(事務次官)一言、日本サミットの関係で発言させていただきます。先程ご承知のように、2008年日本サミットが北海道洞爺湖で開催されると発表されました。外務省と致しましては総理官邸の指導の下、関係省庁と緊密に連携、協力致して、2008年北海道の洞爺湖地域のサミットの成功に向けて全力を挙げて準備を整えて参る所存でございます。地元道民の皆様をはじめ、国民各位のご協力をよろしくお願い申し上げます。以上です。
(問)サミットの関連で一つはなぜ洞爺湖かということと、今回の発表のタイミングですが、6月のハイリゲンダム・サミットまでにというようなことが一時言われていたんですが、なぜこのタイミングになったかの2点をお願いします。
(事務次官)どういうことで北海道洞爺湖で決まったかということは、総理の方からもお答えになっておられますので繰り返しませんけれども、美しい国のイメージ、あるいはまた、来年のサミットは環境が大きなテーマになって、美しい環境という大きなセールスポイントがありますし、さらに警備の問題もあります。そういった点を総合的に判断されて総理がこういう発表をされるに至ったということだろうと思います。それから、発表のタイミングの問題につきましては、もちろんハイリゲンダム・サミットの際に「皆さんおいでください」という招待をするわけですけれども、他方、準備の都合もいろいろありますから、細かなことを言えばホテルの予約とか、あるいはまた警備体制の問題も含めていろいろ準備がありますので、そういう意味では早くやった方がいいということです。ゴールデンウイークに入りますと、総理も長い外国出張をなさりますので、こういうタイミングを選ばれたのだと理解しています。
(問)外相会合とか財相会合とかの、関係閣僚会議についてはどのように今後決められていくのでしょうか。
(事務次官)これから内閣が各省庁と協議をしながら、これまでいろいろと立候補された都市を中心にして、どこにするのかということを決めていくことになるのだと思います。まだ、具体的に決めたとは聞いておりません。
(問)開催する会議は、今年のドイツだと5つか6つの会議があったと思うのですが、大体そういった目安でよろしいのでしょうか。
(事務次官)通常、外務大臣や財務大臣は必ず組まれますけれども、その他、このところの傾向ですと、環境大臣とか、あるいはまた労働大臣、内務の司法関係の大臣といった方々もお集まりになるようですから、そういったことも念頭に置きながら、これから考えていくのだと思います。
(問)洞爺湖の主会場は外務省が視察に行かれたウィンザーホテルということでよろしいのでしょうか。
(事務次官)発表ではそこは言っておられないですけれども、私はそういうふうに理解しております。
(問)北海道については、他の自治体に比べると立候補表明が相当直前だったということがあるのですけれども、それについて、やや批判的な向きもあるかと思うのですが、それについてはどう説明されるのでしょうか。
(事務次官)そのあたりは、特に長い間準備もし、大いにアピールもしてこられた所もあると承知してますので、そういう方々がどういうふうに思っておられるのかという問題はあるとは思いますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたような、いろいろな基準で最終的に選ばれたわけですから、これからまた閣僚会合でもお願いすることもあると思いますし、日本国全体としてこのサミット関連の一連の行事を成功させるために、みんなで協力してやっていただきたいと思っております。
(問)ロシアの大統領が北海道に来られるのは初めてのことなのですが、北方領土問題解決の点から見てその意義づけは今どのように捉えているのでしょうか。
(事務次官)今回の選択に当たっては、先程も申し上げましたことが考慮に入れる要素にあったのですが、このサミットを北海道でやることが北方領土の問題に直ちに繋がるという話ではないと思います。けれども、この機会も当然その時点でのロシア大統領とのふれあいの場になるわけですし、その上、多分新しい大統領になられるかと思いますけど、その方との信頼関係が構築されれば、或いはそれ以上になれば、北方領土の問題の解決にも良い影響が与えられるのではないかということを期待いたします。
(問)洞爺湖でやると次官がお知りになったのはいつ頃でしょうか。
(事務次官)発表のときです。
(問)今週総理が訪米および中東訪問されますが、この訪問の意味と予定される議題についてお聞かせください。
