記者会見

事務次官会見記録(平成19年1月)


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事務次官会見記録(平成19年1月29日(月曜日)17時26分~ 於:本省会見室)

久間防衛大臣の発言

(問)久間防衛大臣の発言についてですが、米国のイラク政策を批判するような発言がちょっと続いていまして、これが日米間にとって影響があるかどうかお願いします。

(事務次官)久間大臣の方から、イラク開戦についてのご自分の感想というのは、大臣になる前のことを言ったのだということを言っておられるわけで、それ以外にもいくつかあるのかもしれませんが、基本的にはそういう説明ですから、それだけで日米関係に何か悪影響が出るということではないと思います。事実関係をよく説明し、かつ、私は久間大臣のお立場をご説明する立場にありませんが、イラク開戦後の日本政府の立場については、基本的に、久間大臣も共有しておられるということですから、そこは特に問題があるとは思っていません。

(問)それは、米国に対してもそのように説明をして、向こうも納得されているということでしょうか。

(事務次官)納得したかどうかわかりません。というのも、色々な人が米国政府の中におられるわけですから。事務的な照会に対しては、説明しています。

(問)その「事務的な照会」ですが、いつそのような問い合わせがあって、いつ、どのように返答されたのでしょうか。

(事務次官)その点については、具体的に誰から誰へ、いつということはご説明しないということで、コメントを控えさせて頂きます。

(問)関連ですが、更に、イラク開戦の他に、外務省と一緒にやっています在沖縄米軍基地移転問題で、かなり米国に対して不快感を一昨日示されたようなのですが、一緒にやっている外務省としては、その発言をどのように受け止められましたでしょうか。

(事務次官)具体的に、正確にどのようにご発言になったか存じませんが、久間大臣は、基本的に、日米両政府の合意及びそれについての地元の理解・協力が不可欠であるということを、講演の場で言われたものと承知しています。

(問)それについて米国から問い合わせ等はありますか。

(事務次官)それについて照会があったとは聞いていません。

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六者協議

(問)六者協議の日程の調整ですが、日本政府としては、中国政府なりからの打診に対して、回答はもうしたという状況なのでしょうか。

(事務次官)日本の都合は伝えてあります。

(問)もう最終的な日程についても決まるような段階だということでしょうか。

(事務次官)もう決まるような段階だと思っていますが、具体的な発表は、議長役である中国政府の方からなされると理解しています。

(問)間もなく中国から発表されるであろうということなのですが、成果について、核・ミサイル関連である程度前進すると次官として見通すのかということと、日朝の二国間協議については、前回は「窓は開いている」という立場でしたが、今回はどのように臨むのか、その2点をお願いします。

(事務次官)まず、見通しという点では、まさにこれから六者協議を再び開いて行うという時期なので、是非進展があることを期待はしているわけです。ただ、日本だけで決めるような話ではありませんから、その期待を実現すべく努力するということになると思います。日朝の問題については、これはまた、しばらく実際に対話が行われていませんので、この六者協議の場で、今言ったような進展が図られるプロセスの中で、日朝協議が開かれるということについては、私どもはそもそも北朝鮮との間で懸案となっている事項、拉致問題を含め、少しでも進展を図りたいと思っています。そもそも話が行われないと進展の図りようがないので、そういう意味で、今回はそういうものが是非開かれることを望んでいますし、作業部会は開かれるのではないかと、これは我々は見通しに近い期待を持っています。

(問)前回に比べてより積極的にそういうことを求めていくというような感じになるのでしょうか。

(事務次官)前回と比較しているわけではないので、ちょっとコメントのしようがないのですが、ただ、前回は実現しませんでしたから、そういう意味では、今回はより真剣に対話の必要性は求めます。ただ、こちらから何かお願いするとかいうことではありませんので、その点は誤解ないようにお願いします。

(問)前回の12月について言えば、ある程度進展があるはずということで行って、金融協議を楯に何も進まなかった。今回、比較的楽観的な見方を北朝鮮もしているようですが、金融制裁が法執行であるということは変わらないはずだし、北朝鮮が核を持とうという意思について大きな変化があったとも思えないとしたら、12月と今回は何が一番違いますか。

