記者会見

事務次官会見記録(平成18年5月)


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事務次官会見記録(平成18年5月29日(月曜日)17時50分~ 於:本省会見室)

第12回日中領事当局間協議

(事務次官)冒頭、ひとこと申し上げます。6月5日(月曜日)、第12回日中領事当局間協議を東京において開催します。この協議は、日中の領事分野における局長級の定期協議であり、今回の協議には、わが国から谷崎泰明領事局長をはじめとする外務省及び関係省庁の担当者が、中国から魏葦(ウェイウェイ)外交部領事司長ほか外交部及び関係部局の担当者がそれぞれ出席します。この協議では、両国間の出入国管理、治安面の問題をはじめとして、両国間の領事関係全般について意見交換が行われる予定です。わが国としては、日中間の人的交流の促進、不法滞在、犯罪問題への取り組み、在中国邦人・企業等の要望等を踏まえ、協議に臨む方針です。私からは以上です。

(問)この協議が発足した経緯をお願いします。

(事務次官)これは12回目ですが、経緯そのものは、詳しくは存じ上げませんが、やはり日中間の人的交流が非常に進んできて、こうした領事当局間の責任者同士の話し合いが重要だということで、インテンシブに行われているのではないかと理解しています。現在、中国以外にも7カ国との間で同様に領事協議を行っています。

(問)前回の第11回はいつ行われたのですか。

(事務次官)第11回は平成16年2月24日に大連で、第1回協議は平成3年北京で行われています。

(問)確認ですが、領事当局協議では、上海の問題は日本側から議題として取り上げるのでしょうか。

(事務次官)議題そのものには入っていませんが、そういうことが議論されること自体は別に排除されている話ではありません。全体の流れの中で、それが議論されるかどうかということだと思います。

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拉致問題

(問)今日、国会で日本の拉致被害者の横田さんのご家族と、韓国の金英男(キム・ヨンナム)さんのご家族が出席されて、質疑が行われたのですが、これについてまずどのように受け止めておられるのかということと、ご家族揃って両政府が連携して一刻も早い拉致問題の解決ということを訴えていたのですが、それを受けて政府としてどのように取り組んで行かれる方針なのかお伺いします。

(事務次官)私はその議論のやり取りそのものは見ていませんので、それを踏まえての話はできませんが、この問題は日本の問題、韓国の問題、いずれも時間的に非常に厳しい制約の下で何とか解決を図りたいという問題であるので、国会議員の方々が実際の家族の方から、そういった被害を被った方々がどのように考え、どのように受け止めておられるかということを直接声をお聞きして問題に取り組んで頂くことは、非常に臨場感を持って取り組んで頂けるのではないかと思いますので、大変意義のあることではないかと思っています。これを踏まえて、更にどのように対応していくべきか、政府としても当然考えなくてはいけませんが、立法府におかれましても、その点を考えて頂けると期待しています。

(問)特別委員会の中で、横田滋さんが経済制裁の発動を求められていたのですが、改めて外務省としての立場をお願いします。

(事務次官)これはもう1年数ヶ月前に、北朝鮮の対応如何によっては厳しい対応を取ることもあり得るということで、その後も日本政府としても、「対話と圧力」という考え方の下で、いろいろと考えてきましたし、また実施してきた部分もあるわけでありまして、そういった基本的な考え方を持ちながら、今後更にどのように対応するか考えていかなくてはいけないと思っています。

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在日米軍再編問題

(問)在日米軍再編の閣議決定についてなのですが、閣議決定案の中に普天間基地の移設先について具体的に明示しないのか、あるいはV字滑走路について2+2で合意した内容を入れないというようなことに関して、決まったわけではありませんが、これは入れていくべきだとお考えになりますでしょうか。

(事務次官)現在最終調整をしているところですので、具体的な中身について、コメントすることは適当ではないと思います。それは控えさせて頂きます。

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インドネシア・ジャワ島地震災害

(問)ジャワ島の地震なのですが、25人派遣されているようですが、この後に新たに追加支援というのは、今のところ考えていらっしゃるのでしょうか。

(事務次官)調査チームもまだ行っておられるのだと思いますが、いろいろと現地の事情を正確に把握し、また大使館からも海老原大使以下が行っていますので、その要請に応じてどのような対応を行うのか、刻々といろいろな情報が入ってきていますので、それを検討しながら考えていくことだと思います。

