(問)北朝鮮ですけれども、六者会合の日米韓3ケ国の、首席代表の協議がワシントンで行われているようですが、その意味合いをどう御覧になっていますか。それから、北朝鮮が示したプルトニウム関係の資料について説明がなされるようですけれども、今の段階で北朝鮮の申告について次官としてどう評価されておられますか。
(事務次官)お話のように、大事な時に来ていると思っています。六者会合、核廃棄の第2段階ということで、その申告を巡って既に相当時間が経っています。ここで、ある意味で申告については相当、最終的な段階に来ていると思いますので、そういう大事な時に、日米韓3ケ国で、このように各々の意見調整、或いは意見交換が出来るようになったということについては、私は非常に意義のあることだと思っています。中身ですけれども、まさに明日、日米韓の3ケ国の会合が開かれる訳ですけれども、我々としてはそこで申告の内容というものが非常にきちんとしたものであるかどうか、それについての日本なりの考え方というものを明確に述べて、その上で日米韓の間で調整をしたいと考えています。
(問)日本としての現時点での評価というものは、ある程度固まったものをお持ちなのでしょうか。
(事務次官)「こういう申告であるべきだ」という点については、日本のイメージを当然持っていますが、その上で、米朝の間でずい分積み重ねた話し合いが行われてきていますから、今回、北朝鮮から出された色々なデータ分析も見ながら、また当然米国の考え方も詳しく聞かなければならないと思います。その上での摺り合わせということだと思います。全体としてそれが「申告」という名前に堪えられるものかという判断をしていく必要があると思います。
(問)関連してなんですが、先週16日に、韓国の金塾・朝鮮半島平和交渉本部長が、6月の始めにも六者会合が開かれるのではないかという見通しを述べたのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(事務次官)今も申し上げたように第2段階の申告を巡っては、相当な時間をかけていた、そういう意味では最終的な調整の段階に来ているとは思っていますが、他方、六者会合を6月の初旬に開くとかそういうことは決まっていません。今回の日米韓の協議の結果を経て、ある程度の見通しが出て来るのではないかと思っております。
(問)中国ですけれども、日本の救援隊の現況については、現地の安全状況も踏まえて、どういう風に把握していらっしゃるか、また、日本からの支援・救助体制についてどうお考えでしょうか。
(事務次官)緊急援助隊については今、成都のほうに、ある意味で一歩引き上げているという状況です。今後の活動状況についてはよく相談をして、そろそろ考えていかなければいけないのではないかと思います。医療チームの派遣については中国側からの要請があり、今、早急な派遣に向けて準備を進めているという状況です。
(問)緊急援助隊を、医療のほうに少しずつシフトしていくような感じなのでしょうか。
(事務次官)そうですね。基本的に現地の状況もそういうことだろうと思っております。そこはよく現地の状況を踏まえながら対応していくということになります。
(問)竹島の問題ですけれども、次期中学学習指導要領の解説書に、「竹島は我が国の領土である」という風に明記するということについて韓国側から反発が出ている訳ですが、これについて外交当局として何らかの対応を取ったか、更に日韓関係について次官はどのようにお考えでしょうか。
(事務次官)今お話の解説書については、未だ、何ら政府としては決定していない、というのが現状です。何れにせよ、官房長官の記者会見でもお話があったかと思いますけれども、日韓関係を未来志向的に行っていこうという中で、政治的にプレイアップする気はないと長官がおっしゃっておられましたが、私もその通りだと思っています。ここは双方が冷静によく問題をマネージしていくことが大事だと私は思っております。
(問)特に外務省として対応した、若しくは、これから対応するというような状況にはなっていないのでしょうか。
(事務次官)韓国側からの話は我が方大使にあったので、それも踏まえつつ、いずれにせよ、日本としての対応というのはこれからの話になると思います。
(問)TICAD IVのバッジを着けておられますが、それは今日から着け始めたのですか。
(事務次官)以前から着けていますが、いよいよTICAD IVは来週ですので、アフリカから40数名の首脳がおいでになるというのは日本にとって初めてのことです。それに加え、百数十の国際機関の来賓もいらっしゃり、来週はアフリカ一色だと思いますので、日本政府としても全力を尽くして良い会議にしたいと思っています。
(問)ミャンマーですが、総理からタン・シュエ議長に書簡を発出していますが、まだ人的支援を受け入れる姿勢を見せていないようですけれども、今後どういう取り組みを日本政府として行っていくお考えでしょうか。
(事務次官)これは正にミャンマーの今の状況を非常に深刻に懸念しています。甚大な被害が生じているということで、日本は真っ先にシンガポールのJICA基地に貯蔵している毛布等を供与し、1000万ドルの支援も決定いたしました。そして総理からタン・シュエ議長に書簡を発出するなど、外国からの色々な支援、その受け入れも必要ではないかということの働きかけも致しました。正に最高レベルでの働きかけをしていますが、引き続き、我々は色々な形でミャンマー政府と連絡を取り、また関係諸国とも連絡を取りながら働きかけを行っていきたいと考えています。
