記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和元年11月26日(火曜日)15時30分 於:本省会見室)

G20愛知・名古屋外相会合の評価

【朝日新聞 楢崎記者】昨日の中国の王毅(おう・き)国務委員との会談をもってG20の外相会合のバイ会談も含めて全て終わったと思いますけども振り返っての評価をお願いいたします。

【茂木外務大臣】今年に日本がG20の議長国であることもありまして6月で大阪サミットも開催されました。今回の名古屋での外相会合におきましては大阪トラックの推進であったり,G20の大阪サミットの成果も踏まえて,さらにそれを前に進めるというそういったいい機会になったと,このように思っております。 同時に今回各国からお越しになった外務大臣,十数人とバイ会談を行いまして二国間関係であったり,また現下の国際情勢について様々な意見交換,こういったことも行うことができまして,非常に有意義な会合になったとこのように考えております。

G20愛知・名古屋外相会合における日露外相会談

【NHK 渡辺記者】G20の関係でロシアのラヴロフ外相と会談されたと思うのですけれども,ラヴロフ外相が茂木大臣との会談後の記者会見ですね,日米同盟について外務省ルート,それから安全保障局ルート,つまりパトロシエフさんから北村さんだと思いますが日米同盟についての懸念を伝えていて,それに対する回答を求めていて,回答をするというふうに日本側が言っていると,ということなんですけど,具体的にそうしたロシア側からの懸念,いついつまでに回答してくださいといったことがあったのかどうか,その事実関係をまず教えていただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】たぶんですね,一部を切り取ってお話をしますと,今回のですね,日露の外相会談,全体像がゆがみますので,少しお話をさせていただきますと,今回のですね,G20日露の外相会談におきましては首脳間の合意を着実に実施し,引き続き日露関係一層強化していくことを確認したうえで,平和条約交渉含みます,今後の協議の進め方等について議論を行いました。ご招待いただいておりますので,諸般の事情が許せば,12月中旬にモスクワを訪れて平和条約締結問題を中心とする二国間問題等について,協議を行いたいと話をしまして,ラヴロフ外相も歓迎したい,という話でありました。また,北方四島におきます共同経済活動におけるパイロットプロジェクトの成功,高く評価して来年から本格事業化に向けて議論を進めることでも一致をしました。元島民のための人道的措置については私(大臣)から3年連続で実現をしました航空機墓参をはじめ,ロシア側の協力に謝意を表明するとともに引き続きの協力を要請しました。それについてラヴロフ外相からは今後についても協力的な姿勢が示されたところであります。さらに私(大臣)から貿易経済政府間委員会の日本が議長として経済関係の全体の前進を図るとともに関係省庁と連携しつつ特に8項目の協力プランの極東案件の具体化を進めていきたい旨伝えました。またラヴロフ外相からは貿易経済分野の協力を強化していきたい,そういうお話がありました。今出た話はですね,おそらく今回ラヴロフ外相とどれくらいだったかな,40分くらいだったかな,ぐらいの会議の中でこの平和条約締結問題,40分程度で話すことはできませんから,全部はですね,またモスクワでゆっくり話をしようと。そこの時にですね,一つの課題として今言ったような問題がある,という話がありましたんで,こちらとしてもよく考えておくという返事をしたということです。

【NHK 渡辺記者】今まさに大臣おっしゃったとおりで,ラヴロフ外相のほうもですね,この問題,日米問題が次のディスカッションの中心的なテーマになる,というふうにモスクワでも述べているのですけども,日米問題の問題というのがいよいよ平和条約の交渉の中で主要なテーマとして扱われるようになってきたという,そういう段階が変わったということなんでしょうか,それとも今までの継続なのか。その辺お願いいたします。

【茂木外務大臣】今までの継続かフェーズが変わったかというのは難しい判断でありますけども,この領土問題が解決して平和条約を締結していく,非常に大きな交渉になってくるわけでありまして,そこの中には様々な様相が絡んでくる,という話であります。そこの中での一つの重要な論点である,とこういう認識は持っているところであります。

日韓関係(輸出管理)

【中央日報 ユン記者】韓国政府は輸出管理にめぐる22日の発表について,24日,合意した内容を意図的に膨らませたという青瓦台から外交ルーツを通じて,日本側に抗議し,日本側が謝罪をしたというふうに発表しました。また,昨日,韓国の日本大使館の政務公使が外務省の次官のメッセージとして謝罪をしたという報道,また韓国側の説明もありました。韓国と日本との説明のずれがありますけれども,それから,日本側からの謝罪があったかどうかに関しても確認をしてください。

【茂木外務大臣】日本側から謝罪をしたという事実はありません。その上でですね,日韓それぞれの報道に若干の食い違いがある部分があると理解しておりますが,私(大臣)から康京和(カン・ギョンファ)長官の方に言ったのは,大切なことは,輸出管理措置について,これから,日韓の当局間で議論が始まるわけでありまして,しっかり議論すること,これが大切なんだと。言った言わないと,今,そういうことより,これからしっかり議論していくことが大切なんだというを話をして,康京和長官も,その通りであるという話でした。

ローマ教皇の訪日

【朝日新聞 楢崎記者】ローマ教皇の訪日に関して伺います。一連の日程を終えて帰国の途につかれましたけれども,長崎や広島での核廃絶を訴えるスピーチも含めて今回の訪日についての受け止めをお願いします。

