記者会見

事務次官会見記録(要旨)(平成21年4月)


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事務次官会見記録(平成21年4月27日(月曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

豚インフルエンザ問題

(問)豚インフルエンザの関係なのですが、外務省としては、どのような対応を現在とっているのですか。

(事務次官)外務省の中で領事局長をヘッドに現在対策室を設けていますけれども、全体として外務大臣の下で、現在の国際状況の情報収集、また在外公館を通じていろいろな在留邦人の方への情報提供が行われています。これは当然の事ですが、邦人保護の手当を含めて政府全体の取り組みの中で、そのような形での対応をとっています。

(問)WHOの危険度がフェーズ3からフェーズ4に引き上げられた場合の外務省の対応で、もし具体的な事が分かれば。

(事務次官)一定のシミュレーションは行っています。フェーズ4の時に、どのような状況でどのような判断でフェーズ4になるのかによっては、若干対応が異なるかもしれません。全体として非常に深刻な状況ということで受け止めて、きちんとした情報提供を行い、在留邦人の方々の保護をそのような形で外務省として対応をしていく想定はしています。

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国連北朝鮮制裁委員会

(問)北朝鮮問題ですが、24日に国連制裁委員会が、加盟国の資産凍結を義務づける制裁措置をとりましたが、三社に留まったことの受け止めをお願いします。

(事務次官)安保理決議1718号の実施ということで、国際社会が一体となって対応していく必要があります。これは日本が求め続けていたことですので、今回、制裁委員会で合意がなされたことは歓迎すべきことです。この三社に留まったことですが、この三社が基本的には特に問題のある三社、鍵になる三社であることは、日本側もアメリカ側もずっと見ていたところです。それがきちんと含まれた格好で制裁委員会の判断が出来たことは良かったと思います。大事なことは各加盟国に制裁委員会のこのような措置を受けて、実際に実行をしてもらうことです。

(問)一方で、日本が独自に提出した三社については含まれていないが、これは情報提供が不十分であったのではないでしょうか。

(事務次官)そのようなことはありません。各々について判断がある訳ですけれども、今回決められたこの三社が一番中核であることは、皆思っていた訳です。

(問)ロシアは、この三社の資産凍結について制裁して北朝鮮を刺激するのは良くないのではないかという雰囲気もありますが、一方で国連安保理の制裁委員会は全加盟国に求めている訳ですけれども、中露含めてやってくれるという期待感について、どのようにお考えですか。

(事務次官)今回の議長声明が異例だったことは、具体的な行動を特記したことです。それが制裁委員会で、このようなリストを期限付きで作成するように決めたわけです。それに基づいて24日までということで、実際に制裁委員会において合意がなされました。しかもそれは、当然のことながら安保理メンバー全ての国の賛成を得ての事ですから、国際社会の各々がそれに基づいて行動をとるということは、当然の義務だと思っております。

(問)一方で、制裁委員会については、日本側の希望というか主張で、今後も新たな証拠なり、制裁すべき団体、企業、個人があれば、いつでも開く事が出来る、元々そうなっているかと思うのですが、それを主張されたということは事実でしょうか。

(事務次官)これは今後とも、これでケース・クローズということではないということです。まず大事なことは、皆が合意出来る中核やキーになる団体を明記できたことは良かったと思います。

(問)29日から日中首脳会談がありますが、そこでも6カ国協議を北朝鮮は放棄するといっていますけれども、日本としては、核、ミサイル、拉致、包括的解決を目指している訳ですから、その鍵を握る中国に再開を早期にやってほしいと要望する予定はありますか。

(事務次官)はい。もちろん日中両国の首脳が会談をする際にいろいろな議題がありますけれども、北朝鮮というのは、両国にとって非常に大きな課題であり、懸案事項でありますから、当然の事ながらこれが大きな議題の一つになると思います。そこで六者協議再開に向けてのお互いのいろいろな働きかけを申し合わせる、或いは議論されるということは当然期待されると思います。

