(問)日朝政府間対話、これまだいつ決まるかというのはまだ見えていなかったのですが、12月にもという調整をされているというお話がありますが、これについてどうでしょうか。
(事務次官)六者協議については私どももなるべく早くあった方がいいのではないかと思っていますが、中国が今議長国としていろいろ調整を行っているところだと理解しています。まだ時間的に12月の下旬にあるとかそういう形では固まってきていないと理解しています。
(問)できれば12月に開きたいとお考えでしょうか。
(事務次官)気持ちとしてはそういう気持ちがありますが、ASEAN+3とか東アジアサミットとか、12月にも半ばにありますし、大きな外交案件もありますから、状況的には12月というのはなかなか難しいかなという印象は持っています。日朝については、その六者協議との関係で、六者協議がある前に日朝協議がある可能性は高いのではないかと思っています。その六者協議が決まっていませんので、日朝協議もまだ具体的にセットはされていないという現状です。
(問)改めてお聞きしますが、日朝について、一応外務省としては12月のうちに開きたいということですか。
(事務次官)できるだけ早く開きたいというのは日朝についても同じです。
(問)その場合、3つの協議会を作るということを日本として提案されていましたが、それについては何か向こう側の反応はありますでしょうか。
(事務次官)今のところはありません。
(問)協議会を分けずに日朝の対話だけ開くという可能性もありますか。
(事務次官)その3つのグループをやるかどうかというのは、今度の日朝協議のタイミングは今調整中ですが、その時に少なくとも北朝鮮側から反応があるのだと思います。初めから3つに分けてやりましょうという話ではないと思います。
(問)政府系金融の統廃合問題で、JBICの文部省部分を切り離してJICAと統合させるとかいろいろな案が取り沙汰されていますが、現時点での外務省の見方というかお考えをお聞かせください。
(事務次官)政策金融の問題というのは、外務省が関わりを持つ部分というのは必ずしも多くないのですが、例えば資源関係の部分とか、あるいは国際交流を強化するというようなところの金融については、これは政策金融として残されることは外務省の視点から見ても理由があるのではないかと思っています。私どもとしては、円借款に関する部分がどうなっていくのかについて、これは組織論として、今どのような方向で議論されるのか、結論がどういう風になっていくのかよくわかりませんが、我々としては、円借款の問題について、あるいは経済協力全般が総理大臣の指揮の下で外務大臣が調整の中核になるということ自体はこれからも維持されるべきであると思っています。その関連において円借款がどういう事になるかということについては我々としても関心を持っているということです。
(問)人権担当大使の実現可能性というのはいかがでしょうか。
(事務次官)実現可能性はかなりあるのではないかと思っていますが、私としてはそういう人権担当大使というものを作るという方向で今、事務的に検討作業をしてもらっていると理解しています。
(問)それは年内にも。
(事務次官)ちょっとタイミングはいつというところまで考えていませんが、やる以上は早くやった方が良いのではないかと思っています。
(問)具体的にどういった役割を。まさに検討中だとは思うのですが。
(事務次官)人権問題については国際会議も いろいろありますし、人権委員会等々ですね、そういった所への参加も含めて、日本として、日本政府として人権問題への取り組みということについて大使として責任を持ってやってもらうということが望ましいのではないかと思っています。
(問)APECが終わりまして、日中首脳会談、日韓首脳会談、今後の見通しについてお話を伺いたいのですが。
(事務次官)APECが終わって、ご承知のように日中首脳会談は行われず、日韓首脳会談は行われたという状況に今あるわけです。今後どのようになっていくかはこれからいろいろと情勢の進展もあるでしょうし、それぞれがいろいろと努力もあると思いますので、それによってそういった会見への雰囲気ができていくかどうかということだろうと思います。ですから、こうなるでしょうということを今申し上げる段階にはないと思います。
(問)日韓の方ですが、大統領の年内の訪日が難しいという見通しが強まっているかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
(事務次官)そういう風に見られる方もいると思いますが、私どもとしては、いつでも大統領をお迎えする用意はできていますので、大統領が訪日されるような状況といいますか、雰囲気といいますか、そういったものができてくればいいと思います。また、我々としては事務的にはそういうことを念頭に置きながら努力していきたいと思います。
(問)先程の日露首脳会談後の記者会見でプーチン大統領が小泉首相から関心ある提案を受けたというようなことを仰っているのですが、関心ある提案というのは具体的に何なのでしょうか。
(事務次官)何についてですか?
