記者会見

事務次官会見記録(平成18年7月)


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事務次官会見記録(平成18年7月31日(月曜日)18時05分~ 於:本省会見室)

外務省機構改革

(問)明日から国際協力局を新設するという外務省の機構改革がありますが、国際協力局にどういうことを期待されるかお聞かせ頂けますか。

(事務次官)今までの経済協力局に問題があったというわけではありませんが、かつて国際社会協力部の方でやっていた仕事の内、マルチの面で、従来の経済協力局に加えて、より総合的に日本のODAというものを考え、また、検討していくということから、こういう機構改革を行ったわけです。ODAは、当然の事ながら、基本的には国民の税金を使って行う話ですから、それがより効果的、効率的にできるように総合的な視野から行っていくということだと思います。また、内閣全体としても、海外経済協力会議などがありますし、外務省の中にもODAの戦略部門というものを作り、そういった戦略的な観点からもやっていく、そして、基本的な事務局的な機能も果たすということで、我々としても、よく機能するように育てていきたいと思います。

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自民党の外交力強化に関する特命委員会発足

(問)自民党の外交力強化に関する何らかの議論をする特命委員会が発足されるという話はお聞きでしょうか。

(事務次官)はい。聞いています。

(問)それをどう受け止められますか。

(事務次官)大変有り難いお話だと思っています。外交については、これから益々その機能を強化していかなくてはいけないと言いますが、率直に言って、今まではどちらかというと、外務省について、非常に厳しい視点から、綱紀粛正、あるいは、色々な無駄をなくさなくてはいけない、あるいはまた、制度、機能のある部分を直さなくてはいけないと、厳しい方向からの改革の向きがあったと思うのですが、それはそれで良いのですが、他方、機構面、あるいは定員の面、そういった面でも、各国の外交機構と比べると十分ではない面があるわけです。それを個人の力にのみ頼る、あるいは個人の力を重視した外交体制では追いつかない部分もありますので、そういう意味で、機構定員も含め、抜本的に強化しようという方向でのご検討であると承知していますので、これは我々としては大変有り難いお考えであると思っています。

(問)その中で、例えば大使人事などで、民間人から起用することも考えていこうということを出されるとしているやに聞いているのですが、その点はどうお考えですか。

(事務次官)民間から、民間の色々な分野で成功されている方が大使として一役買ってあげようということで出てきて頂けるのであれば、それは我々としてもむしろ歓迎すべき事だと思います。しかし、その為にも、大使の待遇という部分もきちんとしたものを整えておく必要があるわけであり、そういう意味でも、機能強化ということが大事だと思います。

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事務次官会見記録(平成18年7月24日(月曜日)17時14分~ 於:本省会見室)

イラン核問題

(問)イランの核問題、国連の決議ですが、今週中にも採択されるようですが、日本としてはどのように見ていますか。

(事務次官)これはEU3を中心としてイラン側と色々話し合ってきて、こちらのサイドからは包括的な提案も出して、それについての誠意ある回答を早くして欲しいと求めていたところです。まだそれについて回答もないし、その対応振りから見ても、国連へ戻らざるを得ないということで、安保理に戻ってくるわけですから、それで多くの国々が合意し得る内容であれば、我々としてもそれは基本的には支持するという考え方でこれまで対応してきていたものです。

(問)決議案の中に、核関連活動の停止を求めるという、それにも応じない場合は制裁を考えるという国連憲章の41条を盛り込むということですが、これについては。

(事務次官)EU3側もプレスステートメントの中に、そういう種類のことは書いていますが、実際に安保理で検討している決議案というのは、そういう意味では今、検討中のことであって、これは外には出さないということで議論していますので、我々から説明することは控えた方が良いのではないかと思います。

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日中関係

(問)日中関係なのですが、先週21日に、日中安保対話が2年5カ月ぶりに開かれまして、こういった今回の対話を、日中の安全保障問題をどのように進めていきたいと思いますか。

(事務次官)以前から申し上げているように、日中間の話し合いのパイプというのは、色々な分野で行われていることが大事であると思っているわけです。更に、最近では、河野総合外交政策局長が行って、国連を中心とした協議をやってきましたが、これも以前から、そういうものをやった方がいいということは話していたわけで、こういったこと、あるいはアフリカ問題とか中東問題とか、そういった問題でも、日中間でパイプを作り、かつ、頻繁に意見交換もして、相互の誤解を解いていくという作業は、これからも大いにやっていく必要があると思っています。その場合に、安全保障というのは、重要な問題ですから、これについては、タイミングは調整する必要があると思いますが、日中間でまた開催されることが大切だと思っています。中国もその点は同じように考えていると思います。

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北朝鮮問題

(問)今週行われるARFとの北朝鮮の核問題、ミサイル問題に関する6者協議の外相会談というのが今、実施を目指しています。また、北朝鮮を除いた5カ国協議というものをやるべきだという風にも言われているのですが、日本政府としてはどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)私どもとしては、先般の国連安保理決議で、六者協議が早期に無条件で開催されることが望ましということで各国に訴えているわけですから、今回そういった、外相レベルでそのような会合が実現できれば、それはそれで、国連安保理決議に沿ったものであって、歓迎すべきことであると思っています。

