記者会見

報道官会見記録(平成20年4月)


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報道官会見記録(平成20年4月30日(水曜日)17時04分~ 於:本省会見室)

スーダン等への外務省高官の派遣

(報道官)私の方から冒頭2点ほど発表事項があります。第一はスーダンの関係なのですが、スーダンの平和と安定の実現に向けた我が国の外交努力の一環としてスーダン及びノルウェーのオスロに外務省の高官を派遣することになりました。まず小野寺外務副大臣ですが、5月2日に日本を発ってスーダンの首都ハルツームとダルフール地方を訪問します。ダルフール訪問は日本政府の高官としては初めてのものになります。現地で展開中のダルフール・アフリカ連合(AU)国連合同ミッション(UNAMID)の視察、更には国内避難民(IDP)キャンプの視察、またスーダン政府要人との会談を行います。それからハルツームに於いてもスーダン政府要人と会談をして、ダルフール問題の早期解決に向けた会談を行う予定です。それから、中山外務大臣政務官ですが、同政務官は5月5日からオスロで開催される第3回スーダン・コンソーシアム会合これはスーダンに対する支援国会合と位置づけられていますが、その会合に日本政府の団長として出席をして、日本の支援の支援額をプレッジする、それを含む今後の対スーダン支援方針について表明いたします。本会合終了後には、同政務官は南部スーダンのジュバを訪問して、南北包括和平合意(CPA)締結後の復興の現状を視察することになっております。詳細はこの後、報道発表を出しますので御覧頂ければと思います。

(問)中山政務官はオスロの会議において、どのようなプレッジを行う予定ですか。

(報道官)それはまさに今、最後の詰めを行っているところですので、まだこの時点では発表することはできません。

(問)小野寺副大臣と中山政務官の訪問は、所謂PKO派遣に向けた地ならしという風に理解して良いですか。

(報道官)副大臣と政務官が、今回スーダンの関係でこういう形でほぼ同じ時期に、政務官は支援国会合に出られて、副大臣はスーダンのダルフール及び首都ハルツームを訪問される訳です。今回の外務省高官のスーダン訪問というのは、一つには、まだ2003年の発生以降、解決の糸口がなかなか掴めない状況にあるダルフール問題、これが大きなスーダンの不安定化要素ということで、国際社会が懸念をしている訳ですね。日本としてどういう貢献が可能かということを検討し、また、それを政策化していくためのミッションだということが言えると思います。そしてまた、併せて南部スーダンには、政務官がオスロの後、訪問される訳ですが、現地では、現在、一万人を超える要員が展開中と言われる国連スーダン・ミッションの視察も予定されております。南部スーダンを中心に展開している国連PKOに対して如何なる協力が可能かということも念頭に置いて視察が行われるということだと思います。

(問)それに関連するのですけど、色々政治レベルで視察をして、その結果はどういう風に生かされるのですか。

(報道官)日本政府が関与する今後の大きな外交日程としては、直ちに最も重要なものとしては、TICAD IV(第4回アフリカ開発会議)です。そして7月には、G8北海道洞爺湖サミットが開催されます。アフリカの開発と安定の問題、貧困削減、そういった色々な課題がある訳ですが、G8の議長国としてあるいはTICAD IVのホスト国として日本がリーダーシップをとることは当然期待されている訳ですので、そういう場に於ける日本のリーダーシップに繋がるような、そういう今回のミッションだと考えて良いのではないかと思います。

(問)PKOに対していかなる協力が可能かということについては、PKO派遣ということも含まれるのですか。

(報道官)検討の対象として、PKOに如何なる協力が可能かということには日本がPKOミッションに今後今まで以上に、どういう形で参画していくかということは、そこに含まれているという風に言えると思います。今回のこのミッションを通じて、日本政府が自らの問題意識として、これから検討していくことになろうかと思います。

(問)今までのスーダンに対する援助とはどういうものなのですか。

(報道官)これまでの色々な形で援助は行ってきておりますが、例えば、この国連スーダン・ミッション(UNMIS)、所謂南部スーダンを中心に展開している国連PKO活動に対して、日本政府の協力としては、以下のような協力を行っています。2005年7月に四輪駆動車27台、地雷探知装置60基、大型テント20張を無償供与、約一億九千万円相当になります。それから文民要員の派遣として、外務省職員1名を2005年の10月から2007年の10月まで、UNMISの本部、分析部門に派遣したという実績があります。

