(報道官)25日、タイにおける反政府デモ隊がタイのバンコクにあるスワンナプーム空港の一部に侵入し、占拠したため、同空港の離発着便について、昨25日夜から一部の便が欠航し、本日早朝から全ての便が欠航していると承知しています。日本政府としては、事態を懸念しており、関連情報を収集するとともに、情勢を引き続き注視していく方針です。外務省では、こうした状況を受け、昨25日以降、累次「大使館からのお知らせ」及び「スポット情報」を発出し、在留邦人の方、あるいはこちらからタイに出かける方に対して注意を呼びかけてきています。なお、在タイ日本国大使館では、同空港に8名の館員を派遣し、空港内にて情報収集にあたるとともに、搭乗待ちのために待機している日本人乗客に対する情報提供を行っています。また、今後、空港から周辺のホテル等への移動を希望する邦人の方に対しては、可能な限りの支援を行うという方針で対処していきます。
(問)タイについて、昼前にスポット情報を出しましたが、その後、類似の情報発信などを行うのでしょうか。
(報道官)ご指摘の通り、本日、「タイに渡航予定あるいは滞在中の方は事前に航空会社などに運行状況を十分に確認をしてください」と、また「報道などから最新情報の入手に努めるとともに、これら抗議活動が発生している場所付近には近づかないようにしてください」というスポット情報を出しております。それで、事態がこれからどのように推移するのかによると思いますが、先ほど申し上げました通り、現地の大使館においても様々な情報収集活動あるいは在留邦人の方に対する支援活動を行っておりますので、そうした現地の事情をしっかり踏まえて、必要であれば適宜適切に追加的な情報を発出していくということになると思います。
(問)チェンマイでの東アジアサミットに影響が出そうな雰囲気なのでしょうか。
(報道官)今の段階でコメントするのは適切ではないと思います。場所としてはいずれにしても、飛行機が向かうのはチェンマイ空港であってバンコクではないのですが、いずれにしても、タイの国内情勢、日本政府としても事態ができるだけ早期に沈静化され正常化されることを期待しています。
(報道官)米国時間25日夜、斎木アジア大洋州局長は、ヒル米国務次官補と今後の六者会合の進め方等について意見交換を行いました。この協議の結果については、斎木局長が帰国した後に詳細な報告を受けることになりますが、先日ペルーで行われた日米首脳会談の結果をフォローアップする形で意見交換を行い、特に、次回六者会合において、六者間でしっかりとした検証の具体的枠組みを構築する必要があることを再確認し、日米、更には、日米韓の緊密な連携を確認したと聞いています。
(報道官)私は、今般麻生総理に同行してペルー公式訪問それからAPEC首脳会議の関係で現地へ行って参りましたが、本日朝帰国しました。この場で一言触れたいと思いますのは、今回のAPEC首脳会議の成果にも関係するのですが、日本が麻生総理のリーダーシップの下でイニシアティブを如何に発揮してきたかということについてです。即ち思い起こせば、10月24日に北京でASEAN+3、そしてASEM首脳会議が行われた訳ですが、その時に総理は、北京で現下の国際金融危機に対処するに際し、日本の経験や教訓を是非生かすべしというメッセージを発信され、その際、更にIMFに対する支援やIMFの役割の強化そしてIMFを通じた途上国に対する資金面での支援を行うべきという提案をされました。もう一つは、保護主義の防遏やウルグアイランドの早期解決に取り組むべきということの提案をされております。具体的にはアジアにおける日本の貢献ということで、チェンマイ・イニシアティブのマルチ化とアジアにおける資本市場の育成イニシアティブを日本が推進するということもはっきりと打ち出しました。その後、11月15日にワシントンDCで開かれたG20サミットにおいて、より明確な形で麻生総理は「麻生提案」というものを席上に配布してG20諸国首脳に訴えかけた訳です。そこでの中身の、非常に大きなポイントとしては、IMFに対して日本が1千億ドルを融資する用意があるということで、この数字の大きさに世界は驚いたと思います。またその時に、中川財務大臣とゼーリック総裁との間で、新たに30億ドルを原資として中小の途上国に対する資金増強のための資金の提供を行う構想を立ち上げました。これは、金融機関が危機に直面した時に資金の提供を行うという日本の経験を踏まえた画期的な提案だったと思います。今回、日本の提案が打ち出された中で、この週末にAPEC首脳会議が行われました。