記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成30年8月14日(火曜日)17時20分 於:ペルー リマ)

冒頭発言

【河野外務大臣】外務大臣に就任して初めてのペルー訪問となりました。ポポリシオ外務大臣との外相会談を行ったほか,ビスカラ大統領を表敬訪問いたしました。会談の中では,伝統的な友好関係をビスカラ新政権との間でも継続していきたい旨申し上げ,また,自由貿易推進の重要なパートナーとして連携をしていきたい旨申し上げました。
 日本人移住120周年を来年,2019年,迎えることになりますので,2019年を「日ペルー交流年」ということで,それに向けて両国の関係を深めて参りたいと思います。文化・芸術面での基盤として,南米のスペイン語圏で初めて国際交流基金の事務所をリマに設置する旨申し上げました。
 日本はペルーのOECD加盟審査開始を支持しており,OECDとの関係強化がペルーの国内改革努力を後押しし,ビジネス環境の更なる改善に繋がるということを,期待をしたいと思います。日本企業は,鉱山分野への投資に強い意欲を有していること,また,ペルーの産官学と連携し,ペルーの総合防災,都市交通インフラ等の発展に貢献して参りたいということを申し上げました。ビスカラ大統領も,この都市交通の改善に大変強い意欲を示されましたので,日本としてもそこに少し力を入れた協力をしていきたいと思います。
 今年はペルーの援助を開始して60周年にあたります。経済社会インフラの整備,格差の是正,環境,防災といった分野を中心にペルーに対して援助を行っておりますが,日本にとってペルーは今や中南米最大のODA被供与国となりました。今後も,ペルーが必要とする協力をしっかり実施して参りたいと思います。
 また,二国間の関係のみならず,国連における安保理改革あるいは核軍縮,北朝鮮,ベネズエラといった課題についても,しっかりと連携して対応していこうということを確認をいたしました。
 また,外相会談終了後,ペルーで最も権威あります「ペルー太陽勲章」をいただきました。

質疑応答

【記者】かねてから,TPPの話が触れられていると思うんですけれども,TPPを含めた自由貿易についてですね,大臣もかねてからおっしゃっているように,ペルーとは同じ方向を向いてやってらっしゃるかと思うんですが,やはりアメリカを中心に保護主義的な動きが出ている中に,こういうものに対してどのように,自由貿易に対する維持ということをよく言ってらっしゃいますが,どのように維持・拡大っていうのを図っていこうと思っていらっしゃるのか,具体的にもしあれば教えていただければと思います。

【大臣】やはり自由貿易というのが第二次大戦後の世界経済の発展に大きく寄与したことは間違いないと思います。本来,それをしっかりと伸ばしていくはずのパートナーであるアメリカがTPPから離脱したということは,大変残念に思っておりますが,日本とペルー,協調して,まずTPP11を早期発効させたいというふうに思っております。ペルーが今年7月から議長国となりました太平洋同盟は,残っているコロンビアもTPPへの参加の意思表示をしておりますので,中南米においては,この太平洋同盟との連携をしっかりと強めていきたいというふうに考えております。また,TPP早期発効をできれば,ASEANの中でもタイ,インドネシア,あるいは,イギリスや韓国といった国々も関心を表明をしてくれておりますので,このTPPを拡大することによって,自由貿易促進に向けた流れをしっかりと作っていきたいというふうに思っております。

【記者】ペルーは中南米第2番目に大きい日系人社会を抱えるということですが,大臣も明日は日系人社会との懇談に向かわれると思うんですが,日系人社会との連携を通じて,どうやってそれを中南米諸国の国と国との関係強化につなげていくのか,どのようにお考えでしょうか。

【大臣】移住された日系の方,日本人の方が様々な苦難を乗り越えて,この中南米各国の社会の中で信頼を築き上げてこられました。これはもうペルーでも同じことが言えると思いますが,そうした日系人社会に対する,中南米諸国の社会の日系人に対する信頼が,そのまま祖国である日本への信頼につながっていると言ってもよろしいかと思います。
 だんだん日系人社会も世代が変わっていく中で,新しい世代でネットワークを作っていこうという動きを日本としても支援をしていきたいというふうに思っております。それは,それぞれの国の中の日系人社会のネットワークというだけでなく,国を越えて,日系として,ネットワークを作っていこうという動きが若い世代にはみられますので,様々な招へいプログラム,あるいは,それぞれの地域でのSNSをはじめとする,様々なネットワーク作りのお手伝いをすることによって,日本と中南米各国の日系人社会,あるいは中南米における,国を越えた日系人社会の連携といったものを強めていきたいと思っております。また,そうした世代がそれぞれの分野でリーダーシップを発揮してくれることが,日本に対する新しい信頼にもつながっていくんだと思います。

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