(問)一つ前の質問の確認ですけれども、PKO派遣ということは、自衛隊派遣という意味でよろしいのですか。

(報道官)私は自衛隊派遣ということについては今この場で具体的にイエス・ノーということは申し上げる積もりはありません。今回の政務官の現地訪問を通じてUNMISというPKO活動に日本としてどういう参加ができるのかということ、これまでは今申し上げた通り、文民として外務省職員が派遣されていた訳ですね。それ以外に日本は何が出来るのか、或いは何をすべきなのかというその両方で検討がこれから行われると理解をして頂ければと思います。

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ノパドン・タイ外相の来日

(報道官)2件目は、ノパドン・タイ外務大臣の訪日です。ノパドン・タイ王国外相は5月8日から10日まで外務省賓客として来日します。その間、高村大臣との間で日タイ関係、国際情勢等について意見交換を行う予定です。また、同外相はこれは恒例になっておりますけれども、代々木公園で開かれる在京タイ大使館主催のタイ・フェスティバルのオープニング式典にも出席する予定ということです。

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報道官会見記録(平成20年4月23日(火曜日)15時45分~ 於:本省会見室)

イランにおける邦人の誘拐

(問)小野寺副大臣がイランのモッタキ外相と会談されたそうですが、中村さんを巡っては何か進展等あったのでしょうか。

(報道官)中村さんの最新の安否状況ということで、申し上げられることは、22日の時点で御本人の無事は確認されております。それからクウェートで22日行われた副大臣とモッタキ外相との会談においては既に発表した通りです。半年以上が経過している邦人拘束事件ですが、基本的にはイラン側のこれまでの対応、努力に謝意を表しつつ、しかし事件から半年以上経過しているということで、一日も早い事件解決に向けたイラン側の一層の努力を要請したということです。先方からは、イラン側としても事件の解決に全力で取り組んで来ている、引き続き一日も早い解決に向けて更に粘り強く取り組んで行きたい、という説明があったということです。日本政府としても被害者ができるだけ早期に解放されるように引き続き全力を尽していく所存です。

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報道官会見記録(平成20年4月22日(火曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

第1回日中メコン政策対話の開催

(報道官)4月25日、今週の金曜ですが、北京で第一回日中メコン定期政策対話が開催されます。この会議には日本側からは石川外務省南部アジア部参事官他関係者が参加し、中国側からは陳旭外交部国際司副司長他関係者が出席することになっております。この会議は日本側が提起をして日本と中国と、更にはこのメコン川流域を有するカンボジア、ラオス、ミャンマー、対ベトナムといったそれぞれのこうした国々との互恵関係を強化するという観点から、この地域に対する経済的な関係の大きさ、或いは経済協力、経済的な取り組みをしている日中両国がこの地域に関する認識の共有を図るということがまず第一、その上でメコン地域に於ける開発、貿易等の促進といった観点からの議論を始める、そのプロセスが今回開始するということです。また日中両国の戦略的な互恵関係ということを今、言っておりますが、この戦略的な互恵関係をアジアに於いて構築していく一つの試みでもあると申し上げることが出来るかと思います。

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イエメン沖における日本船襲撃事件

(報道官)今回の事案としては、イエメン沖で日本郵船のタンカーが不審船から攻撃を受けたということですが、この船舶については、国交省からの情報ですが、日本時間の午後イエメンのアデン港の港外に到着する予定と聞いています。国交省・海上保安庁で関連の情報を収集して、昨日の時点で関係者に対してソマリア沖の航行について注意喚起を行ったと承知しています。それから海上保安庁でも航行警報を昨日の午後3時15分の時点で発出し注意喚起を行っているということです。そこで、今後の対応ですが、近年アジア、アフリカ地域で海賊問題が頻発している中で、当然シーレーンの安全確保という点から日本の海上輸送にとっても大きな脅威であるので、この問題について、政府としても色々な形で海上交通の安全確保を行ってきているところです。アジア地域では、海賊対策に協力するために沿岸国に対して海上取締能力の強化、人材育成といったことを実施してきています。更に日本のイニシアティブで平成18年6月に発効していますが、海賊対策地域協力協定というものがあって、この協定の枠組みの中で情報の共有、協力体制の構築といった各国間の協力を推進してきているということですので、こういった取組を通じてそれこそ間断なく、海賊対策には取り組んでいくというのが、政府の基本的立場です。

