記者会見

事務次官会見記録(平成20年7月)


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事務次官会見記録(平成20年7月28日(月曜日)16時15分~ 於:本省記者会見室)

北朝鮮問題

(問)25日に行われたARF(アセアン地域フォーラム)で、議長声明が変更されて北朝鮮への懸念を示す記述が削除されたということですが、どのように考えていらっしゃいますか。また議長声明が変更されたことについて、日本側から抗議するなど、何らかの対応をとるというお考えはありますか。

(事務次官)ARFの議長声明は、議長国(シンガポール)の責任で会議の結果をとりまとめるものです。日本側が強く関心を持っているのは人道上の懸念だと思いますが、かかる文言は削除されたのではなく、文言はきちんと残っていますので、実態としては変わっていないという風に受け止めています。

(問)議長声明の内容が変わったので、表現として少し曖昧になったのではありませんか。

(事務次官)いえ、全体として同じ趣旨だと理解しております。

(問)特別何か抗議するということはありませんか。

(事務次官)同じ趣旨だと理解していますので、特に抗議するということは考えていません。

(問)ライス米国務長官が、8月11日に北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除について、このまま検証に関して十分な対応がとれなかった場合は、予定通り45日間で“指定解除”をするかわからないというようなニュアンスのことを言っていますが、日本政府としては、現状では解除するべきではないというお考えですか。

(事務次官)ライス長官の発言は非常にニュアンスのある発言なのかもしれませんが、我々として大事なこととして理解していることは、米国側が言うところのきちんとした検証メカニズムについて申し合わせること、北朝鮮がそういう形で前向きに出てくることが必要だということです。また同時に、日朝関係、拉致問題についても前進が必要であり重要であると、ライス国務長官もARFの会合の際に強調されています。我々としては当然のことながら、その双方について前進が図れることが必要だという様に、引き続き北朝鮮側に対しても強く働きかけを行っていき、また、国際社会が一体となって行っていくということが非常に大事だという立場に変わりはありません。

(問)日朝作業部会の具体的な日程の目途は立っていないのですか。

(事務次官)日朝については、現時点では立っていません。

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事務次官会見記録(平成20年7月14日(月曜日)17時43分~ 於:本省記者会見室)

竹島問題

(問)竹島の件ですが、今日文部科学省の方で新しい学習指導要領の解説書に初めて「竹島」ということを盛り込んだということですが、官房長官会見などでこの表記について、文部科学省、外務省及び官邸で調整していたということでしたが、外務省として、どのような立場からこの問題に関わって来たのでしょうか。

(事務次官)当然のことながら、教科書指導要領解説書なので、文部科学省が中心になって検討を進めてきたということですが、その際、外務省にも相談があり、政府内で調整が進められてきたということです。日本の領土・領域についての事実関係をきちんと書くということで、これは外務省も同じ考えであり、その上で全体的に判断がなされたということです。

(問)一部で、外務省としては日韓関係をぎくしゃくさせないために盛り込まない方が良いという意見を主張したという報道がありますが、そういう事実はあるのですか。

(事務次官)そういう事実関係はありません。

(問)今後の日韓関係への影響も心配されますし、韓国側から様々なルートで日本側に抗議することが伝えられていますが、現時点でそういう抗議はありましたか。また、それが日韓関係に与える影響についてはどうお考えでしょうか。

(事務次官)この時点で、東京において抗議を受けているということはありません。今後、韓国政府側から連絡が来ることもあろうかと思いますが、今の時点で具体的にはありません。ソウルにおいては、現在我が方の大使に連絡が来ているようです。いずれにせよ我々としては、日韓関係、新しい時代を切り拓こうとしている訳ですし、また、地域全体をみても日韓両国が協力していくということが大事ですから、お互いに冷静に対応をし、協力関係を進めていくというのが、我々の基本的な考え方です。

(問)韓国では駐日大使を一時帰国させるということなのですが、それについてはどのようにお考えですか。

(事務次官)具体的な話は私はまだ聞いていません。我々は今申し上げましたように、日本側の基本的な考え方というのは、日韓両国は協力していくことが大事だと考えています。そのような大きな考えの下、外交に携わる者としては、出来るだけお互いの立場の相違は認めながらも冷静に対応していくということが大事であろうと思っています。