そこで、この提案を受けて麻生総理からは、改めて一貫した日本の立場として、現下の国際金融危機に対する対応として、各国が危機意識を共有すること、その危機意識をしっかり共有した上で、国際協調の精神でこの問題の解決に取り組むことで、麻生提案というものを改めて説明されました。今回のAPECにおけるもう一つの新たな提案は、これは経済産業省の所管になりますが、貿易保険をアジア太平洋地域協力の一環として、各国の貿易保険の再保険の仕組みを構築することを提案しました。私はスポークスマンとして、ワシントン、北京それから今回リマに出張した訳ですが、これだけ具体的な提案をした国はどこにもありません、日本だけです。日本の90年代の経験をしっかりと日本が経験を教訓として積み上げて、各国と共有する、それだけに説得力のあるメッセージが発信できたと感じました。外国での報道振りは色々ありますが、今回のAPECについて言えば、これは、総理が内外記者会見で仰ったことに尽きますが、各国の首脳が今の問題に取り組む上で首脳としてこの問題をしっかり解決するんだという政治的意志がはっきりと打ち出されました。その象徴が、ドーハ・ラウンドのモダリティの合意に向けた閣僚会議を12月に開催するようにAPEC首脳が指示を出すという宣言が採択されました。APECの首脳がそれだけ危機意識をもって保護主義を防遏しなければならないとの意志を明確にされ、その流れにおいて、日本は、総理のイニシアティブを発揮しました。私は現地で、「日本の出番」と言って、全く大風呂敷でもなんでもない日本の貢献というものがアピールできたと、そのような一連のサミットの流れになったと考えます。12月に入りまして、13日には日中韓首脳会議が初めて独立した形で開かれます。そこでも金融危機に対する対応が話題になると思います。更に、12月16、17日にはタイのチェンマイにおいて、ASEAN+3、日ASEAN首脳会議、17日には、東アジアサミットが開催されます。総理の出席についてはまだ調整中ですが、10月から一連の首脳会議が続いていますが、一貫したテーマは、国際金融危機が実体経済に影響を及ぼさないための議論が主題となると思います。日本政府が、しっかりとしたこの問題解決にむけたイニシアティブを発揮すると言って間違いないのではないかと思います。
(報道官)12月6日と7日の両日、鹿児島県指宿市において、当省共催事業「学生(子ども)映画祭INいぶすき」(主催:学生(子ども)映画祭INいぶすき実行委員会)が開催されます。これは、杉良太郎・日ベトナム特別大使の想いから生まれたプログラムです。昨年度より開始された本映画祭は、子供たちが映画制作を通じて、社会に出るまでの目標や目的、競争意識、自覚を持たせ、感受性豊かな人間に育って欲しいという思いから生まれたものと承知しています。日・ベトナムの関係については、今年、外交関係樹立35周年を迎えています。色々な、日・ベトナム交流を盛り上げる企画、行事が行われている訳ですが、この行事もその一環として意味のあるものであると思っています。
(問)今日、日本、米国、地方自治体の3者による在日米軍施設・区域にかかる連絡会議を行うとのことですが、この会議を開く狙い、目指す方向性についてお聞かせください。
(報道官)ご指摘の会合は12月に入ってから開催されると承知しています。日米間で非常に重要な課題の一つである米軍再編成に対して日米が一緒になって、ロードマップに従って進めていくことが重要です。この問題については、先日も、ペルーにおける日米首脳会談の場で、ブッシュ米大統領、麻生総理との間で取り上げられました。そういう意味から、そういう場を通じて、日米双方の当事者が意思疎通を図っていこうという狙いから行われるものであると承知しています。
(問)6カ国協議の関係ですが、次回は12月8日に開かれると、ライス米国務長官が述べましたが、これに関して、ブッシュ政権末期で功を焦って、北朝鮮に対して譲歩をしてしまうのではないかという懸念があるのですが、どう思われますでしょうか。
(報道官)ライス長官が来月の8日からの開催に言及していることは我々も承知しておりますが、まだ確定したということではなく、議長国である中国による調整が進められています。我々としてもできるだけ早く確定することを期待しています。我々としては次回六者会合の目的について、ブッシュ政権の末期であるこの時期での開催がどうなのかということではなく、累次、大臣も国会や会見の場でご説明しているとおりですが、重要なことは、次回の六者会合において、先般の米朝間の合意を基礎として、サンプルの採取を含めてしっかりとした検証の具体的枠組みを六者間で構築をするということです。そのために、現在、米国をはじめとする関係国と連携して取り組んでいます。
