(報道官)日本政府は、1月31日に予定されているイラク地方議会選挙の公正な実施を支援するため、香川剛廣外務省中東アフリカ局参事官を団長とする選挙監視団を派遣することを決定しました。今般の監視団は、派遣期間中、イラク国内において選挙準備・投票状況の監視活動を行う他、選挙委員会関係者、イラク政府高官、他の選挙監視団との意見・情報交換等を行う予定です。なお、今回の選挙は、2005年11月に民主的に制定されたイラク新憲法の下で行われる初の地方議会選挙です。航空自衛隊の活動が昨年末に終了致しましたが、我が国のイラク支援に対するコミットメントは不変であり、復興支援、経済、ビジネス関係の強化によるイラクの安定と復興に向けた支援を継続する考えです。
(問)イラクへの選挙監視団の派遣についてですが、派遣される団員の数は何名なのかということと、派遣期間はいつからいつまで、それから主要各国も監視団を派遣する予定ですが、他国の主な派遣団の規模がお分かりになりましたらお願いします。
(報道官)まず団員の数については、安全を優先したいということで、団長の名前を出す以上は、現段階では数名ということに留めたいと思います。それから期間については、31日に(選挙が)実施されますので、その時期を中心に監視を行うということで、これも何日に入って何日に出るということは、イラクということなので、今の段階ではこれ以上申し上げられないところをご理解頂きたいと思います。それから主要国ですが、各国共どの国が行くということを発表していませんので、私共の方から発表することは適切ではないとして、ご理解頂きたいと思います。
(問)団員は皆さん外務省の職員ですか。
(報道官)基本的にそういうことだと理解しています。現地の大使館関係者も同行すると思います。本省及び現地の大使館関係者ということです。
(問)北方四島のビザなし交流団が、入国手続きの関係で上陸出来ない件ですが、その後の現状はどうなっているのでしょうか。
(報道官)2008年度の北方四島住民に対する我が国の人道支援物資供与事業ですが、1月26日から実施する方向で調整してきましたが、北方四島側との調整が終了しなかったことから、今次訪問に際しては、本日、支援物資の供与を中止することとし、訪問団は物資を載せたまま根室港に引き返すことになりました。
(問)今後のビザなし交流の枠組みそのものに影響してくるのではないかと思いますが、その点については、今どういう判断でしょうか。
(報道官)今回、大変遺憾な結果になったと思います。今回の結果を踏まえ、ロシア側に対して申し入れを行う中で、日露双方でこうしたことが再び起こらないようにという観点から、1991年10月14日付けの四島交流に係わる日ソ外相間の往復書簡というものがございまして、その中の規定に従って協議を行うことになっています。外務省としては、これから行われる協議の場で、今回人道支援物資供与の問題が生じている訳ですが、四島交流等についても、領土問題に関する両国の立場を害することのない形で問題解決が図られるよう、引き続きロシア側と鋭意交渉していくということです。
(問)出入国カードの提出が求められたというところでの調整がつかなかったという理解でよろしいでしょうか。
(報道官)今回こういうことになった経緯ですが、この人道支援物資供与事業における北方四島への訪問は、1998年の口上書に従って、領土問題に関する日ロ両国の公的立場を害さないように、身分証明書及び挿入紙、挿入紙というのは訪問する団員の情報を記載したものとお考え頂ければ結構ですが、挿入紙のみによって行われることになっています。しかし、今般ロシア側が、直前になって従来の手続きに加えて、出入国カードの提出を一方的に要求してきたため、支援物資の供与を中止せざるを得なくなったものです。日本政府としては、身分証明書及び挿入紙以外の書類の提出を求められることは、我が国の法的立場から受け入れられないということは明白で、そうした書類の提出要求の撤回をロシア側に強く求めましたが、残念ながら最終的に調整がつかなかったということです。
(問)この事案は、この制度が始まってから初めてでしょうか。
(報道官)初めてです。
(問)もう船は引き返して来ているのでしょうか。
(報道官)引き返すことを決めましたので、これからだと思います。まだ引き返しを始めたという連絡は受けていません。
(問)現地の国境警備当局だけではなく、モスクワの外務省も今年から制度が変わったという言い方をしているのでしょうか。
(報道官)もちろんこれは現地当局もロシア政府の立場として出入国カードの提出を求めてきたということです。
(問)国境警備局側が(出入国カードの提出を)求めたことは過去にもあったと思いますが、ロシア外務省から求められたことは今までなかったと思います。今回の事案では、ロシア外務省も出入国カードの提出を求めてきたという風に認識していらっしゃるのでしょうか。
