記者会見

事務次官会見記録(平成20年8月)


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事務次官会見記録(平成20年8月25日(月曜日)17時07分~ 於:本省記者会見室)

原子力供給国グループ(NSG)におけるインドの扱い

(問)先週末に行われた原子力供給国グループ(NSG)について、日本としてはどのようなスタンスで臨み、どのような主張をしたのか教えて下さい。

(事務次官)米印協定についてのご質問ですが、日本の考え方として、二つの側面があると思います。1つの側面は、インドの戦略的な重要性です。環境問題、気候変動と言った時に、原子力の平和利用を行っていくということも含めて、それが非常に大事になってくると思います。これは、米国からもインドからも話を聞いていますが、日本としても理解できる面があります。もう1つの側面は、インドはNPTに入っていないということです。核実験を行った経緯もあります。これは、非常に大きな懸念材料です。ただそれについては、例えば、IAEAより、今回の米印合意というのは、インドの色々な核関連活動についての透明性が増すのであり、IAEAによる査察も大きく向上するのだ、と言われています。こうした中で、日本として、NPTに入るべきだという思いが非常に強い訳ですから、どういう形でうまくバランスをとっていくかということだと思います。先週のNSGの会合では、結論が出ませんでしたので、おそらく9月に入ってから、もう一度会合があるのではないかと思います。他方、具体的にその場でどういう話をしているかということは、交渉事ですから、それ以上は申し上げられませんが、基本的にはそういう点を踏まえて、日本として対応しているということです。

(問)NSG関連ですが、基本的にインドと米国の協力が、「NPTの例外を作る」ということですが、先程の次官のご説明ですと、地球環境問題であったり、査察の透明性であったり、そういうことが保障されれば、NPT体制の例外を認め得るというお立場と理解してよろしいですか。

(事務次官)他方において、日本としての不拡散NPT体制についての立場もあり、そこをどうバランスを取るのかということもあります。現在、国際的に話し合っているところです。

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北朝鮮問題

(問)北朝鮮の拉致再調査が今月中にも始まるというという報道があるのですが、北朝鮮から具体的に何か言ってきているのか、教えて下さい。

(事務次官)まだ、具体的日程等については、言ってきていません。私たちとしては、できるだけ早く再調査が進むことが望ましいと思っています。もちろん、しっかりとした調査委員会を立ち上げてもらう必要がありますから、そういう意味での中身と両方ということになります。

(問)日本側から、調査を早く行って欲しいと要求はしないのでしょうか。

(事務次官)具体的なやりとりは、申し上げられませんが、我々の期待としては、しっかりしたものができるということに尽きます。

(問)先の日朝協議で、再調査を始めることと、経済制裁の一部解除はセットで合意された訳ですが、要するに二つの経済制裁解除は再調査の委員会を立ち上げると北朝鮮から連絡があった時点なのか、それとも、委員会からの報告内容を確認してからなのでしょうか。

(事務次官)再調査は、しっかりとした再調査の為の委員会が立ち上げられることが大事だと思っていますから、そういう事を含めて考えていきます。大事なことは、再調査が進むということです。その為に何が必要かということの判断ですから、この前のような話になっている訳です。

(問)つまり内容的に、きちんと調査が行えるものではないと判断した場合は、制裁解除を行わないということになるのでしょうか。

(事務次官)そもそも、そういうことは期待していません。きちんとしたものができるであろうという期待の下、前へどうやって進むかということを真剣に考えてやってきている訳です。

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日中韓首脳会談

(問)9月にある日中韓首脳会談ですが、調整状況はどうなっているのでしょうか。

(事務次官)従来から話をしてきたのですが、まだ日程を含め色々と確定していません。今後、日本、中国、韓国で、調整を行っていきたいと思います。今までは、ASEAN会議の時に、日中韓首脳会議を行ってきたものですが、韓国が随分イニシアティブを取られてきましたし、各々がそういうつもりで準備してきましたので、我々としては是非進めて行きたいという思っており、しっかり調整していきたいと思っています。

