記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年10月19日(金曜日)11時56分 於:アイスランド(レイブル・エイリーワソン国際空港))

冒頭発言

【河野外務大臣】今回,日本の外務大臣として初めてアイスランドを訪問しました。今日北極サークルに日本の外務大臣として初めて出席し,開会セッションにおいて,日本の北極政策に関する基調講演を行いました。まず天然資源など北極の機会をとらえるとともに生態系への悪影響といった北極の課題に,国際社会が適切に対応するためには,この北極の環境変化のメカニズムを解明しその影響を理解することが特に重要であるということを強調しました。
 またスピーチで,「望ましい北極」の実現のために科学調査,研究,それから,持続可能な経済利用,三つ目に法の支配といった,三つの側面について日本が貢献している具体的な事例を紹介し,日本が全てのステークホルダーと協力を促進するというメッセージをだしました。
 また,日本とアイスランドの外相会談を行いまして,今年の5月に外相会談を行いましたが,これまでの半年足らずの間にワーキングホリデー制度を9月から発足をさせ,外交当局間の政策協議も開始をし,10月31日付けで租税協定を発効させることができました。二国間での協力が着実に進展してきているということをお互いに歓迎すると同時に,北極を始めさらに幅広い分野で両国間の協力を進めていこうということ,また,北朝鮮を始めとする地域情勢についても意見交換をいたしました。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】先ほどもお話のありました,今回の北極圏への訪問なんですが,あらためてこの意義を伺いたいと思います。日本の外務大臣としての初めての訪問ということでありますが,大臣スピーチでもおっしゃったように,北極圏の可能性への注目が高まっている,特にアジアの各国もいろいろな政策に乗り出しているところだと思います。そうした中で,日本として,外務大臣がこちらに来るということの意義を伺いたいと思います。

【河野外務大臣】日本としても,北極にしっかりと関与していきたいと思っています。今日,アイスランドの首相が繰り返しおっしゃっていたように,北極の問題というのは,特に環境や生態系への影響ということを考えると,北極の国々の問題ではなくて,グローバルな問題となっているんだという,そういう意識を我々もしっかり共有しないといけないと思います。その中で日本として気候変動あるいは生態系といったところにおける調査研究をしっかりやる,科学的にコミットするということ,そしてこの北極の利用をどうするか,それはもちろん法の支配の中でやらなければいけませんから,日本も積極的に北極に関するルールメイキングに関与しながら,北極に関する枠組みというのを作っていく,そういう意思があるんだというのを今日明確に申し上げるとともに,日本は科学的な側面を重視しているというメッセージを出せたのは,非常に有意義だったんではないかと思っています。

【記者】法の支配の話がありましたが,国際ルール作りに積極的に参加していかれると。先日,漁業分野では合意されましたけど,今後具体的にどういった分野で日本がルール形成に関わっていきたいか,もし念頭にある具体的な分野があれば教えてください。

【河野外務大臣】様々な分野があるだろうと思います。例えば機会という観点からいえば,北極航路,あるいは鉱物資源の開発といった機会を,どのようにとらえていくかといったルールメイキングが大切だと思います。あるいは気候変動や生態系といった分野を考えれば様々な規制をどのようにバランスを取りながらやっていくのか,ということが必要になっていくと思います。北極圏は,おそらくほとんどの部分で領土の問題というのは解決されているんだろうと思いますが,冷戦時代には冷戦の非常に強い影響のあったところでもあるわけですから,そういう意味では安全保障あるいは,そうした分野でのルールメイキングというのも必要になってくる可能性はあると思います。日本としては,そういう場面にしっかり関与していく,そういう意思を今日明確にさせていただいたと思います。

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