(問)IAEA事務局長選挙の件ですが、今回決められなかったということで、今回の結果をどのように分析されているのでしょうか。また、引き続き天野氏を仕切り直しの選挙に擁立されると伺っていますが、過去2回は当選に至っていないのですが、どう体制を立て直していくのでしょうか。
(事務次官)我々は、IAEAの事務局長は非常に重要なポストであると考えています。これは核不拡散の視点からも、極めて重要な国際機関であるということで、それについて特に事務局長候補として、天野候補は資質や今までの経験等色々な事を考えて最もふさわしい人物だということで、選挙戦に臨んできた訳です。残念ながら一票足りませんでした。あと一票と言うところで、圧倒的に対立候補との差は1対2という感じであったのですが、35票のうちの24票、3分の2が必要で、1票足りなかったという結果でした。これは極めて残念です。あと一歩というところでした。今回決められらなかったということで、その原因については我々も分析しています。日本としてはできるだけ幅広い関係国の支持を得たいということ、先進国の代表であるということではなく、また、特定の立場を持ってやるということではなく、広く核不拡散を世界の平和のためということで、また、立場もグローバルな視点で我々はこの分野に立ち向かっていくし、且つ、そういった候補であるということで、相当幅広い支持を得られたのだと思います。ただ、最後に一票足りなかったということで、厳しく分析はしているところです。それは今後の対応にも関係するところです。今申し上げたように、対立候補がいましたが、23票対12票というのが最後の4回目の選挙だったのですが、ほぼ1対2の差でリードしています。ですから引き続き、天野候補に次のラウンドに立ち向かってもらおうということで、これから選挙戦に臨んでいこうということです。確かに今までの中で、簡単ではないということをよく踏まえながら、引き続き努力していくということです。
(問)ソマリア沖・アデン湾での海賊対策の件ですが、本日から、いよいよ海上自衛隊が現地で活動を開始するということになりました。そのことについての受け止めをお願いします。それから、現在はアデン湾の護衛ができるようになっているので、今度は別の海域で海賊が多発しているということですが、活動する海域を広げていくということも考えられるのでしょうか。
(事務次官)基本的には、日本船あるいは日本の関係者の保護ということで、それは国際的にも色々な国々が既に艦船を派遣して、基本的には自国の船、あるいは自国の関係者の保護という目的であり、日本の場合も同様です。それが、今回いよいよ今日から始まるということで、私はそれは非常に良かったと思っています。やはり、日本の船舶や関係者は具体的な海賊の危険行為に直面してきており、船舶関係者からも日本政府が日本の船や関係者を守って欲しいという強い要望がありましたから、それが実現するということで、私はとても良かったと思っています。今のお話の、その他の地域はどうかということについてですが、今、行ったばかりで、いよいよそこで今日から活動する訳ですから、まずそれをきっちりやっていくということだと思います。引き続きそこでの日本船舶の運航は多いはずですから、そういう意味での活動に、まずは特化していくことと思います。
(問)北朝鮮のミサイルの関係ですが、一部報道で、長距離のミサイルとは別に、短距離・中距離のミサイルの準備の動きもあるのではないかとありましたが、それについての事実関係と受け止め、そして北側の趣旨をどう考えておられるのかお願いします。また、仮に発射した場合、追加の制裁措置について外務省としてどう考えられるのでしょうか。
(事務次官)最初の件ですが、個々具体的なケースについてはコメントしないというのが従来からの日本政府の立場ですから、そういうことでご理解頂きたいと思います。ご承知の通り、長距離の弾道ミサイルについては、打ち上げの前に色々な形で動向があるということなので、そういうことをきちんとフォローしている訳です。そうでないものもありますが、いずれにせよ個々のことについてはコメントしないというのが従来からの立場です。それから、いずれにしても、長距離弾道ミサイルの発射ということになれば、それを何と言おうと、国連安保理決議の違反であるというのが日本政府の考えであり、その考え方はこれまでも色々な国々と話をしてきていますが、米国、韓国、英国、フランスなど、同じ考え方です。ですから、一番大事なことは、そういうことのないように、引き続き働きかけを行っていく、あるいは国際社会の声を大きくしていくことが大事です。仮に起きた場合には、国際社会としての対応ということで、安保理においてしっかりとした対応をしていかなければならないということです。日本政府としては引き続き外交努力を行っていくということが今の状況ということでご理解頂ければと思います。
