記者会見

報道官会見記録(要旨)(平成21年3月)


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報道官会見記録(平成21年3月31日(火曜日)16時02分~ 於:本省会見室)

アデン湾における海賊対処護衛の開始

(報道官)昨日、アデン湾における海賊対処のための海上警備行動により派遣された海上自衛隊の護衛艦2隻が防衛を開始したことは、ご案内の通りです。昨日も次官の方にご質問いただいて、コメントをしている訳ですが、補足的に、外務省としての見解ということで申し述べます。主に三点ございますが、第一点として、海賊行為は、船舶の安全な航行という、我が国の国益を脅かす死活的な問題です。特にソマリア沖の海賊事案は、我が国を含む国際社会にとっての脅威となっており、緊急に対応すべき課題です。このたびの護衛開始、具体的には防衛省の方から発表になっていますが、自動車専用船3隻と、タンカー2隻で全部で5隻と発表されています。こうした船の護衛開始というのは、我が国の国民の生命、財産の保護と海上に於ける公共の安全と秩序の維持のための極めて重要な一歩です。二点目として、外務省としても、日ジブチ地位取極の最終調整を行っており、自衛隊及び海上保安庁の円滑な活動に資するよう、関係国との調整等に全力を尽くしてまいります。三点目として、政府は併せて「海賊対処法案」を国会へ提出しており、国会におかれては、本件法案を十分にご審議いただくと共に、速やかにご採決いただけるよう切に希望します。

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報道官会見記録(平成21年3月24日(火曜日)17時07分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日韓外務報道官協議の開催

(報道官)明日25日、私は外務報道官としてソウルを訪問し、文太暎(ムン・テヨン)韓国外交通商部代弁人との間で、私のカウンターパートにあたる方ですが、第2回日韓外務報道官協議を行います。今回の協議は、近年の日韓両国の成熟したパートナーシップ関係の拡大がうたわれ且つその方向で発展してきている訳ですが、そうしたことを背景に二国間関係についての広報、発信だけではなく、地域あるいはグローバルな課題について、日韓両国の協力に関する広報報道対応、二国間の意見交換を行うということです。第一回目は2006年5月にソウルで行われまして、少し時間がかかりましたが、今回双方の都合がついて、第二回目を開催することになりました。

(2)APEC広報パンフレット

(報道官)APECのパンフレットが完成しましたのでご披露させていただきます。来年ご案内の通り、日本でAPEC首脳会議が開催されます。APECというのはアジア太平洋地域の21カ国・地域をメンバーとする経済協力推進のためのフォーラムということで1989年に発足しています。その後活動の範囲として、貿易投資の自由化、貿易投資の円滑化、更には、テロ、エイズ、感染症対策、気候変動、エネルギー安全保障、そういった地球規模の問題を取り上げるようになって、今日にいたっております。来年、日本がホストをするということで、事前の広報の一環ということで、APECの発展の歩み、活動の概要が分かるパンフレットを作成して国内の関係先に配布をするというものでございます。なおこの内容については、外務省のホームページにも今月中に掲載をするつもりです。

(問)APECについて、パンフレットができた訳ですが、首脳会議の場所についての検討状況は如何でしょうか。

(報道官)先週、いくつかその件に関する報道があったと承知していますが、現在、候補地がいくつか挙がっている訳ですが、その候補地に関する現地調査を行い、その結果を収集して、客観的な分析、検討を行っているところです。いずれにしても、来年のことですので、政府としては近く判断を行いたいと考えています。場所がまず決まって時期も2010年と、それ以上申し上げる段階ではありませんが、時期も決まっていくと思います。手続き的なことを補足しますと、今年の7月にシンガポールで貿易担当大臣会合が開催予定になっています。その際に、首脳会議、閣僚会議、高級実務者会合(SOM)といった会合の日程や開催地も含めた2010年日本APEC全体のスケジュールがそこで発表されることになります。

(問)首脳会合の発表と同時に、閣僚会議の場所も同時に発表されるような形になるのでしょうか。

(報道官)私の理解しているのは、一番関心がある会議は首脳会議ですが、首脳会議の場所を決めると同時に、関係閣僚会議の開催地についても日本全国、色々な自治体から誘致の申し出があったということですので、全体を決定すると理解しています。

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北朝鮮ミサイル問題

(問)北朝鮮のミサイルの関係ですが、外務大臣が今朝、迎撃は難しいというご発言をされましたが、改めて見解をお願いします。

(報道官)今朝の大臣のぶら下がり会見のコメントは基本的には具体的にその問題についてコメントされたとは理解していません。そして、いずれにしても迎撃という話に関しては、防衛省の所管ですので、外務省としてそれについて具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。