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事務次官会見記録(平成21年4月20日(月曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

谷内政府代表による北方領土に関する発言

(問)谷内政府代表のインタビューの件ですけれども、ご本人は記事に掲載されているような発言はしていないというような説明をされているという、今日の国会の答弁がありましたけれども、その事実関係と、外務大臣はご本人から直接お話を伺いたいと仰っていましたが、それはいつになるかということ、この2点をお話下さい。

(事務次官)外務大臣の今朝の国会でのやりとりをふまえて、大臣が直ちに今アメリカに滞在しております谷内政府代表に連絡を取られました。そして本人から直接話を聞いたということです。谷内政府代表は、中曽根外務大臣に対して、3.5島返還でも良いのではないかと考えている、そのような発言はしていない、しかし、全体の発言の流れの中で、誤解を与えるような発言があったかも知れず、結果として関係者に誤解を与えてしまったことは遺憾な事であるという趣旨を説明したということです。これに対して、中曽根外務大臣の方からは、結果として誤解を与えた事は遺憾であって、谷内政府代表に対して厳重に注意をしたということです。これに対して、谷内政府代表の方から、中曽根外務大臣に対して、深く反省しているということを述べています。以上が、本日の昼前の事ですが、中曽根外務大臣が自ら谷内政府代表から確認を取った内容でございます。

(問)そうすると、少なくとも三島返還でも良いのではないかと考えているというような発言はされていないということで、この点では毎日新聞の記事は正確ではないというのが、政府の立場でしょうか。

(事務次官)今言いましたように、谷内政府代表に確認をし、これはかねてから局長も確認をしていた訳ですけれども、改めて大臣の方から直接確認をされました。それに対して、谷内政府代表の方から、3.5島返還でも良いのではないかと考えている、そのような発言はしていない、しかし、全体の中で誤解を与えるような発言があったかも知れない、結果として関係者に誤解を与えてしまったことは遺憾である、これに対して大臣の方から厳重に注意をされたということです。

(問)3.5島でも良いのではないかという発言はしていないという一方で、全体として誤解を与えてしまったかも知れないというのは、全体としてどのような話をしたから誤解を与えるというふうに政府代表は説明をされているのでしょうか。

(事務次官)今のは電話でのやりとりですけれども、今、申し上げたことが確認の内容です。どのようなやりとりが、どのような形であったのか、事細かなところまでは聞いておりませんけれども、本人に確認した結果、本人としては話全体の中で誤解を与えるような発言があったかも知れないということで、そのような意味で遺憾な事であり、厳重な注意に対して深く反省をしていると言っております。それがやりとりの全てです。

(問)3.5島でも良いと発言はしていないというのであれば、毎日新聞に抗議なり訂正を求めたりはしないのですか。

(事務次官)私どもは本人から直接確認をしたということです。まさに結果として、関係者に誤解を与えてしまったのではないかということは遺憾に思っているという本人の発言もありまして、大臣の方から、それは極めて遺憾な事で厳重に注意をするということでした。そして、毎日新聞社に対しては、既に谷内政府代表の発言に関する本人の説明ぶりに集約しておりまして、大事なことは、政府の基本的な考え方は常にはっきりしていますが、柔軟な政府の立場として、この北方四島の帰属の問題を解決して、ロシアとの間で平和条約を締結していくという基本方針の下で、北方四島の返還を実現していくということで努力をしていくのであり、この方針に全く変わりはないということを含めて、日本政府の立場をはっきりしていくことです。

(問)明日、政府代表が帰国されると思いますが、外務省或いは政府として、改めて本人を直に事情聴取するとか考えていらっしゃるのですか。

(事務次官)基本的にやはり急いだ方が良い、今日の国会でもそのようなやりとりがありました。それで外務大臣の方から、今朝直接電話をされたということです。そして、その結果が誤解を与えたかも知れないということに対して、誤解を与えたことは遺憾であると、大臣から言われ、厳重に注意をし、本人も反省をしているということですから、これは相当重い、大臣が直接おやりになったのですから、基本的にはそれで尽きていると思います。