(問)韓国側は大使召還を発表したりと反発は強まっていますが、六カ国協議や拉致問題に対する韓国側の理解や、二国側関係で言えば、年内の福田総理の訪韓、その辺についての影響はどのようなものですか。

(事務次官)国と国との関係というのは、日本と韓国に限らず、色々と立場が異なることがあります。そのような立場の違いを乗り越えて、お互いに協力していく必要があります。特に日本と韓国の場合は、今ご指摘のように朝鮮半島の問題や、地域の平和と繁栄の問題等において、日韓両国が協力していくということが非常に大事です。そのような大きな視点に立って、日韓両国が協力していけるように我々としては努力していきたい思っています。

(問)この関係を修復していくために、具体的にどういう対応をされるつもりですか。

(事務次官)今申し上げたことと同じになりますが、日韓両国はこれだけ緊密な関係ですから、そうした中で冷静な対応し、また合理的にものを考え、日韓の新時代において本当に協力していくことが、この地域の平和と繁栄にとっても大事であるし、六者会合の問題、或いは拉致問題の解決にとっても、我々としても非常に大事だと思っています。そういうことを踏まえながら、粘り強くかつ冷静に韓国側とも話をしていきたいと思っています。

(問)竹島の問題ですが、一部の報道で北海道での日韓首脳の立ち話というか会談の中で、総理の方から竹島については明記すると韓国大統領に伝えたという報道があるのですが、首脳会談の際に今日のような方針は伝えてあったのでしょうか。

(事務次官)具体的な経緯から言って、その時点でまだ方針は決まっていた訳ではないですから、そういう意味では今のご指摘の報道というのは、必ずしも事実関係に沿っていないのではないかと思います。いずれにせよ首脳会談はかなり短時間のやり取りでした。

(問)李明博政権とはシャトル外交を復活ということになったが、、今後対話自体が途絶えてしまう懸念はあるのでしょうか。

(事務次官)懸念というよりも、我々の側からしては、日本と韓国が協力していくことが非常に大事ですから、色々なことを協力していかなくてはいけませんし、色々な具体的な国際的な課題もありますから、そういう外交努力というのは、これからむしろ今まで以上に努力をしていきたいと思っています。

(問)逆に、「固有の領土」と明記すべきだという立場の方からは、「この内容では不十分である、日韓双方が領有権を主張している、日本の立場をしっかり教えろ」ということをストレートに書いていないという批判もありますが、その点についてはどうお考えですか。

(事務次官)全体としての判断を日本政府がしたということに尽きると思います。

(問)竹島の領有権を巡っては、長年両国の間に横たわる議論だと思うのですが、なぜこの時期に韓国側がこれだけ反応しているか、その背景や理由を次官はどうお考えですか。

(事務次官)この時期に大きく反応しているというよりは、一つのことがあれば、それに対して反応するということは、繰り返しあるということではないでしょうか。我々から言えば、全体として、日本として主体的に判断をして、このような記載を行った訳ですが、これは至極当然なことです。他方、日韓で立場或いは考え方、主張に相違があるということも含めて、事実関係も書いている。韓国側においても、そういうところをよく見てもらって、日韓両国がやはり協力していくことが大事なのだということに重きを置いてもらいたいと考えます。

(問)今後の外務省の対応としては、丁寧に理解を求めていくしかないのでしょうか。

(事務次官)冷静に対応していくということです。

(問)考慮すべき点を考えてあのような文言になったということなのですが、日本として考慮した部分というのは一体どこになるのでしょうか。

(事務次官)私が申し上げたのは、全体的に判断して、そういう書き振りになったということに尽きています。
それはあくまで全体的な判断であって、それを一つ一つ今分析していったところで、結果最後に出てきた文章であるということであると思いますから、そういう風に受け止めて頂ければと思います。

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事務次官会見記録(平成20年7月7日(月曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(問)北朝鮮から出された申告ですが、日本でも分析作業が進められていると思いますが、現時点で申告の名に値するものという風に聞いていらっしゃいますでしょうか。

(事務次官)この申告については、相当技術的な側面もありまして、専門家を中心に分析を進めています。その結果を踏まえて、次に行われる六者代表者会合に臨みたいと思っていますが、何分にも相当に専門的な知識も必要ですから、慎重に分析をしているという状況です。それ以上に評価をするということは、少し差し障りがあると思いますので、ここでは差し控えたいと思います。