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事務次官会見記録(平成18年5月22日(月曜日)17時07分~ 於:本省会見 室)

イラク新政府発足

(問)20日にイラクに正式な政府が発足したのですが、これについてどのようにお考えなのでしょうか。政治プロセスがこれで進展したことになるわけですが、イラクでの自衛隊の活動について今後どのようにされていくお考えですか。

(事務次官)かなり長い間の懸案でありましたが、今回、新政府が発足した事自体は歓迎すべき事ですし、関係者が大変ご努力されてこういう事になったのだろうと思っています。政治プロセスが進展する事に我々は大きな期待を持っていたわけですが、この新政府の成立というのはその政治プロセスを進める非常に大きな節目だろうと思っています。これが更に進んでいけば、私どもとしては自衛隊のサマワにおける活動を今後どうするかという問題については、政治プロセスの進展の問題、治安状況、あるいは多国籍軍の動向や現地の復興状況も考えて、総合的に判断するということです。その一つの大きな柱の部分が、今、出来つつあるということで大いに期待をしているところです。

(問)夏が近づいて来ますが、自衛隊の撤退の条件という意味で、天候・気候などはどう考慮されているのでしょうか。

(事務次官)今申し上げた事が総合的判断の主要な要素ですが、具体的にどこのタイミングかというような事を考える時は、それはそれで気候という物理的な条件も当然考えるのだろうとは思います。いずれにしても、まだ総合的判断を下したわけではありませんので、考慮の要素ではあると思います。

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麻生大臣のカタール訪問

(問)麻生大臣がカタールで開かれる会合に今日から行かれますが、今のところ個別の会談の予定はどうなっているのでしょうか。

(事務次官)今聞いているところでは、もちろんACD会合そのものは別にして、バイでは日韓の会談が予定されていますし、日中の会談も多分設定されるのではないかと想定しており、現在、調整中だと理解しています。あと若干の国がまだ入るのだと思いますが、詳しいことは聞いていません。

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日中・日韓関係

(問)日韓、日中の会談は久しぶりになると思うのですが、会談ではどのような内容の話を期待されているのでしょうか。どのような会談をしたいとお考えでしょうか。

(事務次官)日中、日韓共に、これは大臣同士でお話になることなので単に私の推測あるいは期待と言っていいのですが、日中あるいは日韓が未来志向でどういう関係を築いていくのかという点について、特に中国との関係では、久しぶりであり、また麻生大臣としては現職外務大臣として初めての会談ですので、大いにその辺りを議論して頂ければと期待しています。勿論、懸案の事項もいくつかありますので、時間のある限りそういったこともお触れになるだろうと想像しています。

(問)日中の間の懸案と言いますと、ガス田の話などがあるのですが、この辺についてはどのような話し合いをしたいとお考えでしょうか。

(事務次官)先週、局長レベルで協議をしたわけですから、その話を更にこれから少しでも進展するように進めていくということを、外務大臣レベルでも推進するようにという話があるのではないかと期待しています。

(問)韓国でもそうなのですが、中国との間では小泉総理の靖国神社参拝を巡って首脳会談が行われない状況が続いているのですが、この問題についてはこの会談でどのような話し合いをしたいとお考えでしょうか。

(事務次官)これは大臣がどういう形でお話になるか存じませんが、いずれにしても、私どもとしては、一つの問題があるからといって首脳会談が行われないということはいかがなものかと思っていますから、まさにこの外相会談が行われているように、首脳レベルでも会談があるべきだと思っていますし、小泉総理がいつも首脳会談についてはオープンですとおっしゃっているわけですから、そのことをお伝えになるのではないかと思っています。

(問)中国との間でガス田協議の日程ですとか、実際に成果も出ていると思うのですが、首脳外交が今途絶えている中で、事務方トップとして果たす役割というのはどの辺にあるとお考えですか。

(事務次官)やはり日本にとっては中国も韓国も日本の国益から考えると非常に重要な国ですので、基本的なコミュニケーションのチャンネルを、立場はいろいろと違う点も多くありますが、人間的な信頼関係に基づいたチャンネルを作っておくということは非常に重要ではないかと思っています。韓国については、この間の海洋調査の時も、柳明桓(ユ・ミョンファン)韓国外交通商部第一次官との話し合いは、そういった個人的な信頼関係に基づく関係を活用できた例ではないかと秘かに自負しているのですが、そういうものはこれからも大切にしていきたいと思っています。