(問)追加制裁措置については如何でしょうか。
(事務次官)まず、我々は実務的には外交努力をきちんと行っていき、その上で、仮に起きた時には、まず国際社会での対応が必要ですから、安保理での対応をまず求めていくということです。その上で、全般の総合的な判断というものが行われるのだと思います。
(問)米国のオバマ大統領が、先週新たなアフガン戦略を発表しました。ブッシュ前政権とは違った戦略を発表されたのですが、それに対する受け止めと日本としてどのように協力するかお聞かせ下さい。
(事務次官)アフガニスタンとパキスタン地域・両国を一つの関連することとして考えなければならないということがあります。その上で、米国はアフガニスタンに対して軍隊を送っている訳ですが、軍の活動、これは治安の回復ということですが、民生の支援が非常に大事だと強調されているということだと思います。そのような意味で、日本がこれまで行ってきたこと、日本の考え方と照らし合わせて、日本の立場が相当評価される状況にあると思っています。具体的には、アフガニスタンにおいては、民生面で日本として学校を作る、クリニックを作る等色々な活動を行っています。それを更に強化していく、あるいは治安面では警察能力の強化を行っていますが、そのような活動を引き続き日本として行っていきます。パキスタンについては、経済協力支援というものがオバマ大統領が発表された戦略の中にあったと思いますが、具体的に日本が主催するパキスタンに関する支援国会合についても指摘があったと思いますが、そういった中で、パキスタンの安定という面から努力をしていくことは国際的な評価が得られることだと思いますし、米国の考えとも基本的には非常に共通するところがあるのではないかと私自身分析して受け止めています。
(問)国際機関の日本アセアンセンターですが、色々と、特に自民党の一部から指摘が出ていましたが、これから新しく銀座から他の場所に移って、今日、開所式ということですが、これについてどのように受け止めていらっしゃるのか、それから、規約を改定して、貿易だとか投資、観光を行うということですが、こうした部分は、他にもJETROや観光庁といったものがあり、重なりがある訳で、存在意義がこれからも問われていくことになると思いますが、次官はどのように受けて止めていらっしゃいますか。
(事務次官)日本アセアンセンターというのは、日本とASEANとの両方で作った国際機関です。今回ASEAN側も財政面の負担を増やそうということを含めて、今まで話し合ってきて、少し増えるようになりました。ASEAN諸国は、非常に大事なセンターであると認識してまして、私自身が以前ASEANの国々と話した時にも、非常にASEANの側からも高い評価があったということが第一点だと思います。そのような中で、国際機関といいながらパーセンテージから言えば日本が大きな出資をしている訳ですから、そうした中で、効率の良い機関として運営していかなければいけない、そのために不断の努力が必要ですし、また、改善していかなければいけないということだと思いますから、これを機に、貿易、投資、あるいは観光等々、色々な面でより効率的な、より効果の上がる活動をしてほしいと思います。
(問)先日の日中防衛相会談で、中国側が空母を建造する意向があるということを表明したのですが、これについてどのように考えていらっしゃいますか。
(事務次官)我々は、空母や中国側の防衛力の増強について、当然大きな関心を持って見守っています。いずれにせよ中国の国防費の増強については、透明性を高めてもらう必要があり、何が目的でどういう事をしようとしているのか、信頼性を高めてもらうことが非常に大事だと思います。そうした中で、日中の間でもよく意見交換をし、我々としても透明性を高めて欲しいという要求を行っていき、その中で相手の考え方をきちんと認識しながら対応する必要があると思っています。
(問)仮に空母を持つことになれば、アジア太平洋地域の脅威が高まってくるというご認識をお持ちでしょうか。
(事務次官)空母自身どのような目的でどういう規模で、何を考えて計画されているのか、まだこれもはっきり我々として聞いておりませんし、中国側においてもそうした計画が具体的になされている状況かどうか、そこもはっきりとしていないという状況ですから、そのような中でそれがどういう意味合いを持つのかということについては、予断することは差し控えたいと思っています。