(事務次官)まさに米朝協議がベルリンで行われて3日間議論され、その上で、両方が、前回12月に比べると、それこそ比較すれば、やや楽観的なことを言っていますので、その話し合いが何らかの進展を含んでいるものであるから、そういうことを言っているのであろうと思っているわけです。前回もそういう期待がなかったかといえば、それは期待はあったのですが、正直言って我々はその期待は裏切られたという実感なので、今回はそういうことがないようにと期待もしていますし、また、我々としてできる努力があれば、それは惜しむべきではないと思っています。

(問)前回よりは裏切られるリスクが少ないということですか。

(事務次官)そう期待しています。

(問)先ほど次官が「作業部会が開かれると思う」とおっしゃったのは、日朝の作業部会が、今度の、間もなく再開される六者協議においてということですか。

(事務次官)その場においてということを期待しています。

(問)作業部会というのは、具体的に言うと、日朝関係について色々と進めていく作業部会ということですか。

(事務次官)そういうことです。

(問)他の5部会の中のひとつの部会ということですか。

(事務次官)そういうことです。

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日中総合政策対話

(問)先日、日中総合政策対話を行いましたが、そこで、「戦略対話」という言葉を使うという話が出て、次官はその後のぶら下がりで「基本的にいいのではないか」という話だったと思うのですが、この「戦略対話」とか「政策対話」であるとか、「グローバル・パートナーシップ」、この言葉の差とか使い分けについて、少しご説明頂ければと思うのですが。

(事務次官)この辺りは、外交的に、相手国との友好関係を強調するため、言ってみれば耳ざわりのいい言葉を使うとか、そういった部分があることを否定はしませんが、基本的に、共通の戦略的利益を持っている国との関係を深めていこうとするときに、「戦略的パートナーシップ」とか、中国の場合では「戦略的互恵関係」という言葉を使っているのです。この「戦略的互恵関係」を打ち出したのは、昨年10月8日の日中首脳会談においてですので、「戦略的互恵関係」という以上は、私のレベルで行っている戴秉国・外交部副部長との対話も戦略対話と称しておかしなことはないのではないかということです。その以前には、共通の戦略的利益というものは存在していましたが、なかなかお互いにそれを素直に認め合うような状況ではなかったので、その辺りは、敢えて「戦略対話」という言葉は使わなかったというのは事実です。

(問)対話する中身については、名称如何によって変わる、これから変わっていくと捉えていいのでしょうか。

(事務次官)名称を変えたことによって中身が変わっていくということではありませんが、他方、戦略的互恵関係ということは安倍総理の方からも打ち出して頂きましたので、具体的な内容をこれからこの戦略対話あるいは政策対話の中でさらに詰めていくという作業は、これは従来、必ずしもそういうことはやっていなかったと思うので、そういう意味では変わっていくと思います。

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日露戦略対話

(問)日露戦略対話のためモスクワに行かれて、これは当然、戦略的な関係をロシアとこれから深めていこうという会合だったわけですが、そのロシアとの戦略的な関係というのは、今回どの程度深まったのでしょうか。それから、昨年暮れに、次官は日露戦略対話の2回目の会合について、できるだけ頻繁に開いていきたいとおっしゃっていたと思うのですが、次はどのくらいで開けそうなのかという見通しについてお願いします。

(事務次官)全般的に言いますと、今回は日露間の次官レベルでの戦略対話であり、また、ラブロフ外務大臣とも話しましたが、ロシアと日本との間では、先ほどの話ではありませんが、共通の戦略的利益を、安全保障も含めて、このアジア地域において相当有しているということは確認できたわけです。私は、20世紀の日露関係が相対的に暗かったように思うのですが、21世紀は是非明るい日露関係にしようではありませんかということを申し上げ、ロシア側も「今回の戦略対話で重要な新しい1ページが開かれることを期待しています」という言い方をしております。その点については私も同感であり、その第1 ページというのは明るい時代の第1ページであってほしいと思っています。一応、日露間では今年中にまたやりましょうということですが、私個人としては、今年前半に、今度はデニソフ第一次官に来て頂いて、更にこの戦略対話を深めていきたいと思っています。1回話し合ったから戦略的関係が深まるというようなものではないと思いますが、第1ページは開いたと思っています。

