(問)倉田総務副大臣がビザの発給に関して、外務省に働きかけをしたという報道についてですが、昨日の中曽根大臣のぶら下がり記者会見で、外務省の捜査としては始まっているということでしたが、働きかけをしたのかどうかという点については如何でしょうか。
(報道官)この問題については、大臣も申しましたが、現在警察当局が捜査を実施中であるということですので、恐縮ですが、そういう段階で、この点についてお答えすることは差し控えたいということに尽きます。
(問)捜査と言っても、倉田副大臣本人が捜査されているという事案ではないと思うのですが。
(報道官)いずれにしても、私どもとしましては、この事案について、一定の事実確認というのは終わったところなのですが、やはりもう捜査が開始されているということで、内容については、お答えは控えたいということです。
(問)調査は終わった訳でしょうか。
(報道官)外務省の中における一定の事実確認は終わったということです。
(問)以前、中曽根外務大臣も、捜査が出来た段階で皆さんに公表するというお話だったと思うのですが。
(報道官)査証発給の一般論として、外務省としても査証の発給については法務省を含めて関係当局との連携の上、厳正且つ公平に審査を行ってきたと申し上げられる訳です。今、事実確認については行ってきて、それが終わった訳ですけれど、既に警察当局で、捜査が実施中であるということですので、外務省でこの案件についてお答えするのは適切ではないという判断でございます。
(問)それは警察から、本件については言わないでくれと要請があったのでしょうか。
(報道官)言わないでくれという要請というよりも、警察と連絡を緊密に取っている訳です。捜査が始まった事案については、メディアからの照会に対しては、コメントは控えるというのが通常のプラクティスというか大事な原則だと考えております。
(問)日中韓首脳会議が12月14日に福岡で行われて、そのまま東アジアサミットに流れるというような報道がありましたが、その事実関係は如何でしょうか。
(報道官)今この時点で、政府として申し上げられることは、先週の24日、北京で麻生総理は日韓首脳会談、並びに日中首脳会談を行いました。その際に、総理と相手国首脳との間で、日中、つまり温家宝中国国務院総理、それから李明博韓国大統領との間ですけれども、それぞれ日中韓首脳会議を、年内に開催することで一致をしているということです。この点でまさに、年内開催ということで3ヵ国の一致が最高首脳の間で確認を得られましたので、今まさに開催日程、場所などについて鋭意調整を進めているところです。これ以上まだ、発表出来る段階ではないということはご理解頂きたいと思います。
(問)前回の報道官の記者会見の時に、週刊朝日の件で反論を出された訳ですが、今日も関連の記事が週刊朝日に掲載されていますが、見解と今後どう対応されるか教えて頂けますか。
(報道官)今ご指摘の通り、本日発売の週刊朝日11月7日号の中に、上杉隆氏の記事が掲載されております。その中で上杉隆氏は、先週10月31日号の同氏が執筆した記事に関して、外務省は、週刊朝日の編集部に対して抗議を行った訳ですが、その抗議に対する反論という形で、記事を寄稿しています。私共としましては、その記事にあっても、私共が指摘した先週号の記事の信憑性に関する疑義について答えてはおられないと受け止めております。また、前号での記事の中で、カギ括弧付きで引用されていた斎木局長の発言等と異なる新たな発言を引用しておられますが、それらは、当省からの指摘に対する反証にはなっていないと、私どもは受け止めています。いずれにしても、外務省としては、週刊朝日並びに当該執筆者に対して、今後事実と異なる内容を報じることのないように求めたいと思っております。
(問)今日午前の参議院の外交防衛委員会で議論された北朝鮮の燃料支援の他国への肩代わりについてですが、麻生総理が豪州に相談するということですが、日本として肩代わりをするということを容認したのか、または何か注文を付けたのかについて教えて下さい。
(報道官)この問題は、ご指摘の通り今朝の参議院の外交防衛委員会でも議論がありました。改めて、今の政府の立場をスポークスマンとして私の方から申し上げますと、日本政府として、これまでも拉致問題を含む日朝関係で進展があれば、六者会合の下で経済エネルギー支援に参加する用意があるということを申し上げてきました。これは何度も申し上げてきたことです。そのことが最近の文書としては、今年7月の六者会合首席代表者会合の文書の中に明記されております。そして、第二段階の非核化のプロセスの中で、第二段階の終了までに行われることになっている重油100万トン相当の経済エネルギー支援に対して、米国が豪州等と支援への参加の可能性について協議を行っているということも日本政府としては承知しています。この状況の中で、日本政府としてはどのような対応をとるかというご質問が出ましたが、六者会合の中で、位置付けられている問題として、北朝鮮が核施設の無能力化等の措置をとることに併せて、重油100万トン相当の経済エネルギーの提供が行われることについては累次の六者会合成果文書に明記されています。