(問)政府の立場は、はっきりしているということですが、何故、誤解を与えるような発言をしたのでしょうか。

(事務次官)本人も深く反省しているということでありまして、どのようなやりとりのどのようなインタビュー、或いは記者とのやりとりか、その雰囲気は私は知りませんけれども、いろいろなことを説明したということなのだろうと思います。一貫していることは、日本政府の立場であり、それは今申し上げた通りです。

(問)大臣は今日の国会で、直接会って確認し話したいと仰っていましたけれども、今日電話で話したので、もうその必要はないと。

(事務次官)今日のやりとりの中で、早く対応した方が良いというご判断を大臣がされ、時間的にもあの後すぐに、アメリカ西海岸におりました谷内政府代表に対して、直接大臣の方から電話をされました。これはスピードといいますか、先週から勿論直ちに局長ベースでは連絡を取っていましたけれども、大臣が直接されたことは我々は非常に重いことだと受け止めています。

(問)昼前ということですが、大体何時頃ですか。

(事務次官)具体的には、12時少し前だったと思います。

(問)谷内政府代表は、誤解を与えたことについて非を認めている、反省しているということですが、どのような発言が誤解を招くに至ったのか、どのような言いぶりをしたのか、つまり毎日新聞はそれなりの確信を持ってあの記事を作っているはずな訳で、そこに誤解が生じる余地があるというのは、想像しにくいのですが、どういう点がまずかったとご本人は仰ったのですか。

(事務次官)まずかった点は、まさに、誤解を与えた点だと思います。これはやはり深刻な問題になりますから、基本的に国益という観点から非常に重い条約交渉、領土問題でありますから、我々政府の一員としては、極めて対外的に話をする際に、慎重に正確に言わなければならないということはあると思います。そのような中で、事実関係をいろいろと深く説明したのではないかと思いますが、事実関係、或いはご本人のいろいろな知識を、それは政府の立場とは関係のないことです。いずれにせよ、先程申し上げました通り、全体の発言の流れの中で誤解を与える発言だったかも知れないという事で、本人も遺憾であると思っており、それ以上に具体的にどこのどれがというのは、お互いのやりとりの中でしか分からない、詳らかにしないということです。

(問)ロシア側で既に、谷内政府代表の発言が様々報じられておりますけれども、そのような発言が一人歩きしている状況があるわけですけれども、これについて、どのようにお考えでしょうか。

(事務次官)ロシア側に対しても大事なことは、日本国政府の立場を明確に伝えておくということだと思っていまして、それは、官房長官も、外務大臣も私もこの場でも申し上げていますけれども、日本政府の立場は、一貫してしていると。政府としては、北方四島の帰属の問題を解決して、ロシアとの間で平和条約を締結していくという基本方針に全く変わりはないということです。この点については、明確に政府のスポークスマンとして官房長官も言っておられますし、それをきちんとロシア側に伝えるということが大事だと思っております。

(問)この発言が今後の領土交渉に悪影響を与えるような懸念というのは、お持ちでしょうか。

(事務次官)そのようなことが無いように速やかな対応をとってきている訳です。そして、日本政府の立場を明確に述べることによって、交渉に悪影響が無いようにしているというのが、我々の今の立場です。

(問)それに関連してですね、今、欧州局長が丁度モスクワに出張されるところだと思うのですが、今回、改めてロシア側に説明をするということはあるのでしょうか。

(事務次官)これはもともと局長間の協議をやろういうことで、予定していたところですけれども、当然日本の基本的な立場を日本側から改めて説明をするということはあると思います。

(問)谷内政府代表は毎日新聞によると、次のような発言をしております。「北方四島について、非軍事的な地域にするということを日露間で申し合わせても良い」と。これは政府の立場としてそのような考えがありうるということでしょうか。