(問)北朝鮮のミサイルに関連してですが、次官も今回ロシアに行かれて、中国、ロシアを含む、国連での決議または議長声明、色々あると思いますが、それぞれについての手応えについてどのようなご認識でしょうか。
(事務次官)日本が特に各国に働きかけている点ですが、第一に、この地域の平和と安定ということから、この時期に北朝鮮がそうした行動を取らないことが大事であるという思いを各国にも共有してほしいということで、日、米、韓の参加国の間では完全に認識の一致があるのだろうと思っています。中国、ロシアといった国々にも、日本の考え方、懸念をきちんと共有してもらって、彼らも北朝鮮に影響がある訳ですから、そのような働きかけをしてほしいと言っているのが一つです。もう一つは、その後の対応として、仮に北朝鮮が各国の反対や自制を求める声にもかかわらず、そのようなことを行った場合には、きちんと安保理で対応しなければならないということについても、関係国、特に安保理のメンバーとの間では、事前に日本の考え方を良く説明しておく必要がある、そしてまた協力を求めていく、ということで一連の働きかけを行っています。国々によって考え方の違いや温度差があることは事実ですが、少なくとも日本の考え方について、一定の理解が得られつつあると思います。引き続きそのような努力を強化していきたいと思っています。
(問)本日の河村官房長官の会見で、秋田の周辺住民に対する周知を検討していきたいという考えが示されましたが、外務省としてはどうお考えでしょうか。
(事務次官)我々は政府の部内できちんと意見を交換し、情報の共有をして、その中で具体的に政府全体として対応を取っていくということですから、我々のする仕事は、政府の中で良く情報をシェアし、また、具体的な影響等についての意見を交換して、対応を行っていくということです。最後の点については、政府全体としての判断になると思います。
(問)本日、東京地方裁判所に沖縄返還の時の文書の公開請求を大学教授やジャーナリストが行いましたが、これについての受け止めと、原告側が主張している密約と言われるものの存在の有無についてお聞かせ下さい。
(事務次官)従来から、外務省を含めた日本政府の立場は明確にお話ししている通りです。特に今ここで私からコメントすることはないと思っております。
(問)提訴そのものについては如何でしょうか。
(事務次官)私の方からコメントすることではないと思っております。
(問)14日に、岡田民主党副代表が、外務省の情報公開について批判した上で、政権が変わったら隠していたものを全部出すという発言をされているのですが、これについてのコメントはございますでしょうか。
(事務次官)これも基本的に、日本政府の立場というのは明確にお伝えしている通りです。それ以上について、今、特段に私の方からコメントすることはございません。
(問)今の問題に関連しては、元北米局長を務められた方の証言や米国側の文書などで、そのような密約があったのではないかということが言われているのですが、そうしますと、元北米局長の証言や米国側の文書は間違いだということでしょうか。
(事務次官)国会などで説明してきた通りというのが、日本政府としての立場です。
(問)北朝鮮について、先週は「今、発射させない様にすることが一番大事だ」というお話でしたが、その後、(北朝鮮が)明確に、こういうコースで、ということを国際機関に届け出て、状況も変わってきたのですが、発射された場合の日本政府の対応について現時点でどのようにお考えでしょうか。
(事務次官)日本政府の立場は明確で、いかなるものであれ発射されればそれは国連安保理決議1718号違反であるということです。これについては、米国も、韓国も、本日韓国の首席代表もお見えになっていましたが、全く同じ立場です。したがって、まず第一に、安保理決議違反が行われてはならないということで、その立場を明確にしながら、北朝鮮にも、そうした日本なり米国、韓国その他の国々の立場を明確に伝えることが大切だと思います。その上での対応ということであれば、安保理においてきちんとした対応がなされる必要があるということで、そのためにも色々な国々と話していく必要があると思っています。
(問)安保理で1718号を上回る新たな決議が必要になる事態をお考えでしょうか。
