記者会見

事務次官会見記録(要旨)(平成21年7月)


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事務次官会見記録(平成21年7月27日(月曜日)17時03分~ 於:本省会見室)

衆議院選挙(民主党の外交政策)

(問)民主党は先週、政策インデックスというものを公表しまして、今日マニフェストを発表する段取りになっていますが、民主党の政策を目に通されていらっしゃるようでしたら、外交・安保部門の政策について、どのような受け止めをされているのでしょうか。

(事務次官)我々は、日本外交をきちんと考えていく上で常に外務省として、或いは外交としてどのように進んでいくべきだろうということは常に考えていますけれども、その時々の内閣のご指示を得ながら外交をやっていくということだと思います。それが基本です。その上で言えば、外交というのは一つの大きな枠組みの中で、世界で日本がおかれている国際環境の中で日本の安全保障をどのように確保していくかということがあると思います。その基本はやはり日米の安全保障、同盟関係ということがあります。それは国民の幅広い支持が得られていると思いますから、そういう意味では全体として日本の外交の基本方針というのは、国民の大きな支持を得ながらやっていくものだと思います。そのなかでは当然のことながら外交の継続性ということもあります。そのようなことを踏まえて、当然、各々の政権というものは対応されるのではないかと期待しています。

(問)その日本の安全保障のくだりですが、民主党は日米地位協定、在日米軍再編問題の見直しを主張している訳ですけれども、それは対米関係にどのような影響を与えるのでしょうか。

(事務次官)個々のことについては今後の話ですから、今私自身がコメントをすることは適当でないと思います。

(問)民主党のマニフェストですが、政策とは別に意志決定のあり方として、事務次官会議の廃止と、意志決定を政治の場に戻すということを主張している訳ですけれども、事務次官会議に出席されるお一人として、どのようにお考えでしょうか。

(事務次官)外務省の事務次官がどうのということだけではありませんので、政府をどのように運営されるかという中での組織、政策決定のプロセスの問題だと思います。これを私自身がどうだと言うことは適当ではないと思います。

(問)内閣参事官への異動人事を巡って報道されているのですが、民主党政権を意識した人事というのはあるのでしょうか。

(事務次官)それは特に行っておりません。

(問)次官が仰るように、外交とか行政の継続性を考えるとそういったこともやむを得ない部分もあるのではないでしょうか。

(事務次官)今までのところは、具体的にそのような考えでやっているということはありません。

(問)9月に入ると国連総会やG20、11月のオバマ大統領の訪日等、いろいろと外交日程がありますが、政権交代を念頭に入れながら民主党サイドに対してもいろいろと働きかけをしているというようなことはあるのでしょうか。

(事務次官)いや。今私共の方からこの段階でどういう働きかけをということはありません。

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今後の外交日程

(問)9月下旬の大きな会合ですが、各国の首脳級が入ってくると思いますが、やはり新政権の総理に行ってもらいたいという考え方は外務省にはあるのでしょうか。

(事務次官)何れにせよ新政権というのは、選挙の結果でできる内閣ということでありましょうから、どのような形になるのか、私が特にわかる訳ではありません。いずれにせよ、9月末から10月、11月にかけて立て続けに国際的な舞台、各国の首脳が集まるサミットが開かれるということは事実です。

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北朝鮮問題

(問)今日北朝鮮の外務省が報道官の談話を発表しまして、その中で、六者協議をあらためて拒んだ上で、事態を解決する対話の方式が別にあるという談話を発表しました。そこで2点伺いたいのですが、まずこの談話をどう受け止めるのかということと、この対話の方式というのは米朝の直接交渉を念頭に置いたものと言われていますが、現在日本政府として米朝の直接交渉についてどうお考えでしょうか。

