(問)韓国の国家情報院の事務長が韓国の国会で、北朝鮮の核実験のための周辺施設は常に準備状態であると発言されているのですが、日本政府としては事実関係はどのように把握されていますか。
(事務次官)その発言は存じていませんし、また、それを裏付けるような情報は、少なくとも私の方にはまだ入っていませんので、その情報は今確認できません。
(問)もし北朝鮮が核実験をしているという情報をつかんだ場合、日本政府としての対応は抗議とかそういったものが考えられていますが、どのような対応をとられるおつもりですか。
(事務次官)核実験を行うというようなことは許されないことですし、そのようなことは望みませんが、仮にそういうものがもしあるとすれば、それは厳しく対応しなくてはいけないと思います。従って、そういったことがないよう、北朝鮮には、これは何も日本だけではなく、中国や韓国も同じように考えていますし他の国も同じですから、そういった国際社会の声に耳を傾けて、慎重に行動して頂きたいと思います。
(問)エネルギー問題ですが、アザデガンで、イランの開発会社が、ロシア、中国の方とも共同開発したいという発言があったのですが、これについてまず確認が取れているかということと、仮に確認が取れた場合、今後の政府の対応というのはどうでしょうか。
(事務次官)イラン側としては、あの周辺には色々と地雷等があるということで、その処理活動をやってきて、ある程度の見通しが立ってきたという状況にあるのだろうと思います。他方、国際社会で今、イランの核の問題を巡って非常に厳しい雰囲気が出ている中で、このアザデガンについては早く進めたいという気持ちもあるのだろうと思います。今ご指摘されたような発言があるかどうかは私は聞いていませんが、そういったようなこともあって、早く進めたいという気持ちがイラン側にあることは承知しています。ただ、我々としては、その辺は色々な要素を考えながら、契約自体は別件ですが、その契約に基づいてどのような点をどのように進めていくかは慎重に考えていく必要があるのではないかと思います。
(問)今、小泉総理がウズベキスタンを訪問していることに関係してですが、ウズベキスタンの空軍基地を巡って、米国と中国、ロシアが安全保障上の要衝として色々な争いをしている中で、日本政府としてこの地域に由来する安全保障上の戦略というのは具体的にいかがでしょうか。
(事務次官)この地域は、ご承知のように、旧ソ連から独立して民主化あるいは工業化、その他、近代国家としての、言ってみれば、新たなる建設を始めているところだと思います。それと同時に、当然、それに伴って生じてくるような色々なひずみとか問題もあると思います。更にまた、今言われている、中国、ロシアからも色々な働きかけを受けているし、それと同時に、アフガニスタンとか、更には中東とも非常に近接した関係にありますので、大変難しい問題も含んでいる地域ではあるのです。そういった所が安定した形で発展していくことは非常に望ましいし、また、テロの問題、あるいは原理主義の問題、そういった問題もあると思いますので、そういう観点からも我々は非常に大きな関心を持っているのです。あの地域が平和で安定した形で、民主化、更には近代的な歩みを進めていくことが望ましいと思います。そのために日本として為すべき事があればできるだけ協力したいと思っていまして、一つのフォーラムとしては、ご承知のように中央アジア+日本というフォーラムがあるわけです。そういったフォーラムを通じても、あるいはまた二国間の関係を通じても、日本側としての協力を進めていきたいという考えです。
(問)例えばその地域に対して、民主化の促進であるとか自立した経済支援というのを日本側が訴えかけていくとか、ひいては米国の猛進を後押ししたいという戦略というのはありますでしょうか。
(事務次官)米国を後押しするというよりも、今申し上げましたように、平和で安定して、そして民主化あるいは近代化というものを進めていくこと自体が望ましいことなので。ただ、それはそれぞれの国がそれぞれの国益あるいは理想というものを持って進めていくわけですから、我々はそれを一所懸命働きかけるというよりは、そういうことであればそれを支援していくということだろうと思います。主役はあくまでも彼らです。
(問)それに関連して、麻生大臣も会見またはテレビなどでもよくおっしゃっていますが、旧ソ連14カ国、中国は大使館を14カ国に持っているのに日本は2カ国しか大使館を持っていないと。橋本総理がシルクロード外交というものを掲げて、かなりこの地域について外交を展開しようとしていたと記憶しているのですが、それにもかかわらずこれだけ出遅れているということは、どこに理由があるとお考えですか。
(事務次官)あの辺りは、中央アジアでは、今回総理がおいでになっているウズベキスタン、カザフスタン、それからコーカサス地方といいますか、あとはアゼルバイジャン、ウクライナにも大使館があるわけで、旧ソ連の国々の中で14カ国中4カ国だったと思います。私どもとしては、大使館をできるだけ多く作って、こういった国々との関係の緊密化を更に図りたいと思っていますが、これはしかし、行政改革、あるいはまた定員の問題、機構の問題で、色々な制約がありますので、そういった制約の中で一所懸命努力した結果として、今こうなっているということです。我々としては、ここは更に、基本的には増やしたいと思っています。これから我々が努力しなくてはいけないと思っています。
(事務次官)坂場三男外務報道官は8月8日(火曜日)に外務省において日中外務報道官協議を行いますこの協議では、劉建超(りゅう・けんちょう)中国外交部新聞司司長との間で、日中間の有効協力関係を未来に向けて発展させていくために両国の外務報道官が果たす役割や、双方が現在取り組んでいる事例等について意見交換を行う予定です。
(問)これまでは非公式だったのが、今回からは公式に協議になったのですが、その目的や意義は何でしょうか。
(事務次官)この点は、元々当時の高島外務報道官が2003年に訪中した時に、このような報道官協議を行いましょうという事を当時の孔泉中国外交部新聞司司長に話をしたのですが、それが実現できなくて、今回それが実現するようになったということです。日中間は色々と問題がありますし、またそれを巡って色々な議論も行われていますので、それぞれの報道官、あるいは新聞司司長の間で議論し、誤解その他がないように話をしていくことが非常に大事なことであろうと思っています。それからまたマスコミ事情というものも日中では違うわけですから、この辺りは中国側にもよく理解しておいてもらわないといけませんし、我々もまた理解しなくてはいけない部分があると思いますので、有意義な話し合いが行われることを期待しています。
(問)協議について双方が取り組んでいる事例について意見交換が行われるということですが、具体的にはどういう事例なのでしょうか。
(事務次官)それは私も詳しいことは承知しておりませんが、例えばホームページであるとか色々な外部からの問い合わせにどのように対応しているかなど、そういう実務的な話だろうと思います。
(問)中国の春暁油ガス田ですが、事実関係として日本政府は春暁の生産が開始された事を確認しているのかどうか。確認できていないのであれば、改めて今後、口頭でも何でもよいのですが、中国側に問い合わせをする予定はあるのでしょうか。
(事務次官)まず生産を全面的に開始しし得る態勢に入ったということが関係当局のホームページの中にあったという報道がありまして、それを踏まえて我々の方でも幾つかのルートで確認を行いましたが、そのような事実は確認されていないという事であります。またそのホームページは既に消滅していると承知しております。以上、事実関係です。
(問)日本政府としては中国側の説明によって春暁油ガス田は生産態勢に入っていないという認識であるということですか。
(事務次官)その通りです。
(問)生産と関わるかどうかは別ですが、現場で炎が見えたという情報があったようですが、それについて次官は何らかの情報に接したことはありますか。
(事務次官)その点は承知していません。