記者会見

事務次官会見記録(平成19年5月)


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事務次官会見記録(平成19年5月28日(月曜日)17時~ 於:本省会見室)

日中局長級協議

(問)先週、金曜日に北京で日中局長級協議がありましたが、改めて結果についての受け止めと今後の交渉日程をお聞かせ下さい。

(事務次官)温家宝総理が来られまして、「相互に受け入れ可能なより広い範囲での共同開発」という方向性での話し合いがトップレベルで行われました。我々としては正直に言えば大きな期待を持っていたのですが、その期待に十分応える程のアイデアが示されたわけではありませんが、今後もっと頻繁に話をして行こうという事です。我々としてはあまり長い交渉であってはいけないと思っておりますが、交渉のプロセスですので、これからの中国側の前向きな姿勢に期待したいと思っております。

(問)次回の局長級協議は来月に開かれるということですか。

(事務次官)頻繁にやりましょうということですし、目標は今年の秋までに両国の首脳に報告をするということですから、なるべく早く議論をやっていった方が良いと我々は思っております。

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北朝鮮問題

(問)一部の報道で、中国側が拉致問題等々で独自に協力するという趣旨の報道があるのですが、そのような話は進んでいるのでしょうか。

(事務次官)中国側から拉致問題の解決のために協力を行う用意があるということは随時言われておりますので、我々としてはその点を期待していますが、一部報道で流れているような具体的な話は我々としては聞いておりません。別にそれを否定する訳ではありませんが、中国との間では一般的な協力ということで、共通の理解を持っているという状況に留まっていると理解しております。

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松岡農相の死去

(問)松岡農相が亡くなられましたが、中国への米の輸出等の道を広げたりと色々な成果があったと思うのですが、これまでの外交面における評価についてお聞かせ下さい。

(事務次官)松岡農水大臣はFTA・EPA、或いはWTO関係につきまして、非常に積極的な指導力を発揮されましたし、また、中国への米輸出についても強いリーダーシップを発揮されたと理解しております。農業問題は日本にとってのたいへんセンシティブな問題ですが、その点について、色々な点を考慮しながら進めようという姿勢を持っておられた方だと評価しておりました。

(問)今後に与える影響があるとお考えでしょうか。

(事務次官)我々としては日本の国益を踏まえて、政治サイドと、或いは役所ベースでできる限りの努力を行って、FTAの推進、またWTOに積極的に参加して行くということが確保されることが大事と思っておりますので、松岡農相の基本的な姿勢は大切に受け継いで行きたいと思っております。

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事務次官会見記録(平成19年5月21日(月曜日)16時40分~ 於:本省会見室)

次官のインド・トルコ訪問

(問)先週、インドとトルコを訪問されての成果をお聞かせいただけますでしょうか。

(事務次官)成果といいますか、かなりの時間をかけてそれぞれの国のカウンターパートの方と意見交換をするのが目的でした。先にインドに行き、二国間の問題と同時に国際的な問題についても議論しました。インドが南アジア地域において非常に大きな役割を果たしていることがよくわかりましたが、更に日本との関係を深めていく、あるいはその幅を広げていくという意欲が、日本側にも勿論、非常にあるわけですが、インド側にもたいへん強くあることがわかりました。
 日中関係に比べても、日印関係は経済、貿易、あるいは色々な人的交流の面でまだ十分ではないので、これは抜本的に増やしていかなければいけない。あるいはまた、青少年交流という点から見ましても、我々の方からすると、インドにおいて更に日本語を勉強して頂く人、あるいは日本に勉強に来て頂く人を増やす方法をお互いに考えましょうと。需要は非常にあるということですので、そういった点も含めて日印関係を深めていくという観点から、意義があったのではないかと思っています。これから更に色々と実質化していく必要があると思っています。
 トルコについては、世界地図を見るだけでもその地政学的な重要性がわかるわけですが、特に我々が必ずしもよく認識していない点として、トルコから東の方にもトルコ語を話す民族、人々が各国にまたがって相当多いのです。そういった国々を含めての地域協力、中央アジアとの地域協力とか、あるいは黒海地方の黒海協力機構もあります。そういった地域協力でトルコは非常に重要な役割を果たしていることがわかり、日本もこの地域協力に大いに、何らかの形で参加して頂ければ非常に有意義だという話がありました。そのあたりは必ずしもよく承知していない点でしたので、「自由と繁栄の弧」という観点から、改めてトルコは非常に重要な国であり、また、トルコの方では今後とも対話を深めていきたいということでした。
 ちなみに、インドとは年2回次官対話をやりましょう、お互いに年1回訪問し合おうという話をして参りました。トルコとは、1年に1回はこういう対話をしましょうということで、お互い、こういう機会は重要であるということを認識したといえるでしょう。