(問)具体的にされたとは理解していないとはどのような意味ですか。

(報道官)大臣も迎撃の問題についてコメントをされたとは理解していません。

(問)しかし、そのような質問をして、そうお答えになったのですが、つまり大臣の発言、あれは違うと否定されるということでしょうか。

(報道官)迎撃という具体的な質問に対して大臣がお答えになったとは我々は理解していません。つまり、そのような問題についてはコメントは差し控えるというのが外務省としての立場だということです。

(問)大臣の発言をどのように理解して良いのか説明して頂けますか。

(報道官)私が申し上げていることは、この問題について、外務省としての公式な見解を述べることは差し控えたいということに尽きるということです。

(問)そうしますと、大臣の発言は外務省の公式の見解ではなくて、あくまで大臣の個人的な見解だということでしょうか。

(報道官)それについては確認をさせていただきたいと思います。

(問)ミサイル防衛の実験というのは成功したり失敗したりしていますので、客観的に見て難しいという事実があるとは思うのですが、如何でしょうか。

(報道官)外務省としてその件についてコメントするのは差し控えたいと思います。

(問)外務報道官が仰った、迎撃という具体的な質問に対して大臣が答えたと我々は理解していない、という言葉の意味をお教え下さい。

(報道官)迎撃が出来るのか出来ないのかといった趣旨のご質問に対して、大臣はそれはそうだとかそうでないということを答えたとは私達は理解していないということです。更に、根本に立ち戻って申し上げれば、迎撃ということについて外務省としてどうこうというコメントをする立場にはなく、それは防衛省の所管の話だということを申し上げたということです。

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報道官会見記録(平成21年3月18日(水曜日)16時53分~ 於:本省会見室)

ティモシェンコ・ウクライナ首相の訪日

(報道官)ユーリャ・ティモシェンコ(Her Excellency Mrs. Yulia TYMOSHENKO)ウクライナ首相は、今月の25日、26日の両日、日本政府の招待により訪日されます。同首相は滞在中、麻生太郎総理大臣との間で首脳会談を行い、二国間関係や国際情勢について意見交換を行う予定です。また、滞在中、日本・ウクライナ友好議員連盟関係者や経済界代表との懇談を行う予定です。今回の会談の中では特に、環境・気候変動分野における日・ウクライナ協力といった喫緊の課題である気候変動問題、あるいは現下の経済・金融危機への対応という面での日・ウクライナ協力の可能性について議論をすることが想定されています。

(問)ティモシェンコ首相が日本に来たのは何度目でしょうか。

(報道官)ティモシェンコ首相自身は初の訪日です。

(問)大統領の方は訪日したことはあるのでしょうか。

(報道官)あります。ユーシチェンコ大統領が2005年7月に訪日されており、当時の小泉総理大臣との間で、「新たなパートナーシップに関わる共同声明」に署名、発表されています。それから、2006年7月に、当時の麻生外務大臣がウクライナを訪問しています。

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北朝鮮のミサイル関連動向

(問)北朝鮮のミサイルについてですが、自制を促すのが第一ではありますが、仮に発射された場合の六者協議と拉致問題に与える影響についてはどのようにお考えでしょうか。

(報道官)我々としてはミサイルの発射を是非踏みとどまってもらいたいという強い意思表示をこれまで繰り返してきています。仮に発射を強行した場合については、まず国連安保理決議との関係で、安保理決議違反であるということを、日本、米国及び韓国が同じ認識をしている訳です。そうした認識の下に関係国と議論を行ってきており、よく連携をとりながら対応について協議していくということ、つまり関係国と連携して、その事後的な対処ぶりについて協議し必要な行動を取っていくということだと思います。その上で、日本自身にとっては拉致の問題がある訳ですが、ミサイルの問題もまさに今我々が直面している大きな課題です。北朝鮮がそのようなアクションを取ったことに対してどうするかということについて、当然、六者協議といったものをどう活用していくかということは考えなければいけないと思います。まずは、やはり拉致、核、ミサイルといったそれぞれの問題に対する北朝鮮の対応をしっかり見極めた上で、安保理等の場における協議を踏まえて対応していくことになると思います。いずれにしても、仮にミサイルの発射ということになれば、それに対して日本としてどうすべきかということについては、日本としての結論を出さなければいけないと思います。繰り返しになりますが、国際社会や安保理等の場でしっかりと議論することだと思っています。そういう中から、当然、非核化ということで六者協議をどう前に進めていくかということで関係国との間で議論されていくと思っております。