(事務次官)アメリカにつきましては、日米同盟は日本外交の基軸ですから、その日米同盟を再確認するというのは非常に大きな目的だろうと思います。特に、日本国内ではもっと早く行くべきではなかったかという議論や、今回総理が行かれて、滞米期間が短いのではないかという説もありますけれども、やがて明らかになると思いますが、総理の日程には非常に時間をかけて首脳会談等々が盛り込まれており、首脳間の信頼関係を確立するのにふさわしい機会になると思っております。中東の方につきましては、やはり中東地域は石油、あるいはまた資源その他の、いわゆる資源外交の非常に大きな場所でしたが、それを更に超えて新しい時代を築いていくという総理の強いお気持ちがおありですから、そういった意欲を反映したものになるのではないかと思っておりますし、また、我々もそのラインでご協力していきたいと思っております。
(問)潘基文・国連事務総長にインタビューがあり、その中で来年にも世界各国の首脳を集めた気候変動サミットを開きたいという意見を申しておりますが、これに対して何か外務省としてございますか。
(事務次官)主催をどこがやるということですか。
(問)主催とは、はっきりは言っていないように思いますが、そのようなものを開きたいという旨を潘基文氏がおっしゃっているようですが。
(事務次官)気候変動の問題は先程も申し上げましたように、日本サミットでも非常に大きなテーマになりますし、それを補完する形でそのようなサミットが行われることであれば、否定的に考える要素はないのではないかと思います。いずれにしても、この気候変動の問題というのは京都議定書、ポスト京都議定書の問題、或いはまた実質的意味で参加していない中国、インド等の関係で、更にはアメリカも参加していない訳ですから、そういった部分も巻き込んでどのようにするかということで、それこそグローバルに、非常に大きな問題だと思います。いろいろな場でこの問題を議論して世界全体で取り組める体制を作っていくというのは我が国の大きな目的ですので、それに資する試みであればと思います。ただ、具体的にどのような発言をされたのかは聞いておりませんので、それ以上は控えたいと思います。
(問)北朝鮮の初期的措置の期限が14日で過ぎてしまったことについて、改めてこの前の成果文書の合意内容自体への影響などの点についてどう思われますか。
(事務次官)皆さんご承知の通り、BDA問題が背景にあるのだと思いますが、その六者会合とは関係のない、同問題が理由となって結果的に期限が守られないことになったというのは、極めて遺憾であると思います。他方、我々としては期限が守られなかったからといって、もうこれで終わりということではないと思います。BDA問題は直接は関係ありませんけれども、最終的な段階に入っていると思いますので、期限に遅れたとはいえ、なるべく早く六者会合のプロセスが動き出して、この初期段階措置が早くとられるようにということを訴えて参りたいと思っております。
(問)日本政府としては、今は事態を見守るということ以外に何か対応策はあるのでしょうか。
(事務次官)問題になっているのは背景にあるBDAという問題なので、この問題は日本政府としてはある意味で手の打ちようがないものです。他方、アメリカとは緊密に話をしながら、この北朝鮮の核の解決のプロセスを進めていくようにしておりますから、我々としては非常に心配しているということでは必ずしもありませんけれども、打つ手は限られます。はっきり申せば、できることはほとんどないと言って良いということだろうと思います。
(問)アメリカ国務省のバックグラウンドのブリーフィングで、次の新たな期限を設定することには関心がないという言い方をされているんですが、次官はできるだけ早く核のプロセスを再開したいと。期限を設定しないという今のアメリカの立場をどうお考えになっているのか、日本としては「できるだけ早く」というのは、どのくらいのイメージで考えていらっしゃるのか、もう少しお話いただければと思います。
(事務次官)我々はできるだけ早くと言っていますから、それは期限を設けることには賛成しないという立場なので、アメリカのその方がどういうお気持ちで言っておられるのかは知りませんけれども、結論的には同じわけです。それから、できるだけ早くというのは、2週間後だったらいいとか、1週間後でなくてはいけないとかという意味ではなくて、ともかく早く解決してほしいということであり、早ければ早いほどいいという意味です。
(問)北朝鮮は、一部報道では30日以内だったらという発言をしていたと思いますが、それでは到底遅すぎると。相場観で言うともっと全然早くということですか。
(事務次官)そうです。期限を完全に過ぎているわけですからね。
(問)今日、日米印で共同訓練が行われているんですが、その訓練の意義は?