(報道官)経緯としては、現地の警備局が出入国カードの提出を求めてきたことがまずあります。それを受けて日本政府としては、それは受け入れられないという申し入れをして、ロシア側に対して協議を行ってきたところ、結局調整がつかなかったということです。ロシア政府の立場として出入国カードの問題が提起されて、それに対して我々としては受け入れられないということで、残念ながらロシア政府との間で調整がつかなかったということで解釈して頂いて結構です。
(問)出航する時には、従来の手続きで上陸できる見通しがあったのでしょうか。あったとすれば、その根拠は何だったのでしょうか。
(報道官)当初、昨年の12月に事業実施に関する我が方からの口上書をロシア側に出して、ロシア側で内部調整が行われたと理解しています。我々としては、これまでと同じやり方で実施をするということですので、私が承知しているのは、冬の時期ということですので、流氷の問題等もありますので、ある程度気象条件も鑑みて出航したということです。最終的に手続きを進めようとしたら、今回のような事案が発生したということです。それ以上のことについては、現在、お答えする材料を持っておりません。
(問)これまでとやり方を変えたことについての理由について、ロシア側の説明はあったのでしょうか。
(報道官)ロシア側の言い分として、今回なぜ出入国カードの提出を求めるかということについては、2006年にロシアで改正された国内法があって、それに従って出入国カードの提出を求めているということが伝えられてきています。ただ、これは強調したいことですが、2006年に改正された国内法があるという言い分ですが、2007年、2008年の四島交流などでは問題は一切生じていない訳です。ですから、1月の23日になって初めてロシア外務省から、ロシア政府の正式な見解であるとして、出入国カードの提出を求めてきたということです。
(問)その上で、見切り発車的に行ったけれど、やはりその判断が動かなかったということでしょうか。
(報道官)見切り発車という言い方は必ずしも適切ではないと思います。いつ出航したかということは把握していないので後で情報として出させて頂きます。
(問)今回の訪問団の構成と、何を今回援助物資として持っていこうとしたのでしょうか。
(報道官)まず、団員の構成については外務省員が入っていることには間違いないですが、具体的に何名かという情報が手元にありません。人道支援物資の中身ですが、これは現地のニーズを聴取した上で行ってきているわけですが、医療の消耗品、例えば注射器、ガーゼ、包帯、あるいは医療用具というようなものがあると思います。向こうの医療施設で使って貰う医療の消耗品及び医療用具を中心に供与する準備をして出航していたということです。
(問)ロシア側との協議というのは、日本の外務本省と向こうの外務本省なのか、それとも出先同士なのでしょうか。
(報道官)それは両方だと思います。当然外務本省と在京大使館、それから我が方モスクワ大使館とロシア外務省という両方のルートを使って、これから協議を行っていくと思います。
(問)この後のロシア側との協議の段取り等については如何でしょうか。
(報道官)今日、残念ながら引き返すという決定をしたばかりです。しかし、日本政府と日本の外務省、日本政府とロシア側との間で、この問題についてこういうことがないように協議していく合意が得られたというところですので、全てはこれからだと思っています。先程も申しましたが、これから、これまでのやり方でつまり出入国カードということは勿論我々としては受け入れられませんし、そういうやり方でない今までのやり方で一連の事業が再開出来るように取り組んでいくということになると思います。
(問)これまでの申し入れや協議についてはどうだったのでしょうか。
(報道官)現地の当局、それから我が方モスクワ大使館とロシア外務省との間です。そして、23日に先方の外務省から、先程申したようなロシア政府の見解として我が方に申し入れがあったということです。
(問)繰り返しになりますが、領土交渉そのもの、領土に関わる日ロ間の交渉に今回の件が影響してくるのではないかという印象を受けるのですが如何でしょうか。
(報道官)領土交渉にどのような影響があるかということについて今の段階で我々としてコメントするのは控えたいと思いますが、申し上げたいことは、やはり我々にとって理解に苦しむロシア側の今回の対応であったということが言えると思います。また、こういうことが日ロ間の北方領土問題の解決を含む平和条約交渉に影響を及ぼすようなことがあってはならないと、勿論思っています。
(問)この件について既に抗議という形でロシア側に、これは約束と違うのではないかというような意図は伝えたのでしょうか。
(報道官)遺憾の意の表明はもう伝えてあります。
(問)どのレベルで行われたのでしょうか。
(報道官)東京、これからモスクワでも行われると思います。ちゃんとしたレベルで行っております。