(問)六者協議と拉致問題に対する影響如何についてはどうでしょうか。

(報道官)北朝鮮の動きを見た上で、日本としてどのように対応すべきかをしっかり検討また議論し、要すれば行動を取っていくということです。影響があるかないかというのは第三者的な感じで、我々はそのような事態を受け止めて、拉致問題を動かし、解決するために何をしなくてはいけないかということを、いずれにしても総合的に判断していくことだと思っています。

(問)六者協議をどう前に進めていくか、どう活用していくかということですが、日本として開催を求めていくというようなことなのでしょうか。

(報道官)先日も韓国の六者協議の首席代表が訪日され、大臣にも表敬をされましたし、我が国の首席代表である齋木アジア大洋州局長ともしっかり打ち合わせをされている訳ですから、当然、我々としては六者協議を前に動かすために日米韓がまず連携をして、どういうことをやっていくかということはずっと考えてきている訳です。そういうところに、我々としては是非やめてもらいたいミサイル発射という事案が、目前の課題として起こってきているということですから、当面まずはこのミサイル事案についてしっかり国際社会が一致した対応をすべく努力し、そのようなプロセスを取りながら六者協議をどうするかという手順になるのだろうと思います。

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報道官会見記録(平成21年3月17日(火曜日)17時03分~ 於:本省会見室)

エルサルバドルにおける大統領選挙

(報道官)我が国は、エルサルバドルにおいて、3月15日(日曜日)、大統領選挙が民主的かつ平穏裡に行われたことに祝意を表します。また我が国は、フネス候補による新政権の下で、エルサルバドルが更なる発展を遂げることを希望するとともに、日本とエルサルバドルの友好協力関係の一層の増進が図られることを期待します。日本からは今回の選挙に選挙監視要員5名を派遣し、首都周辺地域において、投票及び開票の監視等の活動に参加しました。

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王野球特別大使への祝辞

(報道官)先日、中曽根外務大臣から日本野球機構コミッショナー特別顧問である王貞治氏に対し、「野球特別大使」の委嘱を行いました。これに関し、今般、米国のブッシュ前大統領、パウエル元国務長官、アーミテージ元国務副長官、シーファー前駐日大使、それから著名なジャーナリストであるジョージF. ウィル氏からお祝いのメッセージが届けられました。それぞれの方々からのメッセージの中では、「野球大使に最もふさわしい人物が選ばれた」などといった祝辞が述べられ、特にブッシュ前大統領より、「日本野球大使として日本を代表してWBCに臨まれることをお祝い申し上げます、貴方が野球ファンに喜びをもたらし、野球の人気を高めるためになされたすべての貢献に感謝の念を抱いております、貴方のキャリアは日本のみならず、世界中の選手、監督、コーチにとって素晴らしい模範を示されたものであります」との祝辞が伝えられています。あえてこの場で紹介させて頂きましたのは、野球特別大使ということで王貞治氏が日米友好親善ということも大きな役割でしょうし、野球を通じた諸外国との友好親善関係の増進に大きな役割を果たされると思っていますが、早速野球特別大使の就任に対して米国要人からのメッセージが送られたということは、まさに我々が王氏に期待していることが、このような形で反響を呼んでいるということを申し上げたいと思ったからです。補足ですが、王野球特別大使はWBC第2ラウンドのため、14日から25日まで渡米されているということです。

(問)ブッシュ前大統領やパウエル元国務長官には、王氏が野球特別大使になったことはどのような形で伝わったのでしょうか。また、共和党系の人ばかりなのはなぜでしょうか。

(報道官)二つめの点については、私はコメントする立場にはありません。最初の点については、シーファー前駐日大使が、交友関係の要というか、ごく最近まで東京におられて駐日大使を勤め上げられた訳です。シーファー大使は大の野球好きですし、これは周知のことですが、ブッシュ前大統領とも非常に親しいということですので、シーファー前大使のネットワークでこのニュースが共有されて、このような祝辞を頂くことになったのではないかと思います。

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北朝鮮のミサイル関連動向

(問)自民党の拉致問題特命委員会が北朝鮮への追加制裁措置を決めました。これは、ミサイルの発射はしなくても、拉致問題などの進展がない現状では制裁を強化しなければならないという考えに基づくものですが、外務省としても、ミサイルの発射なくしても制裁を強化しなくてはならないという認識で同じなのでしょうか。

