(問)米軍再編の話なのですが、3月ももう残り少なくなってきましたが、また日米の間で審議官級協議が行われると思うのですが、米軍再編についてどのような見通しを持っておられるのか、また今後どういう風に協議を進めていこうというお考えなのか、お願いします。
(事務次官)29日、30日で審議官クラスでまたやるということなので、もともと今月中になんとか決着をつけたいと思って頑張ってきたわけで、その最後の努力が行われるわけです。そこでどういう結果になるかですが、やはり地元の説得という問題、週末も色々と防衛庁長官はじめ皆様が努力されているわけで、そのことと今の審議官級協議とうまくドッキングするのかしないのか、そういった問題もありますので、なかなかちょっと見通しというのは立て難いところだと思います。審議官クラスの協議が少しでも前進をして早期解決に向けて物事が進めばいいと思っています。こういう段取りでこうやれば最終的に決着がつくんだというような意味での見通しは、今はまだ立っていないということだと思います。
(問)今、防衛庁と地元の沖縄県名護市との協議で、滑走路への進行部分というのか角度とかですね、あと沿岸から沖合にどれだけずらすのかなどを巡って調整が行われていると思うのですが、外務省としてはどのようにこれについては行われるべきだとお考えでしょうか。
(事務次官)外務省としてかくあるべしというのは、我々は専門的な知見もありませんし、環境その他の色々な問題についての考慮というのも、防衛庁あるいは防衛庁長官が地元と話し合って接点を見出していくという努力をしているのだと思います。従って、今、外務省としてかくあるべしというようなことを言う立場にもありませんし、また申し上げるのはいかがかなということで、非常に強い関心を持って見守っているというのが正直な姿だろうと思います。
(問)確認ですが、それでは、今、防衛庁が地元の説得をされているわけですが、外務省としては特に、防衛庁と、地元の説得については連携を取ってやっていくとか、そういう状態ではないということですか。
(事務次官)地元の説得は、基本的には防衛庁でやる仕事だと思いますし、また、色々な意味での法律的な根拠も、我々にはそこはないわけですから、第一義的には防衛庁がやると。また、外務省として求められることがあればもちろん色々な協議はさせて頂くという立場でいるわけです。
(問)特に防衛庁から外務省に何かやって欲しいとかそういうような要請というのは、今のところないですか。
(事務次官)特にそういう話を、報告を受ける形では聞いていません。
(問)米国側は、海兵隊のグアムへの移転費については100億ドルのうち約75%は日本が負担していいというようなことを言っているようですが、これについては日本側は、非常に負担が重いのではないかという意見が強いようですが、どうお考えでしょうか。
(事務次官)この辺りは、米国側とこれから更に話し合っていくことだと思いますし、国内的には有力な政治家の方々も75%というのは大きすぎるのではないかと、フィフティ・フィフティではないかとか、色々な議論もあるところですので、そういった議論も踏まえて、米国側とこれから話し合っていくということだと思っています。
(問)次官の考えとしては。
(事務次官)今私がこうだと言ったところで重みがあるわけではありませんから。
(問)米国訪問の概要をお願いします。
(事務次官)たくさんあるのですが、ホワイトハウスでは、クラウチ補佐官、冒頭はハドレー補佐官がちょっと顔を出されました。国務省はバーンズ次官、国防省はエデルマン次官、こういった方々を中心に、現職及び前職の方々とも色々と話しました。シンクタンクの人とも話しました。話題は、もちろん日米関係からイラン、イラク、北朝鮮、EAS、国連改革、主要なところはそういうことについて、基本的には意見交換ということです。
(問)イラクに関しては、撤退も含めて、どういった話が。
(事務次官)イラクについては、日本の貢献に対する非常に高い評価が改めて行われました。日本がこれまで、自衛隊あるいはODA、負債の削減、そういったものについて、イラクにおける人道復興活動に対する非常に大きな貢献をしたということについての高い評価と、他方、自衛隊のサマワあるいはムサンナー県における貢献というものは、ほぼ所期のの目的を達したので、これから日本国として、言ってみれば新しい局面に今入る準備をしているところであるということは申し上げました。米国としては、形が違うにせよ、引き続き日本の貢献を期待しているし、それはまたイラクの国民の強い希望でもあるということが、発言としてありました。