(事務次官)6、7年と私はこのことに関わり合いを持ってきていますが、何度も聞いたような話ですから特にコメントはありません。大事なことは、北朝鮮の核を廃棄させるということ、それについて国際社会が一致した行動を取るということであり、現在安保理決議の実施に向けて関係国が皆一体となっているということが一方においてある。そういう中で、当然北朝鮮もそういう国際社会の声にきちんと向き合って問題解決をするということも出てくるのであれば、それは当然六者協議に決まっているわけです。その枠内の中でいろいろな形のバイの協議もあるかもしれませんが、それが今の全体の国際社会としての意志だと私どもは考えております。

(問)先日のプーケットでの日韓外相会談で、六者協議の共同声明の完全実施に向けた包括的な取り組みが必要であるという点で一致しました。一方で、次官は以前六者協議については新しいアプローチが必要だと仰いましたが、包括的な取り組み、或いは新しいアプローチにおいて日本政府が重視する点はどんな点でしょうか。

(事務次官)我々が重視するのは、2006年の段階で核実験を北朝鮮が行ったと、そして2007年以降六者協議の下で色々な協議が重ねられてきた、また、各国はいろいろな形でバイの関係も模索してきた。そうした中でそういう取り組みがあったにも拘わらず、北朝鮮がまた核実験を行い、今までの我々の取り組みが実を生んでいないという点についてきちんとした分析を行い、何が具体的に十分な対策として機能していなかったのか、これからどういうふうにすればいいのか、この一点に尽きる訳です。そのために私が言っている新しいアプローチというのは、六者協議の下で進めるアプローチですけれども、やはり今までのところはあまりにも詳細に部分部分を区分けした格好でやってきたということが実は全体像を見失っていたのではないかと。従って、最初の時からきちんとしたタイムフレームというのをどこまで具体的に書けるのかどうかとか、いろいろな工夫はあると思います。そういうことについて、具体的に各国が知恵を持ち寄ろうではないかと。ですから、一方において今安保理決議の完全な実施を行う、その一方において六者協議が再開に至る時には、或いはそれを準備するために、具体的に中身を詰めていこうということだと思います。その中身の大きな目標というのは、北朝鮮の核兵器、そしてその関連プログラムを完全に廃棄させることであるということです。それをすれば、当然のことながら国際社会も北朝鮮に対して国交の正常化であるとかいろいろな形で応じる用意がある。安全の保障についてもそうです。それを言えば、包括的なパッケージということになると思います。それをより明確なタイムフレームワークも考えて、いろいろとこれから考えていく必要があるのだと思います。

(問)日韓外相会談で一致した包括的な取り組みという表現と、次官が先ほど仰っている新しいアプローチというのは、別のものなのか表現が違うだけで内容は一緒なのでしょうか。

(事務次官)考え方は共通していると思います。

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事務次官会見記録(平成21年7月13日(月曜日)17時43分~ 於:本省会見室)

「核持ち込み密約」

(問)本日午後2時から、河野太郎衆院外務委員長が国会で記者会見をしまして、所謂「核持ち込み」について政府答弁の修正を求めるということを仰いまして、場合によっては決議も辞さないと考えを示されましたが、これに関しての受け止めをお願いいたします。

(事務次官)本件につきましては政府として一貫して説明をしてきている、その通りでありまして、歴代の総理、外務大臣も含めて本件についてそのような密約はないということについて言明をされている。政府の見解は今にちもそれに尽きているということが現状です。

(問)場合によっては再調査というお考えはありませんでしょうか。

(事務次官)基本的にそのような一貫した政府の考え方ですから、それについて今特に、特段の措置をとるということは考えておりません。

(問)従来の答弁を繰り返すならば審議しないと、このように河野委員長は言っているのですけれども、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)まだそれについては直接お話を伺っておりませんけれども、そのような状況の下でどのような話になるのか、当然立法府と行政府の関係ということがありますから、その時々に判断をしていく必要があると思っております。