(報道官)まず、ミサイルの発射を強行した場合、日本としての対北朝鮮措置をどのようにするのかということについては、政府内で不断に検討を行ってきております。そう申し上げた上で、実際にどう対応するかということは、拉致、核、ミサイルという重要な懸案がある訳ですが、それらに対する北朝鮮の対応や六者会合、国連安保理等における国際社会の動きを踏まえて、総合的に判断するということにしています。いずれにしても現状の措置については、また期限が来る訳ですが、今申し上げたことも含めて総合的に判断していくことになると思います。

(問)北朝鮮が指定した危険区域の秋田県沖の一部が、日本の排他的経済水域(EEZ)にだいぶかかっているようなのですが、日本がこの一件を北朝鮮に対する発射自制を求める理由の一つとして活用していく考えはあるのでしょうか。

(報道官)まず、そういう報道がなされたことについて、事実関係に関するコメントから申し上げますと、確かに北朝鮮が試験衛星打ち上げのために通報してきた日本海側の危険区域については、計算上、約9割の区域が、日本とロシアの地理的中間線から日本側に設定されているということです。そう申し上げた上で、今のご質問についてですが、そうしたEEZと重なる所が危険区域に指定されたということですが、一番重要なことは、北朝鮮による人工衛星なるものの発射が安保理決議違反であるということです。これは総理、官房長官、大臣が申し上げていることであり、こうした発射というのはそもそも日本政府として受け入れることはできないということが第一です。その上で、これは一般論としては、国際法上、航海自由の原則によってEEZを含む公海においてロケットの発射自体が禁止されている訳ではありません。他方、ある国が他国のEEZにおいてロケットの発射を行うにあたっては、国連海洋法条約第58条の3に基づいて、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うことが求められています。その一環として、打ち上げ国が沿岸国を含む関係国に対し事前に通報することは国際的に求められていることの一つと考えられています。従って、ロケットの発射に伴って打ち上げ国が予め危険となる区域を他国のEEZに指定すること自体が、直ちに国際法上の問題があるとみなされる訳ではないということです。いずれにしても、日本政府としては危険区域の指定ということ以前に、北朝鮮による発射は安保理決議違反であり、受け入れられないという立場です。このことを対外的にも明らかにしている訳ですが、北朝鮮に対しても日本政府の立場ということで伝達をしてきているということです。

(問)北朝鮮は色々な国際機関に発射を通告している訳ですが、今、報道官が仰った、沿岸国に事前に通報することなどの妥当な配慮というものは、すでにされたと考えるのか、それとも日本への配慮は足りないと考えるのか、どちらでしょうか。

(報道官)通報というのは、IMO(国際海事機関)やICAO(国際民間航空機関)に対して行われているということですが、今、日本政府として、妥当な配慮をしたかということを確認できる状況にはないと理解しています。いずれにしても、IMO、ICAOが、その範囲内で判断することになると思います。IMOやICAOの中で求められている手続きを全うすればいいということではないというのが日本政府の立場ですし、それは米国も韓国も同じだと思います。我々はそこが一番重要だと思っています。

(問)EEZに設定すること自体は違法ではないというお話でしたが、一方的に設定しましたといって、何かしら日本から調整や抗議をする、国際法上の手続きというものは無いのでしょうか。

(報道官)繰り返しになりますが、打ち上げ国が、危険区域を他国のEEZに指定すること自体が、一般論として国際法上問題がある行為とされている訳ではないことは言える訳です。我々が申し上げているのは、それはそういうことかもしれないが、北朝鮮が人工衛星の発射ということを対外的に宣明して、彼らの判断で事前通報の手続きをとっている訳ですが、我々としては、北朝鮮が人工衛星の発射の準備を進めていることに対して、打ち上げるべきではないと先方には伝えているので、それが最も明確な日本政府の立場の表明であり、北朝鮮に対する伝達であると考えています。

(問)国連の安保理決議違反であるということは分かりますが、断定は出来ませんが、今の状況を見ていると北朝鮮がそれを聞くようには思えません。他の手段で北朝鮮に対して働きかけるなり、打たないようにするために安保理決議違反であるということを繰り返す以外に手段はないのかという感じがしているのですが、実際にところはどうなのでしょうか。