つまり、「行動対行動」の原則の中で、六者会合のプロセスにおいて、北朝鮮が核施設の無能力化をすれば、五者は経済エネルギー協力を行うという合意が今日まである訳です。「行動対行動」をしっかり見極めようという姿勢でこれまでやってきた訳ですが、今の状況の中で、日本は参加できる状況ではないということです。エネルギーの提供をするということは、北朝鮮が核施設の無能力化の措置をとるということが重要であって、それに対応した協力をするということです。いずれにしても、「行動対行動」の中で想定されているエネルギー協力ということですから、どこが負担をするかということで、日朝関係に影響を及ぼすとは考えていません。これは昨日も次官が強調されたことです。つまり、六者の枠組みの中で、第二段階の約束を果たそうと皆が努力している訳です。ですから、今六者の外で豪州と米国が相談しているということは、当然六者の中でこれから話し合われるという流れです。そういう協議の中で、答えを出していくということだと思います。齋木アジア大洋州局長は、今日ワシントンに赴いて、日米の首席代表者協議を行う訳ですが、これも昨日次官が申し上げた通りですが、そこで検証に関する先般の米朝の合意を受けて、六者会合における検証の具体的合意を含めた六者会合の今後の進め方について、しっかり議論するということです。その中で、エネルギー支援についても当然議論されると考えております。
(問)豪州等と仰っていますが、豪州以外にも重油の提供をする国々の候補が挙がっているのでしょうか。
(報道官)豪州等と申し上げたのは、豪州以外ということも当然念頭に置かれていると思います。特にどこということは承知していません。
(問)豪州の意図について、実際に総理が国会で述べられるというのはかなり重いことだと思いますが、かなり煮詰まった話ということで、日本政府として把握されていますか。
(報道官)その点について、この段階でお答えすることは差し控えたいと思います。
(報道官)ボリビアに関する外務報道官談話について述べます。我が国は、今般ボリビアにおいて、国内の各勢力間の対話を通じて新憲法にかかる政治的合意が達成され、国民投票実施法が公布されたことにつき、ボリビアの民主的・安定的発展に資するものとして歓迎すると共に、ボリビア政府、議会、各政党及びその他関係者に対して祝意を表明する。我が国は、ボリビアの国内各勢力が今後とも民主的手続きを尊重し、新憲法に係る国民投票が平和裡に実施されることを期待する。以上です。なお、これはご記憶かと思いますが、ボリビアでは、先月の中旬に政府と反対勢力の対立が一時激化したことがあり、その際には、懸念の表明ということで外務報道官談話を出しました。それから一ヶ月強過ぎたこの時点で、平和裡に民主的な手続きが回復しつつあるということで、それに関する日本政府としての見解を表明しました。
(報道官)昨日、10月31日号の週刊朝日が発売されましたが、同誌の記事の中に、「麻生外交敗れたり」と題する上杉隆氏執筆の記事が掲載されております。同記事の中において、外務省に関し、事実に反する内容が報じられたことは、誠に遺憾であります。第一に、同記事の冒頭に掲載されている斎木アジア大洋州局長のオフレコ懇談に関して、「冗談じゃない。日本はブッシュ大統領から直接電話をもらったんだ。いい加減な記事を書くな」とのカギ括弧内の発言や「斎木は激高した」といった表現については、いずれも事実と異なることは斎木局長及び同懇談に同席をした霞クラブ記者の方からも確認をしております。第二に、外務省幹部の発言として、「給油法案などでの『テロとの戦い』金融危機の米国への支援などでの貢献(中略)政治空白があったのが痛かった」、「中曽根外相ほど無能な大臣は珍しい。(中略)メッセージを受け取れるはずがない」を引用しておりますが、外務省内では、外務省幹部が上杉氏の取材を受けたとの事実は確認されておらず、右の信憑性は極めて疑問と言わざるを得ません。以上のような取材方法、本当に取材したのかを含め、事実関係においても、疑問を生ずる記事を掲載した週刊朝日の責任は重大であると言わざるを得ません。外務省として、週刊朝日側に対し、事実に反する記事の掲載により、読者に誤解を与え、また、名前を言及された中曽根外務大臣、斎木アジア大洋州局長の名誉を著しく傷つけ、多大な迷惑をかけたことにつき、厳重に抗議するとともに、今後記事の訂正を含め適切な対応をとることを強く求めるものです。なお、先程、水嶋報道課長が週刊朝日側を往訪して、今申し上げたことと同じ趣旨の申し入れを行ったところであります。
(問)週刊朝日の件で、外務省として週刊誌報道に対して、訂正を求めて抗議を申し出されましたが、そのような前例がありますか。
(報道官)今正確にご返答できるような資料がありません。
(問)インドと安保の共同宣言が出されますけれども、中国を睨んだものなのか、あるいは、そうではなくても中国を刺激するおそれがないのかどうかという点のご説明と、自由と繁栄の弧という外交方針とどう絡むのか、その辺をご説明頂きたいと思います。