(問)この総理の書簡に対してのタン・シュエ議長からの返事はあったのでしょうか。
(事務次官)これまでのところはまだありませんが、引き続き色々な形で連絡を取り合っていきたいと思っています。
(問)国民投票が実施され、日本の外交官を含めて在ヤンゴンのミャンマー大使館員が監視にあたったということですが、その投票が公平に行われたかどうかということが一つ、また、国際社会を含めて今サイクロンの被害について日本としてこれを支持できるものなのか、或いは懸念すべきものなのか、この二つの質問にお答え下さい。
(事務次官)国民投票の実施をいつ行うというのは基本的には内政の分野の話になるかとは思いますけれども、今、非常に大きな災害が起きている、また被害が広がっている、これは勿論懸念しています。そういう中で行われた国民投票ですが、一部分しか(視察により)我々は見ることが出来ていないのですが、その中では比較的スムーズな投票が行われたということが確認されています。少しでもそういう透明性が向上してくるということ自体は決して悪いことではないと思います。これ以外にも米国や中国等の外交官も入って視察を行った訳ですが、これは一つの前進だと思います。ただ全体としてまだ判断が出来る状況にはない訳で、これからも作業が続く訳ですから、今後も注視していきたいと思っています。
在留邦人の安否の確認につきましては、大使館が在留届をベースに、実際にはなかなか通信手段もないものですから、各々の家を確認するという作業を行っています。また一部、既にミャンマーを離れた方もおられるということで、その方々については、日本でも追跡調査を行っています。今までのところ概ね在留届を出していただいた方の安否については、安全であるという確認が取れておりますことを御報告しておきたいと思います。
(問)中国の四川省で大規模な地震があったようですが、政府に何か情報が入っているのかということが一つと、また、政府として何か対応をお考えなのかという二つの質問にお答えください。
(事務次官)これは、非常に大きな地震があったという第一報は入っていますけれども、被害の具体的な状況等については、私のところにまだ来ておりません。今後状況を見ながら勿論適切に判断、対応をしていきたいと思います。
(問)地震については、適切に対応していくということですが、物的、人的も含めてということでしょうか。
(事務次官)被害状況を見ながら対応していくということです。
(問)在留邦人の安否の確認は取れたのでしょうか。
(事務次官)領事局のほうで、在留邦人がどのぐらいの人数なのか確認をしております。
(問)当然、安否の確認作業もされているという訳ですね。
(事務次官)これからしていくということになります。勿論、在留届が提出されていない短期の旅行者の方々もおられますので、そういった意味でフォローしていくことになります。
(問)北朝鮮が米国に対してプルトニウム計画の文書を提出しましたが、本件についてどのように受け止めていますか。
(事務次官)先週末、我が方の担当官も直接ソウルで米側と話をしまして、大まかな結果は聞いていますが、いずれにせよ、これからよく精査していきたいと思います。相当膨大な資料が提出されたということで、その精査の作業に入っていくということです。日本側としては当然のことながら米側と非常に緊密に協力、連携してこれが本当に完全な申告であるかどうかということをよく精査していきたいと思っています。
(問)米側では今後の流れの重要な一歩となるという報道もありますが、日本政府としては今回出てきた文書は評価出来るものなのでしょうか。
(事務次官)具体的な資料が出てきたことはその作業が1つ進んでいるということだと思いますが、何分にも中身を見てみないとその判断は出来ないということだと思います。
(問)米側からは精査の作業にどの程度かかるというような見通しなど入って来ていますか。
(事務次官)かなり膨大な資料のようであり、専門家の目から見れば相当作業・評価が早くできるものなのかどうかということもあると思いますが、まだ具体的にはどのくらい日数がかかるかについては聞いていません。
(問)北朝鮮が米側に提出した資料は、原子炉の稼働記録であり、それを見ればこれまで抽出したプルトニウムの量が分かるといったことを証明するような文書であるという理解でよろしいでしょうか。
(事務次官)基本的にはプルトニウム、それに関連する抽出の作業関連のデータであると我々も大まかに理解しています。
(問)その文書が正しいということであれば、申告を求められているエッセンスは固まって来るのでしょうか。
(事務次官)どれだけのプルトニウムが抽出されているか、その関連の資料が今回提出されているようですから、それは申告の中の重要な一部だと思いますが、それが全てではないということだと理解しています。
(問)何に使われたとか、それ以外に核実験も行っているわけですから、それに関連したものなどを追求していくということでしょうか。
(事務次官)今までも色々な形で米国は北朝鮮から話を聞いているわけですから総合的に判断していく必要があるということだと思います。