(報道官)22日(月曜日)コンテ・ギニア大統領が逝去されたとの報に接し、ご遺族並びにギニア政府・国民に対し、我が国として謹んで哀悼の意を表します。一方で、軍部に憲法を停止し政権を掌握する動きがあることは、民主主義の手続きを無視するものであり、我が国としてこれを強く非難します。我が国は、ギニアにおける平和と安定の実現のために憲法秩序及び民主主義体制の維持が重要であると考えており、事態の進展を懸念をもって注視していきます。
なお、在留邦人の安否の確認については、大使館の方で現在把握している在留邦人58名全員の方の安否を無事確認しています。
(報道官)我が国は、バングラデシュ政府からの招待を受けて、29日(月曜日)に予定されるバングラデシュ総選挙の公正な実施を支援するため、坂本剛二衆議院議員(日バングラデシュ議員連盟幹事長)を団長とし、西村明宏衆議院議員(同議員連盟事務局長)等日「バ」議連を中心とする計7名からなる選挙監視団を派遣し、28日(日曜日)から30日(火曜日)まで監視活動を行うこととしました。監視団は、派遣期間中、投票・開票状況の監視活動を行う他、バングラデシュ政府要人や政党関係者との会談、他の選挙監視団との意見・情報交換等を行う予定です。
なお、詳細は南西アジア課にお問い合わせ頂ければと思います。
(問)外務省によると、ODAの2009年の事業量見込みが1兆8,000億円と、2008年に比べて14%増になっていますが、それについての受け止めをお願い致します。
(報道官)今年の第4回アフリカ開発会議(TICADⅣ)が横浜で開かれた時に、総理の方からアフリカに対する無償援助の倍増、または円借款の倍増ということを表明し、日本政府として、あるいは北海道・洞爺湖サミットの時もご記憶かと思いますが、これまで、日本を含めてG8の国が、アフリカ開発あるいはMDG達成のために、ODAを増額するというコミットメントを累次のサミットで行ってきている訳です。いずれにしても日本政府としては、これまでのアフリカ開発を中心に途上国全体に対するODAの増額を目標としている訳で、それを着実に実施することが日本としての対外的な公約であると思います。そういう意味から、事業量として14%増というのは、円借款であれ、無償援助であれ、技術協力であれ、その公約を着実に実施していくということを対外的な日本のメッセージというか、そのコミットメントの実施に対する意欲の表れ、証左ということで、評価して頂けるのではないかと思います。
(問)それによって日本のプレゼンスは高まると期待してよろしいでしょうか。
(報道官)ODA予算を受けてのODA事業量というのは、開発分野に対する先進国の貢献の度合いを測る一つのメルクマールとして全く正当なものだと思います。ODAの事業量ベースでの拡充が確保されるということは、日本が持っている強みを生かしていけるのではないかと思います。更にもう一つ付け加えれば、今年の10月1日から、新生JICAが登場した訳です。日本がJICAという組織に無償・技術協力と円借款を一体のものとして、より戦略的に使うという体制が立ち上がった訳です。本日来年度予算政府原案の姿が決まった訳ですが、その中でも新生JICAがいよいよ船出している訳ですが、それに内実を与える補正予算案を含めた予算案、我々は15ヶ月予算と言っていますが、そうした予算案についてこれから国会でご審議願う訳です。そういう意味で、厳しい財政状況の中で、政府として対外公約をしっかり果たすという日本政府の姿勢が形になって現れてくると思います。
(報道官)米国政府が来年の1月12日から導入をする電子渡航認証システム(ESTA)に関して再度この場で国民の皆様に周知を図るという趣旨で申し上げさせて頂きたいと思います。昨日、今日といくつかの新聞で、周知がまだ必ずしも徹底していないのではないかという報道もございました。私としては、これまでも色々な機会に、テレビ、新聞、雑誌、外務省のホームページを通じて、米国におけるESTAの導入について国民の皆様に周知をし、所要の措置をとって頂くよう呼び掛けてきた経緯がございますが、まだ不十分な点があるとすれば、私どもとしては、改めて更に一層の広報努力を進めていきたいと思います。具体的には明日、領事局長が在京米国大使館のべーカー総領事に対して更なる広報努力をお願いするとともに、混乱防止策の策定も申し入れる予定になっています。この制度は、米国が来年1月12日から導入するということですが、観光、短期商用などの90日以内の短期滞在目的で米国を訪問される場合には査証(ビザ)は免除されております。しかし、査証免除ということでは今までと変わりはないのですが、1月12日以降に渡航される場合には、事前に電子渡航認証システムに従って申請をして頂き、その申請の認証を受けていないと、米国の航空機への搭乗や米国への入国を拒否されるという事態が起こってしまいますので、是非この手続きを早急に進めて頂きたく改めてお願いしたいと思います。