(問)東京で行われたというのはいつでしょうか。
(報道官)今日です。
(問)どなたが行われたのでしょうか。
(報道官)ロシア課長の方から先方に伝えました。
(問)相手については如何でしょうか。
(報道官)相手については通常のカウンターパートということで、公使クラスだと思います。今確認はしておりませんが、何れにしてもロシア課長の方から遺憾の意の申し入れはしております。そしてその上で協議を行うということも一応了解は得られているということです。
(問)漁船の拿捕の件ですが、ロシア政府が連行中という話がありましたが、まだ連行中ということで宜しいのでしょうか。
(報道官)私もこの場に来る直前まで関係課と連絡を密にしております。簡単に経緯だけ申しますと、昨日の日本時間の夜8時頃日本漁船が日本海でロシア当局に拘束・連行されたという連絡を受けて、直ちに外務省からロシア側に対して事実関係の確認を求めました。ロシア側からはロシアの排他的経済水域内における不法操業の疑いによって当該日本漁船を拿捕したという回答がありました。その後、外務省の方から、これは東京及びモスクワ、更には管轄の総領事館のルートを使って、ロシア側に対して、国際法上の義務及び人道的観点から乗組員及び船体を早期に解放するよう申し入れを行いました。その一方で、事実関係の詳細については今まだ調査中ということで、これ以上詳細を申し上げる材料がございません。なお、ロシア当局からの連絡によれば、当該漁船の乗組員10名の方については、生命の問題は勿論なく、健康状態にも問題はないということです。この漁船は今日夜から明日の朝頃にかけてナホトカに到着する見込みであるということです。
(問)15時とか16時位には到着するのではないかと、距離的に見ても現場を見ても思うのですが、多少何らかの理由で遅れているということなのでしょうか。
(報道官)もし新たな動きがあれば、追加的にお伝え致します。
(報道官)イラン外務省の私のカウンターパートでもありますガシュガーリー・イラン外務報道官が今回日本と韓国を訪問する旅に出ておられて、昨日まず東京に着かれて、今日私と第1回日・イラン外務報道官協議を開催致しました。お昼にはアラグチ在京イラン大使主催の昼食会で色々な議論を続けました。ガシュガーリー外務報道官は、兼務として、昨年の7月から外相の特別補佐官を務めています。2期、8年に渡って国会議員を勤めた異色の外交官でもあります。今回の訪日の目的は、イラン外務省が、国際社会におけるイランに対する理解を促進するために毎年色々な国に外務報道官を派遣するというプログラムを有しており、それにはイランのメディア関係者も同行していまして、今回も同行していますが、その一環として今回、日本と韓国を選びましたというお話でした。日程としては、本日の私との外務報道官協議、そして午後は官邸の視察等があります。明日は、柴山政務官の表敬、そして記者会見を日本記者クラブで行いまして、午後には韓国に出発するということです。今回この機会に二国間関係について一般的に議論をしました。ポイントは、日・イラン関係を拡大する上で、双方の国民の相互理解が不可欠で、そのためには双方のマスメディアが果たす役割が大きいということで、そういった認識を共有し、日本とイランの外務報道官としてどういう協力が出来るかということについて今回初めて意見交換をしました。私からは、国際社会との関係で最大のイシューであるところのイランの核問題については、政府の立場を伝達しました。また、対米関係において、オバマ政権が誕生したことを受けて、オバマ政権がイランに対する関与政策を明らかにしていますが、そういった中でイランと米国の距離が近づくことを期待していると申し上げました。また、イラン側の提案として是非、日・イランのメディアの方々の交流ということで、出来ることから、例えばセミナーとか双方のメディアが関心を持つようなテーマでテヘランと東京でセミナーなどを開催するということはどうでしょうかという提案がありました。それに対して私としては、提案は歓迎しますが何れにしても即答できる話ではないので、関係者と相談した上で出来ることは始めていきたいという、そういうやりとりを行いました。
(問)核問題などについて、またイランと米国との対話の動きについて、報道官の発言に対する向こう側の反応は如何だったのでしょうか。
(報道官)まず、核問題についてはこれまでも何度も明らかにされていることである訳ですが、私共としてはイランの原子力平和利用の権利ということは認めた上で、その権利を行使するに際して義務の履行が必要であると、その義務の中には当然安保理決議の履行というものがあって、とりわけ我々は濃縮関連活動の停止を含めて、イランがそうした行動を通じて国際社会の信頼の獲得に向けて努力すべきだということを訴えました。それに対して報道官のコメントは、「西側社会を含めてそのような色々な見方があることを自分たちは承知している。他方でイランにはイランの立場というものがある」ということで、とりわけ強調されていたのは、イランとして原子力の平和利用ということに関して、疑いを持たれるようなことは一切していない、ということを強調されていました。
