記者会見

事務次官会見記録(平成20年10月)


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事務次官会見記録(平成20年10月27日(月曜日)17時00分~ 於:本省記者会見室)

北朝鮮問題

(問)齋木アジア大洋州局長が、明日ワシントンへ行って、ヒル米国務次官補と会うという報道がありますが、真偽を含めて如何でしょうか。

(事務次官)まだ正式発表になっていないのかもしれませんが、行って貰おうと思っています。日米間ではこれまでも意見交換をしてきていますが、今後六者会合の再開を控えて、よく意見を調整しておこうという努力、そのプロセスの一貫ということです。

(問)10月31日に、六者協議で合意した第二段階の実施期限を迎える訳ですけれども、現状では当然それが履行される見通しはない訳ですが、そういう中で、今言われたように協議の見通しと、期限を迎えてしまうことへの受け止めを伺えればと思います。

(事務次官)先般来のプロセスの中で、非常に大事なことは、きちんと六者会合を開いて、具体的な検証についてきちんと六者の間で確認するということだと思っています。その意味で、出来るだけ早く六者会合が再開されるという運びになるように日本としても期待していますし、努力をしていきたいと思っています。10月31日までというお話がありましたが、それは当時の一つの目標というか、そういう形で申し合わせが出来ていた、その間で色々なプロセスが達成出来ていないという状況にありますけれども、今言いましたように、我々としては、出来るだけ早くこのプロセスが再開するということを強く希望しています。

(問)第二段階での合意に含まれていた重油相当の北朝鮮への提供について、日本は参加しないという姿勢ですが、第三国、豪州が肩代わりするという形で負担する方向だと聞きましたが、そういう事実を日本政府としてどう把握されているのかお聞かせ下さい。またそうなった場合、拉致問題を理由に提供しないという姿勢の持つ力が減るのではないでしょうか。

(事務次官)日本が、エネルギー支援に加わらないということではありません。日本は、拉致問題がきちんと進展すれば、いつでも加わる用意があるのだということを言ってきている訳です。そのことを含めて、日朝の二国間の問題も含めて六者の間で一つのプロセスが出来上がっている訳ですから、日本の立場は、関係国に基本的には理解されていると思っています。むしろ日本がエネルギー支援にも加われるように、拉致問題での具体的な進展を図る、それについて米国やその他の国々からも引き続き協力を受けていくことが大事だと思っています。その間に、エネルギー支援についてどうするのかという問題があることは事実です。それはそれで様子を見ながらということだと思っています。大事なことは、それで日本の発言力が損なわれるということは全くありませんし、日本が発言力を失うことは全くありません。より大きなことを言えば、基本的に、拉致問題、核、ミサイル問題が解決し、国交正常化をするのだという時には、相当大きな経済協力を行う用意があるのだというのが、本当の意味での梃子なのだと思います。それは北朝鮮から見ても、非常に大きな梃子もしくは材料だと思います。

(問)肩代わりということがもし行われるとすれば、北朝鮮にとっては結局満額回答になります。そうすれば、日本は出さなかったけれど、向こうは出したということで、向こうはそれでいいけれども、日本は出さなかったのだから、我々は日本との約束を履行しないということを言い出すのではないでしょうか。

(事務次官)全くそのようなことはありません。いずれにせよ、肩代わりというところまで、話が具体的に進んでいる訳ではありません。日朝関係を進めていく上において、北朝鮮が具体的な措置、具体的に言えば、拉致問題のきちんとした調査委員会を立ち上げれば、日本としても対応する用意があるということを言っています。包括的解決を見れば、経済協力に繋がっていく訳ですが、そのために、核、ミサイル、拉致問題を解決するというのが大前提です。ですから、今議論している第二段階でのエネルギー支援云々で、日本との間で何もしなくてもいいという問題では全くありません。

(問)齋木局長の訪米なのですが、これは日米だけの協議ということですか。

(事務次官)そのように理解しています。

(問)今話が出たようにエネルギー支援についても話し合われるのでしょうか。

(事務次官)全体から見れば、大きな意味での日米間での色々な意思疎通があります。そうした中で、次の六者会合は検証の問題が中心でしょうから、そのような話題が中心になるのではないかと思います。

(問)第二段階の次の段階に至った場合に、第二段階の見返りとしてのエネルギー支援には、日本は参加しないけれども、その先の核の解体等については、日本もサポートするという立場なのでしょうか。

(事務次官)まだ、その様なところまで話が進んでいないので、現在とりあえずの立場を、第二段階においても、北朝鮮が拉致問題に関して早く進展を見せるようにという働きかけは引き続き行っていくつもりです。その上で、その後の段階については色々考慮する余地がこれから出てくると思いますが、今具体的にそのような段階に至っている訳ではありません。