(事務次官)まず基本認識として、これはいかなる形であれ1718号違反であるということが基本であると思います。その上で具体的にどのような対応になるかということになれば、それは関係国も色々ありますから、1718号の大事さというのは関係国が一致して北朝鮮にメッセージを送ったということであり、また各々の国がそれに基づいてきちんとした対応をしなくてはいけないということになっています。それをしっかりと踏まえながら、どういう対応が更に可能かということについては、我々としては一つの考え方を持っていますが、十分に対応していきたいと思っています。
(問)人工衛星であれば安保理決議1718号に問えるかどうか分からないという立場の国もあるのではないかと伝えられていますが、現時点でどうお考えでしょうか。
(事務次官)色々な国々において解釈があると思います。はっきりとしていることは、日本も米国も韓国もそれは1718号違反になるということです。それを踏まえて関係国とも良く話し合っていきたいと思っています。
(問)先ほど、考えを持ってらっしゃるというお話がありましたが、これは新たな追加制裁の様なものを念頭に含めて考えているのでしょうか。
(事務次官)今はまだそこまで話をする状況にはないと思います。国際社会が一致して行動することが非常に重要です。
(問)明日からロシアに行かれるということですが、主にどのようなお話をされるのでしょうか。
(事務次官)日本とロシアの間での戦略対話ということで、私はデニソフ第一外務次官との間で戦略対話を行います。そこでは当然のことながら日本とロシアの関係もありますが、更に今、話に出たような北朝鮮の問題も含めて、幅広い国際的な問題、課題についても意見交換を行っていくということに従来からしていまして、そのような問題も含めて話し合うことになると思います。
(問)新しい独創的なアプローチについても意見交換されるのでしょうか。
(事務次官)二国間の問題についても当然のことながら幅広く話し合うことになりますが、従来から戦略対話というものは、より国際的な問題、視野について両国間で良く意見交換していく場でもありますから、その辺全体をうまく調整しながら行っていくことになると思います。
(問)金賢姫氏と飯塚(田口)さんご家族の面会についてですが、これが拉致問題の真相究明や日朝関係にどのような意味を持つとお考えでしょうか。あるいは期待されることがあればお聞かせ下さい。
(事務次官)これはご承知の通り、飯塚さんの方から、是非会いたいというお話があり、外務省としても韓国政府と今まで調整してきて、面会が実現することになったということです。それは非常に良かったと思っています。その中でどのような話が出るのかを良く踏まえて、今後対応していくことになると思います。今、とりあえずはそのような形で面会が実現できたということで、それ以降のことについては、どのようなお話があるのかを踏まえて当然対応していくことになると思います。
(問)昨年の日朝実務者協議で、合意していた再調査のための委員会等について、その後北朝鮮側への呼びかけというのはどのように行っているのでしょうか。
(事務次官)当然のことながら我が方からは呼びかけています。具体的な申し合わせがあった訳ですから、そういう意味での調査がきちんと再開されることを我々は強く希望していますし、拉致問題の解決ということから言っても非常に大事だと思っています。今のところ、我々の働きかけに対して北朝鮮側からの対応がないという状況が続いている訳です。
(問)大韓航空機爆破事件や田口八重子さんが李恩恵(リ・ウネ)と断定されてから、かなり時間が経っているのですが、この時期になって面会が実現した背景や理由をお願いします。
(事務次官)これはご承知の通り、韓国の中でも色々な話があり、今回は、飯塚さんの方から是非面会したいというお話があって、働きかけを行ってきました。今回これを実現することになったということで、その間のことを我々自身として詮索するというのは適当でないと思います。
(問)面会で期待するものですが、田口さんを含め拉致被害者に関する新しい情報が出てくるということについての期待をされているのでしょうか。
(事務次官)先ほど申しました通り、どのような話があるのかということを踏まえて、これからも我々は、勿論、拉致問題の解決が一番大事ですから、重要な情報があればとは思いますが、今の段階でどのような話があるのか分かりませんから、コメントする立場にないということです。
(問)今回の面談の機会を通じて、改めて政府が金賢姫氏に何か再度話を聞くような予定というのはございますか。
(事務次官)今、特にはございません。
(問)家族会の方が、金賢姫氏の来日の実現も求めていきたいという話なのですが、これについては、そうした意向を受けて政府として検討する用意はされているのでしょうか。
