をしていきたいと思います。

新型コロナウイルス(上陸拒否事由)

【香港フェニックステレビ 李記者】ビザについてお尋ねしたいと思います。今回の日本の入国制限措置の中に,湖北省のパスポートまたは過去2週間,湖北省に滞在した人の場合,入国できないということになっていますが,日本の北京大使館が,ウェイボーでこういった情報を発信しました。この二つの条件に当てはまる人は,そもそもビザの申請を受理しないということなんですけれども,新学期に向けてたくさんの中国の留学生が,これからビザを申請する時期になりますが,この二つの条件に当てはまればそもそも受理はしないということなのかどうか,そこを事実関係の確認をさせてください。

【茂木外務大臣】まずですね,正確にお答えしたいんですが,1月31日の閣議了解によりまして,当分の間,本邦への上陸日前14日以内に中国湖北省における滞在歴がある外国人,及び同省において発効された同国旅券を所持する外国人は,特段の事情がない限り入管法における上陸拒否事由に該当することになったわけであります。この上陸拒否事由に該当する外国人については,入国できないわけでありますから,ビザは発給いたしません。

【香港フェニックステレビ 李記者】受理はしないのですか。

【茂木外務大臣】発給しません。

新型コロナウイルス(日本から中国への支援)

【シンガポール聯合早報 フー記者】今回,中国はこういう事情になりまして,日本は隣国としてはどういう支援策を打っているか知りたくて,あともう一つは,今,ある部分の国が中国全国を入らないようにしているんですけれども,日本はそれをやらない理由はなんですか。

【茂木外務大臣】先週の日曜日,王毅(おう・き)国務委員・外相と電話会談を行わせていただきました。私から今回の新型コロナウイルス感染症に関して,心からお見舞いを申し上げ,同時に隣国としてできることがあったら何でも言って欲しいと,支援したいと,こういうお話を申し上げたところ,マスク等物資が不足していると,こういう話がありましたので,大使館等を通じて,具体的に何が不足しているのか,マスク,手袋であったり,防護服,こういったものが不足している,こういった,お話を伺いしまして,チャーター機,既に3便飛ばしておりますが,そのチャーター機,行きのカラ便と言いますか,そこの中にそういった支援物資を積んで提供する,こういう支援をしてきているところであります。
 これからもまた,どういった形で事態が進んでいるか,こういったものを見ながら,中国政府が必要としているもの,中国の国民の皆さんが必要としているものをですね,困ったときの友人としてお届けするようにしていきたい,そんなふうに思っているところであります。
 感染症の危険情報につきましては,現地の状況等見ながら,累次,引き上げ等の措置をとってきたところであります。現在,湖北省につきましては「レベル3」,そしてそれ以外の地域につきましては,感染の拡大状況等々を考えて,「レベル2」という形になっております。今後,事態の推移を見ながら,この危険情報につきましては、適時検討していきたいと思っています。

旅券の旧姓併記

【朝日新聞 楢崎記者】話題変わりまして,パスポートの旧姓併記について伺いたいんですけれども,本日の予算委員会で,旧姓について,戸籍謄本等によっての確認のみで使用が可能になるような旨を検討中であるということと,旧姓表記については,はっきりと分かるような形をとっていきたいという考えを示されましたけれども,現状の検討状況と実施の目途についてのお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】現状,そういった方向で戸籍謄本によります旧姓の確認のみで,旧姓併記が可能になるように検討しているところでありますし,今の括弧書きですと,なかなか分かりにくいということがありますので,旧姓の別名併記の記載方法について,円滑な渡航に支障が出ないような形にしていきたいと思っています。
 新しいパスポートに替えるのには,若干時間がかかると思うんですが,記載方法を変更するまでの間,旅券の所持人に円滑な渡航を図るため,渡航先当局に別名併記制度を説明するためのリーフレットの配布であったりとか,外務省ホームページの説明の掲載で対応しているところであります。システム変更等かかりますけど,大体,今年の後半以降実施したい,こんなふうに思っています。

新型コロナウイルス(第4便のチャーター機)

【NHK 山本記者】ちょっと話戻りまして,新型コロナウイルスの件なんですけれども,2点ございまして,一点目に第4便のチャーター機,今週半ば以降と大臣おっしゃったかと思いますけども,明日,水曜ですので,早ければ明日の可能性というのも排除していないのかということと,それともう1点,中国国籍の日本人の配偶者なり家族なりの問題ですけれども,これなかなかいろんなケースが想定されると思うんですけども,日本政府の基本的な姿勢としては,中国国籍の日本人の家族については,本人が希望すれば,全員の日本帰国というのを求めているという理解でいいんでしょうか。

【茂木外務大臣】まず第一点目,今週の半ば以降と。常識的に言いますと水曜以降が半ばということになるのかなと,こんなふうに思っております。それ以降のできるだけ早いタイミングでということで調整をしております。そしてその日本国籍以外の方についてでありますが,できるだけまずは日本人の方,このご意向も伺ったうえで,当然中国政府の方針もあるわけですから,それも含めて調整をしたいと思っておりますが,できるだけ希望される方が,日本人そして日本人の配偶者等についても帰国できるようになればと,こんなふうに思っておりますし,さらに第4便でできるだけ多くの方が帰国できるように,こんなふうに考えております。

新型コロナウイルス(湖北省以外への救援)

【共同通信 高尾記者】新型コロナウイルスによる関連なんですけども,日本政府がチャーター機を派遣した中国の湖北省の武漢のようにですね,それ以外のエリアでも感染の地理的拡大への懸念などから公共交通機関の停止や道路の遮断というか,そういう封鎖が進んだ場合ですね,日本政府としてチャーター機の派遣も検討事項と,今後なってくるのでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほどですね,浙江州の温州市の話をさせていただきましたが,まだ何というか,感染率とか一桁違うと,こういう状況であるのは間違いないところであります。そして先ほど言ったように,一時帰国の検討要請等含めて,注意喚起のスポット情報等々を発出しているところでありまして,そういった中で,それぞれの方が適切な判断をまずしていただくことが重要だと,こんなふうに思っています。

新型コロナウイルス(中国籍の方の日本渡航)

【朝日新聞 太田記者】先ほどの中国籍の話に戻るんですけれども,現時点で中国籍の方で帰国を希望されている方というのはどれくらい把握してらっしゃるんでしょうか。

【茂木外務大臣】ある程度の人数把握しておりますが,完全にそれを表に言っていい方,そうでない方もいらっしゃいますので,何人という形で申し上げるのは控えたいと思います。

新型コロナウイルス(第5便の可能性)

【日本テレビ 前野記者】チャーター機の関係でですね,先ほど大臣,第4便にできるだけ多くの人が乗れるようにというふうにおっしゃいましたが,第5便を出すという選択肢は排除はしていないという考えでいいんでしょうか。

【茂木外務大臣】冒頭申し上げましたように,第4便でできるだけ多くの方が帰国できるように調整をしているところでありまして,それ以降も残られる邦人の方々がおられるとしても,チャーター機も含め,あらゆる手段を引き続き追及していきたいと思います。

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