(問)これはどなたとの会談で発言されたのですか。
(事務次官)これは今申し上げた人たち皆話題になりましたし、今申し上げたとおりの発言ではありませんが、要約すればそういうことです。
(問)BSEに関して、オーストラリアで日米の会談でライス長官が日本はちょっと過剰だという発言をされていたのですが、そういった反感というのはやはりありましたでしょうか。
(事務次官)何と言いますか、私は焦燥感があるということをちょっとぶら下がりで申し上げたのですが、我々が思っている以上に、米国特にワシントンのいわゆるインサイド・ベルトウェイでは、強い気持ちがあるように見受けられました。それは、もともと日本の制度は国際基準に比べて厳しすぎるというのがひとつありますし、その危険部位が発見されたことについて、それを根拠として、あるいはそれを理由として、輸入を全部ストップするというのは、行き過ぎているのではないかということがあります。しかしながら、我々としては、2年近く色々と努力してきてああいう事件が起きたことは、誠に遺憾なことであって、国民の食の安全と安心の、特に安心の部分については、やはり信頼できるシステムを作って2度とああいうことは起こらないということについて、日本国民が納得しうるような形でこの問題の解決を図っていく必要があるということを申し上げました。専門家も、近くおいでになるようですし、今日、米国の我が方の回答についても、考慮はされてるようですが、そういったやりとりも含めて、専門家同士でよく話し合いをして、その今申し上げましたこのシステムに対する信頼性を回復していくということを、これからやっていく必要があると思っています。
(問)それは会談相手はどなたですか。
(事務次官)これは、ホワイトハウスでもありましたし、国務省でもそういう話はありました。
(問)米軍再編なのですが、週末に自民党の中川政調会長が、普天間基地の移転先の微修正についてあり得るという発言をされています。交渉派とされている外務省として、この微修正論に対してはどのようにお考えですか。
(事務次官)一応、日米間で合意した案があって、それを基に、防衛庁が一所懸命地元の説得をしているという段階です。我々としては、当然その政府案が地元に受け入れられるということになることが望ましいと思っています。他方、それではどうしてもいけないということであると、他に考え方があり得るのかなという点については、我々としては、正直言って判断する材料を今持っていません。特に、地元がそれで良いのかどうかということですね。ですから、今の時点で言えば、今のところは防衛庁にその説得の努力を続けて頂きたいというのが、我々の見解です。
(問)23日から審議官級協議が始まりますが、地元調整はまだ難航しているということで、月内の最終報告での合意というのができるかどうか、見通しはどのように思っていらっしゃいますか。
(事務次官)だんだん時間が迫ってきているという感じはしていますが、一所懸命やっているときに客観的にもう無理ですというのは、適当ではないと思いますので、なんとか話し合いがつくように、最終論がまとまるように今努力していると申し上げるというのが、今の時点で適当ではないかと思います。
(問)インドのムカジー国防大臣が、来日される予定だったと思いますが、状況どうなっていますでしょうか。
(事務次官)すみません。それはちょっと聞いていません。
(問)北朝鮮で拉致されたと見られる韓国人男性が金永南(キム・ヨンナム)氏のDNA結果がそろそろ出るのではないかと言われていますが、そのことについては。
(事務次官)近く出るのではないかと思っていますが、それは具体的にいつ頃だというようなことはまだ聞いていません。
(問)米軍再編を巡って、昨日岩国で住民投票が行われたのですが、その結果、移設に反対する意見が多数を占めたのですが、今回の結果についてまずどのように受け止めておられるのかと、これを受けて今後どう対応していく考えか、まずお伺いします。
