記者会見

報道官会見記録(平成19年12月)


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報道官会見記録(平成19年12月26日(水曜日)17時07分~ 於:本省会見室)

大使館の新規開設

(報道官)平成19年度予算で新規開設が認められていた6つの大使館について、来週1月1日をもって開館します。大使館については、ミクロネシア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、リトアニア、ボツワナ、マラウィ、及びマリの6大使館です。その他に事務所としてインドのバンガロール、米国のナッシュビルでも開館が為されます。ちなみに、この6つの大使館については、相手国は既に東京に大使館を開設しており、我が国に対して大使館開設の要請を累次に亘って行われていたものです。今回我が方の大使館を開設することで、先程申し上げた各国との関係の更なる強化・発展に貢献すると思いますし、外交力の基盤強化という点からも、意義のあることと思います。
 ご参考までに、来年度予算でも新たに5つの大使館を開設することが政府案の中に入っており、国会での審議を頂くことになっています。150大使館という目標に向けて、今後とも大使館の開設を行っていけることを希望しております。

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極東ロシアにおける退役原潜解体協力に対する韓国の資金協力

(報道官)韓国は明日27日、25万米ドル(約2,800万円)を我が国が極東ロシアで進めております退役原潜の解体協力に対して拠出して頂けるということになりました。既にニュージーランドが資金協力の申し出をしておりますので、これらを合わせて、ウラジオストクでの原潜解体を実施していきたいと思っています。
 原潜解体の話は最近話題になっておりませんでしたので、バックグラウンドをお話しておきますと、2002年のカナナスキスでG8グローバル・パートナーシップという枠組みが合意されました。これはロシアにおいて原潜解体の他に、化学兵器の廃棄や核分裂性物質の処分など4分野で、このG8の枠組みの中で事業を実施していくという合意です。具体的な事業としては、2005年11月にプーチン露大統領が訪日した際に5隻の原潜を解体するということで実施取り決めの署名が行われており、これに基づいて、この原潜解体事業が進みつつあります。昨年は豪州からも資金協力の申し出がありましたので、これらを充当しつつ、この極東ロシアにおける原潜解体事業を進めていきたいと思っています。韓国については昨年も25万米ドルを拠出して頂いており、今年の分について明日払い込みが行われるということです。

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森元総理とプーチン露大統領の会談

(問)少し前の話になりますが、北方領土問題で森元総理とプーチン露大統領との会談でイルクーツク声明の有効性を再確認しましたが、来年に向けてどのような北方領土交渉を行っていくのかお聞かせ下さい。

(報道官)先週の金曜日(21日)だったと思いますが、サンクトペテルブルクで森元総理とプーチン大統領との間で会談が行われ、領土問題について話し合われたということです。森元総理は、領土交渉をするつもりはないということをはっきり仰った上で、日露間の領土交渉について、2001年のイルクーツク首脳会談を出発点とすべきだと述べられ、プーチン大統領からもその通りだというお話があったと聞いております。
 このやりとりの意味するところですが、元々2001年に森総理(当時)とプーチン大統領との間で首脳会談が行われ、イルクーツク声明が採択されていますが、そこにはポイントが2点ありました。一つは、1956年の日ソ共同宣言が平和条約交渉の出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認していること。もう一つは1993年の東京宣言に基づいて北方四島の帰属の問題を解決することによって平和条約を締結すべきだということ。今回の森元総理の発言は、こうしたことを踏まえ、領土問題の解決に向けて進展を図る必要があるのだということをプーチン大統領に働きかけられたものと理解しております。
 政府の立場ということで申し上げますと、イルクーツク声明を含むこれまでの諸合意及び諸文書に基づき、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針に従い、強い意志をもってロシアと交渉を進めていきたいという考えです。一部報道等で「路線の修正」云々ということが出ておりましたが、そのような指摘はあたりません。
 もう一つの点は、四島一括返還との関わりについても同じく報道されておりましたが、北方四島の帰属の問題を解決することによって平和条約を締結するという一貫した方針の下でロシア政府との間でこれまで交渉を行ってきており、このような立場に変更はありません。また、これまでも繰り返し説明してきている通り、政府としては北方四島の我が国への帰属が確認されれば、実際の返還時期及び態様については柔軟に対応するという考え方を示してきております。そういう意味において、政府としては北方四島の我が国への主権が確認される必要はあるものの、四島が同時に返還されなければならないという考え方はとっておりません。
 更に補足させて頂きますと、いくつかの報道において、「並行協議」ということが触れられておりますが、歯舞・色丹の引渡しの態様、いつ、どのような形で引き渡すのかという議論と、国後・択捉の帰属の議論を同時かつ並行的に進めていくという考え方については、2001年のイルクーツク首脳会談で日本側より提案しましたが、その後ロシア側からそのような考え方は受け入れられないという回答がなされております。今回の森元総理の話の関連で、「並行協議」を行う方向に転ずるのではないかという報道を見かけたのですが、そうした趣旨の「並行協議」というものについては既に日本側から提案し、ロシア側として受け入れられないという明確な回答がなされたという経緯があります。そうした経緯を踏まえ、四島の帰属の問題を解決して、平和条約を結ぶという基本を改めて確認しておきたいと思います。