(事務次官)今、そのようなことは考えておりません。いずれにせよ、今後の交渉の中で、いろいろと話をしなければいけない事が出てくるでしょうけれども、今そのようなことを考えていることは、全くありません。

(問)政府代表が取材を受ける前に手続きというのは、政府部内でとられたのでしょうか。

(事務次官)具体的にインタビュー依頼がある云々、ただこれは、記事になる前にそのような手続きをとる、とらないというのがあるのでしょうけれども、今回の場合は、手続きというよりも、むしろ本人はいつ記事になるかを承知してなかったようです。

(問)手続きはとっていらっしゃらなかったのでしょうか。

(事務次官)私は確認しておりません。いずれにせよ、中身は我々は承知していなかったということです。

(問)政府代表という立場ですと、官邸で許可をとるのか、それとも外務省でしょうか。

(事務次官)インタビューというか、いろいろなときにコメントを求められることがあります。その時には、随意にやっていることもありますし、自分がきちんと寄稿する時は、当然外務省にあると思いますが、今回の場合はその中間のような話だと思います。

(問)そこまで伺っていらっしゃるかどうか、わからないのですけれど、例えば谷内政府代表が3.5島でも良いと発言したのは、四島の日本帰属を確認した上でなら、3.5島の返還で当面は良いよという趣旨の発言をしたという説明はなかったのでしょうか。

(事務次官)ありません。

(問)大臣が今日電話で谷内政府代表とお話をされた時に、具体的に誤解を与える発言とは何だったのかという質問は大臣から一切されてないのでしょうか。

(事務次官)具体的に本人の方からは、全体の発言の流れの中で誤解を与えるような発言が結果的にあったかも知れないという説明があって、それについて関係者に誤解を与えてしまったことは遺憾なことであるというやりとりでした。大臣の方は、当然記事はご覧になっている訳ですから、その上で、結果として誤解を与えるようなことがあったということは遺憾であり、厳重に注意した、それがほぼ全てのやりとりであると私は聞いております。

(問)先ほどもおっしゃいましたように、大変重要な問題で、国益の意味でも重たいというお話でしたけれど、そのような大事な問題で誤解を与えるような発言をされる方が、政府代表が務まるのかという見方もできると思いますが、今日の電話会談では、辞任とか、そういう辞意について、谷内政府代表から言及はあったのでしょうか。

(事務次官)そういうことはありません。今私が申し上げましたように、大臣から、直接厳重に注意をし、本人も反省をしているということですから、それはそれで、ひとつ重い事だと我々は受け止めています。

(問)谷内氏が引き続き政府代表を務められるということに、次官は問題はないとお考えでしょうか。

(事務次官)今のところ、そのようなことで本人も反省しておりますし、それ以上のことは特段考えていないということです。

(問)プーチン首相の来日も予定されておりますけれど、そのような首脳会談の場に、サハリンでの会談のように、同席されるということも想定される訳ですけれど。

(事務次官)特段、予定しておりません。

(問)予定してないというのは、同席をする予定はないということでしょうか。

(事務次官)特段、今は予定しておりませんけれど、そのようなことは今後の問題ということです。

(問)細かい点の確認ですが、昼前のやりとりということですが、大臣の方から谷内政府代表に電話をかけられたということでしょうか。

(事務次官)そうですね、本日のやりとりを受けて、大臣の方から電話をかけたということです。

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事務次官会見記録(平成21年4月13日(月曜日)17時20分~ 於:本省会見室)