(問)海賊の定義というのは何かあるのでしょうか。

(報道官)何らかの定義はあろうかと思いますが、いずれにしても基本的には公海上であれ、海上において、船舶に対して不法行為を働く、器物損壊であったり、色々な形で人命に関する攻撃であったり、そういったことが不法行為だと思いますが、そういったことを常識的には海賊行為と呼ぶものと考えますが、正確な協定上の定義を現在持ち合わせていませんので、改めて確認したいと思います。

(注)海賊の定義
 国連海洋法条約第百一条 海賊行為の定義
 海賊行為とは、次の行為をいう。

(a)私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為であって次のものに対して行われるもの

(i)公海における他の船舶若しくは航空機又はこれらの内にある人若しくは財産

(ii)いずれの国の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人又は財産

(b)いずれかの船舶又は航空機を海賊船舶又は海賊航空機とする事実を知って当該船舶又は航空機の運航に自発的に参加するすべての行為

(c)(a)又は(b)に規定する行為を扇動し又は故意に助長するすべての行為

(問)今回日本のタンカーが襲撃された地点は海上阻止活動(MIO)の活動範囲に入るのでしょうか。

(報道官)ソマリア沖、イエメン沖ということですが、本件も確認させて頂きます。

(注)今日の日本のタンカー襲撃発生地点は、海上阻止活動の活動範囲に入る。

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報道官会見記録(平成20年4月16日(水曜日)17時05分 ~ 於:本省会見室)

第3回日中外務報道官会議

(報道官)第3回の日中外務報道官協議を開催いたします。これは楊 潔チ中国外交部長が明日から20日まで訪日される訳ですが、同外交部長に劉建超報道官、正確には中国外交部新聞司司長が同行してこられますので、折角の機会でもありますので、この機会に金曜日の午前中、時間を都合して外務報道官協議を行うということです。この協議は今回が3度目ですが、私が就任してからは劉建超さんとの協議は初めてです。協議においては、胡錦濤国家主席の訪日も念頭において日中関係を一層発展させるために報道・広報面でどういう協力が可能かということを中心に意見交換を行う予定です。

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「2010年トルコにおける日本年」実行委員会の発足式

(報道官)「2010年トルコにおける日本年」の実行委員会の発足式が18日の金曜日に三田共用会議所にて開催されま。この「トルコにおける日本年」がなぜ2010年か、ということですが、2010年から遡ること120年前の1890年にエ・トゥールル号の遭難事件という事件があり、その事件から生まれた日本とトルコの国民間の友情に育まれ良好な関係を築いてきたこの二国間関係ですが、120年目の節目を迎えるということ、実施されるものです。2006年に小泉総理がトルコを訪問した際、「2003年日本におけるトルコ年」を開催したトルコ側の熱意に応える形で小泉総理から2010年に今度はトルコで両国友好の記念事業を実施したいということを表明され、両国首脳間で合意されたということです。
 なお、この首脳間の合意を踏まえて張富士夫トヨタ自動車取締役会長が発起人となられて実行委員会を発足させることになっております。この「2010年トルコにおける日本年」では、通年行事としてトルコにおいて日本紹介の事業、政治、経済、文化、学術、スポーツ、などの幅広い分野の交流事業を展開して両国民間の相互理解を増進して行くということになっております。詳しくは報道発表を御覧いただければと思います。