(問)開催時期が1ヶ月を切って、まだ詳細が決まっていないというのは、異例の事だと思いますが、竹島問題等の影響が指摘されてますが、その辺はどうお考えですか。

(事務次官)一般的に言えば、ヨーロッパでも、会いましょう、と言ったら、割と短期間で会うということも良くありますので、日中韓という3カ国も、そういう関係だと思いながら、調整を行っていきたいと思います。

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事務次官会見記録(平成20年8月4日(月曜日)17時03分~ 於:本省記者会見室)

新彊ウイグル自治区で起こった爆破事件

(問)新彊ウイグル自治区で起こった爆破事件に関して、現地で多数の人が亡くなり、北京五輪を狙ったテロ事件ではないかとの報道がありますが、五輪は8日から始まり大勢の日本人が行くことになりますが、現地に行く報道陣や在留邦人の安全に関してどうお考えでしょうか。

(事務次官)今の事件については、まず第一報しか聞いていないので、詳細は承知していない状況ですが、いずれにしても北京五輪が安全なうちに成功裏に終わることを願っているというのが日本政府の立場でして、そうした際にもちろん邦人の安全ということについても、我々としても注意を払っていきたいと思っています。

(問)特に渡航に際して、何か呼びかけたりということは考えていますか。

(事務次官)今の事件については、まだ第一報が入ったばかりですので、少し背景等を踏まえて、情報収集に努めていきますが、そうした中で、いずれにしても安全なうちに五輪が行われることが我々の期待するところです。

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日韓関係

(問)在京韓国大使が明日帰任するということになりましたが、本件についてどうお考えですか。

(事務次官)本国に一時帰国されたということで、明日またお戻りになるということですが、我々としては、日韓新時代ということで、両国のみならず、東アジア地域全体を考えて、日本と韓国が協力関係を進めていくことは大事だと思っています。したがって、冷静に今までの日韓間での話し合いを含めて対処していく、というのが基本方針です。そういう中で、在京韓国大使がまたお戻りになるということですが、日韓関係が協力関係の方向に進んでいくということであれば、結構なことだと思います。

(問)韓国側は、在京韓国大使が帰任できる環境ができたと判断したとのことだと思いますが、環境の整備に当たって日本が果たした役割はどんなものでしょうか。外務省または政府の見解を教えて下さい。

(事務次官)それは、基本的には韓国側が判断されたということでしょう。我々としては一貫して、新しい日韓関係を築いていくということでやってきている訳ですから、具体的に(日本側が)何かしたというよりは、むしろ一貫して冷静な対応を呼びかけてきているということに尽きます。

(問)次官は在京韓国大使の帰任が、関係の修復に繋がるとお考えでしょうか。

(事務次官)日本と韓国はお互いに協力していくことが、お互いの利益であるということが基本的な考えですが、そういう中で冷静な話し合いをしていくことが基本であると思います。

(問)在京韓国大使は、明日帰任されますが、面会の予定はありますか。

(事務次官)申し出があれば、もちろん然るべく対応をします。

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米原潜の放射能漏れ

(問)米原潜ヒューストンのことで情報提供が遅れたと、外務省が批判を受けているようですが、改めてその見解と、本日外務省より改善策についての報道発表があり、新しい制度が発表されたのですが、なぜそのような改善策が必要なのか教えて頂けますか。

(事務次官)元々今回の件につきましては、私たちとしては、いかなる微量な放射能漏れの畏れであっても、きちんと関係機関等に連絡をし、公表すべきであったという反省に立って、本日行ったことは改善策ということです。元々原子力災害が発生する畏れのある時には連絡するという、政府内の申し合わせがあったのですが、今回の改善策により、どんな小さなことであっても事案の大小に関わらず、関係者に連絡し、公表するということを徹底した訳です。敢えて申しますと、原子力艦船が寄港する際、米国は徹底した安全性を保証してきています。日本側としても自ら主体的に24時間体制で、米国の原子力艦船が寄港した際には自ら調査を行うということを行っています。これは文部・科学省で行っている訳ですが、過去1,300回を超える寄港がありましたが、環境や人体に悪影響を及ぼすような事案は一回も発生していないということです。ヒューストンは今年の3月と4月に寄港していますが、この際にも異常値はもちろん検出されていないということです。いずれにせよ今後とも情報公開、また関係省庁間から地方公共団体等も含め情報の迅速な通報、公開に努めていきたいと思います。

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