(事務次官)今日は4月28日ということで「TICAD IV」まであと1ヵ月ということになりました。いわゆる「日・アフリカ・サミット」のことですが、現時点で言えば、40ヶ国を超える国の首脳に集まって頂くことになる予定です。アフリカからの日本に対する強い期待感を感じていますし、国際的にみても、アフリカの問題が世界的に非常に大きな関心を集めています。G8サミットでも、極めて重要な課題となっています。敢えて「日・アフリカ・サミット」と言わせて頂きますが、あと一ヶ月ですので、中身を良くして、実のあるものにしていきたいと思います。
(問)「日・アフリカ・サミット」という言葉は、今後外務省の用語として使用されるのでしょうか。
(事務次官)もちろん正式には「TICAD IV」ということですが、一般的に分かりにくいとも言われていまして、本日はあえてストレートに言って、「日・アフリカ・サミット」と申し上げた次第です。また、今回は、過去の会合と比べて、アフリカの首脳自身の出席が多いということもございますので、サミットという言葉がふさわしいかと考えています。
(問)胡錦濤国家主席の訪日が迫って参りましたが、その時に想定される成果文書、共同声明等のようなものを想定されると思いますが、日本側としてはどういう意味合いをそれに込めたいとお考えでしょうか。
(事務次官)今まさに胡錦濤国家主席の訪日の準備ということで様々なことを検討していますが、仮に文書を作るとすれば、大きな流れ、日本と中国の将来に向けた積極的な協力関係ということの双方の基本的な考え方をうたうということになるのかと思いますが、すべては準備中でして、未だ何も決定はされていません。
(問)それに関連するのですが、日中の協力的な基本関係というのは戦略的互恵関係という言い方をされてきているのですが、具体的な形として東シナ海のガス田問題がございますが、主席訪日まで、あと1週間ぐらいありますが、どのように詰めていくお考えでいらっしゃいますか。
(事務次官)今、申し上げましたように、胡錦濤国家主席の訪日については、大局的な観点から将来の日中間の協力関係について、どのように築いていくかということが、基本的な姿勢だと思います。個別案件は当然他方においてある訳でして、今、言われた東シナ海のガス田の問題も、引き続き、解決に向けて努力したいと思います。それがまさに日中両国が懸案を解決する能力を持っていることを示すという観点からも重要だと思っていまして、引き続き努力を重ねていきたいと考えています。
(問)まず、本日行われた日韓首脳会談の成果と意義について聞かせて頂けますでしょうか。
(事務次官)本当に新しい日韓の時代が来たな、という感じがします。日韓新時代を韓国の李明博新大統領と福田総理大臣の間でこれから築いていこうと、本当に両首脳の力強い意気込みとが感じられたと思います。中身的にも青少年の交流や色々な前向きの話もありますし、日韓のEPAについても再開に向けて事務的な協議を2~3回行うこと等もあったと聞いています。更には北朝鮮の問題では日韓双方の立場を理解し合い、また協力しあっていくということになったと聞いています。今次首脳会談は非常に前向きな会合だったと言う風に聞いていますし、それから、これから何より日韓新時代を築く上で、非常に大きな意味があったと思います。
(問)米朝でまた、米国の国務省高官が北朝鮮を訪問して、申告問題について意見を交換するようですが、これはどの程度の段階と受け止めてらっしゃるか。また、前進があった場合、テロ支援国家からの解除という問題がまた浮上してくると思いますが、拉致問題の進展がない段階で、米国がそういう決断をする可能性について現時点ではどう考えていますでしょうか。
(事務次官)北朝鮮の核問題の関連で、きちんとした申告がなされるかどうか、ということが、核の絡みでは非常に大きな問題です。本日の、日韓首脳会談の時にも確認されましたが、やはり申告は、きちんとした完全な申告でなければならない、という思いは強い訳です。その中で、米国政府は北朝鮮との間で長い間話をしており、そして我々は米国側からきちんと報告・相談を受け、日本側の考えも伝えています。しかし、申告については予定よりも相当申告が遅れており非常に時間が経っています。私は、早期にきちんとした申告が為されることが大事だと思いますから、今の米国側の努力、これを我々は支持しています。ですから、その上で北朝鮮側がきちんとした対応をして、良い申告が為されると、これがいつまでとか、そういうことについては敢えて申し上げませんけれども、早期の申告が我々の納得の出来る形で為されることが大事だと思います。次に、お尋ねあったテロ国家指定解除の関係ですが、これまで、米国側は我々に常に説明をしてくれてきています。非常に高いレベルでの確認が行われている訳ですけれども、申告の内容、また拉致問題を含んだ日朝関係についての、進展ぶりを考慮して考える、ということを、米国側は日本に言ってきている訳ですから、それを踏まえた対応になることを我々は確信しています。