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事務次官会見記録(平成20年10月20日(月曜日)17時15分~ 於:本省記者会見室)

北朝鮮問題

(問)六者協議の開催について、ヒル米国務次官補が今月中の開催は大統領選などもあり、難しいと仰っているようですが、見通しは如何でしょうか。

(事務次官)議長国中国を中心に、関係各国と日程の調整が行われているという現状です。まだ具体的な日程は、固まっていません。今月末の可能性が排除された訳ではありません。また、若干の調整の結果で、11月にずれ込むかもしれません。現在調整中です。

(問)六カ国協議について、米国側の当初の発表は、1週間から10日の見通しということだったのですが、若干ずれている原因は何でしょうか。

(事務次官)6カ国の関係国の具体的な日程の調整の問題だと私は理解しています。基本的には物理的な日程の調整と思っています。

(問)北朝鮮の在外公館が館員に対して、外出を禁止するように指示を受けたという報道が一部でありますが、外務省として事実関係はどのように把握されていますか。

(事務次官)報道は承知してます。また北朝鮮の様々な情報についても詳細にフォローするということは当然のことですが、それ以上に今申し上げることはありません。

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国際金融問題

(問)金融問題に関するG8あるいはプラス・アルファの首脳級の協議を、大統領選後に米国で開催すると表明されていますが、現時点での見通し、またはG8議長国としての日本の立場についてお聞かせ下さい。

(事務次官)本件は国際金融という大事な問題です。麻生総理大臣は、今までブッシュ米大統領とも緊密に連絡を取ってきています。今回の発表に際しても、米国から事前に連絡があったということです。ブッシュ米大統領の発表の際に、「麻生総理とも良く相談してきている」と下りが、非常に短いステートメントの中でもありました。日本は当然、G8議長国ですから、米国あるいはその他の国々と緊密に連絡を取ってきています。今回のG8だけでなく、相当幅広い国を加えた形での拡大した会合でして、それについては、日本としても大いにサポートするということを総理からも伝えています。大事なことは、日本がどういう考え方でこの問題について貢献していくのかということだと思います。今回のことで申し上げれば、ASEMの際にも色々とアジアの国々との話し合い、またEUの国々との話し合いもあります。そういう中で、アジアの対応がどうあるべきかについても話し合いがあります。基本的にアジアは金融が非常に安定しています。むしろ相対的には金融機関は非常に健全な状況にあります。そうした中でのアジアの取り組み、全体のマクロ経済の取り組み等々について、日本がアジアの中でリーダー・シップをとることも多いと思います。そして、主要経済国として、G8のメンバーとして、世界経済の運営に責任を持って、大きな役割を果たすべきだというのが、麻生総理大臣のお考えだと理解しています。

(問)大統領選の後とのことですが、開催時期の目途については、どの程度ついていますか。

(事務次官)特に具体的には決まっていない状況だと承知しています。

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シン・インド首相来日

(問)明日シン・インド首相が来日されます。特に、森元総理がインドとの関係を構築してきた訳ですが、一方で総理によっては、見方や捉え方や位置づけが多少変わってくるかと思うのですが、麻生内閣のインド外交について、次官はどうお考えですか。

(事務次官)麻生総理大臣は、森元総理の訪印の時も一緒に行っておられますし、総務大臣の時も行かれたと記憶しています。いずれにしても、インドとの関係を重視しておられるというのが私の理解です。ですから、日印の戦略的パートナー・シップを実のあるものにしようということです。今までは友好関係は常に日本とインドの間にありましたが、それが必ずしもビジネスの関係になっていなかったというのが実態だと思います。両国の貿易も、去年はまだ100億ドルを超えた程度です。今後、具体的に今までの友好協力関係をより大きなビジネス、より大きな経済的な関係にする、また政治、安全保障の面でも両国間の協力できる点は多いので、協力を深めていこうという意味で、インドとの関係は非常に重視されていると考えています。

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四島交流我が方訪問団への出入国カードの記入

(問)ロシア外務省のサハリン州代表が、北海道根室市で会見をして、ビザなし交流にも、来年から出入国カードが必要になると述べられましたが、そういう情報は外交ルートできているのでしょうか。また、そういう出入国カードが必要になれば、ビザなし交流の意味がなくなってしまうと思うのですが、どうお考えでしょうか。

(事務次官)ロシア政府からそのような話はまったくきていません。現在行われている日露政府間の四島交流は、1991年に日ソ外相間の往復書簡により領土問題に関する日露双方の法的立場を害さない形で行っていくという仕組みが作られましたので、それ以外のものは考えてないということです。

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