(問)申告内容について一般に公表しないというのは、申し合わせがあるのでしょうか。それともそれぞれの国の判断ですか。

(事務次官)これは、一定の申し合わせと言いましょうか。いずれにせよ、各々の国の判断ということではないと思います。

(問)今おっしゃられたように六者の代表会合を想定されていますが、ここで話し合われるべき事柄とどういう点をそこでやるべきと考えていますか。

(事務次官)基本的に大事なことは、申告の検証ということですから、まずは、そのためにはで検証するのかという検証の仕組みや原則について、きちんと申し合わせができるということが大事だと思っています。そうしたことに基づいて、ただちに検証がスタートするという道筋が付けられることが必要だと思っています。

(問)それができた段階で、六者外相協議というものも想定されていらっしゃいますか。 

(事務次官)直ちに六者の閣僚会議になるとは理解していません。各国の閣僚の日程もありますし、またそこで何をやるのかということもありますから、まずは六者代表者会合の中で、そういう技術的な詰めを行って、その上でどうするのかという話だと考えています。

(問)日朝ですが、六者主席代表会合の際に、例えば北朝鮮側から再調査や拉致問題を協議することは想定されていますでしょうか。

(事務次官)具体的に北朝鮮から六者代表会合の時に来るとは聞いていません。我々としてはできるだけ早く具体的に、我々が期待する形で実施されることが必要ですから、それに向けて北朝鮮側への働きかけを引き続きやっていきたいと思っています。

(問)六カ国協議の日程については何か動きはありますか。

(事務次官)日程については最終的な局面に入っています。まだこの時点で確定したということではないということです。近々ということです。

(問)今日中に発表することはあるのですか。

(事務次官)それは知りません。最終的に議長国である中国が関係各国が日程について了承したということになった時に、発表するのでしょうから、まずは皆での合意ができてからということです。

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G8北海道洞爺湖サミット

(問)サミットの関係で、気候変動ですが、長期目標について改めて日本として、この言葉を入れないと、日本としてリーダーシップがとれないという、そのラインについてお伺いします。

(事務次官)具体的な文言については、これからのサミットでの首脳会議を経て最終的に固まることになると思います。具体的な文言ではなく、基本的な考え方を申し上げますと、昨年のハイリゲンダム・サミットで長期目標についての議論がなされましたが、そこでは、具体的な長期目標に言及すべきであるという国と、そういう数値目標は限定すべきではないという国がありました。そこで、妥協と言いますか色々な議論、首脳レベルでのやりとりがあって、昨年ハイリゲンダムで一定の文言になった訳です。私の記憶が正ければ、長期目標ということで、EU・日本・カナダ等から出ている提案を含めて、真剣に検討するということだったと記憶しています。今次サミットにおいて同じラインで留まるのであれば、一年間何だったのか、日本のリーダーシップは何だったのか、そしてこれからの気候変動に向けての国際的な交渉に向けて、どれだけG8が主体的あるいは積極的にリーダーシップが取れるのかということが問われることになるのだろうと思っています。従って、当然我々としては、去年の成果を踏まえながら、さらに一歩二歩と前へ進めることが必要ではないかと思います。ただ国によって考え方がまだ異なっている面もありますから、その中でどうやって日本が福田首相のリーダーシップによって最終的に皆から賛同を得られ、且つ、国際社会から見て最終的に意味のあるG8サミットになるかどうか、それがまさに今日、明日に懸かっているという風に思っています。

(問)よく「真剣に検討」という言葉が取れることが目標だと言われているのですが、どうお考えですか。

(事務次官)その辺について具体的なことは、まさにこれからの一日、二日ということで、いずれにせよ明日のこの時間には結果が出ていることだと思います。

(問)ジンバブエですが、今日もアフリカのアウトリーチの中で話しができたと思いますが、今後声明を出すという具体的な動きの見通しはどうですか。

(事務次官)ジンバブエはご承知の通り、国際社会において非常に大きな関心を持たれていることですから、当然政治に関連する国際情勢に関するサミットでの会合の中で、かなり大きな関心を持たれると思います。具体的にどういう形で対応するかについては、これからのまさに首脳レベルでの議論の結果を踏まえていくということだと思います。非常に強い関心を各々の首脳が持っていることは間違いない状況です。日本も当然のことながら、この問題については強い関心と懸念を持っているということです。

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