(事務次官)これは、インド海軍がこちらの方に親善においでになるという話が元々あって、日米印で親善訓練をやるということでありまして、ヘリコプターから艦船に乗り移るとか、テクニカルなことは必ずしも詳しくはありませんけれども、そういった親善を目的とした訓練であると理解しています。
(問)中国がやや心配しているような雰囲気があるんですけれども。
(事務次官)雰囲気があるんですか。いや、そういうご心配をなさるような、第三国に向けてどうのこうのという類のものではありません。
(問)今日、アメリカのヒル国務次官補が来日し、まもなく代表協議が開かれる見通しですけれども、六者会合再開の障害となっているBDA(バンコ・デルタ・アジア)問題の解決について、次官は今どのような見通しを持っているのでしょうか。
(事務次官)聞いてみないとわかりませんね。
(問)アメリカの当局者はもう記者会見などで、解決のメドがついたというようなことを言明されてますけれども、それについて何かお聞きでしょうか。
(事務次官)そうであれば、いま六者会合が再開できない最大の問題がこれですから、六者会合を早く再開したいという立場からすれば、いいニュースではないかと思います。
明日、お会いすることになっておりますので、話を聞いてみようと思っております。
(問)そのBDA(バンコ・デルタ・アジア)の関連ですけれども、今回の一連のアメリカのBDA問題に対する対応は、外交交渉としては失敗じゃないかという見方もあるんですが、それについて次官はどのように思ってらっしゃいますか。
(事務次官)我々はBDA問題そのものについては当事者ではありませんので。
一生懸命努力しておられるのだと思います。結果が出ることを祈っております。
(問)14日が例の初期段階措置の期限なんですけれども、さすがに明日解決しても残り4日でもって停止、封印できるものかというのは非常に怪しいと思うのですが、では、その次はどのくらいの期間が猶予できる範囲なのか。腹づもりはあるのでしょうか。
(事務次官)本来14日までに第一段階の措置を実施するという前提ですから、仮にそれが守られなかった場合は、できるだけ早く実現するということですね。そのことが、どのくらいだったらできるのかとか、見通しを立てる状況にはないのはご承知の通りです。
(問)11日から温家宝総理の訪日の件ですが、東シナ海の問題で今もいろいろやっているかもしれませんが、見通しとしては、何か前向きなものを期待できるとお考えでしょうか。
(事務次官)日中双方とも共同開発をやるということ自体は基本的にもう既に話し合っているし、現にそういうことを明らかにしているわけで、それがより具体的になってくれば、特に日本が考えているように広い範囲でのものであるということについての具体性が出てくれば、我々から見れば、今言われたように前向きだということになると思います。
今はまだ、残念ながらそういった方向性が出るという見通しは立っていないということで、一生懸命努力しております。
(問)今日、アメリカと韓国の間でFTA大筋合意ということだと思うんですが、これを受けて改めて日本政府としての受け止めと、それから、一部でアメリカと日本でもFTA、EPAを結ぶべきだという要望が経済界から出ているんですが、これに対して日本はどういうふうに対応していくのかを。
(事務次官)韓米のFTAなんですが、まず、まとまったこと自体は良かったのではないかと思いますけれども、内容はまだ我々聞かされておりませんので、内容に立ち入ったコメントは控えたいと思います。ぎりぎりまでお互い交渉に全力を尽くされて、まとまったということで、米韓関係そのものがよくなるということは、日本にとってもよいことですから。そのこと自体は評価しうるのではないかと思います。
それから、日米につきましては我々としては日米の間でFTAないし、EPAを作るということは常に検討課題としてはあると思うんですけれども、現在WTOが進められている状況にあり、それへの影響ですね。なんといっても日米の経済力は合わせると世界のGDPの40%以上。その中で日米がFTA等を進めることの問題。あるいはまた、日米間では通商航海条約を中心として非常にたくさんの経済貿易関係についての法的な枠組み、あるいはルールというものがありますので、それにさらにFTAとかEPAをやることのメリットがどれだけあるのかと。あるいはまた関税率でも、特に工業製品についてはお互いに相当低くなっています。そういうところのメリットも考えていかなくてはいけないと思ってます。従って、ただちに日米で始めるという状況ではありませんけれども、よく勉強する必要があるのではないかと思っております。