(問)5カ国の案については。

(事務次官)まだ6者の協議ができないと決まったわけではありませんので、それがだめであれば5カ国でもというアイディアもまたありますが、今は取りあえず6者でやるということを追求することが大事ではないかと思っています。

(問)その見通しはどうなのでしょうか。

(事務次官)これは北朝鮮次第という面もあると思いますが。北朝鮮がそれに応じると言ったとは聞いていません。

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事務次官会見記録(平成18年7月10日(月曜日))

北朝鮮ミサイル問題

(問)ヒル次官補との会談はどのような話をされたのですか。

(事務次官)ほとんど北朝鮮のミサイルの問題を話しました。基本的に、共同提案している決議案を採決に向けてやっていこうということで、決議案という形であって議長声明ではないということについて、お互い確認し合う等の話をしました。

(問)中国・ロシア、特に中国の対応について、どのような見通しを持っていらっしゃいますでしょうか。

(次官)これは、たぶんご質問は拒否権を行使するのか、棄権をするのかということでしょうが、もちろんそれは明らかにしませんのでよくわかりません。ただ、決議案には賛成し得ないという態度を示しているということは事実です。

(問)中国に対する働きかけというのは引き続きやっていると思うのですが、今どういう状況ですか。

(次官)大使レベルでもやっていますし、大臣も昨日、李肇星(り・ちょうせい)外交部長とお話しになりました。いろいろなレベルでやっています。

(問)国連安保理の採決の見通しなのですが、時間というとどのくらいになりますでしょうか。

(次官)今晩以降ということだと思います。今はまだ寝ていますから。

(問)現地時間の午後3時以降になりますか。

(次官)一応そういう会合が今想定されているので、我々としてはそこで採決に持ち込みたいと思っていますが、各国もいろいろ都合があるでしょうから、その辺りがどうなるか、これからやってみないとわからない面はあります。

(問)先延ばしの可能性もあるということですか。

(次官)そういうことはしたくありませんが。

(問)日米と韓国の間で、若干、北朝鮮に対する温度差というのが表れていると思うのですが、これについてどのようにお考えですか。

(次官)これはやむを得ないのではないでしょうか。もともとそういうものがあるわけですから。

(問)関連して、韓国の大統領府が、ホームページで「日本のように大騒ぎする理由はない」みたいなことを、批判的なメッセージを出していますが、これに対する受け止めは。

(次官)これは、今日、羅鍾一(ラ・ジョンイル)大使にも、青瓦台の広報ホームページのその部分が話題になりましたので、私の方から、ああいったものを今の段階で、我々はそもそも大騒ぎしていないし、ああいったことを出すのは生産的ではないということは申し上げました。

(問)それに対して、羅鍾一(ラ・ジョンイル)大使の方からは何か釈明なり説明は。

(次官)あれは、いわゆるホームページなので、政府の態度を表明したものではないし、また、日本政府を批判したものではないというような説明がありました。

(問)答えにくい質問ですが、中国の武外務次官が平壌を訪問して、今日、まさに会って会談するということですが、これがかなり安保理の決議への中国の態度に影響するかもしれませんが、その平壌の説得の見通しというのはどうですか。

(次官)これは、中国がどういう論理でどういう内容のことを話すのか、我々は承知していませんが、いずれにしても今度のミサイル発射そのものは、国際社会にとって良くないことである、アジアにとって良くないことであるという前提の上で、これからはそういうことをしないようにという話をされるのだろうと思います。中国としては、その内容によって、従って、決議案はよろしくないのだということを狙ってくるのだろうと思いますが。どういう話し合いになるか。

(問)日本政府として、仮に北朝鮮がミサイル発射はもうしないと約束し、六者協議に復帰すると声明を出してきた場合でも、決議案は採択するという方針で変わりはないのでしょうか。

(次官)それはちょっと、そういう態度をとるのか、あまりその可能性はないように思いますが、そこは、横目で見ながら、決議は決議で進めていくということだろうと思います。

(問)仮定の話で恐縮なのですが、仮に中国なりが拒否権を行使した場合に、その後、日本政府としてはどういう対応にするかということは、想定して考えていらっしゃるのでしょうか。

(次官)いろいろと想定はしています。

(問)どれぐらい、どういう態度を。

(次官)今は、拒否権を行使されるということを想定したことを議論したいとは思わないのですが。

(問)拒否権が出た後は、国連という枠組みからはちょっと遠ざかるとおもうのですが、その時に、先程、日米韓の連携というのが若干緩むとして、北朝鮮に対して効果的なアクションを取れないのではないかと思うのですが、いかがですか。

(次官)なかなか、北朝鮮を説得しその態度を変えさせるということはそもそも難しいわけで、その手だてとして、今、安保理決議を通そうとしているわけです。これも、安保理決議が通れば北朝鮮が当然態度を変えるということでもないと思うのです。それを望みますが。そういう関係にありますので、仮に決議案が通らなければもっと良い方法があるのかというと、それはないでしょうね、それ以上に良いものは。ただ、そういう事態になれば、ではどうするかというのは、今考えているところです。