(問)おそらくその領土関係が中心であると見られるのですが。
(事務次官)今回何か特別に新しいものを我々の方から事務的に用意して総理から言って頂くという感じで考えていたものは特にないです。ですから、総理がいろいろお考えになっていることの中からあるいはアイデアを出されたのかもしれませんが、どういうものかということについては私は承知していません。
(問)当初の予定通りというか、領土問題ではあまり大きな進展はみられなかったという感じですが、現段階で今回の首脳会談をどう位置づけていらっしゃるか、経済協力も領土問題も含め今後の展望をどう持っておられるのでしょうか。その2点をお聞かせください。
(事務次官)領土問題そのものについては、明るい展望が開けるという状況には残念ながら至っていません。至っていませんが、日本とロシアのそれぞれの持っている国際的な地位、あるいは経済力その他を含めての国力、そういったものを考えると、この両国の間では更に関係を緊密化していく余地はたくさんあると思いますし、またそうでなくてはいけないと思うわけです。その場合に北方領土の問題があるから他の問題にブレーキが掛かってもそこはやむを得ないという考えでいくのか、それとも北方領土の問題があるにも拘わらずその他の分野においてもっと協力関係を深めて両国間の信頼関係もその中で築いていくと、そういったプロセスの中でこの北方領土問題がやがて解決するという道を選ぶのか、そういう地点に今立っているのではないかと思います。従って私はむしろ後者の考え方で、できるだけロシアとの協力関係を追求しつつ、また信頼関係を築くことに努力しつつ、その上であるいはそのプロセスの中で北方領土問題を解決するに相応しい雰囲気の下でこの問題の解決を図りたいと思っています。
(問)その場合は、言い方は悪いのですが、北方領土問題は保留のものとして棚上げして経済協力の方をどんどん進めていって、その信頼醸成を図っていった方が、将来的には北方領土問題の解決にも繋がるという風なお考えなのですか。
(事務次官)いいえ、そんなように北方領土は横に置いておいて、従ってもうそれ以外のことについてどんどんやっていくということではなくて、北方領土の問題については厳しい議論をやはり繰り返すといいますか、それはきちんと相手に伝え、また理解も求めるという努力をすべきだと思います。それは単に政府間でやり取りするというだけではなく、ロシアの国民にも直接的に広報という手段を使い、よく日本の立場というものを理解してもらう必要があります。特に歴史的経緯を見てみますと、どうしてもこの北方四島は返還してもらう必要がありますので、そういったことについてのロシア国民の理解を深めるということも当然、今申し上げたようないろいろな努力と共に行われる必要があると思っています。
(問)今のお話は、従来、四島の帰属を確立できないものが、なかなかその他の協力も進めないというような外交交渉の在り方が大きな方針転換のように聞こえるのですが、その1点、あと、東シベリアのパイプラインなんですが、これは今回当初求めていた一括建設方式ではなく二段階でなったということについての評価、その2点お願いします。
(事務次官)最初の点について言いますと、北方領土の関係する問題というのはいろいろな考え方が従来からあります。しかしながら、問題の基本的なところはその四島の帰属の問題を解決するということで、そのためにはどういう手段を使っていけばいいのかというところでいろいろと議論があったということだろうと思います。今までのいろいろな努力を評価してみますと、やはり今、ロシア側において日本にこの四島を、時期とか条件は別にして、返還する雰囲気がないのだろうということです。