(報道官)外務省は、今月25日に「太平洋島嶼国支援検討委員会第1回会合」をグランドプリンスホテル赤坂において開催します。この委員会は、我が国が来年5月22日から23日にかけて北海道トマムで開催する予定の第5回日本・PIF首脳会議(通称:太平洋・島サミット)に向けた準備として、有識者を中心とした6名の委員を迎え、これまでの太平洋・島サミットの合意事項、実施状況、成果のレビュー及びそのレビューを踏まえた上での我が国の今後の太平洋島嶼国に対する支援の在り方の検討を行うために設置されます。この委員会は、来年3月までの間に計6回の会合を開催し、気候変動等太平洋島嶼国の抱える様々な課題に応じた討議を行い、最終会合では提言がまとめられる予定です。この提言は、来年3月末に日本で開催予定の第5回太平洋・島サミット会合のいわゆる高級事務レベル会合で更に議論されます。それに向けて有識者の提言をまとめて頂くことになります。
(問)厚生労働省の元幹部の方が殺害されるという事件がありましたが、この事件の受け止めと、外務省として事件を受けて何らかの警備上の対応あるいは何らかの措置を講じているのでしょうか。
(報道官)最初の点についてですが、大変強い憤りを感じる、決して許されてはならない事件であったと思います。こういうことは二度とあってはならないということで、是非この事件が早期に究明されることを強く希望しています。その上で、二つ目の点ですが、外務省員の身体・生命の安全にかかわる情報に接した場合、色々なケースがあると思いますが、いずれにしても関係当局との連携の上、適切に対処してきているということです。それ以上、どのように行っているかということについては、事柄の性質上、差し控えたいと思います。
(問)つまり、警戒をしている、あるいは警備強化に当たっているということでしょうか。
(報道官)繰り返しになりますが、我々としてはそういう状況が、つまり外務省員に対する脅迫などを仮に知ることになった場合には、当局に連絡し、連携の上、必要な措置を講じるようにしているということでご理解頂きたいと思います。
(問)今のところ、そのような情報に接しているという状況はあるのでしょうか。
(報道官)我々としてはそのような場合には適切に対処してきているということです。
(報道官)外務省は、12月1日に国際シンポジウム「海上の安全保障と漁業」を東京・三田共用会議所で開催します。外務省では、平成8年から毎年、海洋国家である我が国にとって重要な海洋環境や漁業を巡る様々な国際問題について広く理解を深めるためのシンポジウムを開催しています。今回のシンポジウムは、マラッカ海峡周辺を含むアジア地域及びアフリカ地域における海賊問題が日本経済の生命線であるシーレーンを脅かす存在となっている背景を踏まえ、海賊・海上テロ問題及び国際法の専門家を国内外から招いて意見交換を行うものです。それにより、海上における航行及び漁業の安全性を高めるために取り組むべき課題について議論したいと考えています。この内容については外務省のホームページにも掲載されておりますので、ご覧頂ければと思います。
(問)参議員外交防衛委員会で今日採決の予定でしたが、テロ特措法の延長が結局流れてしまいました。テロとの闘いにおいて、国際的に日本の姿勢をどのように示すかということが求められていると思います。その中で少しもたついている印象があるのですが、外務省としてはどのように臨まれるのか、伺えますでしょうか。
(報道官)本日、参議院において採決が行えなかったという事態がございますが、外務省としては、大臣が朝の会見で申し上げたことに尽きていると思います。改めて申し上げれば、対テロ特措法の延長に関する法案については、国際社会において日本がこれまで行ってきている給油、給水の補給支援活動というものは大変高く評価されているということがございます。即ちそれは日本が取り組んでいるテロとの闘いという国際社会が共同で取り組むべき課題について日本が行っているそうした活動を是非継続して欲しいという期待感もそこに込められていると、外務省として考えております。従いまして、既にこの法案は、衆議院では承認を頂いている訳でございますが、是非とも法案が成立するように国会でご審議を頂きたいと希望しています。