(問)今日は日露戦略対話が行われましたが、次官になられてから初の戦略対話ということで、どのような議論、どのような意義付けをされたのでしょうか。
(事務次官)そうですね、私にとっては初めての日露の戦略対話でした。非常に広範囲な話をしましたけれども、基本的に日露両国が戦略的に共通の利益が、どのへんにあるのかという話をしました。(もう少し具体的に言えば、)ロシアも正にアジア大洋州地域に強い関心を持っていると先方から表明がありましたが、日露両国が今まで以上に協力していく可能性、分野はあるのではないかということを基本に話をしました。今後のアジア大洋州地域の進展を、日本が、そしてロシアが、どういう風に見ていて、そこでどういう問題点があって、そしてどういう形で日露両国が協力していくのかということです。
(問)平和条約問題が、なかなか進展が見られないまま、冷戦を経て、推移していますが、そのへんについてはどのようにお考えですか。
(事務次官)(戦略的対話は)具体的な懸案について話し合うという場では必ずしもないわけですけれども、双方ともにその問題があると認識していますが、我々としてはその問題を解決する必要性があると、改めて強調しておきました。
(問)日本とロシアとの間で、ハイレベルでの政治対話を行うことについて議論されたのですか。
(事務次官)当然の事ながら、去年もずいぶんとロシアからも首相、副首相が、何度も来られました。我々共通の思いは、日露双方の首脳が、この日露関係をより高いものに引き上げていこうということで、その中で当然の事ながら今年も様々な機会に対話もあるでしょう。
(問)明日米朝協議がシンガポールで行われますが、それを受けて齋木アジア大洋州局長が北京に行くという話があるようですが、そのあたりは如何でしょうか。
(事務次官)必要に応じて齋木局長を北京に送るということも考えたいと思っております。
(問)今のところ行く方向なのでしょうか。
(事務次官)調整中です。
(問)明日の米朝協議自体は、どのような見通しを持っていますか。
(事務次官)我々としては当然のことながら、北朝鮮が一日も早く今までの核関連について「完全かつ正確な」申告をする、ということが大事なことです。北朝鮮が今まで我々が期待している、或いは要望していることをきちんとやってくれると、そのような機会に(明日の協議が)なればいいと思っています。
(問)それに関連してですね、我々が要望していることというのは、拉致問題を含む日本の立場も含まれるのでしょうか。
(事務次官)そうですね。当然日本から言えば、拉致問題を含む日朝関係の進展というのもある訳ですけれども、今ここで米朝で直接話されていることから言いますと、それはまず彼らが話をしているのは、申告の問題ですね、核に関する。
(問)また、それに関連してですが、申告の問題で今焦点になっているのは、ウラン濃縮の問題やシリアに対する核施設支援の問題ですが、これについて、北朝鮮はこれまで未来も現在も過去も行っていないという風に述べていますが、米国や五者の方は行っているのではないかと言っていますが、日本の立場としては北朝鮮は行ったということを認めない限り、これを完全且つ正確な申告とは認めないということで良いのでしょうか。
(事務次官)中身のことになりますと、つまり「完全且つ正確な」ということで、これは六者会合の場を通じてですね、今ご指摘のような問題も議論されてきている訳ですね。(北朝鮮の申告が)全体としてそうした我々の懸念に十分応えられる内容であるかどうか、中身の問題になってくると思います。
(問)応える内容というのは、それを認めるかどうかということですか。
(事務次官)その問題についてもきちんとした対応がなされなければいけないと、こういうことですね。
(問)今日、神奈川県の松沢知事が高村大臣のところに要望に来まして、日米の横須賀の事件を受けたその対応に関してなんですが、日米合同委員会の中に、地元の自治体の代表者も入れた地域特別委員会というものを作ってもらいたいとのことでした。松沢知事のぶら下がりによると、高村大臣は合同委員会の中に作るのは難しいというようなお考えを示され、そういう協議自体を行いたいという考えだったようですが、外務省側の考え方についてご説明下さい。
(事務次官)大臣の言われたことが正に外務省の考え方です。合同委員会そのものというのは政府間同士の場所でありますけれど、他方、地元のお考えをきちんと我々は踏まえて、対応していく必要があるという風に思っていますし、その為の色々な意思疎通というのはきちんと図っていきたいと。そうしたことを踏まえて、合同委員会に臨んでいきたいと、こういうことです。