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福田総理のロシア訪問

(問)総理のゴールデンウィーク後半の外遊が発表されましたが、外交的な影響はどうですか。

(報道官)朝ほど、官房長官のほうから総理のロシア非公式訪問について発表され、また、それに合わせて、他方でロシア以外の諸国への外国訪問については、5月初頭を時期に検討を重ねてきたけれども、国内における国会の状況、その他の外交日程、相手国、相手側の都合等々の事情から見合わせることにした、ということです。総理の日程を勘案して総合的に判断した結果が、そういうことだという風に考えております。いずれにしてもG8北海道洞爺湖サミットに向けて、大臣レベルを含めて、色々なレベルでの準備会合がこれからも開催されて行く訳ですので、そういう機会を捉えて政府として全力を掲げてG8北海道洞爺湖サミットの成功に向けて努力していきたいと考えております。

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薮中次官の訪中について

(問)次官が中国に行かれて胡錦濤国家主席の訪日に向けて話し合われたようですが、東シナ海の共同開発については日本としては胡錦濤主席が訪日するまでに合意したいということで行っていると思うのですけれども、どんな手応えであるか状況を教えてください。

(報道官)まず東シナ海の資源開発問題ということについては、政府としては、これを解決をして日中関係を更に発展させたいと考えております。昨年末の福田総理の訪中時の首脳会談で、この問題を一刻も早く解決する、という断固たる決意のもとで協議を継続していくことが確認されております。また、今年2月、唐家璇国務委員が訪日された訳ですけれども、その機会には高村外務大臣から唐家璇国務委員に対し、中国側の政治決断を求めて来ているところです。ご質問の薮中次官の訪中ですが、14日から15日にかけて、訪中をされ王毅外交部副部長とのあいだで、意見交換を行いました。日中関係全般を議論したわけですが、胡錦濤国家主席訪日の準備について、有益な意見交換が行われる中で、東シナ海の資源開発問題について有益な意見交換が行われ、引き続き問題解決に向けての努力をすることで一致したというふうに承知しております。先程も申しましたけれども、首脳間で一刻も早く解決させるという決意は共有されているわけで、この方針には変更はありません。

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楊 潔チ中国外交部長の訪日及びチベット問題

(問)楊 潔チ中国外交部長が来日しますが、改めて、チベット問題についてはどのように考えているのですか。

(報道官)楊 潔チ中国外交部長は、明日から20日まで外務省賓客として来日されるのは、発表した通りです。それで、今回の訪日におけるテーマということですけれども、これも繰り返しになりますが、予定されている胡錦濤国家主席の訪日を念頭において、戦略的互恵関係の構築を如何に具体化していくかということを議論するということです。その中で、日中関係の現状と展、国際社会の諸問題、諸課題への協力といったことについて意見交換を行うことになっているわけです。そこで、チベットの問題ということですけれども、この外相会談の中でも、議論されるということになろうかと思います。対話の問題ということについては、日本政府は、既に総理も表明されておりますけれども、状況の改善のために、関係者間において対話の再開に向けた努力が為されているとすれば、これを歓迎したいということです。また、つい先日、ボアオ・フォーラムにおいて、極短時間ではございますけれども、12日の土曜日、鴨下環境大臣が、胡錦濤国家主席との立ち話の中でチベットをめぐる状況改善に向けた努力を促す総理のメッセージを口頭で伝えられたという風に承知しております。そうした一連の動きも踏まえながら、外交当局の最高責任者として外相会談が行われるわけですので、この問題についても当然議論されると理解しております。

(問)確認ですが、大臣は促すようなことを言っているのですか。

(報道官)繰り返しになるかもしれませんが、今チベットの問題、或いは北京五輪の問題と関連して、国際社会において色々議論になっているという状況は現実にあろうかと思います。オリンピックについては、これはもう大臣も何度も明らかにしているように、まず、日本政府としては北京五輪の成功を期待しているいうことは明言してきているわけです。他方で、我が国を含む国際社会では懸念を以てチベット情勢を注視しているとも申し上げております。そこで、大事なことの1つは、オリンピックへの影響が出ないようにするために国際社会の関心も充分に踏まえつつ、透明性を持った対応が為されることを日本政府としては強く期待している、ということを申し上げてきている訳です。ですからそういった趣旨のことを大臣としても会談の中において、この問題を議論することになれば、お伝えすることになろうかとは思います。

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報道官会見記録(平成20年4月9日(水曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