(問)密約はないという一貫した政府の立場ですが、この答弁は今後も変わることはないということでしょうか。

(事務次官)今、この時点に於いて、そのことについて新しい考え方があるという訳ではないということです。

(問)この時点ではなくて、将来に対してはいかがでしょう。

(事務次官)将来というのは、どこまでを指してどうだということについて、今この時点で言うことも適当ではないと思います。

(問)密約に関する文書が、2001年前後に外務省として破棄したという一部の元外務省高官の証言があるということですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)これもどのような内容の証言か、よくわかりませんが、我々としては今の証言はおかしな話で、密約はないという基本的な政府の立場からすれば、その証言なるものが、どういう趣旨のものか、承知出来ないと思います。

(問)密約と言っても幅が広いと思っているのですが、1959年6月に作成されて、(1960年)1月6日に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使の間で交わされた、相互協力及び安保条約討論記録、こういう記録が密約ではないかと言われておりますが、その記録そのものは外務省には存在しないということでよろしいでしょうか。

(事務次官)そういうことです。今言われたのは1959年の6月末ですか、それがどういう性格のものかわかりませんが、そのもの自身がアメリカ側の中にあるということは承知していますけれども、それが日米間の確たるものであるかどうかということについては我々は全く確認する立場にないということであります。物がありませんし、見たこともありません。

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北方領土問題(メドヴェージェフ露大統領の発言)

(問)サミットの際に行われた日露首脳会談ですが、日本側のこれまでの強い求めにプーチン首相は、前の会談でロシア側の考えを示すような首脳間での働きかけにも係わらず具体的なものは出てこなかったというふうに承知していますが、その後の記者会見でメドヴェージェフ大統領が1956年宣言を基本に交渉を進めていかなくてはならないということで、今までの新しいアプローチとか型にはまらないアプローチということを、ほぼ撤回するようなことを仰っている訳ですけれども、どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

(事務次官)これは日露両国の首脳の間で何度も話し合って来ていることですが、今回に於いてもロシア側は引き続き独創的なアプローチの下であらゆるオプションを検討していく用意があるということは併せて言っておられますから、そういう意味では今後とも我々としては粘り強く日本側が受け入れ可能な解決策に辿り着くように努力をしていくという立場に全く変わりはありません。

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東シナ海資源開発(中国船の『白樺』到着)

(問)一部報道で東シナ海の白樺に中国船籍が寄っているという報道がありますが、事実関係と日本政府の対応また合意への影響についてお聞かせ下さい。

(事務次官)これについては我々もずっと調査し、全体として承知していることがあります。そういう船が今白樺に向かっているのではないかというようなことを含めて中国側に確認を求めています。仮に中国側から現状を変更するようなことがあれば、日本側としては到底容認ができないことですから、それについて中国側の今の我々からの申し入れ、照会に対する立場というのは、中国側としてこのガス田の維持管理に関する作業を行うのだということであって、「春暁」油ガス田の現状に実質的な変更はないという説明を中国側はしてきています。ですから、我々としては引き続き事態を注視していく。当然の事ながら去年の6月に合意がある訳ですから。それは中国側もその合意はきちんと守るということを言っていますから、双方に於いてそれを確認しながら実質的な現状の変更はないということを確保していくことが絶対に必要なことだと思っています。

(問)維持管理という目的であればそれは認められるということですか。

(事務次官)要するに開発についての合意ですから、今まで彼らはずっと作業を長年やってきた、そのガス田の状況を維持管理していくということで必要であるということであればそれは分かりますけれども、それが実際の開発にかかわりを持ってくる、開発の段階になるということであれば、当然合意違反ですから、そういうことは認められない。また中国側もそういうことはありませんと言ってきています。

(問)昨年6月の合意ですと日本側が出資して白樺について共同に開発するということだと思うのですが、その後の条約が確定するまでは中国側が開発を中断するということも含まれているのですか。

(事務次官)それは当然の前提として我々は考えています。

(問)あれは条約締結までなのですか、それとも取り極めというか。

(事務次官)去年の6月の合意というのは実質合意なんです。それを二国間の正式の合意にするには条約というか協定というか、政府間の合意をきちんとした文書として作らねばならない。その作業が遅れているというのが現状ですが、いずれにせよそれが元々の合意として開発を行うにあたっては、日本側の企業も参加するということが前提ですから、それを変更するようなことがあってはならないということです。