(報道官)日印首脳会談終了後の共同記者発表で、その成果が発表されると思いますが、日印間の安全保障、防衛面での協力というのは、これまでも類似の首脳訪問の際に出された共同声明の中に明確に位置付けられております。ですから、安全保障、防衛面での日印協力を更に深化させるということは新規なものではなく、日印関係の強化を表現するもの、つまり包括的グローバルパートナーシップの内実を更に深化させるという位置付けでご理解頂ければ良いのではないでしょうか。これまでも、日印間の例えば制服レベルの先方の参謀長だとか、日本の統合幕僚会議議長だとか、各自衛隊の幕僚長の交流というのは相当頻繁に行われておりますし、米国も含めた日米印の共同演習も去年行われています。そういう意味で、これは経済関係だけではなく、基本的価値を共有する日本とインドが、アジアにおける責任ある大国として、更に関係を強化しようという文脈の中で理解されるべきものだと思います。従って、第三国あるいは中国を念頭に置いて、何かメッセージがあるという意味で取り組まれているものでは全くありません。それから、自由と繁栄の弧については、総理大臣の国連総会での演説の中に、基本的な考え方ははっきり述べられていると思います。
(問)第三国を想定しているかしていないかは別にして、中国との防衛協力を行っている一方で、インドとだけ共同宣言という形で対外的に発表した政治的な意味合いはどういうことでしょうか。
(報道官)インドとだけというよりも、恐らく類似のものとしては日豪安保宣言というものがあると思います。それに次ぐようなものであると思います。日本として日印関係をより戦略的に、かつグローバルな課題に共に取り組むパートナーとして位置付け強化しようということは、小泉元総理大臣が2005年4月に訪印された時から、非常に明確な路線として打ち出されていると思います。例えば、安保理常任理事国入りを目指したG4決議案という形での日印協力というのは非常に明確に打ち出され、かつ今でも日印間では、その協力を深めていこうという了解があると思います。インドというのは、例えばGDPでは、アジアにおいて日本、中国、インドの順で、そして韓国でしょうか。経済規模から言っても、インドは大国であると捉えていいのではないかと思います。
(問)北朝鮮へのエネルギー支援について、六カ国協議内における日本の立場が弱くなるのではないかという指摘があるのですが、どうお考えですか。
(報道官)総理大臣も今日メディアの質問に答えておられる通りで、日本政府としてそのようなことはないと考えております。我々は、北朝鮮の最終的な非核化が非常に重要な目標と考えており、それと並んで拉致問題を含む日朝関係の双方を共に前進させるということです。その方針の中で、拉致問題を含む日朝関係で進展があれば、この経済エネルギー支援に参加する用意があるということは明確に何度も表明しています。例えば、今年の7月、首席代表者六者会合の終了後のステートメントの中で確認をされています。すなわち、日本政府は、第二段階のエネルギー支援については、環境が整えばそれを行うということをはっきり明記しています。その意味するところは、今申し上げたようなことです。我々としては、六者の関係国からしっかり理解されているということです。我々としては、引き続き、北朝鮮側との折衝を含めて、拉致問題についてとりわけ進展が見られるよう努力していくということです。
(問)外務省としては、仮に六カ国協議の枠外から支援しようとも構わないということでしょうか。
(報道官)構う構わないということよりは、この問題については、六者会合の日程調整が続いている訳ですから、第二段階の終了に向けて、とりわけ検証の実効的かつ具体的な枠組みについての文書の合意を行わなくてはなりません。併せて、六者会合の枠組みの中で議論されていく問題だと考えています。
(問)日中韓の首脳会議を12月に福岡で開催する方向で調整しているという報道がありますけれども、その事実関係と、もし開催するとすれば開催の意義について教えて頂けますでしょうか。
(報道官)まず第一点として、第一に申し上げたいことは、日中韓の首脳会議を年内に我が国で開催するということについては、日本政府の基本的な方針ということで、これは表明をしているわけです。そのことは、中国政府や韓国政府にもしっかり共有されているということです。その上で、第二点目として、現時点で開催日時や場所はまだ何も決まっていないということです。もちろん、何も決まってないということは、調整をしていないということではない訳ですが、今調整を行っている訳ですけれども、まだ発表出来るような状況にはなっていないということで、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。最後に、意義ということについては、そもそも日中韓の首脳会議というのはこれまでASEAN+3、そういう会合の機会を捉えて、まさに隣国同士の日本、韓国、中国の最高首脳がその3ヵ国で、東アジア地域における問題を率直に語り合う、また3ヵ国の協力について話し合いをする、そこで色々な問題が取り上げられるのでしょうけれど、そういう場を独立にセッティングすることは、まさに3ヵ国間の協力、連携が実質的に深まることを意味する、そういう意味で第一回目の会合を日本がホストするという意義は大きいものがあります。
