(報道官)冒頭私の方からは、WTOドーハ・ラウンドに関して発言させて頂きます。今月21日よりジュネーブにおいて、農業及び鉱工業品の分野のモダリティ、すなわち、関税削減等の方式について合意を得るべく、閣僚レベルでの議論が集中的に行われてきたところであります。今般、結果的に意見の収斂を見ることができず、合意に至ることができませんでした。これを受けて、今朝、午前の定例記者会見において、官房長官より、WTO閣僚会合に関する総理のコメントを発表したところです。外務省としては、WTOは国際貿易に関するグローバルなルール、規則、規律を提供する世界経済の重要なインフラ、基盤であり、保護主義に対抗する砦であると考えています。貿易立国たる日本にとって、WTOを中核とする多角的貿易体制の維持・強化が対外経済政策の基本であることにはかわりはありません。国際ルールの強化を重点政策に掲げる外務省としても、引き続き関係省庁と緊密に連携しながら、総理コメントを踏まえ、ラウンドの合意に向けて今後とも粘り強い取組を進めていく考えです。
(問)8月上旬の外務大臣の外遊が中止になったという発表があったのですが、理由について改めてご説明頂けますでしょうか。
(報道官)大臣の8月上旬の外国出張の可能性については、これまで内々に調整をしてきたところですが、国内の政治日程がなお流動的であることから、日程の確定が困難な状況が続き、相手国との関係もあり、今後改めて調整を行うことにしたということです。
(問)ウズベキスタンでは日本が主導している日本・中央アジア対話というものが予定されていたと思いますが、それに出席する方向で調整していた外務大臣が出ないということでの影響や、或いは代わりに副大臣等の出席が予定されているのか、そういった対応について、それから関係国への説明はどのようにされたのでしょうか。
(報道官)この場でこれまでも、どこの国に対して、どのような用向きで外国訪問するかということはご説明をしていませんので、今この場でどこの国にどうなったということについては、申し上げるのは適当でないと考えています。その点はご理解頂きたいと思います。
(問)外遊取り止めの判断は、外務省の独自判断なのか、それとも官邸の判断なのでしょうか。
(報道官)今私がご質問に対してご説明したことは、大臣がご判断をされて、結論を出したということです。
(問)スリランカで行うSAARC(南アジア地域協力連合)について、大臣は出席を検討されてたと思いますが、今回は誰も行かなくなったということでの影響はあるのでしょうか。
(報道官)まず大臣の訪問については、どこに何をということは、先程のご質問に対しても私はコメントを差し控えさせて頂くと申し上げました。一般論として、どこかの国の会合、マルチの会合に日本がメンバーであったり、或いはオブザーバーとして出席をするということが、誰が行く行かないは別として想定される場合には、当然何らかの形で出席を確保するということは考えられる話だと思っています。そのような対応を行うということは、一般論として申し上げられると思います。
(問)それは来月のSAARC(南アジア地域協力連合)も含めてですか。
(報道官)ですから、一般論としてどのような国際会議であれ、そのようなことだと思います。
(問)では一般論として、大臣の訪問と関係なしにお伺いしますと、スリランカ及びウズベキスタンで開かれる国際会議において、日本政府としてはどなたかが出席するということでしょうか。
(報道官)それは、一般論ではなくなっている訳で、特定されていますのでお答えしかねます。繰り返しになりますが、大臣の判断として国内の政治日程が流動的であるということ等を踏まえて、見送ることにしたということに尽きると思っています
(問)関係国にはそのような内容で説明したということでしょうか。
(報道官)相手国との関係もありますので、当然外交的にはもちろんしっかり説明をしているということです。
(報道官)冒頭私の方からは、今日既に報道発表させて頂いておりますが、事案の重要性を考え報告させて頂きます。開発途上国における食料価格高騰問題ですが、この関係で日本政府は既にご記憶だと思いますが、4月25日に、その後3か月間で約1億米ドルの緊急食糧援助を実施する旨発表し、これに加え、大臣がこの場で発表しましたが、今月4日には本年10月までに追加で約5,000万米ドルの食糧援助を実施すると発表しました。本日、その1億ドルの中から合計66億2,000万円相当の無償資金協力を食糧援助として行うことを決定しました。受益する国は10カ国で、これはリストでお配りしている通りですが、今年に入って非常に危機的な状況で推移している食料価格高騰の中で、食料輸入を含め食料の調達に苦労しているアフリカの諸国を中心に食糧援助をするものです。
(問)今日、竹島に韓国の韓昇洙(ハン・スンス)国務総理が訪問しましたけれど、実行支配をアピールということだと思うのですが、これについての日本としての受け止めと、どう対応されるのかお聞かせください。