(問)日本の制裁のレベルを引き上げるということは考えられますでしょうか。

(次官)それも一つのチョイスとしてはあり得ると思いますが。

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事務次官会見記録(平成18年7月3日(月曜日)17時04分~ 於:本省会見室)

韓国の竹島周辺海洋調査

(問)韓国の竹島周辺海域の調査に関係してなのですが、昨日、中国の船が日本のEEZに入ったのですが、このとき以上の対応を今度の韓国の船に対して敷くのかどうか。

(事務次官)中国に対応した以上というのはどういうことが有り得るのかわかりませんが、韓国の海洋調査については、我々は、中止または延期ということを含めて自制をお願いするということを言っているわけです。そうなることを今望んでいますが、これがどうなるかわからないのが現状です。韓国がどういうことをするのかわかりませんが、それに対して適切な対応をしたいと思っているわけです。今、こういうことをやりますと色々なシミュレーションみたいにしてというのはあまり適当ではないと思いますが、相応の措置は取っていくということです。

(問)一般論でも結構なのですが、EEZの境界が画定していない状況で重複地域に韓国の船が入った場合、国際法上、どういった手段がとれるのでしょうか。

(事務次官)通常、私どもの立場からすると、この竹島周辺については境界は画定していませんが、自国の経済水域であることが間違いなく画定しているものであれば、相手国がそこで何らかの科学的な調査をしたいということについては、事前の通報があって、特に問題がなければ、それはそれで結構ですという話になるわけです。今回のように、重複している水域に入ることについては、どういうアレンジが必要なのかということは、国際法では明確なものはないわけです。従って、我々としては、事前に通報して、こういうことをやりますと事前の通報システムを作ったら良いのではないかということを言っていたわけです。残念ながらこれについては韓国が応じないということなものですから、話が難しくなっているということだろうと思います。ただ、重複水域で何らかの海洋調査をやるということが直ちに国際法違反になるとか海洋法条約違反になるとか、そういうことまでは規定されていないと理解しています。

(問)仲裁裁判所などを設けることも選択肢に入っているのだと思うのですが、そこまでのものではないとお考えですか。

(事務次官)強制管轄権のところは韓国が撤回していますので、仲裁裁判にもっていくというチョイスはないと思います。

(問)日本側が4月に配慮して海洋調査を延期というか中止していますが、韓国側が仮にやるのであれば、日本側もやめる理由はないと思うのですが、この間の調査を再開することについてはどうお考えでしょうか。

(事務次官)我々としては、境界画定をやれば、今言ったような問題は解消するわけですから、9月に次の会合をやろうとしているわけです。それも利用してなるべく早く境界画定をすることが大切だと思っていますので、それまではそういう海洋調査を一方的にやるようなことについては自制して頂きたいという考えです。従って、今そういうことをされることは、我々の自制をお願いしますという立場からは相容れないと言いますか、望ましいことではないと思っています。

(問)もし仮に韓国側が海洋調査に踏み切れば、日本側も海洋調査に踏み切るというお考えはありますでしょうか。

(事務次官)それはチョイスの一つとしては考慮されるべきことだと思います。ただ、今はまだやっていないわけですから、今からこうしますと言うのはいかがかと思っています。

(問)仮に、事前通告といますか、改めて、日本と重複する水域でやりますよと言ってきた場合、それは受け入れるべきものなのですか。

(事務次官)一般に、先程申しましたように、自国の経済水域の中であることがはっきりしているところに、ある国がそこで海流とか科学的な調査をしたいと、そういう話があった場合は、特にその沿岸国の国益等々に大きな支障がない限りは、通常は認めるべきことなのです。従って、そういったことをチェックした上で、良いとか悪いとかという立場を明らかにするということになります。重複水域といっても、日本からすれば、本当は日本の経済水域だという立場がありますから、そういうところについては、どういう内容の調査をするのかとかいう説明を本当は受ける必要があるのだと思っています。

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ドミニカ移民訴訟

(問)先程のドミニカ大統領との首脳会談で、総理の方から、例の、移住者に対して何らかの対案を検討するという言及があったということですが、これは、裁判上の和解なのだという受け止めでいいのですか。

(事務次官)裁判上というか、実際に訴訟を起こしておられる人、それからまた、訴訟には参加しないけれども言いたいことはたくさんあるという人は多数おられるわけです。そういう人たちの間で、この問題についてこれ以上訴訟で争うとかいうようなことにならないように、何らかの和解の方法がないものかということで、今、色々と関係者の方々が検討しているということです。裁判上の、あるいは裁判手続き上の和解なのかどうかということは、また別の話です。

(問)その和解の中身として、これからの話なのでしょうが、何らかの補償みたいな措置というのは有り得るのですか。

(事務次官)補償あるいは見舞金、あるいはその他の措置、色々と有り得ると思うので、それをまさに今ご検討頂いているのだと理解しています。

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