(問)六ヵ国協議ですが、昨日の次官の記者会見では月内の開催が有り得ると言っていましたが現時点の見通しは如何でしょうか。
(報道官)今日この場に来る前に関係局課に確認をしたのですが、日程については議長国である中国を中心に調整が始められてはいますが、何ら具体的日程は決まっていないということが第一点、他方で日本政府にしても早期に開催をして実効的な検証の枠組みを六者会合の文書として次回の六者会合で採択するということが極めて重要というそういう立場です。その点についても変わりはありません。
(報道官)大臣は10月18日と19日の両日、アブダビで開催される「未来のためのフォーラム」第5回閣僚級会合(BMENA)に出席されます。日本は今回の会合ではG8の議長国ということでアラブ首長国連邦とともに共同議長を務めます。この会議では、BMENA地域の改革支援、あるいは中東情勢などについて意見交換が行われるということです。なお、会合の第2日目ですが、大臣は第1日目出席のみで日本に戻りますが、橋本聖子副大臣が出席して、共同議長を務めることになっております。
(問)アブダビ(アラブ首長国連邦)では、中曽根外務大臣の二国間会談の日程は如何でしょうか。
(報道官)まだ具体的に二国間会談をどうするかということについて、申し上げられる段階ではないのですが、もちろんこの機会にBMENAに出席される各国のカウンターパートと機会を見つけて二国間会談することを想定し、準備をしているところです。
(問)ワーキング・ディナーについては何か特別のテーマについて討議するのでしょうか。また中曽根外務大臣が何か発言される予定はありますか。
(報道官)ワーキング・ディナーは初日に始まるので、当然、共同議長としての采配と併せて日本の立場について、大臣から発言されると思います。具体的な議題は手元にありませんが、今回が5回目なので、これまでの会合の蓄積を踏まえて、拡大中東地域・北アフリカにおける民主的な改革、中東情勢、当然アフガニスタンやパキスタンも参加するので、テロとの闘い、それぞれの地域における安定的な開発支援について議論されると考えています。
(報道官)フリステンコ・ロシア連邦産業貿易大臣の来日及び「貿易経済に関する日露政府間委員会第8回会合」の開催についてですが、フリステンコ・ロシア連邦産業貿易大臣は、10月20日から22日まで来日をされ、21日に、飯倉公館で開催される貿易経済に関する日露政府間委員会第8回会合に出席します。この会合には、日本側は、中曽根外務大臣を議長として、外務省、経済産業省、国土交通省他の関係者が、ロシア側からは、フリステンコ・ロシア連邦産業貿易大臣を議長とするロシア連邦政府関係者、地方政府関係者などが出席する予定です。この貿易経済に関する日露政府間委員会は、閣僚レベルで、日露経済関係のすべての分野を総合的にカバーする、そうした唯一の場所です。従って今回の会合では、拡大傾向が続いていますが、日露貿易経済関係の現状を総括するとともに、貿易・投資分野における協力の拡大、更には、近年特に力を入れておりますが、極東・東シベリア地域における日露協力他について議論をすることになっております。
(報道官)米国の電子渡航認証システム(ESTA)の導入についてですが、今日ここでこのことに言及する理由は、このシステムの導入に関する米国政府のウェブサイトは、これまで英語版のみだったのですが、10月15日から、日本語版が開設される予定ということもありますので、ぜひこの機会にあらためてこの場でこの導入についてのご説明をさせて頂きたいということです。米国は日本を含む短期滞在査証免除対象国、これは欧州諸国等27ヵ国いわゆる査免取極を行っている国々ですが、その国民が査証を取得することなく、米国に渡航する場合、そうした渡航者に対して、事前にこの電子渡航認証システムに従って、申請を行う、そして、渡航認証を受けることを2009年1月12日以降義務化する予定です。この渡航認証が義務化された後は、渡米の72時間前までにこのESTAに基づく渡航認証の申請を行う必要があります。仮にESTAに基づく渡航認証を受けていない場合には、最寄りの米国大使館・領事館で査証を取得しない限り、航空機などへの搭乗や米国への入国を拒否されることがあるので、注意が必要です。従って、米国の渡航を予定されている方は、ESTAによる渡航認証の義務化に先立って、早期にESTAに基づく申請を行って、渡航認証を受けることをおすすめします。また、これに関する詳細や最新情報については、在京米国大使館のウェブサイトあるいは米国国土安全保障省のウェブサイト等で確認をして頂きたいと思います。なお、以上の情報は外務省ホームページにも掲載されていますので、ご参照下さい。
(問)ESTA(米国の渡航認証システム)ですが、ビザを持っていれば、問題なく入国できるということですか。