米朝協議の結果について

(問)シンガポールで米朝協議がありましたが、その結果について御報告を受けている内容をお願いします。

(報道官)昨日8日にシンガポールで行われた米朝協議については、本日9日、北京で米国のヒル国務次官補から齋木アジア大洋州局長に対して説明が行われたということです。その内容について未だ詳細の報告は受けておりませんが、米朝間では実質的な意見交換が行われたと聞いております。何れにしましても重要なことは、全ての計画を「完全且つ正確な申告」を含む第二段階の措置が完全に実施されることであり、これが実現するよう日本政府としては引き続き米国を始めとする関係国と緊密に連携していく方針であるということでございます。

(問)その中で、日朝についてヒル国務次官補から北朝鮮側に話があったという風に聞いております。その内容についてどう評価されていますか。

(報道官)齋木アジア大洋州局長が現地でぶら下がり会見で述べたと承知しておりますけれども、この拉致の問題を早く解決しなければならないという日本の立場、要求については、今回もヒル国務次官補から金桂冠次官に対し、しっかりと伝えたという風に聞いております。ですから北朝鮮がこのメッセージを受け止めて、これからどのように対応するかということが大事で、北朝鮮側から日本に対して協議に応じる姿勢が示されなければならない、という風に考えております。

(問)今の質問に関連してですが、現時点では制裁を解除乃至緩和ということにはならないのでしょうか。

(報道官)いわゆる対北朝鮮制裁措置ですが、この問題については今日現在、政府としては核問題や拉致問題を含む諸懸案に関する北朝鮮の対応などを見極めながら適切に対応するというのが基本的な方針です。そこで今日は4月9日ですが、日本政府の具体的対応については、北朝鮮側の行動を見た上で判断をしていくという立場です。

(問)それに関連しますが、核の部分で、実質的な意見交換が行われたとありますが、現時点で齋木アジア大洋州局長は一定の前進があったという風に言っているわけですけれども、それは日本として評価できる内容だったのでしょうか。その点どうなのでしょうか。

(報道官)その点については私は先程、実質的な意見交換が行われたと聞いているという風に申し上げましたが、現時点において我々としては申告の全体の姿を把握していない、というのが現状です。北朝鮮側からの提出を待たなければならないということでございます。何れにしても、まだ私共東京サイドとして詳細の報告は受けておりませんので、その上でよく分析をして判断していくということだと思います

(問)それは言葉通り受け止めると、シンガポールで行われた米朝協議は広く色々なことを話したとなっていますが、シリアとイラン以外の本来の部分については話をしていないということでしょうか。

(報道官)具体的な中身についてはお答えする材料を持ち合わせておりません。直接の答えは控えたいと思いますが、申告の話については、現地の斉木局長のぶら下がり会見のコメントの関連部分を申し上げれば、シンガポールの米朝協議では全体について合意に至った訳ではない。一部については認識のすり合わせがあったが、まだ関係各国が取り組まなければならない問題が残されている、とコメントしていると承知しています。

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報道官会見記録(平成20年4月8日(火曜日)17時02分~ 於:本省会見室)

第5回アジア不拡散協議(ASTOPV:エーストップ・ファイブ)の開催について

(報道官)冒頭私から2点ご案内ご報告があります。第1点は第5回アジア不拡散協議開催の発表です。外務省は4月25日に第5回アジア不拡散協議、ASTOPV:(エース・トップ・ファイブ)という略称を使っていますが、東京で開催します。ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、中国、韓国、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドといったアジア・太平洋の国々が参加をすることになっておりまして、それぞれの国の不拡散政策担当者(局長級)が参加をします。
 これは今年日本が議長国を務める、G8北海道洞爺湖サミットがありますが、その主要議題として不拡散が挙がっております。今回の会議の成果については今後G8プロセスに於ける不拡散関連の議論にも反映していく考えです。尚、この会議は当初から日本がイニシアティブをとって開催してきております。経緯を申し上げれば9.11事件が起こったことによって所謂大量破壊兵器がテロリストの手に渡る恐れが出てきた事態にどのように国際社会が対応すべきかという問題意識から、とりわけアジア太平洋地域においては日本が主導して、この不拡散問題協議を開催してきております。第1回会合は2003年の11月に東京で開催されておりまして、爾来、4回会合を重ねて今回が5回目ということになります。また主な議論としては不拡散を巡る最近の情勢としては当然北朝鮮、イランの核問題を取り上げるということ、或いはアジア諸国における不拡散体制、具体例としては例えば各国の輸出管理体制の強化ということも議題に挙がっております。