(報道官)第8回日韓安保対話の開催について発表します。第8回日韓安保対話は、11月13日に福岡において開催されます。この対話には、日本側からは、齋木アジア大洋州局長、松本防衛省防衛政策局次長の他、外務省及び防衛省の関係者が出席します。韓国側からは、趙泰永(チョ・テヨン)外交通商部東北アジア局長、申源湜(シン・ウォンシク)国防部政策企画次長の他、外交通商部及び国防部の関係者が出席します。なおこの対話では、日韓両国を取り巻く安全保障情勢や、それぞれの安全保障・防衛政策等について意見交換が行われる予定です。場所が福岡になりましたことについては、昨年の第7回対話においては、釜山で行われたのですが、次回日本で行う時には地方で行いましょうという了解がありました。毎回首都で行うということではなく、今回は福岡で行うことになったということです。
(問)福岡で日韓安保対話を開催することと、12月に予定されている日中韓首脳会議との相関関係はあるのでしょうか。
(報道官)直接的にはありません。繰り返しになりますが、東京以外の地方都市でということで考えた時に、前回は釜山だったということで、利便性ということも考え、韓国に近いところとしては九州でしょうし、九州の玄関口として福岡というのは当然考えられることであったと思います。
(問)開催されるのはホテルでしょうか。
(報道官)はい、その通りです。
(問)安全保障情勢、安全保障・防衛政策ということですが、もう少し具体的なテーマは如何でしょうか。
(報道官)安保対話ということで内容が防衛・国防に関わる部分があるので、これ以上具体的に議題についてお答えするのは差し控えたいと思います。申し上げた通り日韓両国を取り巻く安全保障情勢ということで、ご理解頂ければと思います。
(問)これは当然北朝鮮に関する問題も含まれるのでしょうか。
(報道官)日韓両国を取り巻く安全保障情勢というものを議論するということでご理解頂ければと思います。
(1)高村総理特使の国連対話ハイレベル特別会合出席
(報道官)高村正彦前外務大臣は、麻生総理大臣特使として、11月12日、13日の両日、ニューヨークの国連本部で開催される国連総会ハイレベル会合に出席されます。この会合は、過激主義や狂信に対抗し、中庸や寛容という人類共通の普遍的価値観を強化し、世界の異なる宗教・文明間の相互理解を進めるべきであるとのアブドッラー・サウジアラビア国王のイニシアティブに応え、国連総会の一環として開催されるものです。日本政府としても、同イニシアティブの重要性に鑑み、総理特使を派遣するものです。補足になりますが、アブドッラー国王は2006年11月にバチカンを訪問するなど、宗教間対話の試みを進めています。また、本年7月には、マドリード国際対話会合を開催されております。これは、一神教の3宗教の宗教関係者を中心とした会合で、同国王の他、カルロス・スペイン国王やブレア前英国首相などが開会式に参加したと聞いております。今回の会合の主要な元首クラスの参加予定者は、アブドッラー・サウジアラビア国王の他ブッシュ米国大統領、アロヨ・フィリピン大統領、アブドッラー・ヨルダン国王、ザルダリ・パキスタン大統領などの参加が予定されています。
(2)日本アセアンセンターの次期事務総長候補の公募
(報道官)アセアン諸国は、貿易面でも中国、米国に続く相手であり、我が国にとって重要なパートナーです。日本とアセアン諸国との貿易、投資、観光を促進するために、1981年に我が国はアセアン諸国と協定を結び東京に本部を置く国際機関、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター(通称:日本アセアンセンター)を設立しました。日本アセアンセンターの事務局は、事務総長をおいて、アセアン諸国及び日本の代表から構成される理事会の決定や指示を受け、アセアン産品の展示会や商談会の開催、各種投資セミナーの開催、アセアン諸国の観光業者の研修など様々な事業を展開しております。現在の事務総長の任期が本年末までであるため、当省では次期事務総長候補の公募を開始しました。この詳細は、当省ホームページのトップページの下段にありますお知らせ欄からご覧になれます。従来、日本から日本アセアンセンターに推薦する事務総長の候補は関係省庁で協議の上で選出しておりました。しかしながら、本年前半に、日本アセアンセンター設立協定を改正した際の国会での審議も踏まえ、今後は、日本から提案する事務総長候補は公募により決定することとしたものです。この趣旨はより幅広く透明性のある形で候補者を募るというものです。公募に応募して頂くには、11月28日までに応募書類を当省アジア大洋州局地域政策課まで送って頂く必要があります。締め切り後、日本の有識者などから成る選考委員会の選考によって、12月中に、日本政府から推薦する次期事務総長候補者を決定することとなります。日本から推薦された候補者が次期事務総長に選出されるには、センター理事会の承認を受ける必要があります。その理事会の承認を得て、次期事務総長が任命されるということになります。