(報道官)もちろんそうです。ビザがあれば入国できます。ビザがないという前提で、事前に申し出る必要があります。このシステムが導入されることになった経緯は、9・11事件があって、9・11の委員会勧告実施法に基づいて、導入されることになったようです。更に手続きを強化することになったということです。
(問)今まで、旅行等で入国する際には必要なかったのが、これからはESTAが必要になるということですか。
(報道官)日本国民は、日米間で査証免除協定が現在も有効なので、査証を取る必要はありません。今までは、日本国民の皆様が渡米をされる場合は、入国査証は必要ありませんでした。それは引き続き必要はありませんが、それとは別途に渡航認証は電子システムに申請を行って取得する必要があるということです。手続的には、出来るだけ迅速に認証が受けられるように、米国側も準備していくと認識しています。
(問)中国産冷凍豆に有機リン系農薬が混入していた事件について、外務省から中国側に、調査の申し入れをされたということですが、今まで何か動きはありましたか。
(報道官)中国産冷凍インゲンの薬物混入事案ですが、昨日外務省から在京の中国大使館に対して、あるいは、北京においても15日に我が方の大使館から中国の検検総局に対して、この事案の事実関係の伝達をすると共に中国側からの関連情報の迅速な提供を要請しました。まだ現時点で、中国側からどういう反応があったかということについては承知しておりません。
(報道官)政府が外交政策を協力に推進していく上で、国民各位への説明責任を果たして、また国民の皆様から日本の外交政策に対する理解と支持を得るということが、とりわけ重要であると考えています。そういう観点から、本年7月から、外務省ホームページに「わかる!国際情勢」というコーナーを立ち上げておりまして、外交政策や国際情勢について解説をしています。本日、「補給支援活動~テロとの闘い」と題する新しいテーマの解説を掲載したところです。御案内のとおり、国会において、補給支援特別措置法の一部を改正する法案が提出されています。そういったことを受けて、外務省としても、国民の皆様に、この補給支援特措法の内容と意義について、ご理解を頂けるように今回こういう形でホームページに文章を掲載したということです。
(問)米国が北朝鮮のテロ国家支援指定を解除しましたが、日本政府と米国政府の間の事前連絡について、日本政府としては、米国との間のやり取りは充分だったとお考えでしょうか。
(報道官)事前に日米間で、いかなる調整をしてきたかということですが、まず第一に申し上げたいことは、米国政府は従来から、北朝鮮がこの検証措置に関して、充分な協力を示した場合には、「行動対行動」の原則ということで、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除するという立場を明らかにしてきておりました。その上で、第二点目ですが、北朝鮮が6月26日に申告を提出して、それ以降日米間では、検証措置について緊密な協議を行ってきました。第三点目として、とりわけ最近では、10月1日から3日の、ヒル国務次官補の訪朝の後には、一層緊密な協議を行ってきたということです。具体的には、斎木アジア大洋州局長とヒル次官補との協議、更には、在米大使館を通じた事務レベルの調整に加えて、大臣自身、9日にシーファー駐日米国大使を通じて、日本政府の考え方を伝達し、また、10日にはライス国務長官と中曽根大臣との電話会談、更には11日の麻生総理とブッシュ大統領との電話会談を行ったということです。従って、四点目になりますが、一連の協議の結果、現地時間で11日の米国務省による発表では、これは少し補足しますが、マコーマック国務省報道官の記者会見による発言ですが、「米朝間の合意を今後六者間の正式な合意として、文書化すべきという日本の問題意識を共有している。そして、その点についても米朝間の合意に含まれている」ということを、マコーマック報道官が言及しているということがあります。これは一例ですが、今申しましたような緊密な協議が行われてきたということであります。従いまして、我が方の意思とは無関係に米国が意思決定を行ったというような事実はありませんし、事前に説明は受けていたということです。
(問)総理とブッシュ大統領との電話会談についてお触れになりましたが、実際に会談が行われたのは、米国側の発表の直前の段階だったと思うのですが、外務省としては、総理に連絡が入るどのくらい前に米国側が解除をすると事実認定していたのでしょうか。
(報道官)大変恐縮ですが、どのタイミングで具体的にどういうやりとりがあったか、ということについてはコメントを差し控えたいと思います。
(問)少なくとも前日の段階では、要は11日の前の10日の段階で、外務省としては翌日に米国が解除を発表すると認識していたのでしょうか。
(報道官)繰り返しになりますが、我々としては米国政府と緊密な協議を行ってきたということでありまして、その結果を踏まえて、米国政府が最終的に意思決定を行ったということでございます。いつ、どういうやり取りをしたか、どのタイミングか、ということについては、申し上げるのを差し控えたいと思います。