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外務省のG8サミット広報について

(報道官)第2点目は、外務省でもサミットの事前広報を行ってきておりますが、今回お手元にお配りしたような、いわゆる漫画を使った名探偵コナンを使った洞爺湖サミットの説明、サミットとはどういうものなのか、サミットはどういう議論をしていくのか、というようなことを、対象は中高生ですが、3万部作成をして、日本全国の公立図書館や教育委員会、各学校に配布する予定です。ちなみにこのパンフレットについては本日午後、外務省ホームページにも掲載されました。

(問)サミット前に全国の高校に配るということなのでしょうか。

(報道官)そういうことですね。

(問)年齢層の対象はどれぐらいを想定されているのでしょうか。

(報道官)この中身としては中高生対象ということなので、13歳から18歳位ということでございます。

(問)これは日本語版ということですか。

(報道官)そうですね。国内広報用に作成したということです。

(問)小学生向けというのは別に何か考えていらっしゃるのでしょうか。

(報道官)今のところは中高生以上を対象としている、ということだと思います。

(問)人気作家を起用するとお金がかかるのではないですか。

(報道官)特に人気作家であるから予算を要したという風には考えておりません。非常に人気のアニメーションのヒーローを使うことで、政治経済・社会・時事問題について今の若い子供達に関心を持ってもらいたいということで採用されたと私は理解しております。

(問)中身のシナリオというかコンテというのは誰が行ったんでしょうか。

(報道官)外務省の方で編集は責任を持って行っております。

(問)人気キャラクターを登場させた狙いというのはどういう事になるのでしょうか。

(報道官)こういう中身というのが、どうしても子供達に近寄りがたい、取っつきにくいという問題があると、これまでも指摘されているものですから、まず手に取り上げてもらってページをめくらせる為のインセンティブというところで、「コナン」というキャラクターを使うということがあると思います。もしこの「コナン」を使わないでこれまでの政府広報的な綺麗な写真だとかを表紙にして配った事と比較して、「何だ漫画だ」と言って面白そうだな、と手にとってもらえればと思います。中も漫画形式です。最後のページまであきらめずにめくってもらえることを期待している、ということだと思います。

(問)九州・沖縄サミットの時はこういう物はありましたか。

(報道官)九州・沖縄サミットの時も色々と工夫したと思いますが、この頃のソフトパワーと言いますか、クール・ジャパンと言って、アニメーション、日本の漫画のキャラクターを使うというのは、近年になってのことではないかなと思います。

(問)アウトリーチについては書かれていないんですけれども。

(報道官)ここまで制作を完了させるのに助走段階がある訳ですから、今年は始めの段階でコンテンツを確立したということなのでアウトリーチまでは入っていないということです。何れにしてもサミットとは何かいうことと、地球環境問題ですかね、そのあたりが非常に最大の課題である、というところにフォーカスしているということです。

(問)3万部となりますと、部数的には全員に行き渡るような部数ではなくて、どのようなイメージなのでしょうか。

(報道官)一応3万部ということですが、1部とか数部を配布して、その中から授業に使いたいという御要望があれば追加的に要望を頂いてまた配布する、ということを考えている、ということです。一度に配布するということではありません。

(問)以前にも「名探偵コナン」を使ってパンフレットを作られたと思うのですが、その時の反響が良かったということでしょうか。

(報道官)御質問に対する直接的な回答ではないかも知れませんが、「コナン」というキャラクターは海外でも有名であり、国内でも大ベストセラーです。ですから間違いないであろう、特に中高生には良いのではないか、ということです。

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報道官会見記録(平成20年4月2日(水曜日)17時10分~ 於:本省会見室)

