(問)日朝作業部会について詳しい報告を今日受けたと思うのですが、この前の結果を踏まえ今後、どのように日朝を進めていくことになるのか、その見通しをお聞かせ下さい。
(事務次官)相手があることですので、我々の希望通りには物事は進まないと思いますが、今回の作業部会において、拉致問題については従来のような「解決済み」ということは聞かれなかった訳ですし、さらに今後、作業部会はより頻繁に行っていく事になった訳ですから我々から見れば今後、拉致問題も含めて進展があり得るという反応、期待を持たせる部分があります。必ずしもお互いに十分理解が深まっていない部分があるかと思いますので、次回の作業部会をなるべく早く開催して、そのような点を丁寧に議論していくことが重要だと思います。
(問)水害支援ですが、やはり出すのは難しいという認識でしょうか。
(事務次官)一部報道で、政府として緊急災害支援を行わないという方針を決めたということが出ていましたが、そのような事実はありません。この問題については、これからもどのように対応していくのか考えていくべき問題であると思っています。
(問)安倍総理の退陣を匂わせるような、テロ特措法継続の強い決意が出ましたが、その受け止めについてお聞かせ下さい。
(事務次官)元々、テロに対する国際社会の取り組みとして、日本として貢献し得る分野について権限を設定したものがテロ特措法です。その中でご承知のように、インド洋において油の補給活動を続けてきたということで、これまで多数の国に対して油が提供されましたし、最近では特にパキスタンに対して重点が置かれて補給されています。パキスタンの態度は、もし、日本が補給活動を止めると活動出来なくなるということで、それはこの海上阻止行動全般について悪影響を及ぼすであろうということです。国際社会においては日本に油の補給活動を続けて欲しいという評価と期待が非常に強く寄せられており、今回のAPECの際にも首脳レベル、或いは外相レベルで、国際社会からも非常に強い要望が寄せられました。そのような背景の下、生々しい声をお聞きになった上で安倍総理としては、これは日本として断固として続けるべきだ、という決意を示されたのだろうと理解しております。
(問)パキスタンの海上阻止活動への参加の意味について、どのようにお考えでしょうか。
(事務次官)パキスタンの海軍の船と自衛隊の自衛艦が供給する油、これは自動車で言えばハイオクを使わなくてはならないという関係にある訳で、これを提供するのは今、自衛隊の補給艦しかないという状況です。従って、それを使えなくなると実際問題として行動が非常に難しくなる、空白期間が生じかねないという状況にあると聞いております。そのような意味では、パキスタンの参加を継続して頂くためにも自衛隊の自衛艦による補給は非常に重要であると思っております。
(問)パキスタンは唯一のイスラム国の参加ですが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。
(事務次官)これは政治の側面から考えれば、そのようなことはあると思っています。
(問)民主党の小沢代表は、テロ特措法は国連決議に基づかないということで反対を表明していますが、そこについての見解をお聞かせ下さい。
(事務次官)小沢代表がどのように考えているかは別にしまして、現在の海上阻止行動が行われている艦船に対する自衛艦の油の補給については、国際法上、或いは国連決議において何らかの根拠がないと出来ないものか、という一般的な質問としてお答えすれば、その点については、国際法上の違反をやっている訳ではありません。国際法上認められたそのような活動をやっている訳で、そこに国連の決議がなければ出来なくなるという関係にはないと理解しております。
(問)竹島周辺で行っている日韓の漁船調査が明日から行われるということですが、日本としては単独でやりたいという思いがあったと思うのですが、今年も共同で行うことになったことについての受け止めと、今後どのように協議を進めていくのか、その二点についてお聞かせ下さい。
(事務次官)この問題については元々我々が、日韓間の経済水域に境界画定が出来ればこのような問題は生じないという理解に立っている訳ですが、ご承知の問題があるので中々、境界画定が出来ないという状況にある訳です。そのような状況を前提として、それでは毎年、日本がやってきた放射能調査、これをどのようにするかということで去年、共同調査という方式で、お互いにそれで大変結構であると満足している訳ではありませんが、とりあえずの措置としてそれに合意したという経緯があり、今年もまたその辺りは去年と同様の措置を取ろうということになりました。ただ我々の目標としては、この境界画定が出来ればそのような問題はなくなる訳ですから、そこはこれからも追求していきたいと思っています。
(問)21日に東シナ海のガス田協議が北京で行われるとのことですが、月に一回ずつやる予定だったのが、ずっとこれまで行われて来なかったのですが、今回は前進する見通しがあった上での協議になるのでしょうか。
(事務次官)これは今年の秋までに事務当局間で話し合って、その成果というものを首脳に報告するということが日中間双方の了解ですから、それに向けて我々は努力しなくてはならないという状況だろうと思います。それで今、そのような了解みたいなものがまとまりつつあるのかというと、我々としてはそのような認識は持っていないという事なので、作業を急がなくてはならないと思っております。そのような意味では何とか双方で、共通の考え方として、首脳に報告出来る形のものを作りたいと思っています。見通しは必ずしも楽観出来ませんが、出来る限りの努力をしていくことが重要だと思います。その辺は日中両国ともそのように思っているのだと思います。
(問)ジュネーブでの米朝作業部会で、年内の核施設の無能力化と完全な申告について米朝が合意したということですが、これについて米国側から報告等はあったのかということと、米朝作業部会がモンゴルでの日朝作業部会に与える影響についてお聞かせ下さい。
(事務次官)ヒル米国務次官補から佐々江局長にその話合いの内容の概要についてのお話があったと聞いています。基本的には、無能力化と完全な申告ということで合意があり、一定の進展があったと、こういう評価だろうと思います。我々としては、それが日朝の話合いにも良い環境を作ることになるように期待しております。
(問)年内の合意ということですね。
(事務次官)はい。
(問)テロ支援国家指定解除の問題なのですが、米国はどのようなスタンスで行くのかということについての説明はあったのでしょうか。
(事務次官)特に説明があったという話は私自身は確認しておりません。