記者会見

報道官会見記録(要旨)(平成21年7月)


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報道官会見記録(平成21年7月29日(水曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

米中戦略・経済対話

(報道官)今月27日、28日の二日間にわたって、米中戦略・経済対話がワシントンで開催されました。この会合に於いては米中関係にとどまらず、経済・金融等での協力、地球規模課題に関する協力、更には地域・国際社会の課題に関する協力等について意見交換が行われ、合同プレスリリース等の成果文書が発出されたと承知しています。
 日本政府としては、今回の対話を始めとして、米国が中国に対する関与政策を進めることは、中国との間で「戦略的互恵関係」の構築を進める我が国と考え方を同じくするものであり、望ましいことであると考えています。

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補給支援特別措置法

(問)民主党の鳩山代表がインド洋の給油活動を延長しないと明言されましたが、外務省としてはどのようにお考えでしょうか。

(報道官)今回の総選挙に向けたマニフェスト等については、外務省としてのコメントは差し控えたいと思います。その上で、この補給支援法の今後について、一般的な質問ということでお答えすれば、政府としては引き続いて国際社会によるテロ撲滅のための一翼を担って国際社会の連帯において責任を果たしていく必要があると考えております。来年1月15日に期限を迎える補給支援特措法については、我が国として、引き続きテロ撲滅のための一翼を担い所要の責任を果たしていく必要があると考えておりますが、この法律の期限後の対応について現時点で具体的な決定はしておりませんし、確たることを申し上げる段階にはありません。

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報道官会見記録(平成21年7月28日(火曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

北朝鮮問題

(問)ASEANの時にクリントン米国務長官がABCのインタビューに答えて、北朝鮮に日韓が懸念するのは分かるけれども、米国にとっては脅威ではないという発言をして、米国の考え方をポロッと喋ったという感じがするのですが、外務報道官はどう受け止められましたか。

(報道官)そのことだけをシングルアウトしてどうこうということは適切ではないというのが第一点です。今回現地で私も日米外相会談に同席しましたし、日中、日韓も含めて非常に特徴的だったのは、北朝鮮に対する国際社会の強いメッセージを如何に発出するかというのが重要な課題だったと思います。それは大臣も何度か現地で言われたと思うのですが、クリントン長官は私の知る限り二度現地で記者会見をしていて、自ら北朝鮮に対してどういう要望を米国が突き付けているのかということをはっきり仰った訳です。その中で、今一番大事なことは、安保理決議の履行、実効性を確保する為に国際社会が一致して努力することだということを言われました。北朝鮮が行った核実験とかミサイルの発射だとかそういった挑発的な行為に対して、あたかも何事もなかったかのように対話に応じるとか、或いはむしろそうした行為は対価を伴うものだということも言われている訳です。従って、トータルで見た時に、今北朝鮮の核開発を阻止しなければならないというメッセージは非常に明確に発出されたのではないかと思います。それから私自身、現地で外国メディアに対してとりわけ強調して申し上げたことは、日本が、この核の問題、ミサイルの問題、拉致の問題もある訳ですが、そうした北朝鮮が突き付ける問題から受ける脅威というものを最も身近に強く感じているのだということを国際社会も是非理解をして欲しいというような訴えをしました。そういう意味でも、24日に安保理決議を受けた5団体・5個人に対する追加的な措置の発表を、こちらで官房長官が発表しましたが、現地で私もほぼ同時的に発表しました。大変強い反響がありましたが、日本がそうして諸外国の中でも相当早い対応をしたというのは、日本の真剣な取り組みというものがかなり好意的に受け止められたのではないかと思っています。

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ラビア・カーディル氏の訪日

(問)本日世界ウィグル会議のラビア・カーディル議長が来日ということですけれども、それに対して中国政府が来日を許可したことについて強い不満を表明しています。これに関して二つお伺いしたいのですが、先ず中国政府の反応についてどのようにお考えなのかという点が一つと、来日の経緯、また許可した理由について、日本政府の立場をお聞かせ下さい。

(報道官)まず二番目の経緯等について、お答えします。今回の訪日は我が国における民間の関係者による招聘ということです。そして、訪日のための査証申請を日本政府として受けた後、関係法令、通常の手続きに従って判断をして査証を発給しました。中国政府の対応ということですけれども、23日に東京に於いて、24日に北京に於いて中国側から、ラビア・カーディル氏の訪日に強い関心を持っている等の申し入れがありまして、我が方からは日本政府の対応について説明しました。日本政府としては、中国側に対して、関係法令に従って適切に対処しているということを説明しました。最初のご質問の答えになると思いますが、私共としては、今回の訪日というのは民間の関係者の招聘を受けて来られるものということで、入国管理法に則って審査した結果、査証を発給するという判断に至ったということです。
 ラビア・カーディル氏の訪日そのものが日中関係に悪影響を与えるとは考えておりません。