(報道官)本日29日、韓昇洙韓国国務総理が竹島を訪問したと日本政府としても承知しています。日本政府の対応ですが、日韓間のやり取りの逐一を明らかにすることは差し控えたいと思います。他方、竹島問題について日本政府としては、今後とも適切に対応していく考えです。何れにしても、随時申し上げていますが、日本政府としては両国の竹島をめぐる立場の違いは立場の違いとして双方が冷静に対処し、引き続き日韓新時代に向けて協力していくことが極めて重要であると考えています。
(問)これまでに韓国の首相が竹島を訪問したのは初めてということで、相当強硬な対応という風に受け止められますが、日韓関係の修復の見通しについてどのようにお考えでしょうか。
(報道官)これも色々な機会に、総理も大臣も申し上げていると思いますが、2月中旬に李明博(イ・ミョンバク)新政権が成立し、その就任式に総理が出席されて、最初の首脳会談が行われました。更に4月には李明博大統領が訪日され、日韓新時代を両首脳が先頭に立って切り拓いていくということに合意しております。日本政府としては、今この問題で日韓関係がぎくしゃくするということは、望ましいことではないと思っていますし、繰り返しになりますが、この問題については、何としても双方が冷静に対応することが極めて重要であると考え、そのような観点から韓国政府に働き掛けていきたいと思っています。
(報道官)今般、潘基文国連事務総長は、中満泉氏という現在一橋大客員教授で、かつては国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員をされていた女性の方を、平和維持活動(PKO)局政策・評価・訓練部長に採用することを決定しました。国連本部事務局においては、現在、赤阪広報担当事務次長を除き管理職クラスの邦人職員はおらず、日本政府としてはかねてから、国連における邦人職員の増強、特に幹部への登用について努力してきたところで、最近の動きとしては、高村大臣が6月初めに、ゲエノ国連PKO担当事務次長が来日された時に働きかけを行いました。国連の平和維持活動の政策立案過程に我が国の有意な人材が登用されることは、「平和協力国家」の実現の一環として、平和構築分野における国際機関等の邦人職員の増加を目指す我が国にとって、極めて有意義なことと考えています。
(問)今の関連ですが、PKOの次長の次のポストでしょうか。
(報道官)所謂、用語では「D2」で、職階上は、事務総長、事務次長、事務次長補に次ぐ幹部職となります。
(報道官)冒頭二つほど発言がございます。第1点は、高村外務大臣のASEAN関連外相会議出席についてです。大臣は、7月21日から26日まで、シンガポール及びベトナムを訪問する予定です。またシンガポールでは、7月22日から24日にかけて開催されるASEAN+3(日中韓)外相会議、それから東アジア首脳会議(EAS)参加国外相非公式協議、これはASEAN10+日中韓+豪州、ニュージーランド、インドの外相が参加します。それから日ASEAN外相会議、ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合に出席します。このような機会を通じて東アジアにおける協力、或いは地域国際情勢について意見交換を行うとともに、都合のつく範囲で出席する各国外相とも会談を行いたいと考えています。更にはシンガポールの後にベトナムを訪問し、25日に開催される日越協力委員会第2回会合に出席し、日越の戦略的パートナーシップに向けた具体的な進展を図るとともに、都合のつく範囲でベトナムの要人と意見交換を行いたいと考えています。
(報道官)2つ目ですけれども、本日邦字紙の一部報道の中で、7月9日の日韓首脳立ち話において、福田総理が学習指導要領解説書に「竹島を書かざるを得ない」と述べ、李明博大統領が「今は困る。待ってほしい」旨述べたとの報道がありました。この立ち話のやり取りの具体的内容を明らかにすることは差し控えたいのですが、報道されているようなやり取りが行われたという事実はないということをこの場ではっきりと申し上げます。そもそも、9日の時点では、解説書の記述に関する方針は未だ決まっておりませんで、立ち話の際には、李明博大統領から、本件に関する韓国側の立場について説明があったのに対し、福田総理から、本件をめぐるその時点における国内状況について説明を行ったと聞いております。
(問)今日韓国の大使が、薮中事務次官のところにいらっしゃいましたが、何か例えば日韓関係で影響を及ぼさないように一致した点はなかったのかということと、今回の抗議を受けて、日韓関係に及ぼす外交的な影響について、改めてどのようにお考えですか。