(事務次官)今はまだ具体的に検討ということではなく、今回とにかくこれが実現できた訳ですから、まずは面談をきちんと実現するということが私は大事だと思います。
(問)場所が釜山になったということは、韓国側の事情なのでしょうか。
(事務次官)韓国側です。
(問)金賢姫氏の関係ですが、大韓航空機爆破事件を起こして、韓国政府に、金正日総書記の指令だったという供述をしている訳ですが、総書記の命令だったという認識は日本政府としても共有しているのでしょうか。
(事務次官)韓国の中での話ですから、我々がコメントすることは適切ではないと思います。
(問)北朝鮮のスポークスマンが、衛星を打ち落とした場合でも宣戦布告とみなすと、かなり過激な発言をしているようですが、如何でしょうか。
(事務次官)これはご承知の通り、北朝鮮が弾道ミサイルを打ち上げるということになりますと、国連の安保理決議違反ということですから、そういうことのないようにという働きかけも含めて、日本政府の立場あるいは米国、韓国の共通の立場をはっきりとしてきているところであり、そのような事態にならないように我々としては強く求めていくということに尽きると思います。
(問)その働きかけですが、先週ボズワース特別代表と一連の会談があって、自制を求めるということで一致したと思いますが、今後具体的に関係国、関係者と協議をして働きかける予定はあるのでしょうか。
(事務次官)色々な形で関係国と連絡を密に取っていまして、先般のボズワース特別代表の来日は非常にタイムリーだったと思います。今後とも、引き続き関係国との間では緊密な連携を取っていくということに尽きると思います。
(問)ボズワース特別代表との会談の中で、ミサイル発射を阻止するために早期に訪朝したいという意向を示されていますが、その見解についてどのようにお考えでしょうか。
(事務次官)当然のことながら、日本、米国、韓国、もちろん中国、ロシアも関係する訳ですが、六者協議の再開ということ、それから弾道ミサイルを打ち上げられないようにということが基本にある訳です。そうした中で米朝が接触するということは、物事を前に進めるためには重要なことだと考えています。ただその際には、この間のボズワース特別代表との話の中でも色々とお話がありましたが、日本とも良く連絡を取って、良く相談していくことの確認がなされたことを申し上げたいと思います。
(問)日本政府の立場として、現時点で、ミサイルが打ち上げられた場合は、安保理決議に違反するということですが、実際に打ち上げられた際には、更なる制裁決議を安保理に求めていくのか、あるいは日本独自の制裁を更に強化するのでしょうか。
(事務次官)大事なことは二つありまして、安保理決議に違反することですから、一つは北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射しないようにするということです。二つめはそうした中で、仮にというのは仮定の話ですからあまり言うべきではありませんが、仮にそのようなことになれば、国際社会が一致してきちんとした対応をしていく必要があると思います。まず大事なことは、そのような事態が起きないようにするということです。
(問)先日、大阪府警が摘発した、脱北者の家族を装って不法入国した事案がありましたが、その全体像の所感についてお聞かせ下さい。脱北者家族を装った不法入国が明らかになって、外務省の方では本人確認を日本領事館でしていると思いますが、そのような審査の状況も踏まえた所感をお聞かせ下さい。
(事務次官)今は捜査段階ですから、それを良く見守りたいと思います。個々の案件ということで言いますと、今まさに捜査中ですから、それを良く見守りたいと思っています。
(問)支援団体の一部からは、国交のない北朝鮮だと書類がないのでどうしても口頭での確認になってしまうというところで、まだまだ見直すべき点が本人確認の部分であるのではないかという声があるのですが、捜査の過程ということですが、現状で、何か今後見直すべき点として考えていることはあるのでしょうか。
(事務次官)その捜査の過程を見ながら考えていくべき点もあると思います。今までも、脱北者の日本への入国については、相当慎重な身元確認を行ってきています。ただ、なにぶんにもきちんとした資料が整っているかどうかなど難しい点もありますが、他方において人道的な側面もありますので、全体を勘案して良く政府の中で調整をしながら今までやってきています。
(問)慎重な審査を行ってきたことを踏まえて、今回の事案が発生したことに鑑みると、どういったところに見直すべき点、検討すべき点があると思いますか。
