(問)本日、新しい大臣に町村信孝さんが決まりましたが、それについての受け止めを教えて頂けますか。
(事務次官)町村新大臣は、既に私自身も次官としてお仕えしたことがありますし、基本的な外交に関する見方、考え方は安倍総理、あるいは前外務大臣の麻生幹事長に非常に似た考えの持ち主であると印象づけられております。そういう意味ではこれまで続けて参りました外交の一貫性、継続性という点から、安心してこれからまたお仕えしていく大臣であると評価させて頂いております。
それからまた、町村新大臣は前回大臣をお辞めになった後も、外交には大変関心を続けて持たれ、ご自身の外交活動もされておりましたけれども、外交力強化ということでも大変大きな力を党内で発揮されまして、そういう意味でも非常に心強い大臣に来て頂くことになると思っております。
(問)麻生前大臣は、「自由と繁栄の弧」という方針を掲げていらっしゃったんですけれども、町村新大臣に変わってもそのような方針には変わりはないということでしょうか。
(事務次官)その点について、特に町村大臣と考え方の摺り合わせをさせて頂いた訳ではありませんけれども、町村大臣がその考え方に反対だと言われるとは想像しがたいところです。考え方そのもの、すなわち「主張する外交」、「価値の外交」、そしてまた外交の地平線を広げるという趣旨の考え方ですから、町村大臣にも強力に推進して頂けるのではないかと思っております。
(問)美根日朝国交正常化交渉担当大使が、大連で非公式に宋(ソン)北朝鮮大使と協議をしていたとの報道がありますが、この事実関係をお願い致します。
(事務次官)その報道をされた社自体が否定し、訂正記事を出されたと聞いております。そういう事実はございません。
(問)関連ですが、美根大使は現在、大連で休暇を取られているということでしょうか。
(事務次官)本当ですか。それは知りません。東京に居ると思ってました。
(問)次官は東京に居ると聞いているのですか。
(事務次官)いや、そう思っていました。特に聞いていません。
(問)美根大使自身とこの件で事実確認はされたのですか。
(事務次官)私ではありませんが、アジア大洋州局の方から本人に確認したところ、もちろんそういう事実はないし、そもそも取材もなかったと聞いております。
(問)大連には居なかったということでしょうか。
(事務次官)それが必ずしも美根大使が大連に居なかったということを意味するものではありませんので、その事実関係は私は承知していません。
(問)改めて、日朝国交正常化作業部会の現在の調整状況はどのようになっているのでしょうか。
(事務次官)今はまだ調整中であり、時間、場所について、まだ公表出来る段階には至っておりません。その調整のプロセスにあり、近く、いずれにしても調整はつくという見通しを持っておりますが、その調整プロセスの内容をご説明することは控えさせて頂きたいと思います。
(問)日朝、米朝共、月内の開催は難しいのではないかという一部の見方がありますが、仮にそうなったとしても次官としては問題ないとお考えでしょうか。
(事務次官)私共としては、来月初めの六者会合に悪い影響を与えないように、元々8月中に行うことになっていましたから、そういう意味で8月中に行われる事は必要だと思いますけれども、六者会合の前であれば、何が何でも8月中でなくてはいけないとは思っていないということです。
(問)六者会合の本会議は、APECとの関連でAPECの後にずれ込むのではないかという見方もありますが、作業部会が9月にずれ込んだ場合は、本会議自体も後ろにずれていくということになるのでしょうか。
(事務次官)その可能性も否定しませんけれども、APECそのものと直接関係のある話ではありませんので、そこは大体予定していたラインで行くのではないかなと思っております。
(問)六者会合の非核化の作業部会が13日、14日に瀋陽で開かれるという報道がありますが、このような日程で、という確認はもうされているのでしょうか。
(事務次官)私はまだ聞いておりません。
(問)日朝国交正常化作業部会の交渉状況は如何でしょうか。
(事務次官)現在調整中で、まだ決まっておりません。
(問)今月中には行われるのでしょうか。
(事務次官)今月中には行うということです。
(問)作業部会の関連ですが、ヒル国務次官補のコメントでは、日米と日朝を東南アジアで開催するということですが、何となく同じ場所で連続して行うという言い方のような気がするのですが、そのような感じで調整が続いているのでしょうか。
(事務次官)どうでしょうか。同じ場所でやらなければならない理由はないと思います。
(問)別々の場所でということもあるのでしょうか。
(事務次官)別々の場所であっても別におかしくはないと思います。