(問)オバマ政権との対話の促進への期待感など、そのあたりについては如何だったのでしょうか。
(報道官)オバマ政権についてはやはり先方も大統領就任演説をしっかり読み、これから具体的にオバマ政権がどのようにオバマ大統領が就任演説で言われたことを具体的な政策としてイランにアプローチして来るかと、そのような政策の具体化というものをまず見極めたいというようなお話しでした。
(報道官)現地時間1月20日、オバマ大統領が第44代米国大統領に就任されました。既にご案内の通り、麻生総理大臣から米国オバマ政権発足に際する内閣総理大臣の談話が発出されています。日本時間の今朝未明に行われた就任演説につきましては、官房長官からコメントされましたが、外務省としても、大統領は米国が危機に直面している今新たな責任の時代という時に立ち至っていて、米国民に対して一緒に手を携えて米国を再生しなければならないという、米国民に対するユナイターと言いますか、対立ではなくお互いが対立を乗り越えて助け合って、或いは超党派でこの混乱を乗り越えていこうというメッセージを発出されたということが1つ。2つ目として、国際協調の姿勢を全世界の国々、或いは全ての人々に対して、米国は平和と威厳を求める全ての国の味方であり、同時に米国として世界をリードしていく用意があると、ただそのリーダーシップを奮っていく際には対話、相互理解、相互尊重に言及しつつ国際協調の姿勢をはっきりと明言されたという2つの点において際立っていたのではないかと思います。そういった意味で、外務報道官という立場からでございますが、大統領の演説は、英語で言うインスパイアリング・スピーチという言い方がありますが、聴衆を鼓舞する演説であったと思いました。それから今回特徴的だったのは、第44代米大統領の誕生それ自体が米国の憲政史上画期的なことであるという意味で、米国にとって歴史的な、革新、或いは変革の瞬間に立ち会っているという気持ちを、米国人が殆どだとは思いますが外国人も含めて、そういう意識で集った200万人といわれる人々がその場で共有したのではないかと思います。そのことが今回のスピーチが極めて厳粛な雰囲気の中で行われたということにつながったのではないかと言えると思います。最後に総理がコメントされたことですが、日本政府としては、オバマ新政権との間で日米同盟の一層の強化に努めるということです。特に北朝鮮を始めとするアジア太平洋地域における平和と繁栄の確保。更には、現下の厳しい経済情勢を初めとするグローバルな課題への対処について緊密に協力していくということが極めて重要であるという観点から早期の日米首脳会談の実現についても調整を行っていく。或いは日米外相会談の実現についても調整を行っていく。そういうことになろうかと思います。
(問)オバマ新政権の閣僚の顔ぶれがだいたい固まってきていますが、どの方も知日派と言われる方々が起用されているようですが、その顔ぶれについての受け止めをお願いします。
(報道官)オバマ新政権の閣僚の方が何名か指名承認されたということですが、顔ぶれについてコメントするのは差し控えます。我々としては、オバマ新政権の日米同盟についての考え方は、これを米国の対アジア太平洋政策の礎石にするとクリントン国務長官も議会証言されており、また、同じようなことをオバマ大統領もこれまで表明されています。ですから、我々にとって最も重要な日米同盟を維持・強化していくというその基本において、オバマ政権は発足当初からそこを明確にしてきています。米国のホワイトハウスであれ、国務省、国防総省、財務省、あるいは経済関係官庁もあると思いますが、そういうところの要職に就かれる方々がどういう人であれ、そういう基本方針を踏まえて、日米関係をより良く強化していくというビジョンは一番トップのオバマ大統領から示されている訳です。誰がどこにいるからということを詮索することは、余り生産的ではないと思います。仮に知日派という方がこれまでの経験を踏まえて対日関係を所掌する職に就かれれば、そういう方と日米関係のマネージに向けて我々も協力していく、努力を行っていくということだろうと思います。
(報道官)1月28日から30日までの日程で、東京において平成20年度中南米大使会議が開催されます。この会議では2009年の中南米外交の主要課題、中南米情勢、国際経済危機の影響及び今後の対応、気候変動問題等に関して議論を行います。この会議の機会に出席する大使は麻生総理への報告、中南米関係議員及び経済関係団体、経団連を含みますが、そうした団体との意見交換も行います。