(報道官)国会等でも色々な形で毎日そのような点について議論がされていると承知しています。北朝鮮は4月4日から8日の間に人工衛星なるものを打ち上げると国際機関を通じて、国際社会に対して通報してきている訳です。そのような状況の中で、日本のみならず、既に六者会合の関係国をはじめとして国際社会から懸念が表明されています。国際社会の懸念の表明を通じて、北朝鮮が思いとどまることを期待している訳です。中国とロシアについては、安保理決議の問題についての立場を対外的に明らかにしていないということがあります。他方で、北朝鮮が地域の平和と安定を損なうような行動を慎むべきであるという点については、米国、日本、韓国、中国、ロシアは一致していると我々は思っています。いずれにしても、そうした関係国の連携をこれからも続けつつ、何とか北朝鮮が発射を控えるよう取り組んでいく、それが我々の立場です。

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報道官会見記録(平成21年3月11日(水曜日)17時30分~ 於:本省会見室)

平和構築人材育成事業(平成21年度事業及びセミナーの開催)

(報道官)平成19年度から平和構築の現場で活躍できる日本及びアジア諸国の文民専門家の育成を目的に実施してきている外務省委託事業、これは広島大学に委託をしていますが、広島大学の広島平和構築人材育成センターで行われている「平和構築人材育成事業」に関して二点発表します。
 まず、平成21年度よりこの事業が更に拡充されます。その内容の詳細が固まりました。概要は次の通りです。第一に、これまで実施してきた本コースについて、海外実務研修期間を6か月から1年に延長します。第二に、高齢化が進みつつある中、官民を問わず、シニアの活力を平和構築で活用するとの観点から、シニア専門家コースを新たに設置します。このシニアの募集の対象者は40歳から69歳という幅を持たせています。第三に、平和構築に携わる可能性のある方々の裾野を広げる観点から、平和構築基礎セミナーを設けます。
 もう一点は、この事業拡充の節目ということで、3月24日、外務省は、広島平和構築人材育成センター及び国連大学との三者の共催で、本件に関するセミナーを開催します。このセミナーでは、これまで実施された2年間の蓄積、成果と教訓を総括するとともに、平和構築分野の人材育成の将来に向けた課題及び展望を議論します。
 補足ですが、平成19年度に開始したと申し上げましたが、現在までの実績としては、平成19年度は日本人の方は男性2名、女性13名、計15名が、アジア諸国からは男性9名、女性5名が参加しています。
 24歳から35歳までの方ということです。アジアの出身国としては、中国、韓国、ASEAN、モンゴル、インド、ネパールということで、23歳から48歳までの幅があります。それから、今年度は日本からの参加者は男性2名、女性13名で計15名、アジアからは男性11名、女性3名ということです。あえてこのような数字をご紹介した趣旨は、是非応募してもらいたいということがあるのですが、ご案内の通り日本においては圧倒的に女性の参加者が多く、アジア各国からは男性の参加者が過半数ということで、是非男性の方にも奮って参加して頂きたいという思いがあります。来年度事業の応募開始は6月頃から1ヶ月程度ということです。なお、平成19年度に卒業された一期生の方は、既に実績として、スーダン、東ティモール、ネパール等の国際機関の現地の事務所で、平和構築のまさに最前線で取り組んでいるということです。

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金賢姫氏と飯塚さん御家族との面会

(問)金賢姫氏と飯塚さんご家族の面会で記者会見があった訳ですが、拉致問題等について新たな解決に資する情報が得られたのかどうかお聞かせ下さい。

(報道官)共同記者会見についてはご承知の通りかと思いますが、面談の内容については、まだ詳細な報告を得ていません。面談は終始和やかな雰囲気で行われ、金賢姫氏からは飯塚家に対し、田口八重子さんの北朝鮮での様子などについて色々とお話があったということ、そして飯塚家の方からは金賢姫氏に対し、田口八重子さんに関して証言して頂いたことへの感謝が伝えられたと聞いています。これ以上内容については詳細の報告は受けていませんので、以上に止めたいと思います。

(問)田口八重子さんは生存しているというお考えを示されている訳ですが、その理由等について説明があったのでしょうか。

(報道官)今、私はそれについて具体的にお答えできる材料はありません。これから詳細な報告を受けて、何をお答えできるかということになると思います。一言こちらからあえて申し上げます。政府としては今回の面会の実現を受けて、拉致問題が日韓共通の問題であるという点を改めて想起しながら、この問題の解決に向けた日韓の連携を一層強化していきたいと考えています。そして、田口八重子さんをはじめとする全ての拉致被害者が一日も早く故国日本の地を踏めるように全力を尽くして参る所存です。