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犯罪人引き渡し条約

(問)ブラジルと、犯罪人の引き渡し条約の締結を検討しているという報道がありましたが、この辺の見通しはどうですか。

(事務次官)ちょっとその話は聞いていません。

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谷内事務次官の東欧訪問

(問)今回、東欧を訪問されて、一週間位なのですが、今年に入って、ヨーロッパ、中国、韓国、米国、かなりあちこち行かれて積極外交を展開されていると思うのですが、これは歴代の次官の中でもかなり異例の海外訪問の印象があります。谷内次官ならではの外交のひとつの戦略というか、考えがあってのことだと思うのですが、どういう狙いがあって積極的に事務方トップとしてやってらっしゃるのでしょうか。特にアジアとの関係では、首脳会合の現状ですとか。

(事務次官)今回は東欧、具体的にはチェコ、ウクライナ、ポーランドの順番に行ったのですが、いずれも共通のものとして確認したのは、ひとつは、民主主義、自由、法の支配等の普遍的価値をお互いに共有し、且つこれを更に強固に守っていこうという方向性については、同じ船に乗っているというか、その点を確認してきたということはあります。ウクライナはまだ加盟していませんが、EU、NATOというヨーロッパ志向が非常に強いと。それは、今言ったような普遍的価値の側面もありますし、安全保障という側面、更には経済発展が国造りとして重要な点からも、非常な期待があり、わが方もその点は大いに支援することができます。更に、伝統的に日本はこの辺りで非常に良いイメージを持たれていますので、そういった国々との協力関係というのは、これから更に築けるのではないかと思います。そしてそれは、日本外交にとっても大きく幅を拡げる話であると思いますし、先般、麻生大臣もリトアニア、それからNATOでも大変良いスピーチと意見交換をして頂きましたが、こういったいわゆる新しいヨーロッパと言われる国を含めて、ヨーロッパとの関係を深めていくことが、日本外交の幅と深みを造る上で非常に重要ではないかと思っています。

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事務次官会見記録(平成18年5月1日(月曜日)17時05分~ 於:本省会見室)

第5回日中総合政策対話

(事務次官)第5回日中総合政策対話の開催について申し上げます。5月7日から9日までの日程で、中国の北京及び貴州省貴陽において、戴秉国・外交部副部長との間で日中総合政策対話を行う予定です。本対話は今回で第5回目となりますが、これまで同様、日中間の意思疎通の促進を目指し、中・長期的観点に立って、日中二国間関係、地域・国際情勢等について忌憚のない意見交換を行ってこようと思います。以上です。

(問)テーマはだいたいどのようなものを予定されていますか。

(事務次官)具体的にこれを話そうということは決めていませんが、今申し上げましたように、中・長期的観点から二国間の問題と地域・国際情勢の問題について、そういう目的に照らして、相応しいテーマであれば何でも議論するということになっています。

(問)日中間のガス田協議は、まだ再開の見通しは立っていないのだろうと思いますが、これについても当然、議論がされるということですか。

(事務次官)二国間の問題としていろいろな大きな難しい問題を含んでいますから、当然議論になってくると思います。

(問)外相会談の時期についてもテーマになりそうでしょうか。

(事務次官)外相会談のみならず、首脳レベルでの会合も我々は開催されて然るべきだと思いますので、その点については話をしようと思っています。

(問)日本側からの提案という形になりますか。

(事務次官)提案というか、当然やるべきではないかということは言おうと思っています。

(問)場所が貴州省というのはどういったことで。

(事務次官)これは、戴秉国・外交部副部長のご出身地がこの貴州省だそうで、以前からそちらでやりたいというご意向は示されていましたので、前回、半分くらいは新潟でやりましたので、今回は貴州省の方に行ってみようかなと思っているところです。

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第1回日中韓ラテンアメリカ協議及び第2回日中ラテンアメリカ協議

(問)先日、坂場中南米局長が中国に行かれまして、日中韓の中南米の資源エネルギーの対話をされたのですが、イメージとしては、コスト、採算があまり合わないような中南米を対象に、日本としてエネルギー戦略ということはかなり重要視していくという外務省としての考えはあるのでしょうか。