(事務次官)まだそこまで立ち入って話すには、この案件がどういうものであるかということについてまだ捜査中ですから、コメントするのは差し控えたいと思います。
(問)北朝鮮のミサイル発射準備問題ですが、中曽根大臣は中国で、宇宙開発名目であっても発射は安保理決議に違反するという認識を示されました。宇宙開発であっても決議に違反するという理屈について、もう少しご説明頂けないでしょうか。安保理決議1718号は弾道ミサイルは駄目だと、発射のモラトリアムを求めるということになっていますが、宇宙開発であっても安保理決議違反になるという理屈の説明をお願いします。
(事務次官)いずれにしましても、弾道ミサイルの発射ということについては、実施しないよう要求されており、それに関連する開発活動も行わないように求められているのが1718号です。今のお話のことは、いずれにせよ弾道ミサイルにしても人工衛星目的といっても、それを打ち上げるものについても、それは基本的にはある意味運搬可能手段ということで言うとほぼ同一ということであって、したがって1718号の観点から言えば、これは仮に人工衛星目的の打ち上げだと言われても、1718号の違反になるというのが我々の考え方です。
(問)安保理決議違反になるとして、日本の政府として発射が行われた場合、安保理ではどういう対応をしていくのでしょうか。
(事務次官)まず大事なことはそういうことではなく、打ち上げられないようにということで、当然のことながら北朝鮮が緊張を高めたり、あるいは地域の平和と安全を脅かすようなことがないように我々が求めていくということだと思います。
(問)平和と安全ということに関して、今、神奈川県ではミサイルが発射されて神奈川県に着弾した場合、全職員を招集するという対応を決めたりしているのですが、日本国民の間でもかなり心配や不安が高まっていると思うのですが、現在の北朝鮮の発射準備の状況を、インテリジェンスということは十分承知した上で伺っているのですが、何か日本国民に説明をされるようなことはあるのでしょうか。
(事務次官)我々としましては、今申しましたように、そのような行動が取られないようにということ、それを国際社会として求めていくというのが基本です。その上で、活動については政府としても注視しており、その中で必要なことがあれば国民への説明も含めて必要な行動を取りますが、今、そういう状況ではないということです。
(問)米軍トップが大統領の命令があればミサイルを迎撃する用意もあるということですが、人工衛星とミサイルをどこを持って見分けるかというのは初期段階ではかなり難しいと思うのですが、仮に人工衛星だった場合、撃墜することについて何か問題点はないのでしょうか。
(事務次官)今の前段のことについては、私共は直接には説明を受けていません。今ここで説明するということは適当ではないかと思います。いずれにせよ、日米あるいは関係国との間では色々話し合っています。そのような中で、基本は北朝鮮によってそのような行動が取られないようにお互い働きかけていこうということです。
(問)六者協議で、ボスワース元駐韓大使もいらっしゃいますが、昨年12月以来開かれていないという段階で、弾道ミサイルの脅威が高まっている中で、日本側として早期に六者協議を開きたいという思惑はあるのでしょうか。
(事務次官)六者協議は去年の秋を最後に開かれていないのですが、これは米国で新しい政権が立ち上がる状況の中でのことだと思います。それが今、新しい政権が立ち上がって、体制が大体において、人的にも整備されてきたという状況ですから、これからそれを踏まえて米国や関係国と良く話し合って、六者協議の再開につなげていきたいということです。
(問)外相会談で、麻生首相がなるべく早く訪中したい、日程を調整したいという意向を伝えられたと聞いていますが、具体的に今調整されている目途はあるのでしょうか。
(事務次官)特に具体的な日程というところまではいっていません。
(問)確認ですが、調整問題でネックになると考えられる要素はありますか。
(事務次官)特にネックというのはないと思います。具体的なお互いの日程との関係ということだと思います。
(問)総理はできるだけ早く訪中したいという意向ということですが、できるだけ早く首脳会談をしなければならないような懸案や状況があるとお考えでしょうか。
(事務次官)中国は非常に重要な東アジアの隣国でありまして、常に間断なき対話ということで大臣も訪中されましたし、それから現下の国際金融の問題であるとか、今の北朝鮮の問題であるとか、話すことは色々とあります。中国側からも昨年以来、麻生総理訪中について招待もありましたから、そういうことを踏まえてのことだと思います。