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北朝鮮問題

(問)サミット最終日の議長総括に拉致問題に関する言及がなかったのですが、これについて受け止めをお願いします。

(事務次官)基本的に拉致問題については従来G8サミットにおいても今回も確認されていますが、麻生総理の方から発言があって、拉致問題を含む包括的な北朝鮮問題の解決とその重要性については各国の首脳がきちんと日本側の立場をサポートしてくれているということがありますから、それに尽きていると思います。

(問)貨物検査新法ですが、政府与党が21日解散で合意し、更に今日は野党が内閣不信任案と問責決議案が出たことで本国会での成立は難しいのではないかという見方が出ていますけれども、実際に成立しなかった時に出る悪影響とか、実務的な面も含めて。

(事務次官)悪影響というか、我々から言うとむしろ安保理決議というのが出来て、その一つの重要な中身が貨物検査ということがあります。ですからそれはきちんと実施できるような法的な手当が必要であれば、それは法的な手当を出来るだけ早く行うのが良いというのが外務省の基本的な立場です。

(問)成立しない場合は、例えば保管とか決議が義務として求めているようなことは出来なくなるのではないでしょうか。

(事務次官)具体的にどういう事態になるかということがありますし、この間の北朝鮮の船のように各国が色々な形で情報をシェアし働きかけることで、色んなことの解決も可能ですし、そうした中で勿論色んな事態に対応するには各国ともに法的な手当が必要であればそういうことをすることが求められているということです。出来るだけ速やかにそういう体制が取られることの方が勿論良いことは間違いありません。

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事務次官会見記録(平成21年7月6日(月曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

当省職員に対する最高裁決定

(問)佐藤優元主任分析官について最高裁の判決が出て、有罪が確定する運びになった訳ですが、処分等はどうなるのですか。

(事務次官)これは有罪が確定したところで当然自然失職ということになるというのが国家公務員法の規定ですから、それに基づいた恰好になると思います。

(問)懲戒免職等の処分をされないのは、何か理由があるのでしょうか。案件によっては逮捕・起訴された段階で直ぐに懲戒免職というケースもあろうかと思うのですが、今回、自然の失職に任せるという判断をされる理由は何かあるのでしょうか。

(事務次官)私どもの理解では、政府部内での同様のハンドリングに従っているまでのことで、それに基づけば、裁判において刑が確定して有罪ということになった時には自然失職、という法律に基づいて対応しているというだけです。

(問)2002年に逮捕起訴されてから7年間勤務の実態がないのですが、基本的な給与の部分は一定程度支払われているという状態が続いているかと思うのですが、そのことについて釈然としない思いをすると、納税者の方からそういう部分もあろうかと思うのですが、その点はどうなのでしょうか。

(事務次官)これは公務員法の関係で基本的に対応というのは決まっていますから、それに基づいてその間は起訴されて休職中という取り扱いですから、それに基づいての対応をするということになっています。そういう法律に基づいての処理ということです。

(問)どういう場合に確定判決か特定を待たずに懲戒免職等の処分をし、どういう時には自然失職となるのを待つという、その判断というのはどういうところですか。

(事務次官)まさに公務員法との関係ですが、あのような形で起訴され、そして係争中の場合は、それが確定した段階で判断するというのが公務員法上の定めといいますか、そういう形で対応するのが適当と我々は聞いていますので、それに基づいてやったということです。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮のミサイル発射について、ミサイルの種類ですとか、着弾地点等の分析は進んでいるのでしょうか。

(事務次官)当然政府としても、如何なるミサイルで、着弾地点を含めてどのような状況で発射されたかということは、全体でよくフォロー、分析をしているということですけれども、全体の方針として一々の具体的な中身についてはコメントすることを差し控えさせて頂きたいと思います。
 そのこと自身がインテリジェンスに関わることですから、詳細にはコメントしないということになっています。しかし、きちんとフォローし、分析していることは申し上げられると思います。