(事務次官)コストが合わないというのはどういうことですか。

(問)採算が、やはりどうしても中南米というのは距離的に遠いですし、今までそれほど熱心に政府、国を挙げてそういう戦略というのはなかったような印象があるのですが。

(事務次官)エネルギーの問題というのは、ご承知のように、中国が今、世界中でエネルギー戦略といいますか、供給先の多様化を目指して活発な行動をしているので、その辺りについても意見交換をすると。中南米について言えば、そこで仮に石油なりガスなりを購入するとしても、必ずしもそこから持ってくる必要はないので、スワップとかいろいろな方法は流通のシステムがあるようですから、そういう意味でも、我々としては関心はあると思いますし、何よりも、中国がどういうことをしようとしているのかというのは、率直に話し合って、マーケットが混乱することのないようにしたいと思っているわけです。中南米問題について協議するというのは、別にエネルギーだけを話するわけではありませんから、一般論として、日本と中南米の関係、あるいは中国と中南米の関係も当然議論するわけです。この総合政策対話の一環として、局長レベルでも、中南米のみならずアジアについて局長レベルでもありますし、不拡散の問題とか、国連とか、そういった問題で大いに議論をして、ともかく誤解を少しでも解いて、両国が未来志向でやっていくということを、何とか意識の問題として確立したいと思っています。そういう意味でも、中南米協議は私自身もやるべしということを言ってきたところです。

(問)その分野では中国との連携というのは当然あり得るのですか。

(事務次官)連携とまでは必ずしもいきませんが、少なくとも誤解はないようにしなくてはいけないとは思っています。

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日韓問題

(問)副大臣が訪韓されていますが、竹島問題で7月の海洋調査についての何か申し入れ等はありますか。

(事務次官)申し入れと言いますか、これも率直に意見交換をするという話ですから、副大臣の方から、副大臣ご自身が必要であると認められればお話になるということだろうと思っています。

(問)竹島に韓国の与党の議長が上陸しましたが、抗議はしたのですか。

(事務次官)抗議はまだこれからだと思います。ただ、もともと計画は知っていましたので、そういったことは適当ではないということは申し入れていたわけで、現に、前回は気候の条件が良くなくて行けなかったわけですが、今度は行かれたということなので、然るべき形で抗議したいと思っています。

(問)今日、副大臣がお会いになりましたが、そこで。

(事務次官)そこは副大臣のご判断にお任せしているところです。

(問)直ちに抗議できない理由というのは何かあるのですか。

(事務次官)ありません。

(問)これからという意味は、今日これからもう時間的に事務的な詰めをしているという意味なのか、明日以降にという意味なのか。

(事務次官)時間的に、副大臣のアポイントメントはもうそろそろ始まっているのではないでしょうか。

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日米安保

(問)在日米軍再編の最終報告が取りまとめられる方向で、日本時間の深夜、2+2で合意される見通しだと思うのですが、これに関して次官のほうから何かコメントはありますか。

(事務次官)時間をかけて今まで同盟国として議論してきたわけで、これが今回これから発表される形でまとまることは、日米関係にとって大変良かったのではないかと思っています。実施の面ではいろいろと地元からの御協力も得る必要がありますし、また難しい事情もいろいろあると思いますが、そういった困難を克服しながら、この合意された事項を実施していくということが重要なことだと思っています。

(問)防衛庁は、防衛のガイドラインの改訂について積極的だったのですが、外務省は消極的と見ているのですが、この点についてはどのようにお考えですか。

(事務次官)同盟の在り方という点については、これは別に今回の合意ができたからといってしばらくやらなくてもいいという問題ではないと思います。いずれにしても、やはり日米間の同盟というのは、意識的に努力して問題点を点検しつつ維持していく、あるいはそれを発展させていくということを考えなくてはいけませんので、今のままでいいのかどうかというような問題意識は常に持って考えていくべきだと思っています。ただ、今、現在あるものを直ちに改めて何かをしなくてはいけないという要請があるかといえば、それは如何かなという感触は持っているということだろうと思います。

(問)如何かなというのはどういう理由で。

(事務次官)理由はいろいろありますが、あれを変えないと非常に不都合があるということを今は思っているわけではないということです。

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