(問)日米外相会談などで日本の意見が反映されたことは文書化するということだけでしょうか。他に具体的なことはありますでしょうか。
(報道官)具体的にどこまで反映されたかという材料は持ち合わせておりませんし、申し上げることは出来ませんが、一番大事なことは、六者会合のプロセスにおいて検証の具体的かつ実効的な枠組みに関して文書を採択することだと思います。その点を日本政府としては米国政府に伝え、そしてもちろん米朝で米国政府は協議している訳ですから、そうしたことを北朝鮮との間ではっきり確保することが重要です。言いかえれば今般合意した申告施設への訪問、未申告施設への訪問あるいはサンプル採取など色々な検証措置を実施していく段階で問題にならないようにするということが大事だということを日本政府は米国政府に対して日本政府の意見として申し入れたと理解しております。先ほど申し上げたマコーマック米国務省報道官の11日の記者会見においても日本側と精力的な協議を行ってきた一例として彼(マコーマック氏)からそういうコメントがあったということだと思います。
(問)現時点で発表された検証案で満足して六者協議では問題視しないのでしょうか。
(報道官)繰り返しになりますが日本政府としては今回の米朝の検証枠組みに関する合意というものの説明を受けて、そして米国政府は現在停滞している六者会合を再度動かすことが重要であるという判断から、北朝鮮のテロ支援国家指定解除を行ったということ、それ自身我々は一つの判断であったと考えているということです。今後我々が行わなければならないことは、米朝間の合意を基礎として六者間で検証の具体的枠組みに関する文書を採択する必要があるということで、引き続き米国をはじめとする関係国と連携してその作業が前に進むように取り組んでいくということです。
(問)ソン・キム米国務省六者会合担当特使が今月中に六カ国協議が行われるだろううという報道がありますが、具体的見通しは如何でしょうか。
(報道官)まだ具体的にいつということが決まったとは承知していません。日本としてはこれから議長国である中国を中心に開催に向けた日程調整が行われると考えています。
(問)米国の北朝鮮テロ国家支援指定解除ですが、報道官は「ひとつの判断」と言われましたが、麻生総理は今日の参議院予算委員会で「解除には反対だ」と明言されましたが、政府は解除に反対しているのでしょうか。
(報道官)政府としては、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、今回の指定解除を行うという米国政府の判断は、停滞を続けている六者会合プロセスをとにかく動かさなければ六者の究極の目的である朝鮮半島の非核化を達成するためにやはりそれはまずい、だからこそそれを動かさなければダメなんだという判断が米側でなされたということですから、そのための手段としてこのテロ支援国家指定解除を行ったと理解しています。そういう判断を米政府がしたのであるというのが我々のコメントです。もうひとつ前から言ってきたことですが、米国によるテロ支援国家指定解除の要件については米国が国内法に基づいて解釈する問題であって、日本政府としてこれを有権的に解釈する立場にないということはこれまで申し上げていることと変わりありません。
(問)インド洋での給油活動ですが、テロ特措法の延長について、民主党は反対の立場として審議には応じるという意思を示したことで、今臨時国会で成立の可能性が急速に高まっているようですが、外務省としての方針をお聞かせ下さい。
(報道官)今国会で、先般の閣議決定を受けて、補給支援特措法の延長法案を国会に上呈した訳です。政府の立場は、総理あるいは官房長官、外務大臣がこの法案の延長について国会の承認を頂いて、日本が引き続きインド洋における補給支援活動を国際社会の一員として行っていくということが、日本のとるべき道だと考えている訳です。そういう意味で、今国会で延長法案が成立するように少しでも前進する兆しが見えているということは、結構なことではないかと思います。
(問)本日18時からソン・キム米国務省六者会合担当特使が、齋木アジア大洋州局長を訪れますが、どういう目的で来られるのでしょうか。
(報道官)米朝協議が先週平壌で行われました。その結果については、今月3日にソウルで齋木アジア大洋州局長がヒル米国務次官補から聴取しています。本日の夕刻本省において、ヒル米国務次官補と一緒に訪朝したソン・キム米国務省六者会合担当特使から、更に詳細な説明を受けることになっていると理解しています。そして、米国は六者会合プロセスを前進させるべく努力を継続していて、その一環として10月1日から3日まで、ヒル国務次官補が金桂冠(キム・ケガン)北朝鮮外務副相と協議を行ってその検証の具体的枠組みの問題を中心に、非常に多くの論点について真剣かつ突っ込んだやりとりが行われたものと承知しております。日本政府の立場は、今日この後詳細な説明を受けるということですが、いずれにしても北朝鮮が早期に検証の具体的な枠組みに合意をすると同時に、無能力化作業を早期に再開することが重要と考えており、これが実現するよう米国を始めとする関係国と引き続き緊密に連携していくというものです。