(問)発射されたミサイルの中で、新型ミサイル、或いはノドンが含まれているという報道もあるのですが、そのような状況も踏まえて安保理に対して何らかのことを求めていくということはありますか。

(事務次官)安保理との関係では、正に先般の安保理決議1874号違反であるということは明白であるということだと思います。我々もはっきりと対外的に申し上げています。従ってこのような挑発的な行動、安保理決議に違反した行動は北朝鮮として取るべきでないというのが我々の考え方であります。それを国連安保理に於いても関係国との間でよく協議していきたいと思っております。基本的には1874号というのは、非常に重い決議であり、非常に中身のある話ですから、それを尚、各国がきちんと実施していくということが大事だと、一番の基本であると思います。

(問)安保理関係国で協議ということになれば、プレス声明やそういったものが出てくる可能性というのはあるのでしょうか。

(事務次官)それも排除されませんけれども、単なるステイトメントというよりも各国がこの1874号をきちんと実施することが一番大事だと私共は思っております。そういうことを改めて国際社会にも呼びかけたいということです。

(問)今回斎木局長が訪韓されるということですが、今回の訪韓の目的、この時点で韓国側とどういう意見交換をされているのでしょうか。

(事務次官)不断に色々なレベルで関係国と協議をしていく、そういう中で日本と韓国というのは常に最も北朝鮮問題について影響も受ければ且つ利害関係も共有している訳ですし、そういう中で緊密な協議をしておくのは大事だろうということで、今回も斎木局長に行って貰っています。また今週、武大偉外務次官が中国からも日本に来られるということですし、様々なレベルで緊密な協議を行っていくということが大事だろうと、その一環です。

(問)ミャンマーに向かっていた北朝鮮の貨物船カンナム号が北朝鮮に戻ったということですが、これは国際的な包囲網が成功したということでしょうか。

(事務次官)関係国が連携プレー、様々な意味で情報交換を行い、国際社会において関係国の間で非常に強い関心を持って見られている、よくシェアされていることの反映ではないかと思います。

(問)日本はミャンマーとの関係が特に深い訳ですけれども、日本政府としてミャンマーに対して何か働きかけをしたということはあったのでしょうか。

(事務次官)外交の一々について手の内を具体的に明かすことは、今後どのような影響を及ぼすかということがありますから、具体的にお答えすることは差し控えますけれども、いろいろな形で意思疎通を図っています。

(問)ミサイル発射を受けて、日本政府として、安保理の会合の開催要請というのはされているのでしょうか。

(事務次官)議長を含めて関係国の中で話をしています。どのような形でやるのが一番良いのかも含めて、これから現地では朝になりますけれども、話しをするということになっています。

(問)明日、国連決議1874号を受けて船舶検査に関する法律が閣議決定する見通しになっておりますが、これに対して外務省としてどのような評価をされているのでしょうか。

(事務次官)当然のことながら、安保理決議1874号を完全に実施していくというのは、正に日本が国際社会の中でリーダーシップを取ってやってきたことですから、日本自身として、それをきちんと実施していくということが大事だと思っいます。その意味で船舶検査について法的な手当が必要だということ、これは今我々外務省も入って政府の中でいろいろ議論してきた訳でありますから、私共としてはその内容には満足していますし、出来るだけ早い段階で立法化されるのが望ましいと思っています。

(問)船舶検査の実施主体は海上自衛隊がやるのか、或いは海上保安庁かという議論があって、実際上は海上保安庁が主体になるということなのですが、それについてどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)外務省としては適切な形で船舶検査が行われればいいと思っており、基本的には海上保安庁がやるということになっています。我々外務省としては特に意見があるということではありません。大事なことは国として船舶検査が適切に行われることを担保するということ、それに尽きていると思います。

