記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年9月30日(火曜日)10時35分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-インドネシア,フィリピン,ベトナム国民に対するビザの大幅緩和

【岸田外務大臣】本日より,インドネシア,フィリピン及びベトナムにつき,数次ビザの大幅緩和を開始いたします。ビザ発給要件の緩和,有効期間の最長5年への延長の他,全在外公館での申請を可能といたします。
 更に,11月中を目処に,パッケージツアー参加者の一次観光ビザの申請手続きを簡素化いたします。12月1日には,インドネシアに対し,在外公館へのIC旅券の事前登録制によるビザ免除を実施する予定です。
 今回の措置により,訪日外国人2,000万人達成という高みを目指す観光立国推進,成長戦略,ひいては人的交流の促進に貢献することを期待いたします。

日朝外交当局間協議

【NHK  栗原記者】昨日,瀋陽で北朝鮮の拉致問題をめぐる日朝協議が行われました。これについては何か報告を受けておりますでしょうか。

【大臣】29日,中国,瀋陽におきまして日朝の外交当局者会合が開かれました。日本側は伊原アジア大洋州局長,そして北朝鮮側が宋日昊外務省大使,それぞれが代表を務めました。
 そして,この会合は今月中旬に北朝鮮側から調査の初期段階を超えた説明を行うことはできない旨,連絡をしてきたことから調査の現状について説明を受けることを目的として開催され,29日は午前・午後合わせて4時間半にわたりまして真摯かつ真剣な議論が行われた,やりとりが行われたと報告を受けています。日本側からは北朝鮮側が拉致被害者をはじめとする全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を迅速に行い,その結果を速やかに報告すべき旨,強く求めました。その際,日本側としては全ての分野における調査が重要でありますが,その中で特に拉致問題が最重要課題であると考えていることを強調いたしました。それに対しまして,宋日昊大使の方からは,今回の会合は特別調査委員会による調査結果の通報ではない旨述べつつ5月のストックホルムでの合意の履行や特別調査委員会について説明があり,我が国から質疑を行ったということでありました。また,今回の会合では日本側から核,ミサイル問題についても取り上げ,日本側の強い懸念を伝えました。
 今回の会合の結果については,今後帰国した代表団から直接報告を受ける予定にしております。

【NHK  栗原記者】協議にあたった伊原局長は,本日,午後にも帰国されるそうですけれども,報告を聞かれた上で,政府内でどのように対応されるお考えでしょうか。

【大臣】代表団の報告をしっかり受けようと思います,受けた上で,内容を確認し,それによって政府としての対応も考えていきたいと思っています。

【NHK  栗原記者】場合によっては,関係四大臣の会合とか,そういったことも行われるということになるのでしょうか。

【大臣】いずれにせよ,代表団の報告を聞いた上での対応ということになります。その内容によって対応を考えることになると思います。

日韓次官戦略対話

【NHK  栗原記者】明日,日韓次官級の戦略対話というのが行われることになっております。この狙いと日本政府側として,どういったことを対話のテーブルに載せたいかということについて,お伺いできますでしょうか。

【大臣】明日,日韓の次官級戦略対話を行う予定にしています。我が方は斎木事務次官,韓国側からは趙太庸外交部第一次官が出席する予定です。
 日韓の次官級戦略対話ですが,二国間関係はもちろんですが,北朝鮮問題を始めとする地域問題,更には,国際社会における様々な広い課題について忌憚のない意見交換を行う対話ということになっております。
是非,活発な議論が行われることを期待したいと思っています。

香港民主派によるデモ拡大

【日経新聞 宮坂記者】香港の中心部で民主派による活動が活発化して拡大しておりますけれども,日本の外務大臣として,この動きをどういう観点で注視
されていますでしょうか。

【大臣】香港の動きにつきましては当然注視をしております。香港は,我が国とも経済的に密接な関係にあり,香港の将来の動きというのは,我が国にも影響があるものであると考えています。香港自体,中国のみならず,日本を含むアジア太平洋地域の平和と安定や繁栄に大きな役割を果たしていると認識をしております。
 是非,香港が従来通り,一国二制度の下に自由で開かれたが体制が維持され,そして,我が国との密接な交流関係が維持されることを期待したいと思います。

日朝外交当局間協議

【朝日新聞 松井記者】日朝についてですが,昨日,伊原局長のブリーフィングも現地でありましたが,結局のところ,何で,どういう理由で遅れているのかというのが,どうもいまひとつよく分からないのですが,それについてはどのように考えておられますか。

【大臣】代表団の報告をこれから受けます。その報告を受けたうえでしっかりと政府としても,分析をし,今後の対応を考えていくことになると存じます。今の段階では,報告を受ける前でありますので,何か申し上げることは控えたいと思います。

日韓関係

【読売新聞 仲川記者】9月26日,ニューヨークで韓国政府の高官が韓国の記者団と会見した際に,その政府の高官が慰安婦問題について,基本原則は日本の誠意のある措置があるべきだとしつつも,誠意ある措置がなければ,日韓首脳会談を行わないわけではないと,従来の立場よりも柔軟な姿勢を示したのではないかというような報道が韓国のメディアを通じて流れているのですが,受け止めをお願いします。

【大臣】韓国との間においては,慰安婦問題について従来から局長級協議など,様々なレベルで意見交換を行ってきております。
 是非,こうした様々なレベルでの意思疎通を通じまして,両国関係を未来志向で大局的な見地に立ち,そして,未来志向の関係を発展させていきたいと考えています。
そういった思いで,引き続き意思疎通を続けていきたいと考えます。
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