BBCによる国際世論調査

(報道官)昨日、4月1日、イギリスのBBC放送が国際的な世論調査の結果を発表致しました。これは昨年も行われてニュースになっておりますけれども、全世界の34ヵ国17,000人を対象に昨年の11月から今年の1月末までの間に行われた調査で、これらの国において、「世界で肯定的な良い影響を与えている国はどこだと思うか。」という質問への回答を取り纏めたものです。
 その結果ですが、詳細の分析はまだこれからですが、「世界で最も良い影響を与えている国」として、ドイツと日本が56%ということで、トップでございます。正確には、僅差でドイツが1位、日本が2位ということですが、同じ56%ということで、ほぼトップグループということです。
 日本については56%の人が「世界に良い影響を与えている」と、反対に「否定的な影響を与えている」という回答者の比率は21%に止まっています。こうした比率は昨年の調査結果と変わっていないということで、日本に対する世界各国の評価は高いものがある、ということが分かり、また国際社会における日本に対する好意的なイメージの現れだと受け取って良いのではないかと思っています。
 それから、興味深い事実としては、BBC側の報告の中にあるのですが、日本人に「自己評価として日本は世界に好意的な影響を与えていると思いますか。」という質問に対して、BBCによれば、36%だけの人がそういう評価をしています。自己評価について、今回の対象となった国では日本人は最も謙虚であるというコメントが付されております。
 この結果は、日本にとって誇るべきニュースであると思います。これはもちろん国民お一人お一人、日本企業、日本政府全体の努力の総体的な結果として、こういう評価が得られたと思います。政府としては、これまでも日本の魅力を海外に伝え、発信する力を強化する、ということをずっと言い続けてきた訳ですが、海外における日本語教育の拡充、ポップカルチャーといった現代文化及び伝統文化の活用、あるいは有識者層を対象とした対外発信といった色々な取り組みを行っておりますが、そうした取り組みを更に強化していきたいと考えております。

(問)BBCは日本に対する高い評価の理由について何か言っているのでしょうか。

(報道官)2年連続同じ数字ですので、私に尋ねられれば、外務省としては例えばこれまでも日本の戦後の60年を超える平和国家としての歩みをいうものがある訳です。そして軍事面での安全保障に対する貢献というよりはODAを通じた周辺国を含めてアジアのみならずアフリカ地域、あるいは中南米、中東、大洋州、それこそありとあらゆる開発途上国に対する日本の国作り支援といったようなことが評価されていることが間違いないと思います。更に最近はPKO活動を通じてあるいはイラクにおける支援だとか、カンボジアのPKO、ゴラン高原のPKOもそうだと思いますが、日本が可能な範囲内で、平和憲法の下で平和国家として国際社会の安全保障に対する貢献を営々と行ってきていることを評価してもらっていることもあるのではないかと思います。更に一番新しい動きは、先程も申し上げましたが、日本のアニメーション、漫画ですが、こういったソフトパワーと言われるような日本発の文化の魅力というものが、私はロサンゼルスにいたので特に確信を持って申し上げられる訳ですけれども、10代、20代の世界中の若者に大変受け入れられている、あるいは魅力として受け入れられている、そういうことも肯定的なイメージにおそらく貢献しているんだろうと思います。但し、そういうことは別にBBCに書かれている訳ではございません。

(問)設問が特にあって、理由としてこれだな、ということではないのでしょうか。

(報道官)私も全部読み込んだ訳ではないのですが、そういうことではないようです。ぜひBBCの記事を詳しく読んでみたいと思いますし、皆さんにもご覧頂ければと思います。

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横須賀市での殺人事件

(問)横須賀でのタクシー運転手殺害事件について、外務省から米軍側に、犯人の身柄の引き渡し要求は行うのでしょうか。

(報道官)本件については、引き続き神奈川県警において捜査中でありますので、それ以上、私より予断をもってコメントすることを差し控えたいと思います。

(問)外務省として、逮捕状がなくても身柄は引き渡せるのでしょうか。

(報道官)仮に殺人という事実が確認されるということになれば、平成7年の日米合同委員会の合意に基づいて、被疑者の起訴前の拘禁移転を含めて、日米地位協定の枠組で適切に対処する、ということになります。