(問)発給したビザは何でしょうか。

(報道官)一次入国査証ということだと思います。

(問)カーディル氏と外務省、または日本政府関係者との面会というのはあるのでしょうか。

(報道官)特にありません。

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報道官会見記録(平成21年7月15日(水曜日)16時46分~ 於:本省会見室)

キャンベル米国務次官補(東アジア担当)訪日について

(報道官)キャンベル米国務次官補が、7月16日(木曜日)から18日(土曜日)までの日程で訪日されます。同次官補は滞在中、外務省の関係局長と日米関係や北朝鮮、中国を含むアジア太平洋地域情勢等について幅広い協議を行う予定です。また、この間、中曽根大臣及び藪中次官に表敬を行う予定です。

(問)具体的にどの局長とどのような枠組みでお会いになるのでしょうか。

(報道官)関係局長ということですので、ご想像ができるかと思いますが、カウンターパートとしての局長であれば北米局長、北朝鮮問題を話し合うということであればアジア大洋州局長、それから総合外交政策局長といった幹部がカウンターパートとお考えいただければと思います。

(問)三人纏めてお会いになるのでしょうか。

(報道官)いろいろな方法があると思います。それ以上具体的には承知しておりません。

(問)防衛省の局長を交えた会合というのは予定されているのでしょうか。

(報道官)安全保障、防衛政策についても、キャンベル次官補訪日の機会を通じて関係当局と話し合う方向で調整中です。

(問)今回の訪日について、改めて意義を教えていただけますか。

(報道官)米国側のイニシアティブで来られるものですから、あくまでも私どもの期待ということで申し上げれば、米国務省における東アジア担当の次官補ということで、正に日米関係を国務省において全体を総覧する重要な立場にある次官補の訪日となります。キャンベル次官補が議会の承認を経て、我々も心待ちにしていた訳ですが、この機会に来られるということです。当然のことながら、この機会をしっかり活用して日米関係全般について、地域情勢、特に北朝鮮、当面の最大の懸念ですし、そのような問題についてじっくり協議するということだと思います。

(問)国防省のグレクソン次官補がいらっしゃるやに聞いておりますが、それについて。

(報道官)国防省の関係は、カウンターパートである防衛省の方でハンドルされていると思いますから、日程等については、防衛省乃至在京米大の方でご確認いただければと思います。

(問)16~18日ということですが、具体的には関係局長との会談は17日に行われるという理解でいいのでしょうか。

(報道官)その方向で調整しております。

(問)日程とか枠組みは決まっていないから、今仰っていただけないということなのでしょうか。

(報道官)キャンベル次官補の日程については、米側と調整した上でこのような形で公表するということで申し上げているものですので、ご理解いただければと思います。

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東シナ海資源開発「白樺」

(問)ガス田の白樺について何か進展、変化等はありましたか。

(報道官)昨日、大臣が会見でお答えした以降、何か進展があったとは承知しておりません。

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報道官会見記録(平成21年7月14日(火曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

貨物検査特別措置法

(問)貨物検査特措法ですけれども、問責・不信任案がそれぞれ提出されて、事実上審議がストップということで、廃案が確実視されていますが、今回これが廃案になることによって外交にどのような影響が出てくるとお考えでしょうか。

(報道官)この貨物検査法というのは今朝も大臣がお答えしたと思いますが何よりも北朝鮮の核実験を受けて、日本政府が米韓と緊密に連絡を取りながら採択にこぎつけた決議1874の実施及び実効性を担保するものとして準備をしている訳です。そして国会に上程したということですので、いずれにしても、政府としてはこの法律が早期に成立するように引き続き努力をしていくことに尽きるのではないかと思います。では、外交的にどのような影響があるかというお尋ねですが、政府としては今国内の状況に於いて仮にプロセスそのものが中座するようなことになったからといって、我々はそれを諦めるということではありませんし、日本は正にこの安保理決議の実効性ある実施を担保する為に、いろいろな機会をとらまえて外交努力をしている訳です。最近で言えばG8の首脳会議に於いてもそのような方向での首脳宣言が出ている訳ですし、いろいろな機会を使って政府として努力をしている姿勢は、私は対外的にも評価されていると考えております。