(事務次官)これについては、安倍官房長官も言っておられますが、住民投票としてああいう結果が出たということは、もちろんその事実そのものは受け止めて、今後の対応を考えているところですが、基本的に、米軍再編成全体の問題というのは、国の平和と安全の問題という観点から考えています。それから、従来から、抑止力を維持するということと同時に、地元負担の軽減を考えていかなくてはいけないという立場であり、その点については、基本的には同じ考えです。問題は、住民の方々と十分に話し合い、ご理解を得ながら物事を進めていかなくてはいけないと思っています。
(問)今の状況ですと、今月中に予定している最終報告の取りまとめに向けて地元の理解をえるというのはなかなか難しい状況かと思うのですが、最終報告の取りまとめについては、今月中というのはあくまでも変わらないのかどうか、それと、地元の理解というのはやはり最終報告を得る上で必要という風にお考えかどうかお伺いします。
(事務次官)今月中に最終報告をまとめるという目標を持って進んできたわけで、その点は変わりありません。またそれと同時に、地元のご理解を得るという努力もまたこれから更に精力的にその点は進めていかなくてはいけないと思っています。そういう点も、今までと変わるところはないということです。
(問)米軍再編に関連して、昨年の2+2で、日米新安保共同宣言みたいなものも考えるべきではないかというような話も出ていたと思うのですが、現在そういうような話というのはどうなっていますでしょうか。
(事務次官)そういう感じで今、考えているということではないように思いますが。今まさに、具体的にどうするかというところを議論しているわけで、今おっしゃられた点を今詰めているとかということはありません。
(問)今後、必要に応じてそういうものを作るというような考えは持っておられますか。
(事務次官)何か新しく今そういった大きな方向を、今までと違うものとして出さなくてはいけないという問題意識は特にないように思うのですが。
(問)本日から、韓国の六者協議の首席代表が来日して、明日、佐々江局長と会談するのですが、六者協議再開に向けて話し合われると思うのですが、日本としては、改めて六者協議再開についての考え方と見通しをお願い致します。
(事務次官)六者協議は、我々としてはなるべく早く開催した方が良いということです。また、北朝鮮がいわゆるマネーロンダリングの問題で六者協議に参加しないと言う態度を取っているのは、言ってみれば、核の問題を解決するための六者協議とは関係のない話で、そういう態度を取ることは遺憾だと思っています。米朝間で、ご承知のように話し合いも既に行われましたから、そういう意味では、六者協議に、参加・再開に向けて環境的にはより良くなっているのではないかと期待をしています。いずれにしても、六者協議を早くやるべきであるという立場に変わりはありません。
(問)先月28日に東京地裁で出された外務省の機密費に対する判決に関してなのですが、二週間がたちましたが、外務省としてはこの判決に対してどのように対応される考えなのか。
(事務次官)私どもの主張していたところが否定されたわけですから、あの判決はそのまま受け入れるわけにはいかないと思っているわけです。ただ、司法的に考えた場合に、これにどのように対応すべきなのか、これは関係者の間で検討してきたところで、今、最終調整の段階です。
(問)一部報道で、控訴する方針を固めたというか決めたというのが報道されているのですが、この事実関係はどうなのでしょうか。
(事務次官)今、最終調整中ということです。
(問)近いうちに控訴されるということでしょうか。
(事務次官)もう期限がそろそろ来ますので。
(問)イラクの自衛隊の撤収なのですが、今、組閣に向けた動きがより難航していますが、本格政権の発足を見極めるまで続くのか、その辺はどうなのでしょうか。
(事務次官)これは従来から申し上げていることですが、今ご指摘の政治プロセスの進展振り、あるいは治安状況、それからまた、いわゆる多国籍軍の各国の動向といった点を総合的に勘案しながらタイミングを考えていくという風に思っているわけです。その辺りについて、今、積極的に直ちにサマワから引き揚げるという状況には至っていないことは事実です。特にその点では、政治プロセスの動きと、治安状況、このいずれもまだ好ましい環境にはなっていないという認識です。