(問)今日の日中総合政策対話をされましたが、この日程は、今日でまだ終わりというわけではないのですか。
(事務次官)今日で終わりということではありません。まだ続けましょうということになっています。
(問)今後はまた、明日以降、明日やるというような感じですか。
(事務次官)明日以降になるでしょう。まだ詰めていませんが。
(問)今日はどういうテーマで話されたのですか。
(事務次官)日中関係の問題について話しました。内容は言えません。
(問)両者の見解の相違というのはだいぶ埋まってきたのですか。それともまだ。
(事務次官)これは対話ですから、あまり、立場の違いを埋めるとかそういう次元の話をしているわけではありません。交渉ではありませんので。
(問)日本側の立場は理解されたのでしょうか。
(事務次官)日中間の問題といっても、色々とありますので、理解が深まったものもあれば、平行線のものもあるということです。
(問)次官ご自身の考えとして、近い将来のうちの首脳会談はやった方が良いとお考えですか。
(事務次官)やった方が良いかどうかというご質問であれば、それはやった方が良いと思います。1年半くらいでしょうか、首脳会談は行われていませんので、そういう意味でも、新しい政権になって、早い段階でそういった首脳会談が行われれば、これは今後の日中関係にとって非常に良いことだと思っています。
(問)それに向けて何らかの前進というものは今回ありましたか。
(事務次官)今、その具体化に向けて前進しているという印象は持っていません。
(問)中国側は、そういった次官のお考えですが、今回の総合政策対話のそういった意向というのは、中国側は把握しているというか、理解しているような印象はありますか。
(事務次官)日中首脳会談が行われない状況が満足すべき状況でないということは、中国も認識していると思います。
(問)今日、麻生外務大臣と戴秉国・外交部副部長との会談内容については聞いていらっしゃいますか。
(事務次官)大体のことは聞いています。
(問)言える範囲で、どういった内容だったのかお願いします。
(事務次官)私は同席していないので、間接的なのですが、基本的には、日中関係の問題、特に政治的障害の問題について意見の交換が行われたと理解しています。
(問)政治的障害というのは、いわゆる中国側が言っている靖国問題という風に理解してよろしいのですか。
(事務次官)政治的障害はこの問題ですという説明があったことはないのですが。
(問)あうんの呼吸。
(事務次官)常識の範囲内で考える問題ではないかと思います。
(問)早い段階でやった方が良いというのは、韓国とも同じような話ですか。
(事務次官)同じです。
(問)明日、組閣ですが、外務大臣にはどのような方がいいとお考えですか、一般論ですが。
(事務次官)外交問題に造詣が深く、実力があり、事務当局との間の意思疎通もスムーズにできる、そういう大臣であって欲しいと、一般論としては思います。
(事務次官)海洋の科学的調査に関する日本と韓国の間の協議についてご説明いたします。海洋の科学的調査に関する日韓間の協力については、4日及び5日に局長級で行われた排他的経済水域境界画定交渉で相当突っ込んだ意見交換が行われ、6日及び7日の第3回次官級戦略対話でも議論致しましたが、次官級戦略対話終了後も、担当課長がソウルに残りまして、議論を継続していました。我が国は、これまでも適当な時期に海洋の科学的調査を実施する旨説明してまいりましたが、今般、この秋に実施を予定している放射能調査を、気候条件を考慮しつつ、10月中を目処に日韓間で共同して実施することに合意致しました。具体的には6つの調査実施地点で、日本側船舶及び韓国側船舶の双方にて調査を実施し、そのデータを交換いたします。なお、日韓双方の船舶にはそれぞれ相手方の調査員も同乗することとなります。海洋の科学的調査に関しましては、日韓間で無用の混乱が生じることを避けるためにも、海洋の科学的調査に関する暫定的な協力の枠組みに早期に合意することが必要であり、引き続き日韓間で誠意を持って協議して参りたいと思っています。また、日韓両国間の排他的経済水域境界画定交渉についてもこれを加速化させていきたいと思っています。以上です。
(問)6つの調査実施地点というのは、3つ3つで合計6つですか。
(事務次官)共同の調査をするのは6つということです。日本海側で、元々多分北の方でやっております地点については、韓国側は特に共同ということは言っておりませんので、単独でやることになります。