(問)現在の日本アセアンセンターの事務総長はどなたでしょうか。
(報道官)赤尾元駐タイ大使です。
(問)通常は日本政府の推薦を受けた方がほぼ理事会で承認されるのでしょうか。
(報道官)そうです。今までは日本政府からの候補者が推薦を経て理事会で承認された訳ですが、他の各国も、素晴らしい人がいるということであれば、それぞれ各国の方から推薦をするということは、可能性としては否定できません。いずれにしても、最終的な決定は理事会で行われることになります。
(問)昨日連絡のあったロシアの原潜事故に関してですが、発生場所について、ロシア領海内の可能性が高いというご見解を示されていますが、どの程度認識されているでしょうか。もし、最低でもEZ(排他的経済水域)の中だということなので、そうだとしたら、日本側として今回の事故をどのように捉えているの でしょうか。
(報道官)事実関係については、これは既に報道発表でお配りしているとおりですが、繰り返させて頂きますと、昨10日の夜、ロシア外務省から、ロシア海軍からの公式情報であるということで、情報提供があった訳です。我々が最も知りたい情報として、発生場所が何処だったかということについては、ロシア沿海地方沿岸から約20キロメートル離れたウラジミール湾周辺水域のロシア海軍演習水域内で発生をしたということです。それは領海内かというご質問ですが、ロシアの領海の幅は約22キロメートルであるので、領海内の可能性が高いと思われます。いずれにしても、排他的経済水域を含むロシア側の水域内で発生したというのが我々の現在の認識です。今回の事故について、我々が一番懸念していたことは、この事故が放射能漏れに繋がっていないかということです。これについては、ロシア海軍は、放射能漏れがないということを発表している訳です。また、昨夜伝えられた情報の中で、現時点に至るまで放射能漏れはなく、その他放射能に関する如何なる問題も生じていない。消火システムを除いてはすべての潜水艦のシステムは通常通り機能しているということを明言しておりますので、今回の事故の原因は、ロシア側からの情報提供があったように消火システムの誤作動であったと認識しております。いずれにしても、ロシア側に我々から出来るだけ早く情報提供をするようにと鋭意申し入れていた訳ですが、昨夜の時点で公式の情報が得られたことは評価できるのではないかと思っています。
(問)日本側から事故の発生場所がロシアの領海内なのかどうかという問い合わせはしていないのでしょうか。
(報道官)我々としては情報提供を求めて、それに対するロシア側の回答が、ロシア沿海地方沿岸から約20キロ離れた地点だということです。それに対して我々としては先程申し上げたような認識をしているということです。
(問)22キロメートルの中に入っているということですか。
(報道官)その可能性が高いということです。
(報道官)オバマ米上院議員の米国大統領当選に関してですが、先程既に麻生内閣総理大臣談話が発表されていますので、皆様御案内の通りかと思います。その関連で、談話の発表と併せて、麻生総理大臣からオバマ上院議員及びバイデン上院議員に対して祝電が発出されています。また、中曽根外務大臣からバイデン上院議員に対しても祝電が発出されております。これらの祝電は、大統領、副大統領候補の当選についてお祝いの気持ちを表明すると共に、日米同盟の強化及び国際社会が直面する諸課題の解決に向けての次期オバマ政権との間で協力して取り組みたいという意向を表明したものです。
(問)オバマ米新政権の誕生にあたって、国際社会で今直面している問題の具体的な分野ですけれども、昨今の金融危機や気候変動の問題など、特に米国との協調を期待する分野はありますでしょうか。
(報道官)先ず申し上げたいことは、総理の談話の中でも指摘している通りなのですが、日米同盟が日本外交の基軸であって、アジア太平洋地域の平和と安全に資することになるというのが主です。そのメッセージを総理が発信した訳ですが、そこで日本政府としては、次期オバマ政権と力を合わせて、先ず第一に日米同盟を一層強化するということ、それと合わせて、国際経済、テロ、地球環境といった国際社会全体の諸課題に向けて、力を尽くしていきたいということです。もう一つ喫緊の課題としての金融危機の問題もありますが、日米は世界における二大経済大国として、現下の困難な金融経済情勢に対して引き続き緊密に協力、協調して対処していきたいというのが政府の立場です。