北朝鮮ミサイル問題

(問)国連安保理で北朝鮮のミサイル発射を受けて、形としては議長声明ということで決着しそうな見通しになっているようですが、次官の受け止めをお願いします。

(事務次官)日本政府としては、今回の北朝鮮のミサイル発射に対して、これは容認出来ない、安保理決議第1718号違反であるというできるだけ強いメッセージを出すべきだとして外交努力を重ねてきた訳です。
 発射されて直ちに日本が安保理に持ち込み、議長国メキシコにも大変感謝していますけれども、週末にもかかわらず理事会を開いてくれた。それから、外務大臣が再度にわたって、クリントン米国務長官、柳韓国外交通商長官、中国、ロシアと電話会談を立て続けに行い、日本の強いメッセージは伝わったのだと思います。
 我々は強いメッセージというのは、国連の中では安保理決議だと思っておりましたけれども、議長声明、あるいはプレス・ステートメントとなるとなかなか強い内容というのは今まで書けてきていない、そのような意味で強いメッセージを出すためには決議で、そしてそこに十分な内容を含むべきであるということでやってきた訳であります。今回、結果的に議長声明になりましたが、それは異例の議長声明といいますか、異例に強い内容の議長声明が出され、中身はまさに我々が必要と思ってきたことがここに全部書き込まれた。つまり今回の発射についてこれを非難する(condemn)という言葉は非常に強い言葉だと思います。そして、また1718号違反である、さらには具体的な行動を北朝鮮に求める、demandという言葉を使っています。あるいは制裁委員会で具体的な行動をとることを申し合わせるという非常に中身のある強いメッセージが出せた、そのような意味では私は良かったと評価をしております。

(問)内容については強いメッセージだと言われましたが、とは言っても形としては議長声明ということで法的拘束力はないという部分もあると思いますが、その点についてと、もう一点は中身が強いということは、北朝鮮の強い反発も予想されると思われますが、その点についてはどのように思われますか。

(事務次官)まさに国際社会として、一体としてのメッセージが大事だと思います。そこで今の拘束力の有無ですが、拘束力ということから言うと、元々決議1718号があるわけです。今回我々が求めたのは、その1718号を完全に実施するということですから、それをどういう形で担保するか、強いメッセージを出すかということで法的拘束力の有無から言えば、決議1718号がそのままあるわけですから、そういう意味では議長声明でこのような強い内容が出せたことで十分に対応が出来ているのだろうと思います。むしろご指摘のように北朝鮮は相当強い反発をしているようですけれども、今後の問題として、この議長声明にも基本的に六者協議のプロセスの重要性が申し合わされるということだと思いますので、我々としては、国際社会が一致して北朝鮮にミサイル問題、核問題、また日本にとっては拉致問題の解決を求める。これはまさに国際社会が一致したということが重要で、中国、またロシアとも協力をしながら、当然日米韓もありますが、北朝鮮に働きかけていくことだと思います。

(問)今回一連の動きの中で、米国がオバマ政権になって初めて日本と連携して国連の場で行動をとるという面があったと思いますが、中国、ロシアが慎重な中で、日米の連携は非常に重要だったと思いますが、その点について今回どう評価していらっしゃいますか。

(事務次官)中曽根外務大臣とクリントン米国長官との電話会談を私も聞いておりましたけれども、非常に緊密な連携がとれたということだと思います。またニューヨーク、ワシントンでも緊密な連絡を取り合った結果として、ひとつの成果が出来たと思っています。そのような意味で日米間で連携に齟齬があったということは全然ないと思います。

(問)1718号を再度確認をするという調整になる訳ですけれども、1718号の実効性を高めるのに、中国がどこまで実行するかというところに非常にかかっていると思いますが、この点はどうお考えでしょうか。

(事務次官)今回、そのような意味で制裁委員会が具体的なリスト作りをするということ、これも期間を区切りまして、その委員会で出来なければ、安保理自身が4月末までに作ると、それに中国も一緒に参加していますから、私はこれは意味があると思っています。

(問)北朝鮮への日本の制裁の事についてお伺いしたいのですが、先程、国際社会で強いメッセージをとのお話がありましたが、10日に閣議決定された日本の制裁措置については、自民党の拉致特命委員会から要望されていた輸出の全面禁止などが見送られる結果になりました。これについて、自民党内の特命委員会からは弱腰ではないかという不満がくすぶっている状況ですが、これを見送った理由と、今後どのように取り扱われるのか、お考えをお聞かせ下さい。