その前に、対決的な姿勢を強めていけばやがて帰ってくるという話なのか、それとも返還することにする雰囲気、すなわち日本に対する信頼、あるいはここまで進んできた日露関係に鑑みても返すべきだということになってくるのか、その辺りを追求する必要があるのではないかと思っています。今までそういうことをやってこなかったのかというと、そんなことはないわけで、例えばシベリア開発の問題とか、あるいはサハリンにおける石油の問題とか、今まさにご質問のパイプラインの問題とか、こういったことは大いに議論もし、随分推進してきたわけで、今申し上げたことは決して新しい方針への転換ではないと思っています。ただ、パイプラインの問題は、これは基本的にロシアがどうするかという話なので、我々は戦略的な観点から言ってもこのバイカル湖の西側からナホトカまでもっていくというのは戦略的な利益にも合致する考え方だと思いますし、世界に対する石油供給という観点からも、中国にだけ供給するラインよりは日本とか韓国とかあるいは中国、更には米国の西海岸にも供給しうるこのナホトカへのパイプラインの方がより世界のエネルギー事情にとっても良いのではないかという立場から議論をしてきたわけです。それで、少なくとも今、工事は二期に分けてやるということでありますが、ナホトカまで繋げるということについては、ロシアもそれはその通りであるということを言っているわけです。従って、二期に分けて結局は中国にだけ供給するという考え方は今ロシア側は取っていないと理解しています。ただ、最終的に結論が出ているかというとそれはまだ出ていないと理解しています。
(問)先週、外務人事審議会の方から外務省の人員の定員の問題について増員すべきだというような提言がなされたようですが、今、公務員の削減計画というものを小泉内閣がやっている中で、審議会としてこういう提案が出てきたことをどういう風に受け止めているかということと、実際に削減計画の中で外務省が定員を増やしていけるという見通しがあるのかどうか、その辺どうお考えなのか聞かせてください。
(事務次官)これは皆様方もよくご存じのように、外交的に取り組まなくてはいけない課題が非常に増えていますし、各国との交流もいろいろな形で増えているわけで、現在の陣容で、正直言って相当、特に在外公館においては戦線が延びきっているような印象を持っています。特に小規模公館についてはもっと人数を増やしてあげないと非常に厳しい状況にあると思っています。そういうことも背景として、外務人事審議会ではそういった提案をして頂いたのではないかと思っています。他方において、非常に現在の財政状況等々、非常に厳しいものがありますので、そう希望通りにはいかないことも承知していますが、私どもとしては、一般的に公務員を削減するという方針の下で、しかしながら更に増やすべき所は増やすという考えをとって頂きたいと、思っているわけです。そういうこととして、自分で言うのもおかしいですが、外務省は定員を増やして頂いて然るべきであると思っています。
(問)APECのバイ会談ですが、今日、中国外務省の副報道局長が日中首脳会談はありえないと、外相会談についても極めて厳しいという見通しを示したのですが、中国側とはどのような調整になっているのでしょうか。
(事務次官)こちらからは会談の希望ということは伝えてあるわけです。向こうからは直接の返事はないという状況であると理解しています。
(問)今のところ見通しは立っていないということですか。
(事務次官)日中首脳会談の方はなかなか難しい状況のようですね。外相会談については、少なくとも今の日中関係に鑑みると開催された方が良いとは思っていますが、それに対して積極的な反応は今のところないという状況であろうと思います。
(問)朝日新聞の調査で、沖縄県民を対象にした世論調査なのですが、基地の整備縮小への政府の取り組みを評価しているという声が13%、評価しないというのが72%なのですが、この結果についてどう受け取られますでしょうか。