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北朝鮮のミサイル関連動向

(問)先ほどの参議院予算委員会で、北朝鮮に限らず、日本に弾道ミサイルが飛来した場合、それを米軍が破壊することについて、仮に武力行使事態でなくても日本側からの要望を踏まえたものであればそれは全く問題ないという中曽根大臣の答弁があったのですが、その日本側からの要望というのは一般的に既にそういうものがあれば米軍に対処して下さいという要望があると理解されているのか、あるいはその都度、例えば北朝鮮からのミサイルを発射の兆候が高まっているような場合に、何かあれば米軍に対処して下さいという形で日本の要望を明確にするのか、そのいずれでしょうか。

(報道官)本件については、北米局日米安全保障条約課までお問い合わせ下さい。

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アフガニスタンへの文民派遣

(問)アフガニスタンへ文民の方を派遣されることについて、方針は変わりはないでしょうか。大体の時期については如何でしょうか。

(報道官)お尋ねの件については、今春以降、開発援助調整のための当省職員のチームをチャグチャランPRTに派遣することを本年1月に発表しました。現在、省外からの任期付職員の募集を含め、今春以降の派遣に向けた調整を鋭意行っていますが、具体的な派遣時期については、まだ申し上げられる段階にはありません。

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報道官会見記録(平成21年3月10日(火曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

ドミニク・マンベルティ・法王庁外務長官の来日

(報道官)ドミニク・マンベルティ法王庁外務担当長官は、外務省賓客として、3月15日から20日まで来日されます。滞在中、マンベルティ外務長官は、中曽根弘文外務大臣と日バチカン外相会談を行い、二国間関係や国際情勢等について意見交換を行う予定です。また、同外務長官は、長崎県を訪問し、金子原二郎長崎県知事と会談する他、長崎原爆資料館や長崎の教会群を訪問する予定です。バチカンについて補足しますと、バチカンとは、法王を首長として全世界の信者を有するカトリック教会を統治する法王庁と、法王を国家元首として領土と人口を有する独立国家としてのバチカン市国という聖俗両面の総称であるということです。それぞれが国際法上の主体として認められています。通常国家が有する外交権をはじめとする実質的権能を行使しているのは、法王庁であるバチカンということです。その法王庁のバチカンの外務大臣として、今回マンベルティ外務長官を日本にお迎えしますが、歴史上法王庁からの外務長官としての訪日は初めてになります。最後に、今回何を目指しているのかということですが、今回外務大臣との会談もそうですが、気候変動といった地球温暖化問題、アフリカの開発問題、人権問題、東アジアの情勢等について理解を深めてもらう、あるいは日本の立場に対する理解と協力を得るということが期待されています。

(問)法王庁外務長官という言い方は、やはり司教、宗教者ということなのでしょうか。

(報道官)そうです。司教に叙階されていると了解しています。2006年9月15日から法王庁の外務担当長官に就任されています。

(問)初めて日本に来られるということですが、どうしてこの時期に来られるかということと、国会日程もあるのでしょうが、外相会談はいつくらいで調整されているのでしょうか。

(報道官)当初入られるのが15日(日曜日)ですが、前半は長崎訪問ということで、大臣との会談は、長崎から戻ってこられて、来週の前半ということを考えています。なぜ今かということについては、外務省賓客ということですので、この年の予算年度という中で、双方の都合のいいタイミングを探求して、3月になったとご理解いただければと思います。いずれにしても、バチカンの重要性ということでよく言われるのは、全世界で約10億人を超えるカトリック教会の信者を抱えると同時に、178カ国と外交関係を樹立している訳で、国際法上の独立国としての地位を持って、大使を日本にも置いているという相手ですので、こういった機会を捉まえて、バチカンの外務大臣の理解を得ることは大変意義があると考えています。

(問)日本以外に訪問する国、地域はありますか。

(報道官)ローマから日本に直行されて、成田からヨーロッパに戻られるということです。この周辺をまわることはないと思います。

(問)テーマの中に、人権と東アジアの状況とありますが、当然これには拉致問題やミサイル問題が入ってくるのでしょうか。

(報道官)入ります。

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北朝鮮のミサイル関連動向

(問)北朝鮮の報道官が、人工衛星の発射に対して日本が迎撃した場合には戦争状態とみなすと言っていることについて、外務省の見解を改めて頂けますでしょうか。

(報道官)繰り返し大臣が今朝申し上げたことに尽きると思いますが、何よりも日本としては、北朝鮮が地域の平和と安定を損なうような行動を慎むべきだという考えです。その中には当然、米国の報道官も最近、米国としても挑発的な言動は誰の利益にもならないとコメントしている訳です。日本政府としては何よりも地域の平和と安定を損なう行動を慎むべきだということが最も肝要なことであるということで、色々な機会を捉まえて、北朝鮮に対してそのメッセージが伝わるように日米韓の連携あるいは、日中外相会談を踏まえてのメッセージの発出が現在まで行われているということです。