(問)イラクからの撤収に関して、改めて報道官の感想と今後の日本の在り方についてお聞かせください。
(報道官)本日、クウェートでイラクに派遣されていた航空自衛隊の部隊の関係者の撤収関連行事が行われ、それに武田防衛大臣政務官が出席をされていると承知しています。日本としてはこれまでもODAと自衛隊による支援を、大きな「車の両輪」としてイラクの復興支援に積極的に取り組んできたと考えています。今般の航空自衛隊の任務終了後も、我が国のイラク支援に対するコミットメントは変わることはありません。日本政府としては今後も引き続き円借款事業の着実な実施、これは若干補足しますと、これまで35億ドルを限度に12案件についての署名は行っていますが、これを着実に実施していくということです。そして2番目として、イラクにおける技術協力、イラク側の人材のキャパシティ・ビルディングにも力を入れていくということ、3番目に、更にイラクの復興あるいは治安の改善・安定が進むことで、今後経済・ビジネス関係の強化に注力することによりイラクに対する支援を継続したいと思っています。それを通じて、ひいては日本とイラクの間のパートナーシップが一層強化されていくと考えています。
(報道官)アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、難民政策に関する協議や日・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)協力の強化を目的として、18日から20日までの間訪日します。滞在中、日本政府関係者との協議、また現在総理や大臣への表敬は調整中ですが、そのようなことを含めUNHCR国会議員連盟との意見交換、日本外国特派員協会における記者会見等を行う予定です。日本政府としてはUNHCRと協力して、世界各地における難民、国内避難民等に対する人道支援を実施してきていますが、今回の訪日を通じて、日本とUNHCR間の協力関係がより一層強化されることを期待しています。日本はUNHCRに対する拠出国としては米国に次いで第2位の地位を占めてきています。このグテーレス国連難民高等弁務官の経歴については、元ポルトガル首相、第10代高等弁務官ということで、既に何度か日本を訪問されていますが、国連難民高等弁務官としての来日は今回で5回目ということです。
(問)世界各地における難民云々ということですが、日本以外の世界各地における難民の、という風に見えるほどに日本自体が、難民を受け入れる状況がまだまだ少ない訳ですが、今回の訪問ではそういうところで何か切り込みがあるのでしょうか。
(報道官)日本の立場については色々とご意見があるかもしれませんが、一貫して世界の中でのUNHCRに対する拠出国の中では第2位の地位を維持してきている訳です。東京にもUNHCRの事務所が置かれていて、その事務所を通じて日本においての難民の保護、資金調達活動を行っています。そういうUNHCR事務所との連携をしっかり行っていますし、いずれにしてもUNHCRの活動をこれまでも支援してきております。こういう機会を通じて、難民政策についての意見交換を行うでしょうし、突っ込んだ形で日本とUNHCRとの連携協力強化が話し合われることは間違いないと思います。
(問)今回の訪日は具体的な合意というよりも、意見交換等が主体となるのでしょうか。
(報道官)今のところ予想される具体的な成果について御紹介できる材料を持ち合わせておりません。いずれにしても、総理あるいは大臣との会見が実現する場合には、そこにおけるやりとりについては、事後的にしっかりと発表されると思います。
(報道官)明11日、外務省は経済産業省との共催で、対外投資戦略会議を開催致します。本年の6月、経済財政諮問会議の場において経済成長戦略が策定された訳ですが、その中で二国間投資協定をより戦略的な優先順位をもって検討していくことが決定されています。その経済成長戦略を踏まえて、外務及び経済産業両省がイニシアティブをとる形で、政府、民間団体、実施機関が、二国間投資協定交渉の在り方、あるいは対外投資に関連する各種ツール、この中には租税協定も含まれる訳ですが、そうしたツールの総合的な利用・在り方等について意見交換を行うための場として、この会議が設置されることになりました。今後、この会議は年2回、半年に1回のペースで開催されることになります。この会議における議論の概要は、外務省のホームページ上で事後、公開される予定です。なお、この会議の意義ですが、政府、民間団体、実施機関の間でこれらの意見交換を行うことは、外務省として二国間投資協定の交渉順位等をより戦略的に決定し、また政府全体として日本企業の対外投資を後押ししていくという観点から、非常に意義のあることだと考えています。