(報道官)最初の点について私がこの場で申し上げられることは、今日午前、大使が、薮中事務次官を来訪されて、韓国の立場の表明があったということです。薮中次官の方からは、竹島に関する我が国の立場を繰り返した上で、本件を巡って日韓関係がぎくしゃくすることは決して望ましいことではなく、両国の立場の違いは立場の違いとして、双方が冷静に対処し、引き続き日韓新時代に向け、協力していくことが極めて重要である旨述べたということです。以上が今回のやり取りの結論という風に受け止めて頂ければと思います。これがどのような影響かということに関しては、私がこの場でコメントするのは適切ではないと思います。繰り返しになりますが、とにかく双方が立場の違いがあるということを踏まえて、双方が冷静に対応して協力をしていくということが求められていると我々は考えています。
(問)日朝、或いは六者会合の枠組みでの、接触の予定はされてますでしょうか。
(報道官)北朝鮮の外相と会談を行うというような予定は今のところありません。その他の外相会談ですが、今、正に調整中というところです。
(問)それぞれの六カ国の首席代表が顔を合わせるのではないかということをヒル米国務次官補も仰ってましたが、可能性はいかがでしょうか。
(報道官)可能性を否定する訳ではありませんが、何か決まったということはありません。
(問)今後、日朝協議の行われる見通しや予定はありますか。
(報道官)先般の日朝協議が行われて、拉致問題に関する調査をやり直すとの合意を受けて、正に今そのための調整を行っております。具体的に再調査を進めるにあたって、その進め方について、日本側の考え方を先方に伝える必要があります。大臣もこれまでも述べているとおり、日本側の注文というものをしっかり先方に伝えて、協議をして物事を進めていかなくてはいけないということです。今も引き続き先方と連絡を取る努力をしているところです。日程が決まったということではありません。
(報道官)私の方から冒頭に一件発表事項がございます。本日、外交政策や国際情勢について国民の皆様の関心の高いと思われるテーマを選んで解説するコーナーを、ホームページ上に新設致しました。このコーナーのタイトルは、「わかる!国際情勢」というものです。外交政策や国際情勢は、時々刻々変化をしていく訳ですけれど、そうした問題について、外務省として少しでも国民の皆様に対する説明責任を果たすことによって、国民各層の一層の理解と支持を得ることに繋がるのではないかと思っています。これまでも色々な形でそのような努力をしている訳ですが、今日とりわけインターネットを使った発信ということが重要となっているということもあり、今回こういう形でホームページ上での国際情勢、外交政策に関する説明のコーナーを開設したということです。第一回のテーマは「『元気なアフリカを目指して』TICAD IV」と題して、5月末に開催されたTICADの理念、或いは日本の感染症対策支援としての野口英世アフリカ賞、TICAD IVの成果といったものを分かりやすく解説しています。今年度に合計36件ほど取り上げる予定です。
(問)ホームページですが、これは問い合わせに応じてコーナー開設に至ったのか、或いは外務省として自ら開設しようとお考えになったのか。今後どのように運営していくのか。
(報道官)基本的には私どもの方で、もちろん国民各層から色々な問い合わせなど、広聴部門でも受付ている訳ですね。或いは、メディアでどのような問題が取り上げられているかというようなことも総合的に勘案して、適時適切にテーマを選んで開設コーナーを運営していきたいと考えています。
(報道官)冒頭私から2点ございます。一つは外務省の所掌事務の的確な遂行を図るため、本日外務省組織令の一部を改正致しましたのでご紹介します。改正事項は3点ですが、1点目はアジア大洋州局中国課の課名を「中国・モンゴル課」に変更致します。2点目は中南米局南米カリブ課がつかさどるカリブ共同体(カリコム)加盟の14か国に関する外交政策に関する事務を同局中米課に移管し、南米カリブ課の名称を「南米課」、中米課の名称を「中米カリブ課」に変更することです。3点目は、我が国がコソボを承認したことに伴いまして、欧州局の中・東欧課の所掌国にコソボを加えるということです。なお、中国課の名称を変更したことですが、現在の中国課が中国とモンゴルという独立した2か国を主管していることを明確にして、新たな戦略的重要性を踏まえた日本の対モンゴル外交姿勢を内外に示す上で必要な措置という判断でとられたものです。
(報道官)2点目ですが、昨日、一部報道で、福田総理は来たる北海道洞爺湖サミットの全体会議で、北方領土問題を議題にしないという報道がありました。政府としては、今回の北海道洞爺湖サミットにおいて、北方領土問題を取り上げる考えはありません。しかし、これは今回総理がお決めになられたからということではなく、ロシア側が、領土問題の存在を認めて、日露両国間で領土交渉が本格的に行われるようになって以降、政府としては、北方領土の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方針の下、ロシアと二国間で強い意思を持って交渉していくことが重要と考え、そのようにやってきたということによります。北海道洞爺湖サミットの際には、福田総理とメドヴェージェフ露大統領との間で、日露首脳会談が行われる予定です。その際には、北方領土問題についても、当然取り上げ議論をする考えです。