(問)確認なのですけれど、県警から逮捕状が出ましたら、これを受けて身柄を引き渡すということでしょうか。

(報道官)プロセスとして申し上げるなら、米軍が関与する刑事事件について仮に逮捕状が発布されるということがあればその後、起訴前の身柄の引き渡しの要請が日米合同委員会を通じてなされて、それに米側の同意が得られれば身柄の引き渡し、という風に、プロセスが続くということです。それがこれまでのいくつかのケースでとられているプロセスである、ということです。

(問)日米合同委員会はそのために開催されるということでしょうか。

(報道官)日米合同委員会については私も確認しましたら、これは定期的に2週間に1回という形で行われております。

(問)引き渡し要求のために合同委員会を開くということですか。2週間に一回まで待つということですか。

(報道官)定期的には2週間に一回ということですが、持ち回りで開催されることもあるということです。何れにしても、今の段階で日米合同委員会がこのために開催されるかどうかということは全く何も決まっておりませんので、そこは誤解のないようにお願い致します。

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報道官会見記録(平成20年4月1日(火曜日)17時01分~ 於:本省会見室)

第10回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム

(報道官)冒頭、私のほうから2点ほど発表事項があります。第1は、4月7日と8日の2日間、G8北海道洞爺湖サミットの一環として、第10回アフリカ・パートナーシップ・フォーラムが三田共用会議所で開催されます。この会議には日本側の議長として、小野寺外務副大臣が出席され、また、木寺アフリカ審議官が参加します。そして開会セッションでは高村外務大臣が基調講演を行う予定です。海外からはG8アフリカ問題首脳個人代表のほか、アフリカ連合経済委員のマクウェザランバ委員をはじめとする数多くのアフリカ側関係者が出席します。
 今回のフォーラムでは、アフリカにおける環境・気候変動問題、経済成長の加速化、そして貧困の削減といったテーマで議論が行われる予定です。その成果は、アフリカ開発会議、そしてG8サミットに反映されるということです。

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鶴田真由TICAD IV親善大使のケニア、スーダン訪問

(報道官)第2点目は、鶴田真由TICAD IV親善大使のケニア、スーダン訪問ですが、3月27日から4月5日の日程で、ケニア、スーダンを訪問中です。本日、ケニアから、南部スーダンのジュバに移動する予定で、ジュバでは日本のNGOの活動視察が予定されております。
 現地からの報告では、ケニアで難民キャンプなどを精力的に視察されており、昨日は難民キャンプにおける鶴田大使の写真が、いくつかの邦字紙に掲載されたのは、御案内の通りです。同大使の活躍で、日本国民のアフリカ問題への関心がさらに高まることが期待されます。

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外交青書の閣議配布

(問)今日外交青書が閣議で発表されましたが、その評価は。

(報道官)ポイントとしては、三点に集約されると思います。第一は日本政府として、強固な日米同盟関係に立脚しつつアジア外交を一層強化するという日米同盟の強化とアジア外交の共鳴ということ。二点目は、日本外交の地理的な拡大と深化。これは地理的な拡大と深化ということで補足しますと2007年を通じてその深化が進んだわけですが、具体的には麻生元外相の「自由と繁栄の弧」演説で言及されました民主化や市場経済化を進める国々との間での関係強化が進んだという記述があります。三点目は、地球規模問題の解決が喫緊課題の一つということですので、その解決に向けて本年G8サミットに向けてイニシアティブをとるということが主たるポイントです。

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チベット情勢

(問)ダライ・ラマ氏が4月10日に日本に立ち寄られるようだが、日本政府として接触はするのでしょうか。

(報道官)日本政府としてはこれまでも述べていますように関係者間の対話が状況改善の為に行われるのであればこれは歓迎すべき事と考えております。その上で双方が受け入れられる形で対話が実現されることを強く期待するというのが我々の立場です。他方、今回のダライ・ラマ氏の日本への訪問というのはこれはあくまでも米国への訪問の途次、乗り継ぎのための立ち寄りということです。
 今回、政府として接触をするという予定はありません。
 一般的にダライ・ラマ氏との面会については、チベットを巡る様々な要素を総合的に考えつつ、対処してきておりまして、今後もそういう対処をしていくという事でございます。いずれにしても今回接触するという事は予定されておりません。

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