(報道官)本日夕刻、東京で、中曽根弘文外務大臣主催日メコン交流年オープニング・レセプションを開催します。それと併せまして、今回日本とメコンに関する広報パンフレットを準備しました。これをレセプションの会場でも配布し、日本全国、公共図書館、教育機関、関連のイベントの場等で配布して、日本とメコンの交流の現状や歴史、これからの進むべき方向等について広報に力を入れていきたいと思っています。併せまして、イベントカレンダーを既にホームページ上に掲載しておりますが、今月1月から最終的には12月まで、どのような交流事業を日本が日本国内及びベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア、タイの5か国において交流事業を行っていくかについて、事業内容等が決定されています。この件について補足ですが、なぜ今、2009年日メコン交流年なのかということについてですが、経緯としては、昨年1月東京で開かれました「日・メコン外相会議」でこの2009年を一年間、日メコン交流年にしようという合意がなされたものです。日本とメコン地域との交流促進に弾みを付け、幅広い分野での交流事業の実施、官民合わせた取り組みを行うということで、日本とメコン地域各国で記念行事を開催します。そして、我々が目指していることとして、3つの点を考えています。1つは、タイを除くとこの4か国はASEANの中で後発の途上国であり、ASEAN域内における地域・経済格差が現に存在する中でこのメコン地域の開発を日本が支援することは、2015年に目標に設定されているASEANの統合の実現を支援することに繋がるという考え方に基づくものです。また、今年は、まさに本日オバマ新政権が発足するということで、日本がこのようなイニシアティブを取ることで、米国も巻き込んで一緒にメコン地域の開発に取り組んでいくという考え方です。3点目として、もう一つの非常に重要なプレーヤーは中国です。日本・中国・メコンの三者が利益を得る、そうした互恵関係の構築を目指しているということです。因みに中国との間では、昨年の4月に「第1回日メコン政策対話」が実施されており、第2回は本年末に実施することになっています。このような考え方で日メコン交流年を今年一年盛り上げていくということです。可能であれば本日行われるレセプションに参加頂ければ幸甚です。
(報道官)ウィティット・ムンタボーン(Prof. Vitit Muntarbhorn)国連北朝鮮人権状況特別報告者(タイ・チュラロンコン大学教授)が、今月23日から28日まで、北朝鮮の人権状況に関する情報収集のために来日されます。同報告者は、滞在中、中曽根弘文外務大臣及び中山恭子内閣総理大臣補佐官(拉致問題担当)を含む政府関係者、更には拉致被害者家族等と拉致問題を含めた北朝鮮の人権状況に関して意見交換を行う予定になっています。なお、ムンタボーン報告者は、これまでも過去3回同じ趣旨で来日されていますが、今回の来日に際しても、日本政府としては、拉致問題に関する北朝鮮との交渉の最新の状況についてもしっかりと説明をして、引き続きこの問題の解決に向けて取り組んでいきたいと考えています。
(報道官)スリランカ民族問題を巡る最近の情勢変化を受けて、日本政府としては、明日21日から25日にかけて明石康政府代表(スリランカの平和構築及び復旧・復興担当)をスリランカに派遣することを決定しました。スリランカ滞在中、明石政府代表はマヒンダ・ラージャパクサ(His Excellency Mr.Mahinda Rajapaksa)大統領をはじめとするスリランカ政府・与野党関係者等と会談を行い、民族問題の政治的解決に向けた更なる取組を促すとともに、スリランカの北部で発生している国内避難民の状況等につき意見交換し、併せて東部の視察を行う予定です。
(問)オバマ大統領が今夜就任されるということですが、クリントン次期国務長官が、今世紀は米中関係が最も重要な二国間関係になると述べられています。民主党政権は日本にとって歓迎すべきことでしょうか。そして、米中関係の強化は日本外交にとってマイナスになるのでしょうか。
(報道官)今朝大臣が会見で申し上げたと承知しておりますが、オバマ政権の発足を日本としては心から歓迎している訳です。クリントン次期国務長官の議会での発言についても私どもとしてはしっかりとフォローしている訳ですが、日米同盟がアジア太平洋における平和と繁栄にとっての礎石というかコーナーストーンであるという言い方をされています。日米同盟をそう位置づけているということにおいて、歴代政権において基本的に違いはないと、民主党政権であれ共和党政権であれ、日米安保体制の東アジアにおける重要性の認識については変わるものはないと思っています。そういったことを前提に、米国として中国との関係を強化していくということについては、よく言われますように、国際社会の一つの共通の認識として、中国がイマージングパワー(新興国)として経済力を急速に、20年間に渡って改革開放政策を進める中で、中国が非常に大きな経済大国として君臨するようになってきている訳です。