(問)直接北朝鮮にということはないのでしょうか。

(報道官)この問題について、色々な機会を捉えて日本のメッセージは十分伝わっていると考えています。

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報道官会見記録(平成21年3月4日(水曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

パキスタンにおけるスリランカ・クリケット代表チーム襲撃事件

(報道官)3月3日、パキスタン・ラホールにおいて、スリランカ・クリケット代表チームに対する襲撃事件が発生し、死傷者が生じたことに衝撃を受けています。我が国は、平和な交流を目的としてスポーツ関係者を狙った卑劣な行為を断固として非難します。我が国は被害者の家族および負傷者に哀悼の意を表するとともに、テロとの闘いに取り組むパキスタン政府を引き続き支援していく考えです。

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ブラジル環境関係者招へいの実施

(報道官)外務省は、3月8日から3月15日までの間、招へいプログラムとして「ブラジル環境関係者招へい」を実施します。今般の招へいは、ブラジルの環境・気候変動分野における政策策定関係者及び実施機関関係者に、日本の環境・気候変動問題に関する立場・取組みについて理解を深めてもらうことを通じ、2013年以降の所謂ポスト京都議定書枠組み、次期枠組み構築をはじめとして、日本が同分野において国際的な主導権を発揮していくための日伯協力関係の強化を図るものです。また、気候変動問題対策における日伯両国の役割や協力の可能性等について議論することを目的とした「日本ブラジル環境セミナー」への参加も予定しています。

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日本ブラジル環境セミナー「気候変動対策における日本・ブラジルの役割と協力の可能性」の開催

(報道官)3月13日、外務省は、国際協力機構(JICA)及び米州開発銀行(IDB)アジア事務所との共催で、「日本ブラジル環境セミナー『気候変動対策における日本・ブラジルの役割と協力の可能性』」を開催します。このセミナーでは、持続可能なバイオ燃料生産や、例えばバイオエタノールがブラジルの場合の産品ですが、森林管理に焦点を当てつつ、食糧問題との関係にも目配りしながら、経済成長を阻害しない持続可能な気候変動対策、成長と両立する気候変動対策における日伯両国の役割と協力の可能性について議論を行います。

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ボスワース北朝鮮担当米国特別代表の訪日

(問)明日、米国のボスワース特使が来日しますが、外務省で齋木アジア大洋州局長らとお話しされるということですが、どんな内容が予想あるいは期待されているのでしょうか。

(報道官)日程としては、明日5日東京着で7日にはソウルに移動されるということです。訪日時は、大臣の表敬それから今ご指摘の主管局長であり六者協議の首席代表でもある齋木アジア大洋州局長が当然会談するということで、これは明日の夕刻に予定されていると承知しています。中身については一般的なことしか申し上げられませんが、ボスワース特別代表はまさに米国の対北朝鮮政策のトップの責任者ということでその任務を与えられている方ですから、当然訪日されたこの機会をとらえて日米の間で六者協議にどのように臨むかということを含めて、北朝鮮との関係、対北朝鮮の色々な課題を包括的に取り上げ、まさに先般の日米外相会談、更には日米首脳会談という最高レベルでのやりとりも踏まえながら、今度は政策当局者の連携・協議が進められると思っています。

(問)二日間いらっしゃるというのは、何か他にご予定があるということでしょうか。

(報道官)今述べた以上に予定を申し上げることはできないのですが、米国務省の方が、3日に北京着、5日に東京着、7日にソウル着、それから10日にワシントンに戻られるということなので、その日程の中で当然色々な予定をこなされるということになると思います。

(問)正式な紙などは出るのでしょうか。

(報道官)会談等が行われた後には然るべく外務省報道発表ないしブリーフ等が行われると思います。

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報道官会見記録(平成21年3月3日(火曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

国際シンポジウム「食料安全保障を考える:グローバルパートナーシップの構築に向けて」の開催

(報道官)3月5日(木曜日)、外務省主催で「食料安全保障を考える」と題する国際シンポジウムを都内グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで開催します。このシンポジウムは、昨年来特に大きな問題になった、食料価格の高騰の影響で世界の飢餓人口が増加する一方、日本は世界最大の食料純輸入国であり、日本にとっては食料の安定的な確保、食料自給率の問題もある訳ですが、どうやって確保するのかというような懸念の声が上がっている中で、こうした問題を一体として、つまり世界の食料問題と日本にとっての食料の安定供給の問題を同時に取り上げて議論する場を設けたということです。このシンポジウムには、伊藤外務副大臣が出席し基調演説を行い、日本および世界の食糧安全保障強化にむけた日本の考え方、今後の取り組みについて説明をすることになっています。この会議には、途上国からはマラウイ、モザンビーク、イエメン、ブラジルの関係者等が出席します。シンポジウムの詳細については、外務省のホームページもご参照していただければと思います。

