記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年10月27日(土曜日)16時55分 於:バーレーン(マナーマ))
冒頭発言
【河野外務大臣】昨年に続いて,2回目のマナーマ対話になりました。バーレーンも日本の外務大臣として2度目の訪問になりました。今朝マナーマに到着し,ハリーファ首相,サルマン皇太子,ハーリド外務大臣,それからヨルダンのサファディ外務大臣と会談を行いました。経済,文化,観光分野を含め,良好な二国間関係をバーレーンと更に強化していくことを確認をし,カタール,あるいはイランを含む中東情勢について意見交換をいたしました。北朝鮮についても,ハーリド外務大臣との間で有意義な意見交換をすることができました。サファディ外務大臣とは,ヨルダンとの間の二国間情勢,アブドラ国王の来たるべき訪日に関して意見交換すると同時に,中東情勢についても少し突っ込んだやりとりをさせていただきました。
昨年に続いて,「マナーマ対話」に出席をいたしました。非常に中東いろんな動きがある中,実際にここに足を運び,日本の考え方,あるいは日本らしい取組みについて情報を発信することができたのは非常に有意義だったのではないかと思います。こういう対話については,単発で終わらせずに,継続して日本が参加しているというのが非常に重要なことになるんだろうということを改めて認識をいたしました。
今日は,中東地域で行われている様々な改革がありますが,この改革を止めないようにということで,エールを送りました。石油に依存している経済からの脱却,あるいは非常に若者の人口が多い中で,いかに若者の教育あるいは雇用の機会を確保することができるか,あるいは女性をしっかりと社会に参画していくためには,やはりこの改革の努力は止めてはならないという思いがあります。地域が安定し繁栄するためには,改革を止めてはならないというふうに思います。そういう思いから,日本として,この明治維新,人に投資をする,教育への投資というのが今の日本を形作ってきたのではないかという思いから,教育・人材育成あるいは若者のエンパワーメントといった分野での改革を,日本として支援をしていきたいということを申し上げました。「河野四箇条」に基づいて,中東地域の「人づくり」を支援していくというのが,この地域における日本らしい貢献ではないかというふうに思います。私からは以上です。
質疑応答
【記者】大臣は今回,2年連続でのマナーマ対話参加で,この1年も中東関係については力を入れていろいろな政策をやってきたと思いますが,この1年を改めて振り返ってやってきた手応えと,またこれから今後力を入れていきたいことについて教えてください。
【河野外務大臣】非常に中東地域というのは,日本にとってもエネルギーを依存している地域でもありますし,この地域が安定しているということは,非常に大事だというふうに思っております。特に,サウジアラビアをはじめとする,脱石油,あるいは社会改革といった改革の動きを,しっかりと止めないように進めるというのは非常に大事だと思いますし,日本としてもサウジアラビアをはじめとする改革を成功させるために,様々協力をしてきましたし,コミットしてまいりました。それが,少しずつ前へ進んでいるのではないかというふうに思っておりますし,ヨルダンのアカバ・プロセス,あるいは先般の国連のUNRWAの会議など,様々な場面で日本が共同議長を務めるというのが増えてきたというのは,やはり日本が少しずつ中東に関与する,日本の中東でのプレゼンスというのが,少しずつ高まってきたのではないかと思います。
アメリカやロシアのように軍事力を使って関与するということは日本はいたしませんけれども,日本はもっと地道にこの中東地域における人作り,教育その他を通じた人作りにしっかりと時間をかけて取り組んでいくという日本らしい取り組みが板についてきたのではないか,というふうに思っています。
【記者】中東地域では最近注目されているのは,サウジでの記者の殺害事件ですけれども,サウジ当局も今般,計画性があったと認めました。それを受けて,トルコ当局は容疑者18名の引き渡しを求めています。国際社会からも真相究明の声が高まっていると思います。日本政府としての対応について,どのようにお考えでしょうか。また,先ほど大臣も触れましたけども,サウジの経済改革の取り組みについては日本政府も積極的に支援していると思いますが,その支援の方針について,この事件の影響はあるのでしょうか。
【河野外務大臣】何よりも大事なのは,このサウジアラビアが今行っている脱石油の取り組み,それから若者に教育と雇用の機会を与える,それから女性の社会参画という,このサウジアラビアの取り組みは,地域の将来の発展と現在の安定のために,これはもうなくてはならないものだと思いますので,この改革の動きを止めるということがないようにしなければいけないというふうに思っております。そういう意味で日本は引き続き,サウジアラビアをしっかり支援をしていきたいというふうに思っております。
例のカショギ事件については,まず真相究明というのが必要不可欠だというのは,G7の声明の中でも申し上げましたし,透明性があり,公正な処分が行われるというのが,その次に大事なことだと思いますので,しっかりとそこは日本としても見ていきたいと思います。
【記者】先ほどのディスカッションの中で,かなりシリアに関して突っ込んだやりとりがいろいろ行われたかと思います。質問の中でも,日本のシリア難民支援だとか,シリアへの関与に対する意見や質問もあったと思うのですが,今後もシリアについて日本としてどのように取り組んでいかれるか,お話を伺いたいと思います。
【河野外務大臣】シリアについては,政権側あるいは反政権側にこだわらず,支援を必要としている人たちにきちんと支援ができるように日本として努めてまいりました。これはシリアの国内だけでなく,シリアから外へ逃れ出た難民の方々,そしてその難民を受け入れているヨルダンあるいは,レバノン,トルコといった政府,あるいはその地域のコミュニティを支える努力というのをしてまいりました。特に,ヨルダン,レバノンという,非常に経済的にも様々なダメージを受けている中で,この大勢のシリア難民をキャンプだけでなく社会の中で受け入れている国というのを支えていくのは非常に重要なことだと思いますので,日本としてはこうした国々をしっかり支えていきたいというふうに思っております。今後も,人道的な支援は,立場に限らず,必要なところに出したいと思っております。また,シリアの復興の支援については,政治プロセスがしっかりと前に進んだ段階で,日本として復興のプロセスに国際社会の一員として関わっていきたいというふうに思っております。
【記者】先ほど,サファディ・ヨルダン外相との会談の中で,今回のシリアの安田さんの件というか,もともと後藤さんの事件のときにも,ヨルダンはすごく関わっていたと思いますけども,そういった件について話題になったかお伺いしたいと思います。
【河野外務大臣】ヨルダンには,情報の共有,その他で色々とお世話になりましたので,そのことについて御礼を申し上げました。