(事務次官)ご承知の通り、他の国と比べても日本が一番強い内容の制裁を今まで北朝鮮に対して行ってきている訳です。もちろん1718号の完全な実施は当然ですけれども、それ以上に日本独自として非常に強い制裁を行ってきているということは、ご承知だと思います。その上で、今回また新たに制裁措置をとった、或いは強化したということで、これは全体的な評価の中で行っていて、何がその時々に大事か有効かという判断を、総合的に政府としてやってきているということでありまして、弱腰かどうかということではなく何が必要かということで、政府として判断しているということだと思います。

(問)今後、その輸出の全面措置が必要になることは、もうないという認識でよろしいのでしょうか。

(事務次官)いや、今後は今後のことですから、今の段階で何が必要かということで措置をとったということです。ただ、輸出についてということで言いますと、日本と北朝鮮の貿易は、昔は一番多かったが、非常に少なくなってきているという実態はあります。いずれにせよ、全体的に判断して、今回も制裁を強化するということをやってきたということです。

(問)基本的に六カ国協議は核問題を中心に行っていると思うのですが、今回のミサイル発射について、次回六カ国協議が開かれる訳ですけれども、どのような対応をとられていくのでしょうか。

(事務次官)日本は従来から、六者協議の場でも、核、ミサイル、拉致ということで、ミサイル問題についてもここで取り上げるべきであるということは、かねてから主張してきています。オバマ政権も、このミサイル問題については相当重視していると、我々日米も感じていますから、これは当然の事ながら、六者協議でも我々は取り上げていきたいと思っています。

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パキスタン支援国会合

(問)今週はパキスタン支援国会合が行われますが、日本が世界銀行と共に主催ですけれども、その意義についてお伺いできますか。

(事務次官)まさに日本は、パキスタンと日本との関係から言っても、パキスタンに対する援助供与国として非常に大きな位置を従来からとってきている訳です。今日は非常に大事なのは、アフガニスタンとパキスタン、これがまさにテロの問題、アフガニスタンの問題を考える時に一つとして考えていかなくてはいけない、これはオバマ政権もそのような新しい政策を打ち出していると承知しています。我々としては、アフガニスタンについては日本として今までの民政支援等々、或いは警察力の向上ということで努力をしています。それとあわせてパキスタンについて日本がリーダーシップをとって、この国際会議を開くということは国際的に見ても、相当意義のある大きな事だと思っていますので、是非良い会議にしたい、良い結論を出したいと思っています。

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事務次官会見記録(平成21年4月6日(月曜日) 17時03分~ 於:本省会見室)

オバマ米国大統領の核軍縮演説

(問)オバマ米国大統領がプラハで核のない世界を目指すという演説をされたのですが、日本も究極的な核廃絶を外交の柱としていますが、オバマ大統領の演説の受け止め方についてお願いします。

(事務次官)もちろんご承知の通り日本は、核廃絶、これは国連でも核廃絶決議ということで日本がリードしてやってきているわけです。そのような意味で、オバマ大統領は、核軍縮そしてまた究極的な核廃絶という、そういう方向性、それからCTBTに加盟すること、これは日本が求めてきたことですから、その意味では我々として歓迎すべきだと思っています。もちろん全体として言えば、グローバルな核軍縮ということで、それは我々にとって大事だと思いますし、いろんな意味で日本がこれから努力していかなければならない、あるいは日本の考え方を発信していかなくてはいけないと思っていますけれども、基本的には歓迎しています。

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北朝鮮のミサイル問題

(問)北朝鮮に関する安保理での緊急会合が始まったんですけれども、大臣も各国の理解を求める努力をされ、政治レベルでの外相電話会談を複数行われたんですけれども、それ以外の理解を求める努力というのは、具体的にはどのような事が考えられるでしょうか。