そういった現実を踏まえて中国とどう向き合っていくかということが米国にとって重要であるという認識は、私どももそれについて何ら異論のある話ではありません。その上で申し上げれば、日本は今中国との間で、戦略的互恵関係を構築していくということで、日中関係の更なる強化に向けて色々な形で、昨年も前例のない形で首脳外交が深化したという実績もある訳です。そういったことも踏まえながら、オバマ政権が今日から発足して、色々な場で大臣も申し上げたことだと思いますが、日米が協力をして、国際社会が直面する色々な課題について一緒になって取り組みを強化していくという強い希望を我々は持っています。我々としては、日米関係をしっかりと、更に強化していくということで、オバマ新政権と取り組んでいきたいと思っています。中国との関係において我々として何か心配していることは無いと申し上げられると思います。
(報道官)1月13日、イラクは、化学兵器禁止条約(CWC)締結のための加入書を国連に寄託しました。これにより、寄託日から30日後、イラクについてCWCが発効します。イラクによるCWCの加入は、中東地域諸国の間での信頼醸成に寄与し、国際社会における大量破壊兵器の軍縮・不拡散の推進に向けた大きな一歩であり、我が国としてもこれを大いに歓迎します。我が国はこれまで、イラクのCWC加入準備のための財政的・技術的貢献等を通じて、同国のCWC締結を継続的に支援してきました。今回の加入書寄託は、こうした我が国の粘り強い外交努力の成果でもあると考えています。我が国としては、他のCWC未締結国も早急に同条約に締結することを改めて呼びかけるとともに、大量破壊兵器の軍縮・不拡散の一層の促進に向けて努力を行っていきます。
(報道官)伊藤外務副大臣は、14日から20日まで、リトアニアのビリニュス、ルーマニアの首都ブカレスト及びイタリアの首都ローマを訪問します。リトアニア及びルーマニアでは、総選挙の結果、昨年12月に新内閣が発足したこと、これはリトアニアでございます。また、ルーマニアとは、本年、外交関係再開50周年を迎えることから、伊藤副大臣は、それぞれ政府要人との間で、幅広く意見交換を行い、更なる関係強化を図るということです。また、イタリアにおいては、FAOとかWFPといった食料問題に関する国際機関関係者との意見交換を行います。
(問)伊藤副大臣がリトアニアに行かれるようですが、その時に以前発表のあったアフガニスタンでのPRTについての話は行われるのでしょうか。
(報道官)具体的にどういった議題にということまでは承知しておりません。いずれにしても二国間関係、国際問題など幅広く意見交換を行うということです。両国にとっての関心事項は当然取り上げられると思っています。
(報道官)私は先週7日水曜日からこの12日日曜日まで、米国で在米公館長会議に出席のためと、現地で現政権の国務省のマコーマック報道官との間で最後の日米報道官協議を行いました。何か質問があれば後ほど承ります。
(報道官)本年は「日本・ドナウ交流年2009」に当たりまして、関係の4か国、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアとの交流年の幕開けに当たって、麻生総理と関係4か国の首相との間で祝賀メッセージの交換を行いました。この機会にメッセージの交換を行うことによって、我が国とこれら4か国との2国間の友好関係を一層強化していく決意を相互に確認したということです。今年この交流年を通じて、これら4か国との間で様々な記念行事や人的交流が実施される予定で、こうした交流事業を通じて相互理解と交流の一層の拡大・深化が期待されています。また、この祝賀メッセージの交換を通じて、交流年の幕開けを我が国及び関係国国民に広く周知し、こうした関連記念行事への国民の幅広い参加・協力を促すことで、これら4か国との関係の更なる緊密化を進めて参りたいと思っています。
それから、昨年の12月に宮内庁から発表されていますが、秋篠宮殿下が「日本・ドナウ交流年2009」及び関係4か国それぞれとの2国間の交流年の名誉総裁にご就任されております。また、秋篠宮・同妃両殿下におかれましては本年の5月頃に関係4か国をご訪問される予定となっています。これらの機会に、相互の友好協力関係がますます豊かに花開いていくものと確信しています。
(問)北朝鮮に拘束されていた澤田義昭なる人物が釈放されたという報道があるのですが、外務省で今把握されている情報はありますか。
(報道官)本日正午、朝鮮中央通信が麻薬密輸を試みたとして2003年10月に抑留されていた澤田義昭氏が、同日北朝鮮を出国したと報じたと承知しております。
この件について、澤田氏は我が国において何らかの容疑を受けている訳ではなく、個人のプライバシーにも関係しますので詳細は差し控えますが、政府としても同人が北朝鮮を出域したということを確認しています。
(問)外務省として何か事情を聞いているのでしょうか。