【茂木外務大臣】ローマ教皇・フランシスコ台下は1981年のヨハネパウロ二世の訪日以来,38年ぶりの訪日となるわけであります。日本の国民にも様々なメッセージを送っていただいたと,こんなふうに考えております。一連の行事,天皇陛下とのご会見,安倍総理大臣との会談,昨日の政府要人等との集い,こういった行事を通じてですね,日本の姿,取組をバチカンを始めとする世界に発信し,また,日本とバチカン双方が,更に理解を深め,二国間関係の一層の強化につなげられたんではないかなと思っております。特にですね,国際平和を希求されるローマ教皇が,被爆地であります,長崎と広島を訪問し,核廃絶や平和に向けた呼びかけを行ったことは重要なものと,重く受け止めております。日本は唯一の戦争被爆国として,核兵器のない世界,この実現に向けて尽力していく,こういった思いをあらたにしたところであります。

【朝日新聞 楢崎記者】関連して,教皇はスピーチの中で,核抑止力を否定されるような内容もありまして,日本はアメリカの核の傘に入る現実がありますけれども,このスピーチでの受け止めと,発言の影響についてはどのようにお考えになりますか。

【茂木外務大臣】今,申し上げたように重く受け止めております。

中国における邦人拘束(伊藤忠商事社員)

【毎日新聞 田所記者】事実確認なんですけれども,中国の邦人拘束の関係で,昨年,拘束された伊藤忠の男性社員について,先月,裁判所で懲役3年の実刑判決が言い渡されたという報道がありますけれども,事実関係確認できたらと思います。

【茂木外務大臣】そのように承知いたしております。

中国の人権状況

【共同通信 高尾記者】中国の人権状況について伺います。中国政府が新疆ウイグル自治区で,ウイグル族らを監視する大規模なシステムを構築して,行動を把握して,恣意的な拘束や施設への大量収容を行っていたことが,中国当局の内部文書で明らかになりました。この文書は各国メディアによる国際調査報道ジャーナリスト連合が入手したものです。中国政府は全くのでっち上げだと反発していますが,こうした中国の人権侵害を裏付ける文書が明らかになったことについて大臣のご見解をお願いします。

【茂木外務大臣】政府として,国際社会における普遍的価値であります,自由,基本的人権の尊重,法の支配,こういったものが中国においても保障されることが重要であると考えておりまして,新疆ウイグル自治区における人権状況についても,懸念を持って注視をしております。こうした我が国の立場につきましては昨日の王毅国務委員との会談を始め,様々な機会・レベルで中国側に伝えてきております。

【共同通信 斎藤記者】今の質問の関連ですが,中国政府はウイグル,チベット,そして昨今の香港での問題,一連の人権問題について,これは中国の内政問題であると,繰り返し,繰り返し主張しております。この点についてですね,茂木大臣,どのように受け止めているか。王毅国務委員との会談の細かいやりとりは置いてですね,その点の認識の一致はちょっと見られないと思うんですが,ざっくりとしてどのような日本の立場を伝え,どのような認識の共有を図れているのか,この点について,お伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】今の質問,聞かれてました。

【共同通信 斎藤記者】聞きました。

【茂木外務大臣】答えたと思いますよ。先ほどの質問。

【共同通信 斎藤記者】しっかり聞いてました。メモ取っています。私が聞いているのは,もっと全般的に,さっきの質問ではウイグルだったわけです。ウイグルの内部文書が出たと。私はその上に,追加質問として,香港とチベットを加えました。その上で,大臣のですね,中国がそういった一連の問題について,内政干渉と,ずっと言ってきているわけです。ずっと一貫しているわけです。その中において,大臣はですね,どのような立場を示されているのか,全体的な人権問題としてですね,これについて,そして,認識の一致とか,あるいは違うところがあって,説明がもし,できるところがあれば,説明をお伺いしたい,こういった趣旨であります。

【茂木外務大臣】繰り返しますね。政府として国際社会における普遍的価値である自由,基本的人権の尊重,法の支配,こういったものが中国においても保障されることが重要であると考えております。

日韓関係(日韓外相会談の評価,日韓首脳会談の見通し)

【東亜日報 キム記者】先週,土曜日,韓国の康京和長官との会談について評価をお願いします。そして,来月,日韓首脳会談について,もし,期待していることがあればお願いします。

【茂木外務大臣】良い会談だったと思いますよ。率直に意見交換をすることができたと,そのように考えております。私(大臣)からは,旧朝鮮半島出身労働者問題について,日本の立場をしっかりと述べたこと,更には北朝鮮問題について,日韓,日米韓の連携を改めて確認したこと。日中韓のサミットの機会での,日韓首脳会談の開催に向けて調整を開始することで一致したと。意義があったと思っています。

中国における邦人拘束(伊藤忠商事社員)

【TBS 橋口記者】中国の邦人拘束事案について,先の質問の関連であります。一部報道でですね,逮捕罪名,裁判所が国家の安全に危害を加えた罪で懲役3年と15万人民元,日本円で230万円没収する判決を言い渡し,確定していたという報道があります。この事実関係を教えていただきたいのと,この判決を日本政府が中国政府に対して何らかの対応をとったのでしょうか。この2点をお願いします。

【茂木外務大臣】ごめんなさい。今朝の,あれとは違うの。今朝の国会答弁の話と違うの。

【TBS 橋口記者】国会答弁の話は全体の,領事局長,お答えになったのは,トータル,何人捕まえられてどうなったかという話で,今,私が説明させていただいたのは,伊藤忠商事の40代の男性の案件です。

【茂木外務大臣】それはさっき答えましたけど。毎日新聞。

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