(問)3つの調査実施地点のうち、所謂竹島周辺海域というのは。
(事務次官)そこは元々これまでもそうですが、日本は過去13年間、所謂「重複水域」である3地点で行っているのですが、その3地点は共同でする。それから更にその水域の日本側のわが国経済水域3点で調査を行うということで意見の一致を見ております。
(問)更に3点するというのは共同でするということですか。
(事務次官)はい、そうです。つまり、日韓両国の船で、それぞれの船には相手方の調査員が乗り込むという形でします。
(問)そうすると6つになりますか。
(事務次官)そういう形で調査する地点は全部で6つになるということです。
(問)その3点は所謂主張が重なっている部分には入っていないのですか。
(事務次官)「重複水域」の中に3点あって、これは元々今までもしていた地点。それからその東側、日本側の排他的経済水域で新しく3点するということです。
(問)それは同じ放射能調査なのですか。
(事務次官)そうです。
(問)この新しい3点というのはこれまでもしたことのなかった地点ですか。
(事務次官)日本はしたことがありません。
(問)今回、新しくこの3点を付け加えるのはどういった理由ですか。
(事務次官)韓国が今回共同調査ということを望みまして、その際に共同調査ですから彼らはその3点もした方がいいという考えですので、我々としてもそれを拒否するまでもないということで、それはそれでしましょうということです。
(問)その6点の調査地点について、日韓それぞれの調査船はどういう分担をするのでしょうか。
(事務次官)詳細はこれから海洋当局間で話し合っていかなければいけませんけれども、基本的には同じ地点で日本は日本で調査し、韓国は韓国で調査するということになります。
(問)同じ地点にそれぞれの船が入るのですか。
(事務次官)そうです。地点と言っても幅がありますから。船がくっついてするわけではありませんから。それから同じ日にするかどうかは別問題です。
(問)EEZの韓国側の地点でする必要はなかったのでしょうか。
(事務次官)我が方はそこでする必要は認めていませんし、過去13年間していませんので、今回特別にそこでさせて欲しいということは言っていません。
(問)調査をする地域はこの他にもあるということですか。全部でいくつですか。
(事務次官)全部でいくつかは知りませんが、過去13年間、今の「重複水域」の3点を含めて上の方に10ぐらいあるのではないでしょうか。これはいずれも日本側の経済水域です。
(問)それにプラスして韓国側が3点。要するにプラス3になるわけですか。
(事務次官)従来のものにプラス3ということになります。
(問)これまでしてこなかった3点、特に日本により近いところでする必要性というのは、韓国側からどういう説明があったのでしょうか。
(事務次官)この辺りの水流というのは北の方から流れてきますから、そういう意味で韓国側はこの3地点も調査する必要があるという考えでして、こちらとしてはそれは意味がないだろうということでもありませんので、そういうことであれば共同調査しようということです。
(問)放射能調査をしながら、例えば水流の調査とか水温の調査とかをする可能性というのは。
(事務次官)そういうことをそこの地点ですることに意味があるのかどうか、私は専門的には知りませんが、いずれにしても他の調査をするということは双方とも想定しておりません。
(問)データの交換というのは具体的にどういうことをイメージされますか。
(事務次官)これも私は専門家ではないのですが、放射性廃棄物が捨てられて海底に流れ着いた部分から、途中の水を取ったり、あるいは海底の泥を採取したりするわけです。それで特定の作業方法で調査して、その結果、汚染度がどれくらいだったという数字が出てくるわけです。そのデータを交換するということです。
(問)基本的には全く同じ調査をそれぞれがするということですか。
(事務次官)方法はそれぞれ各国が独自の方法を持っているようでして、そこのところはデータを交換した時にお互いに意味のある、少なくとも翻訳可能なものでないといけないと思いますので、それはまた専門家同士で話し合うと理解しています。
(問)放射能調査は日本側が毎年しているということですが、来年以降、例えば共同でしていくのかどうかの話し合いはどうなっているのでしょうか。