(報道官)詳細は差し控えたいのですが、本日13日午後、在中国大使館員が邦人保護の観点から、本人と面会を行っています。また、今後、必要な邦人保護の観点からの支援が行われるということになります。
(問)現在帰国の途にあるのでしょうか。
(報道官)出域したことを確認したということで、今具体的にどこにおられるかということは当人のプライバシーにも関係しますので、明らかにすることは差し控えたいと思います。
(問)この時期に4年以上前に抑留した澤田さんを出域させたことについてどのように推察されているのでしょうか。
(報道官)私どもが、北朝鮮がどういう考えでこの時期に出域させたかということを憶測することは差し控えたいと思います。我々が推測したところで、それが意味のあることとは思えません。
(問)出域したのはいつなのかという点と、澤田氏の健康状態は如何でしょうか。
(報道官)個人のプライバシーにも関係しますので、今政府として申し上げられることは、澤田義昭氏が13日に北朝鮮を出域したということを確認したということです。そして、今日の午後、北京で邦人保護の観点から面会を行ったということです。
(問)今日北朝鮮を出たということでしょうか。
(報道官)日本政府として今日の時点で彼が北朝鮮を出ていることを確認しているということです。
(問)北朝鮮側からそのような人物を出国させたという連絡が何らかの形で日本政府に届いているのでしょうか。
(報道官)詳細は差し控えますが、北朝鮮を出域した後、在中国の北朝鮮大使館から我が方大使館に対して連絡があったということです。
(問)時間は何時頃でしょうか。
(報道官)今日出域を確認したということですから、常識的には当然本日ということです。
(問)邦人保護の観点から面会をされたということですが、保護をする必要性、例えば所持金ですとか、旅券の有無、健康状態などの確認をされたのでしょうか。
(報道官)所要の色々な邦人保護を行っているということ以上は今申し上げる材料を持っておりません。
(問)これまで外務省として、北朝鮮に対して、澤田氏を解放するようにとの交渉は行っていたのでしょうか。
(報道官)今ご質問に対して申し上げられることは、当人の出域を確認したということで、それ以上は当人のプライバシーに関係する問題ですので、詳細は差し控えたいと思います。
(問)そこはプライバシーとは関係無いのではないでしょうか。
(報道官)私どもとしては、この人は日本人であるということで、報道によれば、2003年10月に麻薬密輸を試みたということで抑留されていたという事実は承知している訳です。今までの間どういうやりとりをしたかということについては、ここでお答えする材料を持ち合わせておりません。
(問)真偽は別として、北朝鮮側は麻薬を密輸したということで抑留した訳ですが、日本としてこういった事実があったかどうかを調べるなど、外務省ではなく警察の話かもしれませんが、何か行ったのでしょうか。
(報道官)現段階において、我が国の捜査当局として、澤田氏の具体的な容疑を把握している訳ではないということです。いずれにしても個別の対応についてはコメントは差し控えさせて頂きます。
(報道官)今週の8日から10日にかけて、一連の会議を米国ワシントンDCで開催します。在米公館長会議では、駐米大使、在米の各総領事、本省からは北米局長、私も出席致しますが、本省幹部との間で、今月20日に発足するオバマ新政権を念頭に対米外交の基本方針などについて意見交換を行う予定です。また、一部のセッションでは、在米日系企業関係者の出席も得て、現下の金融・経済情勢を踏まえつつ、官民の連携のあり方についても意見交換を行う予定です。更にこの機会を利用して、在米名誉総領事会議、在米日系人リーダーとの会合の開催も予定しています。
(報道官)我が国は、2009年から2010年までの2年間、国連安全保障理事会の非常任理事国として、国際平和と安全に関する諸問題に深く関与して、その責任を果たすこととなりました。そういったことを念頭に置きつつ、外務省としては、国連に関係する諸団体と協力し、国連の諸活動や我が国と国連の関わりについて考える広報キャンペーンとして「いっしょに国連」(together for the UN)を、今月から2年間にわたり実施することにしました。本日付でこのキャンペーンのウェブサイトを外務省のホームページに開設をして、色々な、外務省主催または協力団体が開催するイベント情報を掲載していますし、これからもそれを随時更新していくことになります。具体的な事業を早速2つほど紹介させて頂きます。13日に東京で国連安保理に関する公開フォーラムが開催されます。主催は東京財団です。テーマは「日本は安保理で何をすべきか~非常任理事国の2年を考える~」で、ゲストスピーカーに議論をして貰います。政府関係者としては高須国連大使、あるいは有識者として北岡伸一東大教授、星野俊也大阪大教授等が参加されることになっています。2月下旬には、国連事務局のリクルートミッションが日本に来ることになっていて、応募受付も始まっています。こうしたキャンペーンを通じて、外務省としては、地球規模の課題の解決に向けて、日本そして国連が一緒に果たし得る役割や、国連改革のあり方などについて、国内の幅広い層の理解と支持が得られることを期待しています。