(問)日本政府は以前から、拉致問題の進展がないままテロ支援国家指定を解除されてしまうのは、好ましくないという立場であったと思いますが、米国は、今回検証問題で、一定の進展があれば、テロ支援国家指定を解除するのではないかと伝えられていますが、それについて日本としては困る、ということで変わりはないでしょうか。
(報道官)日本政府の立場は、変わっておりません。すなわち、まず時系列的に申し上げれば、米国政府が6月26日に北朝鮮をテロ支援国家指定から解除するという意図を行政府の判断で、行政府の決定として、米議会に通報しました。しかし実際には北朝鮮のテロ支援国家指定を解除するためには、米国政府は北朝鮮が検証の具体的枠組みに合意することが必要であるという立場をとっています。そこで、日本政府としては、これまでも一貫して申し上げているとおりですが、このテロ支援国家指定解除に関する問題は、一義的には米国国内法の適用にかかる問題であると考えております。その上で、この問題も含めて、日米間で引き続き緊密に連絡調整を行っていくという考えに変わりはありません。
(問)一部報道で、7月に米国のウィルクス国防次官補代理が来日して、アフガニスタンの戦費貢献について日本側に5年間で最大200億ドルの分担を公式あるいは非公式に米国政府からの打診はあったのでしょうか。
(報道官)まず、昨日この場で申し上げたのですが、一部報道で米国政府が、「日本政府を含む同盟諸国に対して、少なくとも170億ドルの負担を要求した」という事実は承知しておりません。その上で、今のご質問に戻りますが、7月の後半に大統領特使として訪日したウィルクス国務次官補代理の関連ですが、東京で、アフガニスタン情勢に関して、政府関係者と意見交換をしたということは事実です。他方で、個別に具体的なやりとりについては、政府としてはお答えすることは差し控えたいと思っております。その上で、申し上げたいことは、米国を含む国際社会の国々から日本政府に対してアフガニスタンへの支援を強化して欲しいという期待が存在するということは、事実です。日本政府としては、これはもうずっと申し上げている事ではありますが、引き続き治安・テロ対策及び人道復興支援、この二つを車の両輪として出来る限りの支援を行っていくという方針に変わりはないということです。米国も、日本がいかにして実質的な支援を行うかということについては、それは日本政府自身が決定する立場であると我々は捉えています。
(問)昨日の会見で言われたのは、170億ドルという下りについては否定されましたが、ウィルクス米特使がもしかしたら要請してきたのではないかという点については、否定も肯定もしないということでしょうか。
(報道官)コメントは差し控えるということです。
(問)北朝鮮ですが、麻生政権の発足に伴って、改めて再調査について、委員会を立ち上げるように申し入れたというふうに報道がありますが、いつ、どういう形で先方に申し入れるのか、それから現時点での北朝鮮の反応はどうなのか教えてください。
(報道官)拉致問題の前進に向けた現政府の取り組みということですけれども、麻生総理は御案内のとおり、ニューヨークにおける国連総会演説、また帰国をされて行った所信表明演説、更には、中曽根外務大臣は記者会見といった場で、この政権にあっても日朝の実務者レベルの協議の合意を踏まえて、この調査委員会を立ち上げるというその合意を着実に履行するように、北朝鮮側に対してメッセージは送り続けております。そして、そうした日本政府の総理、外務大臣といった、最高政治レベルのメッセージと併せて、外交ルートを通じて申し入れをしてきております。それ以上、いつどういう形で、という事については、お答えは差し控えさせて頂きたいと思いますが、そうした努力を継続して行ってきているということは、はっきりと申し上げたいと思います。
(問)それに対する北側からのリアクションというのは、今のところあるのでしょうか。
(報道官)今のところ、承知をしておりません。いずれにしても、日本政府のそうした意欲というか、意思というものはしっかり伝わっていますし、もう一つ付け加えるとすれば、先日ヒル米国務次官補が北朝鮮を訪問して、米朝協議を行った訳ですけれども、ヒル次官補からも北朝鮮に対して日朝関係、とりわけ拉致問題を含め、北朝鮮側の対応を促したと承知しております。米国も支援をしてくれているし、当然日本政府としても、努力していると申し上げられると思います。
(問)ニューヨーク・タイムズの社説の反論についてですが、改めてその経緯と理由を教えて下さい。