(問)法案が成立しなかった場合、日本が訴えてきたこととやっていることが違うということで、信頼感を損なうことにはなりませんか。

(報道官)成立しないということよりも、日本の政治状況の中でどのように受けとられるかということですが、私共としては、法案のプロセスが終わった、頓挫したということではないと考えておりますし、対外的にも日本政府としての努力を引き続き続けていくという説明をして理解を求めていくのだろうと思います。法律が目指していることは、昨日、次官も申し上げたと思いますが、法的な手当てを出来るだけ早く行うのが良いというのが外務省の立場です。併せて決議全体の目的を達成するためにそれ以外にも日本としてやるべきことはある訳ですから、そのような努力を引き続き続けていくということだと思います。

(問)1874号ですけれども、日本政府は国内で新法の成立を目指してますけれども、他の国の動きで何か貨物検査を含めて、制裁を含めて、具体的な立法の動きとか対応について外務省で把握されているものがありましたら。

(報道官)正確に今ここでどの国がどうということは、申し上げる材料がないのですが、少なくとも私は大臣が二国間会談等の場で北朝鮮の問題を取り上げる際に、幾つかの国の外務大臣から決議を履行、担保するための国内措置というのはしっかりとっていきたいというような回答がなされたことを承知しております。いずれにしても日本は独自の措置として、貿易については殆どゼロに近いような輸出入の取引を完全に禁止している訳です。ですからそういう日本の努力というのは間違いなく理解されていると思いますし、引き続き第1874号の武器、貨物検査、金融面での措置といったそれぞれの措置が着実に実施されるように日本として働きかけていくということだと思います。

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東シナ海資源開発

(問)ガス田の白樺ですけれども、今朝の大臣の会見では、将来の開発の可能性がある資機材があるという趣旨のご発言がありましたけれども、その後に何か進展はありましたでしょうか。

(報道官)特に進展ということはありません。敢えて申し上げますと、中国側も 日中の合意をきちんと守るということを回答してきている訳です。日本側としての懸念は伝えております。これから大事なことは双方に於いて合意事項を確認しながら実質的な現状の変更はないということをしっかり確保していくということだと思います。併せて昨年の6月以来今日迄、残念ながら実質的な合意を国際約束の形で前に進めるということがまだ出来ていない訳です。その努力を続けていくということは当然求められていると思います。

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内政(9月の国連総会出席への影響)

(問)総選挙の日程が8月30日に決まりましたけれども、外交日程でいうと9月下旬に国連総会が予定されているのですが、それに新しい総理大臣が出席するとなると日程は厳しいのかなという気がするのですけれども、準備の方は大丈夫なのか。また、9月の国連総会の意義について教えて欲しいのですが。

(報道官)最初のご質問ですが、総選挙の結果が如何なることであれ、外務省として、外交当局として、粛々と、その総選挙を挟む何時であれ、予定されている主要外交行事について一時たりとも外交が停滞することのないように、しっかり準備をしていくということに尽きると思います。
 それから、国連総会については今の時点で申し上げられることは、やはり潘基文事務総長がこの前来られた時にも仰られておりましたでしょうか、一つは気候変動という非常に重要な課題についてニューヨークにおいてハイレベルで会合を、サミットレベルということでしょうが、9月中に国連がホストするということは当然あろうかと思います。もう一点申し上げれば、MDGsの達成が今の現状では厳しい状況にあるという認識を踏まえ、今回のサミットでも議論された訳ですけれども、改めてMDGs達成のために国際社会をあげて努力しなければならないという話があると思います。そういう問題も当然議論されていくのだろうということが言えるのではないかと思います。

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報道官会見記録(平成21年7月1日(水曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

皇太子殿下とカルデロン・メキシコ合衆国大統領の「日本メキシコ交流400周年」名誉総裁御就任

(報道官)平成21年から平成22年にかけ、日本メキシコ交流400周年が開催されますが、今般日本メキシコ関係の重要性及び同事業の意義等に鑑み、日本側は皇太子殿下が、メキシコ側はフェリペ・カルデロン・イノホサ大統領が本事業の名誉総裁に御就任されることとなりました。2年間に及んでこの400周年を御祝いする理由ですが、遡って1609年、今から400年前ですが、当時はスペイン領であったフィリピンの総督ロドリゴ・デ・ビベロがその任務を終え、当時はヌエバ・エスパーニャと呼ばれた今のメキシコ、当時のスペイン領であるメキシコのアカプルコへ戻る途中、台風に遭遇して、現在の千葉県御宿に漂着されました。その際、地元の人々の救助活動の結果、乗員373名中317名が一命をとりとめ、翌年の1610年、徳川家康が船を提供し、この救助された人々がメキシコへ帰国しました。そういう歴史を踏まえ、昨年北海道・洞爺湖サミットの際、日メキシコ首脳会談が行われた訳ですが、その際本年及び平成22年両年に亘って両国交流を一層促進するための交流400周年を祝おうということで合意がなされたということです。因みに非常に大きな目玉事業として、今月7月4日から8月30日まで世田谷美術館でメキシコ20世紀絵画展という事業が開催される予定です。