(事務次官)政府それぞれの関係部局で一所懸命その辺りも配慮しながらやっているつもりですが、そこのところは大変厳しい見方で見られているということだろうと思います。このあたりは、粘り強く、特にこれは外務省というよりも防衛庁等の方でお話しされることだとは思いますが、粘り強くこれからもお話、ご説明していかなくていけないと思います。
(問)明後日から日米首脳会談が行われますが、日本政府としては今回の会談をどのような会談と位置づけていらっしゃいますか。
(事務次官)ここしばらく、日米首脳会談というのは、本格的な形ではありませんでしたが、特に今年後半に入ってからいくつかの案件に精力的に取り組んできました。米軍再編問題を含めて。これからの日米関係を考えて、やはり世界の平和、あるいはアジアの平和と安定のために日米関係が安定しているということは非常に重要だと思いますので、そのことを再確認し、これまで成し遂げてきたことを評価すると同時に、これからも更に建設的に取り組んで行かなくてはいけないということは話し合うのではないかと予想しています。
(問)いろいろなテーマがあると思いますが、日本側から特に取り上げたいテーマですとか、あるいは米国に対してこういったことを訴えたいというテーマはありますか。
(事務次官)テーマというか、今申し上げたことに基本的には尽き、あとは各論の話だと思います。日本から特に取り上げて強く訴えなくてはいけないというものはあまりないのではないかと思いますが、例えばブッシュ大統領が提唱している鳥インフルエンザについての国際的な取り組みといった問題については日本も同感ですし、今日、政府の各省の局長レベルの会議もあったようですが、こういった共同計画を日本としてもやっていくということで、今後更に国際的な取り組みにも協力していくということだろうと思います。こういった問題は、ポジティブと言いますか、人間の安全保障に関わる話だと思います。こういった話題というのはこれからの日米関係にとっては適当なテーマではないかと思いますが、いずれにしてもこれは総理と大統領がお話になることですので、これ以上どうこう申し上げるのは僭越かと思います。
(問)ペルーのフジモリ元大統領の問題で、ペルーの副大統領が断交だというような厳しい発言をされていたり、あるいは日本大使館にデモがあったりという話があるのですが、ペルー当局から日本政府に何かその後伝達事項があったのかどうか、あるいは今後日本政府としてどのような対応を考えているのか、お願いします。
(事務次官)数日前に石田大使がペルーの外務大臣に呼ばれていろいろなお話があったと理解していますが、その後特に何かの申し入れがあったとか、そういう風には私はまだ聞いていません。他方、ペルーの中で、今おっしゃられたようないろいろな動きがあると思います。もともとペルー政府は、フジモリ元大統領を引き渡して欲しいということを言っており、日本政府はそれに慎重に対応していましたので、それに対する不満というのは一般的にはあるのだろうという風にも理解しています。
(問)何か今後の対応はお考えになっていらっしゃいますか。
(事務次官)今後の対応ですか?これは前にも申し上げましたが、基本的にチリの司法当局の手にあり、ペルー政府とチリ政府との間で今それについての話し合いが行われているわけで、チリ政府も言っているように、基本的には政治の手を離れて司法当局あるいは司法機関の問題であるということですから、我々としてもそこは見守るほかにないのではないかと思っています。
(問)昨日、麻生大臣が講演の中で靖国神社に対する踏み込んだ発言というか、これまでの見解とはちょっと踏み込んだ発言をされたのですが、あの発言によって今後の政策に変化が生じるとかそういうことはありますか。
(事務次官)踏み込んだ発言とおっしゃいますと?