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中国の沖縄総領事館開設打診

(問)本日一部の報道で、中国が沖縄に総領事館を設置したいと打診があったということですが、事実関係如何でしょうか。

(報道官)そういう報道があったことは承知しています。まず事実関係として申し上げたいことは、第一に、中国側が沖縄に総領事館付属事務所を開設することについて、非公式に様々な検討をしていたということは事実としてございます。しかしながら、二点目として強調したいのは、本件について報道にあるようなやりとりがあったという事実はございません。正式な形での打診は日本側にはなされていないということです。

(問)報道の中で、日本側が打診を受けた時に安全保障上の理由で難色を示して中国側が最終的に撤回したというお話ですが、如何でしょうか。

(報道官)全くそういう事実はありません。

(問)那覇のことが書いてありますが、沖縄とか横浜とか他の地区に開設の打診あるいは非公式にそういう意志を持っているというような伝達はあったのでしょうか。

(報道官)今の質問に対して直接お答えする材料を持っていませんが、いずれにしても、中国としては日本における総領事館をどこに増設するかということは考えていると思いますから、仮にそういう検討が進められていて、中国側の意向がはっきりすれば、当然日本政府に正式に打診があり、それを受けて日本側で検討して手続きがとられるというのは間違いのないことです。そういうプロセスで問題が処理されるということだと思います。

(問)もし沖縄に正式に打診があった場合に、日本外務省としてどのような対応をするのでしょうか。

(報道官)要望があれば、それを受けて、政府あるいは関係先と良く協議をして結論を出すということです。今の時点でそれ以上申し上げられることはありません。

(問)どのようにして、(中国側が)そういう検討を重ねたことを知ったのでしょうか。

(報道官)私の理解では、中国側においてそのようなことを検討しているということは、外務省との間で情報を入手していたと受け止めています。つまり打診とかそういうことではなくて、非公式にそういう検討をしていたということは承知していた。それ以上でもそれ以下でもないと受け止めています。

(問)外務省が情報を入手していたということと、打診というのはどういうレベルで違うのでしょうか。

(報道官)所謂正式な形で開設をしたいという意向の伝達があったのではないということです。さらに大事なことは、そのような伝達がない訳ですから、こちらから報道にあるような難色を示したということもありません。

(問)打診はないということは理解しました。中国側で検討しているという事実関係は外務省として把握していたと。ただ日中の間で、尖閣諸島の領有権の問題で両方の認識が異なっている中で、尖閣諸島が含まれる沖縄県に中国の総領事館が設置されるということについては、外務省として問題はないという認識でしょうか。事実についての外務省の見解はどうなのでしょうか。

(報道官)今の時点で、そのご質問に対して外務省としての見解をお答えする材料を持っておりません。ご理解いただきたいことは、非公式に検討していたということで、中国側として日本に新たに総領事館を開設したいという意向がある訳で、どこに開設するかと、その中の一つとして沖縄を検討していたことは承知をしていると。ただ、打診があったということではありません。従って、今日の報道にあるようなやりとりが日中間で行われたことはないとはっきりお答えしたいと思います。

(問)中国側はまだ沖縄を視野に検討しているという理解でよろしいでしょうか。

(報道官)今それ以上は承知していません。少なくとも検討していたことを承知しているということは申し上げられます。

(問)非公式に打診を受けたということでもないのでしょうか。

(報道官)言葉の定義の問題になりますが、打診という言葉にこだわられるのは分からないでもありませんが、少なくとも中国として、日本のどこに総領事館を設置しようという検討があって、その中の一つに沖縄があって、私は今過去形で申し上げた訳で、その後日本側に対して沖縄に開設したいという意向の表明は全くきていないということです。非公式に沖縄に設置したいと日本側に伝えるとかそういうことではないと理解しています。

(問)知ったというのは、中国側から、今検討しているというようなことを伝えてきたのでしょうか。

(報道官)他にも、例えば新潟が候補としてあがっていると聞いていますが、今は、沖縄ということで中国側が開設をしたいとその後日本に言ってきたことは全くないということです。そこははっきり申し上げたいと思います。

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