(報道官)ニューヨーク・タイムズ紙は9月25日付の社説の中の記事で、「麻生太郎の再来」というタイトルの社説を掲載しました。私たちが最も看過できないと思った部分を引用します。「麻生太郎氏は外務大臣を務めた2005年から2007年の間に(中略して)中国及び韓国との間の関係を悪化させ、アジア全域で緊張を高めた」という部分です。この記事が出た日に、麻生総理大臣はニューヨークに到着しました。私もスポークスマンとしてニューヨークに入り、そこでこの記事に直面しました。これはやはり看過できない、とにかく事実誤認な訳です。そういう事実はないのです。言われっ放しにしないという判断で、翌日の26日、私はニューヨークタイムズの論説副委員長に電話連絡をして、事実誤認であると申し入れをした上で、併せて、是非こういう形で申し入れがあったということを社内で共有して頂きたい、またできるだけ早く反論投稿を出したく、その際は掲載するようにと要請をしました。先方は、もし反論したいのならば、できるだけ早く出して下さいということでした。麻生総理が外務大臣時代に行ったことを全く理解していない、全く誤解に基づく批判だということです。
香港の総領事館から中国メディアの麻生政権に対する評価に関する報告が来ており、一、二紹介します。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙が、6日付の社説で「麻生氏は安倍総理の下では、中国は日本の最大の貿易相手だというビジネスの現実や国民の要望を踏まえて日中関係改善に助力した」と評価しています。ニューヨーク・タイムズとは正反対の評価です。5日付の東方日報の記事では、「麻生総理は村山談話を継承すると表明している。麻生氏の発言は対中友好協力の現状を継続するという意思の反映をしている。」と指摘しています。このように中国のメディアがそういう評価をしているにも関わらず、ニューヨーク・タイムズはそれと全く反対の断定をしているということは極めて残念なことです。口頭でも申し入れ、かつ反論投稿を行ったということです。
(問)掲載された反論の投稿ですが、かなり縮まったような形になったのでしょうか。それとも一応言いたいことは大体掲載されたということですか。
(報道官)米国や英国の主要紙の投稿受け付けには色々ルールがあって、ニューヨーク・タイムズの場合は、一応150字以内の字数制限があります。字数が制限の範囲内で、メッセージとして私たちが伝えたいと思っていることを、どれだけ効率的に書くかということに気を遣いました。もちろん字数がもっと増えれば、言いたいことはもっとありますが、とりあえず最も看過し得ない点に絞ったということです。日本の最高政治指導者が誕生してこれからという時に、その政治指導者の過去の公職時の評価が事実に反するということはおかしな話だと思います。なお、投稿の内容については総理の了解を得た上で、反論投稿をしたということです。
(問)アフガニスタン問題で、米国が170億ドルの負担を日本に要請をしたという一部報道がありましたが、事実関係は如何ですか。
(報道官)その報道にあるような、米国政府が「日本政府を含む同盟諸国に対して、少なくとも170億ドルの負担を要求した」という事実は、我々としても承知していません。
(報道官)9月28日に行われたベラルーシ議会下院選挙については、我が国の監視員も参加する欧州安全保障協力機構/民主制度・人権事務所(OSCE/ODIHR)国際監視ミッションが派遣され、同ミッションは、29日、若干の改善が見られたものの今回の選挙は民主的選挙に関する国際的な基準を満たすものではなかったとの報告を行いました。我が国の監視要員からも集計監視活動への非協力的対応等の問題について指摘があり、日本政府としてもOSCEの報告で示された見解を共有しています。また、我が国は、今回の選挙が国際的な基準を満たすものではなかったことについて懸念を表明すると同時に、ベラルーシ当局が民主化に向けて国際社会との対話と協力の姿勢を今後も継続することを希望するものです。我が国としては、ベラルーシ当局に対し民主主義の原則を確保することを求めると共に、同国の民主化が地域の安定にとって重要との観点から、引き続き対話と可能な支援を行っていく所存です。なお我が国の監視要員の参加は、在ベラルーシ大使館の館員が一名派遣されたということです。
(問)べラルーシの選挙について、民主的な選挙でなかったということなのだと思いますが、その場合は、もう一度やり直すように要請を行うということですか。
(報道官)国際社会として、選挙のやり直しの要請を行っているとは考えていません。日本政府としての立場は、今回の選挙において民主的選挙を行うことが期待されていた訳ですが、国際的基準を満たすものではなかったということがOSCEから報告がなされ、日本もその見解を共有するというものです。従って、我々としては懸念の表明を行うと同時に、ベラルーシ側が民主化に向けた努力を今後とも堅持して欲しいということを表明したということです。ちなみに、我々が承知している範囲で、国際社会の反応として挙げられるものとして、例えば、米国務省はOSCE監視団の報告に触れつつ選挙が国際的基準を満たさなかったことに失望し、一方でベラルーシ政府、国民との対話を維持し、さらなる民主化を促していく意図があるという立場の表明をしています。
(報道官)「国際協力に関する有識者会議」第9回会合を、10月3日、外務省において開催します。この会合では、日本のODA(政府開発援助)の量について、議論が行われる予定になっています。この会合には渡辺利夫議長(拓殖大学学長)をはじめとする「国際協力に関する有識者会議」の委員の皆様が出席されるということです。