(問)戦略的利益を日露がこれから共有していくためには、当然、二国間には大きな島の問題があるわけですが、これについては今回どの程度進展があったと見ていらっしゃいますか。

(事務次官)この問題については、ロシア側も非常に慎重でして、ご承知のように、対話の前には、戦略対話ではこれを取り上げないという趣旨の発言があったかに報道されていますが、私の方から申し上げたのは、この戦略対話というのは領土問題交渉ではない、これは確かにその通りである、他方、戦略的関係を考えるときに、例えば、明るい日露関係を作るときに、領土問題に一切触れずに議論を進めるということはあり得ない話なので、この戦略対話の中でこの問題について、すなわち領土問題について話し合うことは当然有り得ることでしょうということを申し上げ、それはその通りですねということでした。他方、領土問題について更に突っ込んだ話を、いわゆる交渉的にやったかと言われれば、そういうことはやっていません。しかし、戦略的視野の中でこの領土問題を見ていこうという視点は双方にあったのではないかと思っています。

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事務次官会見記録(平成19年1月15日(月曜日)16時33分~ 於:本省会見室)

日本版NSC

(問)日本版NSCについてですが、国家安全保障に関する官邸機能強化会議が現行の安保会議の下に、外相や防衛相、総理を主要メンバーとする閣僚会議を新設する草案を提示したようですが、これについての受けとめや期待について教えてください。

(事務次官)これは今、懇談会で有識者が意見を交換して、どういう格好でやるのが所謂「NSC」なるものとして有効に機能するかについて議論されていますので、今、外務省としてこうしたらいいとかああしたらいいという意見を述べることは差し控えたいと思います。その報告を見て、我々としても必要があればその立場を明らかにするということになると思います。

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北朝鮮問題(山崎拓議員の訪朝)

(問)山崎拓議員が北朝鮮に行き、会見等で拉致問題について話し合ったことを明らかにされてますが、その中で、山崎議員は議員外交でパイプを作ることが目的だったという話もされています。それについて外務省としての、今回の山崎議員の訪朝の評価とその議員外交というパイプの必要性についてお聞かせください。

(事務次官)議員外交というのがどういう意味なのか、北朝鮮との間には国交関係も無い訳ですから、そういう国と議員外交を作るというのはどういう意味合いを持つのかという感じはします。いずれにしても今回は我々としては北朝鮮との関係で、「対話と圧力」という観点から、今、特に核の問題は六者会合で対応し、また一連の北朝鮮への抗議については国連決議の内容を履行するということもしていて、公務員の渡航自粛、その他国民にもそういう要求をしているわけですから、そういう要求の中でどういう名目であれ、今、北朝鮮においでになることはあまり建設的な効果を期待出来るという話ではないだろうと。そういう意味で官房長官も望ましくないということを仰っているのだと理解しています。

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日露関係

(問)日露次官級戦略対話について、ロシアとその調整を続けていると思いますが、現段階での状況と見通しについてお話ください。それから昨年の日露首脳電話会談でフラトコフ首相来日の話があって、その後、首脳会談で今年前半での来日というのを検討されていると思うのですが、それも含めての見通しをお話ください。

(事務次官)次官級レベルでの日露戦略対話は来週前半にでも可能にすべく、今調整をしていて、決まり次第、公表しようと思っています。フラトコフ首相の訪日というのは、前から課題としてありまして、今年1月はちょっと無理だと思いますが、2月の然るべき時期ということでこれも今調整をしているところです。

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米朝会合

(問)米朝の金融制裁の会合ですが、今月下旬とありますが、具体的な日程について何か聞かれているでしょうか。

(事務次官)具体的な日程について、こういう日程でやるのだという形での通報はまだ受けていません。ただ、今月下旬ということで話を進めているということは一般的には聞いています。

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