(事務次官)これは今回につきましては、元々我々が春以降、今年中にする必要があると、十数年間毎年しているということでしてきたわけで、それがなかなかどうぞという感じにはならないものですから、今回はこういう形でともかく日本のこれまでの継続性が保てるように、今回こういう形態を取ったということです。来年もこういうことをすると決めたわけではありません。
(問)「重複水域」は毎年3点だったのですか。
(事務次官)そうです。
(問)今回、相手側の船に同乗するのは海上保安庁の方になりますか。
(事務次官)多分そうだと思います。そういう専門家でないと、私が乗っても意味がありませんから。
(問)日韓それぞれ調査の仕方がちょっと違うと仰いましたが、そうしますとその3箇所の地点について共同調査をすることによって、データを翻訳する作業という新たに余計な負担が増えるということはならないのでしょうか。
(事務次官)それはそうでしょうね。全く同じ方法で調査するのではないでしょうから、手間暇がかかるというのはそうでしょうね。
(問)そもそもこの共同調査は日韓どちらからどのような経緯から出たのでしょうか。
(事務次官)これは元々韓国から共同調査をするという考え方はどうであろうかということを言ってきたわけです。今回はどうすれば日本側の要請、すなわち日本側としては継続して調査したいというところを確保したかったわけですから、そこについて知恵を出し合った上で共同開発をすることにしたということです。
(問)最終合意したのは今日ですか。
(事務次官)公表が今の時点だということです。合意はもっと前です。
(問)いつですか。
(事務次官)そんなに遠くない過去です。
(問)境界確定交渉の見通しを次官なりにどう見てらっしゃいますか。
(事務次官)境界画定となると竹島の問題もありますので時間がかかると思います。そう簡単にはまとまらないと思います。
(問)韓国側から向こう側の調査の何か、放射能調査とは別に何か説明はありましたでしょうか。
(事務次官)今後別のこういうのをするのだという説明はありません。
(問)今後、韓国が累次のあるいは科学的海洋調査をする場合は、日本政府としては共同調査を申し入れる方針ですか。
(事務次官)我々として今後しなければならないことの一つは、排他的経済水域の境界画定交渉です。はっきり境界を画定できれば、どちらの経済水域か明らかになるわけですから、それを前提として海洋法条約上の手続きに従ってすればいいわけです。他方、それがなかなかできないという状況で、且つ調査をしたいという状況が生じてくると思いますけれども、そういう場合は我々としては相互通報なり暫定的な枠組みを作って、その下でしたいと思っています。従ってこの問題としては暫定的な取り組み、枠組みの交渉と、経済水域の境界画定交渉の二つをこれからもさらに加速度をつけてしていきたいと思っています。
(問)その暫定的な枠組みができる前に韓国側が独自の調査をしたいということが明らかになった場合は、日本政府としては今回と同様に共同の調査を申し入れるということになるのでしょうか。
(事務次官)共同調査を申し入れるかどうかは知りませんが、一方的にされることについては、今年の7月にありましたが、あの時と同じ対応を取るのではないと思います。いずれにしても今年の7月の経験、そして今回の経験がありますから、その経験を踏まえて出来るだけ円満な海洋秩序というものを維持できるように話し合いをしなくてはいけないと思います。
(問)今日、自民党総裁選の討論会があり、その中で日中関係の話の中でこういうやり取りがありました。日中国交回復の時に、谷垣氏から「中国は戦争指導者と一般の国民を分けて国交を回復した経緯があります。この点について安倍長官はどのようにお考えですか。」とあり、それに対して安倍長官が「文書としてそういう文書は残っていないと思う。日本国民を二つの層に分けることは、中国側の理解かもしれないが、日本側みんなが理解していることではないし、やや階級史観風ではないかと私は思います。」というどちらかという否定的な見解を述べられたのですが、これはこれまで日中国交正常化の時の日本の立場、考え方というものを否定する印象があるのですが、それについてはどのようにお考えですか。
(事務次官)この問題について中国政府がそのような立場で言ってきているというのは、我々もファクトとして認識しているわけで、これについて良いとか悪いということについて、日本政府としての立場は基本的に明らかにしていないのではないかと思います。中国がそのように言っているということを我々は事実として認識しているということだと思います。そのことについて安倍官房長官がどう仰ったか正確には存じ上げませんが、そこは一政治家としての考えを、総裁選ですから、述べられたのだと思います。