(事務次官)昨日は日曜だったのですが、精力的に中曽根大臣が各国の外務大臣と電話会談をされた、つまりP5すべての国、それから韓国の外務大臣と、今日もまたオーストラリア等々、いくつかの国の外務大臣と電話会談をして、日本側の考え方、つまり今回の北朝鮮の発射というのは安保理決議違反であり、容認することは出来ない、したがって、安保理においてきちんとした、しっかりとした対応をすべきだと、我々としては決議が望ましいと考えていると、こういう事で働きかけをやってきているわけです。今後ともこうした努力は継続し、それから具体的なやりとりというのは国連の場になりますから、我々の大使がいますので、参加国大使ともよく話し合っていくということになっていくと思います。

(問)政府高官を国連の方に派遣するという事がありますけれども、副大臣とかそのような方が行かれるということを検討されているんでしょうか。

(事務次官)具体的に決まったものはありません。基本的には各国ともにP5を含めて現地の代表がやっているという状況でありますけれども、これから益々具体的なやりとり、それから交渉が行われますから、その辺のところをよく見ていきたいと思います。

(問)安保理での非公式協議で、中国、ロシアが慎重だと伝わっているわけですけれども、現時点でははっきりは分かりませんが、見通しについてどのような見方をされていらっしゃいますか。

(事務次官)安保理というところは、簡単に決議が通るところではないということは、よく知っております。それから実際問題として、1718号という、前のこれはミサイル実験、核実験等々を踏まえて行われた決議でありますけれども、これが全会一致であり、しっかりとした中身があったと、これが大事な事ですけれども、そのような意味で各国が言っていますのは、全会一致という事です。国際社会で一致してやっていかなければならない、こういう思いが非常に強いと思います。日本はそこはよく分かっていますが、やはり、あのような安保理決議の違反行為が行われた以上、当然のことながら、それに対するしっかりとした対応が国連でなされないと、安保理自身の信頼もなくなるのではないか、決議自身の信頼性もなくなるのではないかと、この辺のところを強調して各国とよくこれから話し合っていきたいと思っています。

(問)日本としては、やはり1718号違反だというこの線は譲れないのでしょうか。

(事務次官)当然のことながら我々の見解としては、1718号違反であると考えています。

(問)特に中国、ロシアという話がありましたが、この両国に対して、もちろんニューヨークの方で交渉を続けると思いますが、それとは別に、中国とロシアに直接誰かを派遣するということはありますか。

(事務次官)昨日も外務大臣同士の話し合いを行っていますし、ロンドンにおいても首脳レベルで話し合いがあった、これを受けての事ですから、今のところは具体的にニューヨーク、国連の代表部で各国各々責任を持った交渉者ということで、現地の代表大使がいますので、そこでの話し合いが中心になる、これはもう日本だけでなくて、各国ともそうですから、そのような中で、よくその動きを見ていきたいと思っています。

(問)今回の発射を受けて、これまでの制裁とは別に追加の制裁を求める声もあがっていますけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)これは、我々として、国際社会での動きというのも一つありますし、全体としても日本としてもまた、更に何をすべきか、全体として早急に考えていくことだろうと思っています。

(問)一部の報道では、北朝鮮は米露中に事前に大体の時間を通告していた、さらに、韓国はアメリカからその時間帯について連絡を取っていたという話があるんですが、日本政府はアメリカの方から事前通告はあったのでしょうか。また、北朝鮮からはあったのでしょうか。