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中国の新疆ウイグル自治区における暴動

(問)中国の新疆ウイグル自治区で大規模な暴動が起きていて140人が死んだとも伝えられていますけれども、日本政府としては何か対応はされているのですか。

(事務次官)詳細は不明ですが、まさに我々もその報道は承知しており、極めて多数の死者が出たということですから、日本政府としてもその事態は非常に注視し懸念もしています。今後の事態の推移をよく見守っていきたい、注視していきたいということです。ただ、その状況が必ずしもはっきりとしていませんので、情報収集も含めてこれから対応していきたいと考えています。

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ミャンマー情勢(潘基文国連事務総長のミャンマー訪問)

(問)国連の潘基文事務総長が今週末ミャンマーを訪問してタン・シュエ議長と会いましたが、結果的にアウン・サン・スー・チーさんと会えないのですが、一部メディアや欧米諸国から成果がなかったというふうに批判されています。これについての日本としての評価と、ブラウン英国首相が今回の訪問で成果を得られなかったことを受けて、更なる経済制裁のようなものを表明する用意があると言っているようですが、日本として今後ミャンマーに対して働きかけをどうしていくかということを教えて下さい。

(事務次官)日本政府としてはミャンマーがより民主化の動きをきちんと前へ進めていくということ、それでより民主的な国家になり、また人道的な配慮が国民全ての人になされるということ、これが大事だと思っています。そういう意味では今の状況を非常に懸念しており、特にアウン・サン・スー・チーさんのことを含めて、我々の懸念を随時ミャンマー側にも伝えています。それに対する人道的な配慮や、またこれから行われるであろう選挙についても、より包括的な形で実施されることが日本から見て非常に大事だと、それは国際社会全体の思いでもあると、ミャンマー政府に何度も伝えている訳です。佐々江外務審議官を送って日本政府としてもそういう考え方というのは伝えてきているところです。同時に今国際社会の取り組みの中で、そういう民主化への動き、これが一朝一夕になかなか出来ないということはあるかもしれませんけれども、我々としては粘り強くミャンマー側に働きかけていきたいという思いを非常に強く持っているところです。
 今回の潘基文事務総長のそういう意味でのミャンマー訪問というのは、私どもから見ればそれはそれでそういう努力がなされるということは大事だと思いますし、特にタン・シュエ議長に対し、確か二度直接会ってそういう国際社会の考え方を伝えており、私はそのこと自身は非常に意味のあることだと思っているのです。なかなかタン・シュエ議長にその言葉がどこまで直接伝わっているのかどうかということから言うと、非常に重要な機会ですし、今回潘基文事務総長からの国際社会のきちんとしたメッセージとして、スー・チーさんの人道的な配慮と、より包括的な形での選挙の実施をと、まだ直接お伺いしておりませんけれども多分そういうことを伝えられているのです。そういうことであれば、そういう国際社会の声をタン・シュエ議長が直接聞くということが私は非常に大事なことだと思っています。勿論スー・チーさんとの面会は叶わなかったということで、それは実現した方が良かったというのは決まっていますし、ただ、より大事なことは、スー・チーさんの取り扱いを含めて一日も早い釈放をと、そして人道的な配慮をなされることをと、それは我々の希望しているところでもあります。

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サミット(日露首脳会談)

(問)今週サミットが始まりますが、日露首脳会談で日本側としては北方領土問題で何らかの具体的な提案を期待しているのではないかと思いますが、ロシア国内ではそのような雰囲気ではないようなのですが、日本政府としての立場は如何でしょうか。

(事務次官)今年の2月の麻生総理とメドヴェージェフ大統領との会談、5月のプーチン首相の来日、そういった機会を捉えて、日露関係を発展させるためには、現在懸案となっている北方領土問題、平和条約の締結の重要性ということについてはロシア側にも訴えて、先方も基本的には理解していると思います。これからは具体的な解決の方策を見つけ出す必要があると、そういう中で、ロシア側の対応を期待しているということには変わりはありません。お互いの国で様々な意見があるということは、当然ですけれども、長い歴史の中で我々としては、これはもう解決をしなければならない、こういう思いでロシア側にも迫っていくと、こういうことです。

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