(問)それぞれの分野で、ブッシュ政権と次期オバマ政権は色合いの違う政策を取りそうですが、とりわけ、気候変動分野では日本側としては日米の協調路線が取りやすくなるだろうという見通しを持たれているのでしょうか。
(報道官)気候変動問題についても日本政府としては米国と緊密に協調して、取り組んでいきたいという強い希望があります。今年7月の北海道洞爺湖サミットにおいて、当時の福田総理のイニシアチブの下で、2050年までに現状の温室効果ガスを半減するという目標をブッシュ大統領も受け入れる形でG8首脳の合意が得られたこと、その意味では米国もこの問題に対して前向きな取り組み、努力を示してきているということです。客観的な情勢として、これから誕生するオバマ政権の下で環境問題についてはおそらく、ゴア元副大統領が色々な形でオバマ新政権をサポートしていく、あるいは意見を求められることも考えられますので、我々としてはまさに気候変動問題について、引き続き日本がイニシアチブを取るべき重要な政策課題であると認識していますから、この分野で是非連絡を密にしながら協力していきたいということです。
(問)協調し易くなるのでしょうか。
(報道官)それはこれから我々の主張を新政権に説明して、協調の密度を上げていくということになると思います。
(問)総理からの祝電は、オバマ氏とバイデン氏二人に出したということですが、これは何時頃行ったのでしょうか。
(報道官)談話発表とほぼ同時だと聞いています。
(問)中曽根大臣はバイデン氏宛だけなのですか。
(報道官)はい。次期副大統領のバイデン氏に対してのみ、中曽根大臣からは発出したということです。
(問)それは、外務大臣は通常、副大統領のみなのですか。
(報道官)後で確認してお答えします。今それに対して私は正確な事実を承知しておりません。通例としてはおかしくはないと思います。総理が日本政府のトップとして新政権の新大統領にお祝いを出しますし、同じく副大統領、そのペアとして当選されたバイデン氏に対しても、総理としてお祝いを出すということは、それはそれでおかしくないと思います。総理が日本政府を代表して次期大統領に祝電を出しておられる訳ですから、大臣からは次期副大統領に出すということもそれはそれで何らおかしくないのではないかと思いますが、調べた上で後ほどお答えします(*注)。
(問)オバマ氏と、総理との会談なのですが、いつ頃を目処に調整したいというお考えはありますか。
(報道官)皆さんが恐らく一番関心を持っておられて、念頭にあるのは、11月15日にワシントンDCで開催される、いわゆるG20の首脳会合ですね、緊急サミットの機会ということだと思います。総理はその金融サミットの重要性に鑑みて、国会の了承が許せば出席をしたいという意向を有しておられますが、その際に、次期大統領に決定したオバマ上院議員と会談を行うか否かについては、今現在まだ何も決まっておりません。
(問)年内に会いたいという方向で調整されているのでしょうか。
(報道官)恐縮ですが、私が今申し上げた以上のことはお答えできる材料を持っておりません。
(問)電話会談の予定は如何でしょうか。
(報道官)電話会談をするかどうかということについては、まず今現在はオバマ氏は極めて多忙であると誰もが想像できることだと思います。これから然るべき判断をしていきたいということです。
(*注)米大統領・副大統領候補が当選した場合は、通常総理から次期大統領及び次期副大統領に対し、また、外務大臣から次期副大統領に対し祝電を発出しています。
(報道官)昨日外務省に海上安全保障政策室が設置されたと申し上げた訳ですが、その所掌事務との関係で、官邸でいわゆる海賊対策を含む総合海洋政策本部が設置されている訳ですけれども、それとの関係は如何という質問がありました。この点については、総合海洋政策本部においては、海賊に対する取締に関して、法制度上の枠組みについて検討を行うこととなっております。それに対して昨日設置された、外務省の海上安全保障政策室は、我が国の安全保障の観点から、総合海洋政策本部や関係省庁と協力しつつ、海賊対策を初めとする我が国の海上の安全確保に関して必要な外交政策の企画立案を行うという仕切りになっています。
(問)中国の劉延東国務委員が来日して麻生総理と会談を行うという報道が少し前にあったのですが、事実関係は如何でしょうか。
(報道官)劉延東国務委員の訪日については、そもそも具体的なことは何も決まっていなかったということで、日本側として訪日が延期になったという認識は有しておりません。