(問)ガザの関係ですが、国連安保理で停戦要求決議案を採択しようとして、現在宙に浮いている状態なのですが、日本としてどういう構えで取り組もうとしているのでしょうか。
(報道官)ガザ情勢が引き続き深刻な状態にあると日本政府も認識しています。ご案内の通り、昨年の27日にイスラエルがパレスチナに対する攻撃を行い、現在まで双方の武力行使が停止されていない訳です。日本政府としての基本的な立場は、イスラエルとパレスチナの武装勢力双方が武力の行使を即座に停止して、持続的な停戦合意を達成するよう引き続き強く求めるというものです。そのような基本方針に基づいて、当然国際社会、まさに日本は国連安保理の非常任理事国のメンバーとして1月1日から参加している訳ですので、国際社会・安保理における議論の中でも日本として責任を持って参加していくということだと思います。他方で、安保理における議論は年末から今日まで公式・非公式に色々な形で審議が継続的に続けられていると承知していますが、具体的に今どうするということをこの場でコメントする材料を私は持ち合わせていません。いずれにしても、日本政府の基本的な立場、即ち、双方が武力の行使を即座に停止して持続的な停戦合意を達成するよう、その基本的な目的の達成ために、日本政府として果たし得る役割を積極的に果たしていくということに尽きると思っています。
(問)潘国連事務総長は、米国側が決議に反対しているということで、事務総長が米国を説得しているようですが、日本として米国を説得するというお考えはあるのでしょうか。
(報道官)今の時点で、最新の安保理における審議の状況を対外的にどこまで明らかに出来るのかということを確認していませんので、今のご質問に対して日本政府として具体的にどういう動きに対応していくかということを申し上げられる材料を持っていません。今は、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。
(問)一部報道ではアフガンの支援策として、民生の支援の強化のために5億ドルを出すというという報道があったのですが、具体的にどんなことを検討されているのか、また財源についてはどうなっているのかということについてお聞かせください。
(報道官)ご指摘の報道は私共が理解する限り、今日付けの邦字紙の中で、総額5億ドルの独自の新パッケージ案をまとめた云々という記事かと思いますが、まず申し上げたいことは、そこで指摘されているような総額5億ドルのパッケージ案をまとめたという事実はありません。他方で、ご案内かと思いますが、昨年の6月にパリでアフガン支援国際会合が開催され、これには日本政府も当時の高村外務大臣が出席して、5.5億ドルのアフガン追加支援を表明したという経緯があります。更に申し上げれば、日本政府はこれまでに14.5億ドルのアフガン支援をODAとして表明し、着実にその殆どすべてを実施してきています。これを合わせますと20億ドル相当のアフガン支援をコミット乃至実施してきています。そこで今日本政府としてどのような状況にあるかという点を補足して申し上げますと、アフガニスタンにおいて今年何が起きるかということで、非常に重要なことは本年の秋にアフガニスタン大統領選挙が予定されています。ですから今国際社会を挙げてアフガニスタン政府がこの選挙が民主的に公平・公正にしかもテロの妨害行為なしに成功裏に開催されることが極めて重要だと認識しています。そのような国際社会の共通認識があり、アフガニスタンもそれを認識しています。我々としては、先ほどのアフガン支援を具体化する上で、大統領選挙の成功裏の実施ということは重要な協力分野だと認識しておりますので、その観点から平成20年度の第2次補正予算の中で、選挙支援や治安改善支援、食糧支援等を行うための必要な経費として約301億円を計上しています。
(問)そうしますと、記事に書かれている5都市に防弾車を配備するということについては、とりあえず外務省として関知していませんという理解で宜しいのでしょうか。
(報道官)今の段階で申し上げられることは、選挙支援や治安改善支援他を行うための必要な経費として、これを拠出金の形で関係の国際機関に拠出して、そこから実施されるということですので、それ以上に何が決まったということではありません。
(問)韓国の朝鮮日報で、竹島は日本領ではないという総理府と大蔵省の内部文書があったという報道がありましたが、事実関係は如何でしょうか。
(報道官)大変恐縮ですが、今この問題についてお答えする材料を持ち合わせていませんので、また要すればきちんと調べて別の機会に回答させて頂きたいと思います。