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中国人の訪日個人観光

(報道官)4月の麻生総理訪中時に本年の7月から中国人の訪日個人観光の開始を表明しましたが、そのことを踏まえて個人観光のための査証申請の受付を北京、上海、広州における大使館、総領事館において、本日7月1日から開始しました。中国人の訪日観光は平成12年9月から団体観光の形式で実施されており、訪日者数は著しく増加しています。他方、最近、より少人数で自由な形式による観光を求める強い要望が寄せられたこと等を踏まえ、今般一定の条件を満たす個人観光客についても査証を発給することにしたものです。中国人の観光客の増加は日中両国の相互理解増進という重要な意義があると考えている次第です。

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中曽根外務大臣等の記者会見の動画配信開始

(報道官)外務省は、3日から、外務省ホームページ上にて外務大臣、副大臣、事務次官の記者会見の動画配信を開始します。また7月中旬を目途に、YouTubeに外務省動画チャンネルを開設する予定で準備を進めており、それが整えばYouTubeを通じても配信を致します。我々の考え方としては、昨今のインターネット高速回線の普及に伴い、ネット上での動画視聴は一般的な情報入手手段になっておりまして、記者会見の動画配信はこうしたニーズに応えるものだと思っています。また、記者会見の動画配信によって、国民各位が大臣等会見者の「生」の声に、或いは雰囲気を身近に感じることができるということで期待をしています。
 因みになぜYouTubeかという疑問を持たれる方があるかと思うのですが、YouTubeは世界最大の動画配信のポータルサイトであり、視聴者数で他社を大きく引き離していると了解していますし、ある資料によれば視聴者数は、ひと月あたり全体で3億人を超えると承知していますし、またもう既に例えば米国務省或いは国際 機関のOECD等もYouTubeへの配信は日常的に行っているということです。

(問)YouTubeでの配信ですが、他の省庁で行っているところはありますでしょうか。

(報道官)YouTubeで動画を配信している機関として、文科省、農水省、法務省、防衛省、厚労省、経産省、首相官邸等、皆実施しているということでした。会見をホームページ上で動画配信しているのは、農水省です。外務省は今回会見の動画配信を始めるということで、そして併せてYouTubeにも動画配信をするということです。因みに北海道・洞爺湖サミットを昨年行いましたが、その際サミットの公式ホームページの動画配信の他にもYouTubeを利用してサミットの情報の動画配信を行ったという実績がございます。

(問)国外にもアピールする役所としての立場ですから、英語の字幕も付けるのでしょうか。

(報道官)今のところは取り敢えず、まずは、国内向けの配信ということで考えています。

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「核持ち込み密約」

(問)密約の関係ですが、衆議院外務委員会で河野太郎外務委員長が、「米国側から公文書が出ていたり、過去の事務次官が実名で証言していること等を勘案すると、密約がないという通り一遍の答弁というのはやや違うのではないかと感じる。独自に立法府として調査したい」ということを仰いましたが、受け止めは如何でしょうか。

(報道官)日本政府の立場は従来から申し上げている通りです。先日来、大臣或いは事務次官も会見の場で説明しております通り「密約」は存在しないというのが、政府の立場です。本日も大臣が国会で答弁されたように、歴代の総理大臣及び外務大臣がこうした「密約」の存在を明確に否定しております。私共としては、改めて村田氏に対して事実関係を確認するということは考えておりません。これが我々の立場です。国会での対応について、私がこの場でこれ以上コメントすることは差し控えたいと思います。

(問)河野外務委員長は委員会として独自調査を検討しているようですが、協力依頼があった場合には協力していくということでしょうか。

(報道官)正確な事情も把握しておりませんし、仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思います。

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佐藤優氏の有罪判決

(問)外務省休職中の事務官佐藤優氏の有罪が確定したということですが、外務省としての反応は如何でしょうか。

(報道官)今、初めてこの情報に接したものですから、私としては特にコメントできることはありません。

(問)今日何か書面で出して頂くことは可能でしょうか。

(報道官)何れにしても、関係先に確認し検討します。

(問)コメントを出す前に有罪が確定すると休職扱いはどうなるのでしょうか。

(報道官)確認します。

〈注〉:後刻、以下を補足として回答しました。

  1. 起訴休職中であったご指摘の職員については、最高裁が、6月30日付で上告を棄却するとの決定を行ったと承知している。
  2. いずれにせよ、外務省としては、本件について重く受け止めており、引き続き、綱紀粛正に努めて参りたい。

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