(問)国家のために尽くした人が最高の礼をもって祀られるのを禁止するというのはないとか、そういうような発言をされたと思うのですが、そういうことと今後の政策とに変化は生じることはないのですか。
(事務次官)私は正確に麻生大臣がどのようにご発言されたか承知していませんのであまり軽々しくコメントすべきではないと思いますが、基本的に何か政策なり基本的な考え方なりを変えようと思ってそういうご指摘のような点も含めてご発言されたとは理解していませんが、いずれにしてもまだ見ていませんので、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。
(問)政府系金融機関改革についてですが、今、ODAを含めた援助部門を首相直属にしようというような議論も浮上していると思うのですが、これは外務省の組織論にも関わる問題だと思うのですが、これに対して外務省ではどういう風に対応しようとなさっているのか伺いたいのですが。
(事務次官)この点についてはいろいろな人がいろいろな意見を持っておられて、これからも議論がいろいろな形で交わされていくのだと思いますので、外務省がどのような形で発言していくかは、この場で今申し上げるのはあまり適当ではないと思います。ただ、今まで外務省は援助庁あるいはODA庁的なものを作るということについては決して積極的ではなかったというのは事実としてあるのだろうと思います。ただこれからどういう風に取り組んでいくかはこれから更によく検討して発言していきたいと思います。
(問)9日から六者協議が開かれますが、政府としてはどのような方針で臨まれるのかお聞かせください。
(事務次官)前回の協議で一応の合意ができましたので、それを更に議論して詰めていくという作業になると思いますが、やはり大事なことは、北の核兵器あるいは核計画の廃棄とともに、彼らが言っている核の平和利用という話をどういう風に考えていくのか、その辺りのことを、各国いろいろ立場は違うと思いますので、そこを更に詰めていくという作業が始まるのであろうと思います。
(問)政府として具体的にはそういう詰めていく作業の中で何か。
(事務次官)政府としては、今申しましたような作業が具体的に進められて北朝鮮に対する国際社会の信頼が回復するということが重要であろうと思っており、そういうことがあれば、核の平和利用についても話を行うと思っています。
(問)日朝協議で提案した分科会のことですが、日本側の狙いを改めて伺いたい。協議の進め方について、例えば同じ日程同じ場所でやるのか、また分科会として切り離してやるのか、どんなイメージを持っていますか。
(事務次官)3つの分野で話を進めていくという日本側の案については、北朝鮮側もそれを持ち帰って十分検討させて頂きたいということであったと承知しています。3つは並行的に議論していくことだと思いますが、我々としては当然、拉致問題というものを重視しています。もちろん核とかミサイルとかそういう安全保障関係の議論もするわけですが、メインはやはり六者協議で進めていくことだと思います。従ってそういう意味では、やはり拉致問題が非常に重要であろうと思っています。その3つの分野についての会合が、ある場所において同時に行われるのか、多少の段差があるのか、それは実際にやってみないと分からない面もありますし、北朝鮮側がどのように考えるかにもよると思います。
(問)敢えてそこを3つに分けたその理由とは、特に拉致問題をやっていこうということなのか、どこにその狙いがあるのでしょうか。
(事務次官)まとめてやっていると、たとえば拉致問題の特定の問題で行き詰まったりすると他の問題が話し合えないとかいうようなことがあってはいけないと思います。それぞれまた専門の人、あるいは得意な人も違いますから、議論を促進していくためにはある程度分けて、また分けて話し合える内容でもあると思います。ただ、非常にはっきりしていることは、私どもはあくまでもこの拉致及び核・ミサイルの問題を包括的に解決して初めて正常化するということであり、どれかだけを先に取り上げてということはあり得ないわけです。たとえば拉致問題を置き去りにして正常化するということはあり得ないわけです。逆に拉致問題は、これだけ取り上げてそれだけ先にともかく解決するということであれば、それは我々、歓迎しますが。
(問)明日からの六者協議で、北朝鮮に対しては拉致問題について協議していく、引き続き求めていくのでしょうが、前回は接触がかなり頻繁に行われたんですけれども、今回についてはどういった見通しあるいは希望をお持ちでいらっしゃるのでしょうか。