(報道官)冒頭私から一点発表事項がございます。総合外交政策局の安全保障政策課に関する組織の変更です。本日、この安全保障政策課の下に、海上安全保障政策室を新設致しました。貿易立国である日本にとって、航行の安全やテロ・海賊対策などの海上の安全確保が、我が国の存立・繁栄に直結するものであって、これを政府として極めて重視しております。そういう観点から、この海上安全保障政策室は、海上の安全確保に関する外交政策の企画・立案などを担当するものです。
それから、同じく本日付で、総合外交政策局の国連政策課の下にありました国際平和協力室を安全保障政策課の下に移管しました。これは近年、国際平和協力室が所管をしております国連平和維持活動いわゆるPKOの活動ですが、そうした活動への協力がイラク特措法などに基づく活動と等しく安全保障政策の一部と位置づけられるようになってきているといったことを踏まえて、これらの業務をより一体的かつ整合的に取り組んでいくために、この国際平和協力室を、安全保障政策課の下に移管したものです。
(問)海上安全保障政策室の具体的業務はどういったことでしょうか。具体的にはソマリア沖で起きた海賊対策などでしょうか。
(報道官)まず、経緯として申し上げますが、昨年の4月に与野党一致の議員立法による海洋基本法が成立しています。その下で航行の安全確保のための施策をこれまで以上に積極的に講じていくこととなりました。また、今ご指摘のアジア・アフリカ地域で頻発する海賊問題は、我が国の脅威であるばかりでなく、国際社会全体の課題となっており、本年6月及び10月にはソマリア沖の海賊対策に関する国連安保理決議も採択されています。従いまして海賊対策は政府として取り組むべき喫緊の課題となっています。他方で従来外務省の中で海賊問題を含む海上安全保障の問題について統一的、横断的に所掌する部署が存在しませんでした。そういう最近の状況を踏まえ、総合的な観点から海上安全保障に関する外交政策を総括的に進めていくことが是非とも必要ということで海上安全保障政策室を設置することとなりました。何について扱うこととなるかについては、個別の海賊事案が起こった場合にこの海上安全保障政策室がそれを主管するということではなく、そういう事案が起こった場合はこれまでと同様に、例えば邦人が絡んでいれば領事局と地域全体を所掌する地域局、そしてこの総合外交政策局の中の海上安全保障政策室が関与するということになります。申し上げたいことはこの新しい室が誕生した訳ですが、海賊対策業務を担当せしめるために設置した組織と言うよりは、むしろ我が国の安全保障に関する基本的な外交政策のうち海上の安全に関する外交政策全般について企画立案し、また関連する他の部局の事務を総括する役割を担わせるということです。
(問)海上に関する安全保障全般ということになりますと、自衛隊の派遣についての業務も含まれるのでしょうか。
(報道官)今後日本の船舶の航行の安全を確保するために新たにどういう取り組みが必要かというような検討については、関係する省庁は多岐に亘ります。そういう問題に対して政府として一体になって対応する場合には、外務省としては、海上安全保障政策室が担当するということで理解して頂いて結構です。
(問)官邸でいわゆる海賊対策でしょうか海洋対策本部がありますが、そことの関係はどういう位置付けになるのでしょうか。
(報道官)官邸の組織については現在私は承知していないので、確認をしてお答えさせて頂けますでしょうか。繰り返しになりますが、本日立ち上げた海上安全保障政策室が所掌する事務は、あくまでも総合的な観点から海上安全保障に関する政策を所掌するということになりますので、その中に納まるものについて外務省では官邸との関係についてもこの部署が担当していくということは一般論として申し上げられると思います。今のご質問については、調べて回答したいと思います。
(問)午前中の大臣の記者会見で、田母神論文の件について、日本政府として中国、韓国両政府に対して日本政府の立場を31日夜に説明したと思いますが、具体的にいつどういうルートでどういう説明をしたのか、またその際に両政府からどういう反応があったのか教えて下さい。
(報道官)31日の夜に大臣が申し上げたとおり、外交ルートを通じて、中国政府及び韓国政府に対して、日本政府の立場は従来通りであり、本件論文は政府の立場とは何ら関係がない旨伝達をしたということです。
(問)その際中国、韓国はどういう反応だったのでしょうか。
(報道官)それ以上の具体的な話に関してはコメントを控えさせて頂きたいと思いますが、中・韓政府の対応ということについては、1日に中国外交部並びに韓国外交通商部がコメントを発出したと承知しております。そのコメントは、論文の内容を非難したものであって、我が国の立場や、対応を非難したものではないと承知しております。