(問)インドの関係ですと、早ければ夏にも総理が訪問するのではないかという報道もあり、またそれに絡めて周辺地域にも行かれるのではないかという話も出ておりますが、現時点でどこまで話が進んでいるのでしょうか。

(事務次官)訪問については、今はまだ調整・検討中で、申し上げる段階にはありません。

(問)インドの訪問で、二国間の話ではなく国際的な問題についても議論されたということですが、具体的にどんな話が出たのでしょうか。

(事務次官)あまり具体的な内容は申し上げることにはなっておらず、お互いに率直に話し合おうということでしたから、そういう前提で言いますと、先日、麻生大臣がSAARC(南アジア地域協力連合)にオブザーバーとして出席されましたのは非常に有意義だったという話と同時に、SAARCの関連諸国が色々と問題を抱えていますから、その点について事情説明がありましたし、また、隣りのパキスタン、更にはアフガニスタン、中東といった国々に彼らも大きな関心を持っています。そういったことを含めて議論しました。後はアメリカとの関係です。米印合意を含めて色々な話がありました。

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日露関係

(問)19日の帯広での内閣記者会のインタビューで、安倍総理がプーチン大統領の訪日を要請するという発言があったのですが、実際、そのような準備が進められているのかどうか確認させてください。

(事務次官)事務的に何か準備をしているかということなら、そういうことは致しておりません。他方、プーチン大統領は一昨年の11月においでになったと思いますので、今度は安倍総理に行っていただくという順番になるのですが、安倍総理のお気持ちとしては、前回は非常に短い期間でもありましたので、どちらが行くというよりも、来て頂くというのも一つの方法として考えられるのではないか、というお気持ちだったのではないでしょうか。いずれにしても、1週間留守にしておりましたので、その件については正確なことを申し上げられません。

(問)安倍総理のこれまでの発言の中で、「成果がなければ、行ってもあまり意味がない」といった言葉がありましたが、順番から言えばこちらから行くことになるのでしょうが、そういうご自身の思いもあっての発言だということでしょうか。

(事務次官)お話も知りませんし、実際のご発言ぶりも正確に承知しておりませんので、それ以上のことは控えます。

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北朝鮮問題

(問)先週、北朝鮮の新しい外相が任命されて、色々と何か動きがありそうな感じがするのですが、次官にはどのような状況報告が入っているのでしょうか。

(事務次官)あの話は報道以外のことは特に聞いていません。

(問)BDA(バンコ・デルタ・アジア)問題で、米国の銀行が仲介に入るという情報がある一方、実際にはまだ進展していないのですが、現在のところ、次官のこの問題に対する見通しをお聞かせ下さい。

(事務次官)はっきり申し上げますと、あまり前と変わっていない。見通しが出てきたということではないように受け止めています。

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ハイリゲンダム・サミット

(問)ハイリゲンダム・サミットで、気候変動が主なテーマになるということで、これは安倍総理の口からも出ています。その中で、参加国間で数値目標について意見の差が大きいという報道も出ており、日本政府の方でも調整していくということですが、現時点で次官はこの数値目標に対してどのような認識を持たれているのかお聞かせ下さい。

(事務次官)数値目標を非常に強く言っている国と、そうでない国があって、日本はグローバルにこの問題に取り組んで行かなくてはいけないわけです。例えば、インドもそうですし、中国、米国も巻き込んで「ポスト・京都プロトコル(議定書)」というものを考えていかなければならない状況です。今この段階で、こういう目標を日本として打ち出せばよいということが固まったわけではありません。考え方を更に詰めているところです。

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事務次官会見記録(平成19年5月7日(月曜日)17時10分~ 於:本省会見室)

日仏関係

(問)フランスのサルコジ氏が大統領に当選したことで 今後の日仏関係の期待とサルコジ氏への期待についてどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)今回、相当の差をもって当選された訳で、我々としてはサルコジ大統領が誕生されるということで日仏関係はこれからも更に発展するということを期待しております。シラク大統領は大部分の日本人も及ばないような大変な日本文化への理解者であり、日本に対しては特別の思い入れがありまして、我々としてはそのシラク大統領の貢献に大変感謝の気持ちを持っております。サルコジ大統領が同じようにやって頂けるという風に考えるのはそもそも無理な話だと思いますけれども、保守的な政治家としてご見識もお有りな方なので、日仏関係の重要性、或いは日本とヨーロッパとの関係、或いはまたアジアとヨーロッパとの関係という視点からも、日仏関係を更なる発展のために新しい視野から貢献して頂ければと思っております。

(問)フランスのサルコジ次期大統領が6月のサミットに出席なされると思いますが、その時に安倍首相との会談等々のチャンスはどうでしょうか。

(事務次官)その時点では大統領に就任されていますので、最初の出会いの場となりますから我々としては是非総理にはサルコジ大統領と会談の機会を持って頂ければと思います。もちろん総理のご指示に基づいて調整して参りたいと思っております。

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