(事務次官)前回は、ご承知のようにそれまで日朝協議が長らく行われていないという状況であり、それは具体的には拉致問題について去年の11月ぐらいからですから、話し合われていないという状況があったわけですから、そういう状況にあったので、六者協議においてもこの問題を取り上げざるを得ないと。しかし我々はこの六者協議というのは本来、核の問題を取り上げる場であるということは承知していますので、今回日朝協議でかなり時間をかけて議論をできましたので、六者協議でまたこの問題を取り上げて徹底的にやらなくてはいけないという事情は前回とはちょっと違うのではないかと思っています。
(問)六者協議で北朝鮮と二国間協議を行う機会があったとしても、核・ミサイル問題に専念するということですか。
(事務次官)拉致問題も含めてという先程申し上げた日本の基本的立場を伝えるときに、拉致のことを一言も触れないということではありません。ただ拉致問題そのものを取り上げて議論するというのは、前回もそうでしたが、それを担当している然るべき人が来ていないので、そもそも北朝鮮側が何か我々のメッセージを伝えてもそれは本国に持ち帰るということであって、議論そのものができる状況には今回もないと思います。メッセージとして何かあればそれを伝えて欲しいということはあるかもしれません。
(問)日朝で三つの分野で同時並行で話を進めていくと、これはこれまでの政府の考えとしては、拉致問題で進展がなければ正常化交渉自体有り得ないという見解であったと思いますが、同時並行とはいえこういう形で進めていくということは今までの方針を多少なりとも変更したということですか。
(事務次官)いえ、そういうことではなく、基本的な立場というのは先程申し上げたように、拉致・核・ミサイルの問題を包括的に解決して国交正常化を図るということで、他方、核の問題、あるいは拉致の問題を議論するときに、例えば拉致の問題を解決しなければおよそ正常化問題について一切入らないということではないということです。ただ、今申し上げた基本的な立場は揺るがせずに対応していきたいと思っています。
(問)フランスの暴動についてですが、今後、渡航注意であるとか、アドバイザリーを出される準備もあるということを聞いていますが。
(事務次官)とりあえず今日、スポット情報というのを出しましたので、それをご覧いただければと思いますが。
(問)これから具体的にいつそういう勧告なり注意なりというのを出されるのでしょうか。
(事務次官)ですから、これこれこういう地方あるいは県で、どうもパリ郊外に多いようですが、そういう所にはこういう事が起きていますから、そのことを十分考慮して行動して頂きたいという趣旨だと思いますが、そういうスポット情報を出したということです。
(問)フジモリ前大統領が逮捕されたという情報がありますが、それについては。
(事務次官)それは報道では承知していますが、具体的に事実関係として確認しているわけではありません。
(問)フジモリ元大統領が拘束されたというチリ政府からの何らかの連絡は来ているのか、また ウィーン条約に基づき接見するお考えがあるのか。
(事務次官)チリ政府から拘束したというような情報は来ていません。従って、広い意味での邦人保護という観点からどうするかという点については、チリ政府がどう対応するかによって考えていきたいと思います。
(問)今後国際会議が続きますけれども、日中・日韓の関係修復にどういう風にその国際会議を使っていくかというのを教えて頂けますか。
(事務次官)いろいろなオケージョンを通じて日中韓で意思疎通を、今回いろいろとトップレベル、あるいは外務大臣レベルでお話をしうる機会が有り得ると思いますので、そういった機会を通じ、また事務レベルでも、機会があれば意思の疎通を図っていきたいと思っています。
(問)プーチンの来日に関してなんですが、今回の日本での首脳会談についてですね、外務省としては具体的にどういう成果を期待されているか。
(事務次官)プーチン大統領の訪日というのは、我々の気持ちからすれば去年の春以降からの懸案で、今回ようやくプーチン大統領がおいでになるということです。時間は必ずしも十分ではありませんけれども、小泉総理との突っ込んだやりとりがあると思いますので、非常に大所高所から議論して頂くということで、将来の日露関係をどういう方向に持っていくかということについての話し合いがかみ合った形で行われることを期待するということです。何か具体的に打ち上げるとかそういうことを考えているわけではありません。
(問)領土問題に関しては。
(事務次官)領土問題はこれまでいろいろなやりとりがずっとあったわけで、それを踏まえて、今後の展望が開けるようなものが出てくれば非常に良いと思いますが、なかなかロシア側の態度が、いろいろな情報を総合しますと、非常に固いようですので、大きな進展はなかなか難しいのではないかと思います。しかし日本の立場というのは非常にはっきりしていますから、小泉総理の方からその点は強く訴えて頂くということであろうと思います。