(問)六者の関連ですが、先日のARFで麻生大臣と北朝鮮の外相の間で激しいやり取りがあり、このようなことについて一部では、参議院選挙で自民党が負けたことを受けて、北朝鮮が何らかの足下を見てきたという見方もあるようですが、選挙の結果を受けて、外務省としての核問題・拉致問題に対するスタンスに変化はあるのでしょうか。
(事務次官)全くありません。基本路線は正しいと思っております。それが今回の参議院選挙で大きな方向性を否定されたとも我々は理解しておりません。
(問)明日のエネルギーの作業部会ですが、中国が重油5万トンの前倒しをするような考え方を表明しているようですが、それに対しての日本側の受け止めは如何でしょうか。
(事務次官)「行動対行動」で、どのようなことをして行くかという話です。明日、中国がそのようなことを言うかどうかも我々は承知しておりません。全体の流れが進んで行くことが望ましいという一般論以上のことは申し上げられません。
(問)エネルギーの作業部会ですが、日本政府としては拉致で進展がない限りはエネルギー支援には参加出来ないという原則は維持するということでよろしいでしょうか。
(事務次官)勿論です。
(問)作業部会では、日本政府としては以前、間接協力、エネルギー協力等なら行っても良いという話もあったと思うのですが、作業部会にはどのようなスタンスで望まれるのでしょうか。
(事務次官)北朝鮮のエネルギー事情の調査については、何らかの形で貢献するということですか。
(問)はい。
(事務次官)それは内容を良く、色々なことを考えて捉えて、それに応じて考えることだと思います。今すぐ参加する、しない等、そのような話ではありません。
(問)追加ですが、日本の立場は拉致問題に進展がない限りお金が出せない、その代わり、例えば、核の「次の段階の措置」に関係する監視や検証等に日本が何らか口を出したり、そのための経費を出したり、そのような可能性も排除されるのでしょうか。
(事務次官)IAEAが、そのような第一段階の活動を行っており、当然、費用もかかります。そのようなことについては、IAEAについての協力ということで日本が何らかの貢献をするということは考えられると思います。
(問)あくまでも協力というのは、IAEAを通じての協力ということでしょうか。
(事務次官)IAEAの活動、そのこと自体への協力だと思います。
(問)自民党の大敗を受けて、対北外交は変わらないということですが、ここから先は次官の見立てで教えて頂きたいのですが、北朝鮮側が日本に対する外交を変えてくる可能性があるのかどうか、あるとすれば、どのような影響が出てくるでしょうか。
(事務次官)北朝鮮の出方を見るしかないです。想像してシミュレーションをやっているわけではありません。
(問)中山恭子さんが自民党逆風の中、首相補佐官として出馬し当選しました。これは拉致問題について国民の審議があったと一定の評価になるのでしょうか。
(事務次官)基本的には先程も申し上げましたが、外交政策、或いは対外政策、北朝鮮の拉致問題を含め、その大きな方向性について、自民党、或いは与党がやってきたことが良くないので今回のような結果が出たということではないのだろうと思います。これは、皆さんの分析もそれぞれだと思います。従って、北朝鮮との関係についても基本的なスタンスは変わりません。また、中山補佐官が当選されたことは、あまり個々人の当選されたことについてこういうことだと申し上げるべきではないと思いますが、少なくとも拉致問題に対する安倍政権の取り組みは国民のご理解を得ていたのだと思います。その証拠の一つと言えば、そういうことではないかと思います。
(問)小沢代表とシーファー駐日米大使が会うようですが、このような会談に外務省は同席したりするものなのでしょうか。
(事務次官)普通はないと思います。特に何か理由があって依頼されれば同席することもあり得ると思いますが、今回はそのようなものがあるとは聞いておりません。
(問)テロ特措法の話ですが、総理は民主党に配慮して法案内容の修正を出せるという発言をなさったのですが、防衛省が所管なのですが、外務省として何か受け止めがあればお聞かせ下さい。
(事務次官)我々としては、テロ特措法は勿論、日本のみならず、アフガン政府、それからまた国際社会も基本的には日本の活動を評価していますので、それを根拠付ける法律が延長されることは望ましいと思っております。民主党は従来、反対してこられたわけですから、そこを何らかの調整を行って賛成して頂けるのであれば、それは大変結構であるというのが総理のご意向だろうと思います。これは正に政治サイドでこれからそこのところをどのようにすれば、民主党が賛成しうるものになるのか、という議論になりますので、我々はそれに役立つお手伝いをさせて頂きますが、どうするかという話は総理の方でお決めになることだと思います。
(問)先程、総理とお会いになったのはテロ特措法の話でしょうか。
(事務次官)官邸で総理とお話をしたことは申し上げないことになっております。