(事務次官)北朝鮮からはありません。アメリカとの間では緊密に連絡を取り合っているということです。

(問)安保理の話なんですが、そもそも昨日というか今日の午前の第1回目の会合についてはどういう評価されていますか。

(事務次官) 相当真剣な話し合いが行われた。第一に、日曜の午後に緊急に開かれたということで、これはやはり各国に日本が働きかけたわけですけども、メキシコが議長国ですけども日本の考え方を本当にフルに理解してくれ、直ちに日曜の午後だけれどもまず開こうということで各国招集してくれたということだと思います。それから、まず、日本の高須大使が日本から冒頭の発言を行い、ただ今私が申し上げたようなことを中心に言ったわけですけども、各国ともそれについては相当な理解を示し、日本の上空を飛び越えて打たれた、そうした安保理決議違反行為ということは、当然容認できないということについては、各国共に理解してくれていると思います。勿論、具体的にどういう対応を安保理としてどうとるかということについては、報道にもありましたけれども、国によってそれは温度差があったことは否めないということですが、今後ともこれはしっかりと且つ粘り強く主張し、またアメリカや安保理の中で言うとイギリス、フランス等とも基本的に同じ立場ですし、それから今、安保理のメンバーではありませんけど、韓国との間でも非常に密に連絡を取り合って、そうした中で対応してきたということに尽きます。

(問) 先ほど国際社会の一致した行動がまだあり得るんだとお話になった訳ですが、場合によっては安保理の場ではその新しい決議はこだわらないということはあり得るんでしょうか。

(事務次官)こういうプロセスというのはどういう意気込みでやっていくかということもありますし、余り先々を見通してということは、今ここで申し上げることは考えていませんので、全体として日本の立場をよく説明しながら進めていきたいと思います。

(問)今後の段取りというか日程的な見通しはいかがですか。

(事務次官)今はですね、例えばいろいろな非公式の会合が開かれていますので、P5に日本が加わるという格好での会合が多分行われるのだと思います。全体の会合の日程は、まだ今日とか明日とか具体的に決まっている訳ではありません。ただ言いましたように非公式の会合と言うには、連日のように開かれるということであります。

(問)前回の決議から2、3年近く経っていた訳ですが、その間に発射を阻止出来なかったいうことで、その最大の要因は何なのか、どういうことなんでしょうか。

(事務次官)そのような安保理決議反の行為、発射が行われたことは極めて遺憾であるということなんですが、その上でどうして北朝鮮がこういう発射を行ったのか、これを日本がいちいちどういう理由なのかということを詮索するのも余りこの場で申し上げるのも適当ではないと思います。北朝鮮に対してこういう措置をとるべきではないというメッセージを明確に伝えることがより大事だと思います。

(問)北朝鮮が行ったということではなくて、北朝鮮の発射を阻止出来なかった、これはなぜなのか、最大の要因はどういうことなのか。

(事務次官)阻止出来なかったというのは、北朝鮮がそのような行動をとった、とらせてしまったかどうかは、言葉の問題になるかわかりませんれども、我々としては当然の事ながら、核、ミサイルこの問題について六者協議できっちりと対応していく、そこで解決していかなければいけない、日本においては勿論拉致の問題もあり、全体として取り組んで行かなければいけない、このような国際社会の取り組みに対して、北朝鮮が自分の判断もあろうかと思いますが、このような行動をとったということは極めて遺憾である、これに尽きると思います。

(問)北朝鮮は人工衛星で今も金日成将軍の歌を流している、あるいは、北朝鮮総連の幹部は打ち上げというのは経済発展のためなのだ、日本もやっているのじゃないか、そういった主張を繰り返している訳ですけど、そういうのご覧になって次官はどうお考えでしょうか。

(事務次官)北朝鮮は国の状況からしてやるべき事はいっぱいあるだろうと思います。当然のことながら非常に厳しい経済事情にある中で核開発であるとかミサイル開発であるとか、そのような状況ではないと私は思います。

(問)P5の中で温度差があるという話がありましたが、中国、ロシアに対して日本としてはどういうような材料を持って説得していこうという考えなのでしょうか。

(事務次官)温度差を乗り越えてということです。昨日あるいは、その前から中国、ロシア等々ともにこのような北朝鮮が打ち上げをしようしている状況は極めて問題であると、そのような働きかけは今までもやってきた訳です。それは首脳レベルでもやってきた、その後、昨日は大臣レベルで、次の安保理での対応ということになります。ですから、そのような努力を継続していくということしかないだろうと思います。

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