(問)六カ国協議についてですが、米朝の話し合いも上手くいかず、特に核問題、また日本に関連しては拉致問題が進展なく終わるような見通しですが、政府としての受け止めは如何でしょうか。
(報道官)まだ、六者会合のプロセスは続いていますので、その成り行きをしっかり見極める必要があると思います。本省サイドで現地から聞いている話としては、簡単ではありますが、本日の日本時間午前10時には、六者の代表が釣魚台の会議場に集合はしましたが、全体会合は開かれることなく、中国を含め各国間の協議が断続的に行われたということでした。先ほど確認できた点ですが、日本時間の午後4時20分過ぎから、本日の全体会合が開始したと聞いています。この会合がどのような結果をもたらすのかということについて、しっかり見極めていきたいと思います。また、本日それから明日以降の会合がどのようになるのか、今の時点では私がコメントすることは適切でないと思います。
(問)今のところ、日朝の接触はあったのでしょうか。
(報道官)今日の状況は確認していませんが、昨日までの間に首席代表者間の接触があったとは聞いていません。
(報道官)アフリカに関する日中韓政策協議が、12月12日(金曜日)、東京で開催されます。この会議には、日本側からは秋元アフリカ審議官他関係者が、中国側からは許鏡湖(シー・ジンフ)外交部アフリカ司長、韓国側からは金辰洙(キム・ジンス)外交通商部中東アフリカ局長他関係者が出席する予定です。この会議では、三カ国の対アフリカ政策、対アフリカ経済関係、開発協力関係、所謂開発援助ですが、それから地域情勢等について意見交換を行う予定です。この協議の開催の経緯ですが、昨年11月に行われた日中韓首脳会議の際、三か国の首脳は三国間協力の一環としてアフリカに関する三国政策協議の立ち上げに合意し、これを受けて本年6月に東京で行われた日中韓外相会議において三国政策協議を本年日本で開催することが決定されました。それを受けての今回の開催となります。今回の協議の意義は、日中韓三国の政策担当者が一堂に会して、アフリカに関する政策について協議をする初めての政策協議となりますので、それ自体が三国間協力の具体的な成果の一つになると思います。
(問)日中韓の政策協議が開催されるということですが、それとは別に、日中韓首脳会議においてもアフリカについては議題となるのでしょうか。
(報道官)今回行われる政策協議は、翌13日に福岡で開催される日中韓首脳会議の場において当然成果が報告されます。首脳レベルでも、三国間協力の具体的な一つということで取りあげられることになると思います。
(問)政策協議では、もう少し詳しく、どういったことについて意見交換するのでしょうか。
(報道官)日中韓で一緒に政策面において議論しようというときに、アフリカ政策について議論していこうという意向が日本側には常々あった訳です。具体的には平成19年の5月に日韓アフリカ局長級協議を開催しておりまして、同年の9月には、日中のアフリカ局長級会議をいずれも東京で開催した経緯があります。日本の問題意識としては、日本はTICAD IVを主催した訳ですが、アフリカの開発、アフリカにおける問題に対して日本は積極的に取り組んでいますが、同じように韓国も中国も対アフリカフォーラムを立ち上げている訳です。そういう意味で、アフリカに対して色々な協力を行い得る立場にある力をつけてきた中国、韓国と一緒になって政策協議を行う意味は大きいと言えると思います。そういう枠組みの中で、大きく分けて3つの切り口があります。一つ目に、3国それぞれのアフリカ政策について情報交換、意思疎通をするということです。それを受けてそれぞれが、経済あるいは貿易投資関係を促進してきている訳です。中国については、資源外交を行っていると言われています。韓国についても、アフリカに対するODAの展開を行ってきています。そういう意味での、経済、開発協力の分野における意見交換、情報交換があると思います。調整をする要素が出てきていると言えるのではないでしょうか。3点目として、地域情勢が挙げられると思います。具体的には、スーダンの和平の問題、今、正に喫緊の課題としてのソマリアの問題、あるいはそれに関連して海賊対策もあり得ると思います。あるいはコンゴ民主共和国における安定の問題。そうした情勢について日中韓で政策協議をする予定です。
(問)資源外交やODAで調整するということは具体的に何をどう調整をつけるのか、またどうなることを期待しているのでしょうか。
(報道官)まずは3か国で行う初めての協議ですので、協力を進めるにあたってまずお互いがどういう考え方でアフリカに対する外交を進めているかということを示して、それを共有するところから始まるのではないでしょうか。直ぐにこれをやったから資源外交について何かものを言う等、そのようなことではないと思います。