記者会見

事務次官会見記録(平成18年1月)


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事務次官会見記録(平成18年1月23日(月曜日)17時08分~ 於:本省会見室)

ゼーリック米国務副長官との会談

(問)先程、アメリカのゼーリック副長官とお会いになられたようですが、どのようなやりとりがあったのでしょうか。

(事務次官)全体として、アジア外交、特に中国、韓国、北朝鮮、こういった所をお話ししましたし、それからEASについてもお話ししました。あともちろん日米関係。イラク、イラン、ミャンマー、カンボジア辺りのところについて、ゼーリック副長官の方から発言されましたが、もうこちらの意見を言う時間はなかったですね。だいたいそんな感じです。

(問)日中関係ないし日韓関係、靖国問題等々ですね、アメリカ側から懸念みたいなものは示されたということは今回あるのでしょうか。

(事務次官)特に米国側から懸念は示されたということはありません。

(問)具体的にはどういう話だったのでしょうか。

(事務次官)私の方から、大臣のアジアに関するスピーチ、去年12月に行った、これも渡しまして、3つのポイントがありますよね。それも申し上げて、是非これを読んで日本の全体のアジア外交を考えて欲しいということと、中国については、日中両国ともこの関係は非常に重要だと考えているということと、日中両方とも未来志向で日中関係を良くしていく必要があると思っていて、中国の指導部もそう信じていると、自分は戴秉国・外交部副部長から聞いているということを言いました。ゼーリック副長官も、自分もその点は中国がそういう風に思っているということは聞いているし、現にそうであると自分も思っていると言っていました。日中関係を良くするために自分に何か中国に、これから中国に行きますから、伝えて欲しいとかそういうことがあれば遠慮せずに言って欲しいということは言っておられました。別に今回ではなくて、米国は日中関係を良くするために何かする必要があれば喜んでしたいということは言っています。

(問)それに対して次官方からは何か、こういうことを是非伝えて欲しいとは言われたのですか。

(事務次官)お気持ちは有り難いけれども、今すぐこれをしてくださいとかそういうことは言っていません。

(問)アメリカ産牛肉の問題については話題になったのでしょうか。

(事務次官)これは、ほとんど時間がなかったのですが、最後に私の方から、もう既に官房長官、外務大臣とお話なさっているし、またゼーリック副長官のおっしゃっていることも報告を受けているけれども、2つだけ特に強調したいということで、なぜこういうことが起きたかということについてはできるだけ正確に、早く、我々としては教えてもらいたいという点と、再発防止を本当に真剣にやってもらいたいと。再び輸入を再開してまたこのようなことが起きたらその場合はもう取り返しのつかないことになりますよということで、本当にそこは真剣にやってもらう必要があるということは特に強調しました。

(問)ゼーリック副長官の方から、総理の靖国参拝について、その辺についての言及は何かあったのですか。

(事務次官)というよりも、日中関係の、特に私の総合政策対話の話を説明して、中国側から、その場で靖国問題についても当然話題になったということを話しまして、総理はどういうお気持ちで参拝されているか、中国はどのように言っているか、そういうことは紹介しました。米国側からそれが特に良いとか悪いとかそういうコメントはありません。

(問)先程の、その場合取り返しがつかないことになる、最後にゼーリック副長官は何と言って帰ったのでしょうか。

(事務次官)それはもう、自分たちも次官が強調されたことはよく理解するということで、全力を挙げて努力したいということです。

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日朝協議

(問)日朝の協議なのですが、12月の先の協議の合意で、1月末にも再開するということで合意されていたかと思うのですが、見通しは今どういう状況なのでしょうか。

(事務次官)1月末をめどに再開するということで意見の一致を見たわけですが、今の状況では、今月中にやるというのは難しいかなという感じはあります。しかし、非常に先にまでずれ込んでいるかというと、そういうことはないのではないかと、割合早い時期に可能かなという感触は今持っています。

(問)まだ決まってはいないのですか。

(事務次官)まだ決まっていません。調整中ということです。

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六者協議

(問)六者協議の方は、中国なり何なりから、そういう時期などについて連絡は入っているのですか。

(事務次官)そういう事実はないと聞いています。

(問)今日の午後にもアメリカのペン農務次官など実務者の方が来日するそうなのですが、協議の日程などについてご報告は受けていらっしゃいますでしょうか。

(事務次官)どういうスケジュールで誰がどう風にやるかという話は聞いていません。

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名護市長選

(問)昨日の名護市長選の受け止めと、今後の対応について。

(事務次官)この問題については、普天間基地の移転問題を含めて3月に最終報告を行うということで今努力をしているわけです。今回の選挙について島袋市長が新しく選ばれましたが、元市長同様、よく地元の事情についても意見をかわしながら、なんとか物事を進めていこうということだと思いますが、これは私どもは直接やっていることではありませんので、防衛庁あるいは防衛施設庁の方でこの辺りは推進していかれるのだと理解しています。

(問)3月の最終報告の取りまとめ、難しいんじゃないかという意見もあるようですが、そこら辺の見通しについてはどうですか。

(事務次官)簡単ではないと思いますが、今はともかく一所懸命それを目標として努力しているというところですので、難しいのではないかとかということを申し上げるのは適当ではないと思います。

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事務次官会見記録 (平成18年1月16日(月曜日)16時23分~ 於:本省会見室)