(問)アメリカと韓国が同意したということになりますと、経済界からは早く韓国との交渉を再開してほしいという声がまた出てくると思うんですけれども、韓国とのFTA交渉の再開の見通しについてはいかがでしょうか。
(事務次官)これは、今回の済州島での外相会談でもこの問題について進める方がいいではないかという話し合いが行われたようですけれども、残念ながら、韓国側は日本の提案、特に農業分野でのオファーが低すぎるということを理由として、交渉に入れないということで、そのまま止まったという状況になっておりますので、我々は依然として、その種の問題というのは交渉することによってお互いの立場の差、あるいはギャップというものを埋めていくということが大事なので、およそ話にならないというアプローチはいかがかなと思っているわけです。なんとか立ち上げるといいますか、寝た状態になっているものを立ち上げる工夫がないのか、これから更に考えていかなくてはいけないということです。
(問)六者会合の関連ですけれども、BDA(バンコ・デルタ・アジア)問題がいっこうに解決の兆しが見えない中で、この問題および他の協議の再開に向けて現在の次官の見通しについては。
(事務次官)このBDAの問題は今、基本的に技術的な問題なのだろうと思いますけれども、2、3日以内とかいろいろな説がありましたけれども、進んでいないということは、我々としても残念に思っており、この問題を早く片づけて六者会合そのものに入っていけるようになればいいと思っています。ちょっと我々の手から離れたところに存在している問題なので、何となく隔靴掻痒の感があります。六者会合そのものは我々としては核の問題について、特に60日以内という期限がありますので、この六者会合そのもののモメンタムは維持していくことが、あるいは維持されることが大切だと思ってます。
(問)現在も60日以内の初期段階の措置が非常に難しい感じもあるんですが、60日以内ということについてはまだ可能だと思ってますか。
(事務次官)希望は捨てるべきではないであろうと思いますけれども、客観情勢としては、相当難しくなっているなという感じはしております。
(問)明日、日中の外相会談がニューデリーであると思うのですけど、そのポイントと東シナ海の共同開発の問題について、日中の外相会談で前進ができる話し合いは行われるかどうかを含めて、ポイントをお願いします。
(事務次官)日中外相会談はご承知のように、今月の半ばに開かれるであろう温家宝総理の訪日に伴って、首脳会談が想定されているわけですから、その前段階として外務大臣レベルで、つっこんだ話合いがされることを期待しております。我々としては、未来志向で日中両国が様々なプロジェクトに協力していくという方向性が、少しでも打ち出されるように議論されることが望ましいと思っています。その中で、東シナ海のガス田の開発の問題は大きな項目であると思ってます。そこで外相レベルで話し合いがあって、温家宝総理がおいでになった時、より前向きなものが導き出されるようになることを期待しています。
(問)ガス田協議ですが、温家宝総理が来日の前に、再度、局長級協議を開くという検討をされているのでしょうか。
(事務次官)それができるとよいと思いますが、客観的にみてこの間実施したばかりなので、なかなか難しいと思います。それとは別に課長レベルで技術的な会合が想定されていますが、色々な意味で情報の交換は重要だと思いますので、それをやることが先決ではないかというふうに思っています。
(問)ソロモン沖の地震について邦人の被害については、現在どのような連絡が入っていますか。
(事務次官)現在のところ、被害があるという報告は受けておりません。
(問)日米の2+2なんですけれども、5月上旬に開催の調整を進めていると考えてもよろしいでしょうか。
(事務次官)そのように考えていただいて結構です。
(問)5月1日にということを聞いたのですけど。
(事務次官)それはまだ決まっておりません。
(問)この中で、主要なテーマはどのようなものになるでしょうか。
(事務次官)米軍再編の問題等々、安全保障に関連する問題はすべて議論されることになろと思います。
(問)MDの話もでしょうか。
(事務次官)はい。