(問)日中国交正常化の時の戦争指導者と一般国民の区別について伺いたいのですが、そういう考え方というのは、日本政府としての考え方として出したことはなかったと言っていましたが、事実上、中国が靖国問題で物を言う時とか、あるいは賠償放棄にいたった経緯が問題になった時に、それがベースになったということは恐らく日本政府も認識をされていると思うのですが、もしもそれを否定した場合、白紙に戻して議論することになりかねないと思うのですが、日中関係への影響についていかがお考えでしょうか。
(事務次官)今申し上げましたが、そこのところは中国がそういう認識を持っているという前提で国交正常化もしたのだということで言っていますから、事実は事実として、それを前提として今後の日中関係をよくしていくためにはどうするのかということを考えていくべきだと思うので、過去の認識の問題についてそもそもそこのところは間違っているとかそういうことを詳細にわたって議論することは適当ではないのかないかと私は思います。
(問)北方四島周辺水域における日本漁船の銃撃・拿捕事件ですが、今日、予備尋問が行われたと聞いていますが、次官の方にはどのような情報が入っていますでしょうか。
(事務次官)これはロシアの中でそういう手続きが進んでいるのだと思いますが、元々我々の原則的な立場から言えば本来あそこは日本の領海あるいはその周辺水域なのかもしれませんが、いずれにしてもそういう前提で考えていますから、そういった手続きが取られるということ自体、我々としては遺憾に思っていますが、現に船長さんはそういう手続きに従わざるを得ないお立場にありますので、そういうお立場も配慮しなければいけないのだと思います。
(問)船長が日本に帰ってくる見通しについてはどうお考えですか。
(事務次官)これはロシアの手続きですから、我々としていつ頃という見通しはありません。なるべく早く解放されることを我々としては強く期待しています。
(問)日韓排他的経済水域境界画定交渉の進捗状況はいかがでしょうか。
(事務次官)まだ経過報告は受けておりません。然るべくやっているのだと思います。
(問)展望と見通しは如何でしょうか。
(事務次官)精力的に話をしたいと思っていますから、出来るだけ時間を使って接点が出てくればいいなと思っています。
(問)日韓次官級戦略対話の日程は決まりましたでしょうか。
(事務次官)6日、7日ということでやる予定です。
(問)戦略対話に臨む心境というのは。
(事務次官)先程言った通りです。何を話すかですか。議題は決めていないのですが、北朝鮮の核、ミサイル、あるいは拉致といった問題は当然話題になると思いますし、中国との関係では歴史認識の問題もあるでしょう。それから、年末までに国際会議がアジアでもありますので、そういった会議に臨む態度あるいは問題についての議論があります。それから韓国の盧武鉉大統領は中旬に米国に行かれると思いますので、米国との関係。いずれも両国にとって米国は重要な同盟国でありますから、そういった点も対話の内容になると思います。それから我々が予定しております海洋調査についても、これは今の排他的経済水域の境界画定交渉の中で、非公式にそういった議論もされると思いますので、それを踏まえて次官レベルで話すことがあればそうしたいと思っています。
(問)ソウルに行かれた時に今後の日韓首脳会談の話はされるおつもりですか。
(事務次官)新政権になって日韓首脳会談はあった方がいいと思いますので、そういう意味で話題になることは考えられると思います。ただそれがどういう話になっていくかはちょっとわかりません。
(問)韓国側は盧武鉉大統領が首脳会談に応じてもいいというようなことを言っているという報道がありますが、事実関係は。
(事務次官)政府間ではそういう話し合いやそういう風に言われたことはありません。
(問)公式にはということですか。
(事務次官)公式、非公式を通じて、そういう風に盧武鉉大統領が御発言されたとは聞いておりません。
(問)北朝鮮のミサイル再発射の動きがあるという話が出ていますが、これについて情報は何かありますか。
(事務次官)これについて確認された情報はありません。従って特別な動きがあるという風には承知していません。