ジャービル・クウェート国首長の逝去

(事務次官)冒頭、ジャービル・クウェート国首長のご逝去について発言します。1月15日早朝、日本時間同日昼間にあたりますが、クウェートのジャービル首長が逝去されました。わが国は、15日午後に発出した小泉総理大臣の談話の通り、クウェート首長家、同国の政府およびクウェート国民に対し、心からの哀悼の意を表します。クウェートは、わが国が輸入する原油の約1割を供給する資源大国であり、わが国は、エネルギー安全保障の観点からもクウェートとの関係を重視しています。かかる観点も踏まえ、日本政府として弔意を表するために、麻生外務大臣を特派大使として派遣する方向で現在政府内の手続きを進めているところです。麻生大臣は、本16日夜に政府専用機で日本を発ち、明17日に弔問を行い、小泉総理に代わり日本政府と日本国民の弔意をクウェート政府関係者に伝達し、18日に帰国する予定です。以上です。

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王毅・駐日中国大使の帰国

(問)中国の王毅駐日大使が、先月の上旬から本国の方に帰っていらっしゃいます。こんなに、1カ月弱、任地を離れるというのは異例のことだと思うのですが、それに対する日本政府の受け止め方は。

(事務次官)王毅大使が帰国されて、基本的には休暇を取られているのだと思いますが、確かに時間的には我々の常識から言うと若干長いかなという気はしますが、いろいろと今、ご承知のように問題のある時期において、日本のことを最も良くご存知で、日本国民の感情もまた良くご承知なわけですから、それを踏まえて、中国政府の上層部の方々と良く話をされて、今後の日中関係をどうするかということを検討してこられるのだと思います。我々としては、どういう話し合いをされ、またどういう方向で日本との関係を持っていこうとしているのか、これはお帰りになったらまたそういった点についてお話をしたいと思っています。私自身も、王毅大使が帰国前に内々にお会いして率直に話をしたことがあります。今申し上げたような問題意識でお帰りになったのだと承知しています。

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上海総領事館館員の死亡

(問)上海総領事館の館員の自殺問題なのですが、外務報道官の会見等で、抗議の回数やどのような形で行ったかというのは答えられないということなのですが、それは当時の外務省、特に処理したアジア大洋州局の対応が十分なものではなかったから公表できないのではないかという疑念があるのですが、それについてご見解をお聞かせください。

(事務次官)上海の不幸な事件のことにつきましては、確かに、あの事件が起きて、我々としても非常に大きな衝撃を受けて抗議をしたことは事実です。その時に、事件直後、それから最近になってまた報道もされたということもあり、その間、安倍官房長官の方からは4回抗議したということをおっしゃっているわけです。それについて、どの段階で、またどのようなやり取りがあったかということについては、事柄の性質もありますし、また亡くなられたご本人のプライバシーもあるので、そこのディーテイルについては、お話しすることは差し控えたいということで今まで対応させて頂いたということです。

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ODA改革

(問)政府開発援助の一元化の議論が進んでいますが、これについての立場をお聞かせ下さい。

(事務次官)私共としては、経済協力は外交政策の一環として非常に重要な地位を占めていると思います。経済協力は大きく言うと、有償、無償、技術協力という3つのカテゴリーがあるかと思いますが、そのそれぞれの協力がどのような形で実際に展開されていくのが望ましいのかということは、一回の議論ではなく何回も議論し、また常に検証しながら、あるいは検討しながら考えていく問題だと考えています。現在、政策金融の一体化という流れの中で今、円借款の取り扱いについて御議論があるわけで、これについては検討会で御議論頂いているわけですから、私共として今こうすべきだとかああすべきだということを申し上げる段階にはないのではないかと思っています。また、経済協力につきまして我々として今まで企画立案し、また実施にもかかわってきた立場からしますと、これまでのやり方というものは全てよかったとは思ってはいません。更に改革すべき余地はあると思っています。今回の政策金融の一体化の絡みでこういう問題も起きてきていますので、これは我々の考え方だけではなくて、広く有識者の方々の意見も踏まえて最も望ましい形はどうしたらいいのかという事を今まさに我々も含めてあくまで議論しているという段階でありますので、これがいいのだという格好で申し上げる段階にはまだ至っていないと思います。

(問)JBIC(国際協力銀行)は円借款の実施機関として存在意義が十分にあるとお考えですか。

(事務次官)JBICは御承知のような経緯があって、旧・輸銀(日本輸出入銀行)の部分と、海外経済協力基金(OECF)の部分が合体して仕事をなさってきたわけで、それはそれとして評価されるべきであると思っています。ただ、今、政策金融を一体化するという流れの中で、ではそのJBICをどういう風にされるのかというのはまさに検討会で焦点となっているのだと理解しているところでありまして、これを今、こうすべきだという事を申し上げるのは検討会の先生方の御議論に余計な波紋を招くことにもなりかねませんので、そこはちょっと今の段階では控えさせて頂きたいと思います。

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金正日総書記の訪中

(問)金正日総書記の訪中の動向について現時点では。

(事務次官)中国政府も北朝鮮政府もまだ公に認めていない話なので、我々も皆様方の報道、それからいろいろな形での情報を把握していますけれども、私共が今こうですとかあるいはこれはこう思いますとか言うのはいかがかなと思います。これも申し訳ないのですが控えさせていただきます。

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