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在日米軍再編問題

(問)今日、在日米軍再編に関連して、岩国基地の空母艦載機移転に反対して、岩国市長が辞職願いを提出しましたが、これに関しての所感をお願いします。

(報道官)米軍再編問題というのは色々な要素を含む、大きな枠組みですが、我が方としては、米国との「2+2」という閣僚レベルでの合意に沿って、双方が定められたことを着実に実施していきたいと思っています。岩国の件も、全体の再編計画の中に入っており、政府の立場からしますと地元の理解を得ながらそれぞれの計画を着実に実施していきたいと思います。今の岩国市長のお話に関連して申し上げれば、政府としては全体の計画について是非とも地元の皆様のご理解を頂きたいし、その着実な実施にご協力頂ければと思います。

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日中非公式協議

(問)中国の王毅大使が訪日され、外務省の主管課と協議を行ったという報道がありますが、そういう事実はあるのでしょうか。具体的な場所や目的、協議の結果等伺えますでしょうか。

(報道官)4月に温家宝総理が訪日された時に、所謂、東シナ海に関する局長級の協議とは別に、必要があればより高いレベルで話し合いを行うということは確認された訳ですし、先般高村外務大臣が訪中した際にも、11回に亘る局長級の協議で具体的な進展がないということを踏まえて、より高いレベルでの協議についてお話をされたということがあります。
 事実関係としてどうかというご質問については、ハイレベルの接触、つまり局長級より高いレベルでの接触というものが持たれたことについてはその通りですが、いつどこで、誰が、という点については、中国側からの申し合わせもあり、明らかにすることは控えたいと思います。

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報道官会見記録(平成19年12月25日(火曜日)17時12分~ 於:本省会見室)

日・メコン外相会議の開催について

(報道官)来月16日に東京で、高村外務大臣主催による日・メコン外相会議を開催します。この会議にはメコン地域5ヵ国、即ち、カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオスの5ヵ国の外務大臣をそれぞれ招待しており、会議においては、政治・経済、経済協力、文化等様々な分野における日本とメコン地域の協力の促進について協議を行う予定です。
 会議そのものは16日ですが、この日或いは翌17日に高村大臣は、各国外相と個別に二国間の外相会談を行う他、17日の午前には投資促進セミナーがあり、各国外相が同セミナーに参加する予定です。
 因みに、日・メコン外相会議の開催については、今年の1月にフィリピンのセブ島で日本とCLV(カンボジア・ラオス・ベトナム)の外相会談を行った際に合意しており、その後準備を取り進めて来たという経緯があります。日・メコン外相会議は、今回が初めての開催となります。

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報道官会見記録(平成19年12月19日(水曜日)17時12分 ~ 於:本省会見室)

韓国大統領選挙及び日韓関係

(問)韓国の大統領選ですが、李明博(イ・ミョンバク)候補の善戦が伝えられていますけれども、仮に新政権誕生となった場合、日韓関係はどうなると思いますか。

(報道官)韓国の大統領選挙は色々な意味で注目されますが、まだ投票が続いている状況だと思いますし、どなたが選ばれるのかを予測してコメントすることは控えたいと思います。いずれにしても、極めて重要な二国間関係ですし、どなたが大統領になるにしろ、来年2月下旬に就任される暁には、日韓関係の一層の発展のために、共に尽くしていけるようになることを強く期待しております。

(問)大統領選でどなたが当選されるか分かりませんけれども、日韓の二国間関係を発展させていきたいということですが、もう少し具体的には、どういう日韓関係が望ましいのでしょうか。

(報道官)日韓間での様々な形での協力は、これまでも為されてきていますが、更に首脳レベルでの交流を深めながら、協力関係を緊密にしていければと思います。また、先般のシンガポールでの東アジアサミット(EAS)の際にも、日本と韓国、中国三カ国の首脳レベルを含むハイレベルの会議を、EASとは切り離して開催していくということが確認されています。来年2008年については、この三カ国協議の議長役に日本が就くことになっていますので、日本で開催されるであろう日中韓のハイレベルでの協議、会談の実現に向けて、また韓国側と緊密に協力していきたいと思っております。
 中国との関係ではご案内の通り、総理の訪中或いは胡錦濤国家主席の訪日という話もありますが、そういう首脳レベルでの緊密な協力関係を築いていけるように韓国と緊密に連携し、かつ東アジアのような地域的広がりのある平和と安定、発展という問題に、一緒に取り組んで行けるような関係を築いていければと思っています。

(問)現政権との間では歴史認識と竹島の問題で日韓の間がぎくしゃくしたのですが、この二つの問題については、日韓関係をどのように発展させていくおつもりですか。

(報道官)これまでも、ご指摘のような懸案事項については両国の基本的な関係を害することのないように、様々な外交努力、知恵を出しながら対処してきていますが、幾つか解決すべき課題もありますので、新しい大統領の下で未来志向というか、建設的な形で個々の問題に対処していける関係を築いていくということだと思います。首脳を含むあらゆるレベルで率直な話し合いをしていけるような関係を築いていくことを期待したいと思います。そうした日韓関係を築いていくことが、同時に地域全体の安定と発展、繁栄という問題にも寄与していくのだろうと思います。

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ブラジル人逃亡犯罪人の国外犯処罰

(問)ブラジルで代理処罰がありましたが、その受け止めと、ブラジルとの間では犯罪人引き渡しの司法協議を続けている訳ですが、現在、どういう状況になっているのでしょうか。

(報道官)2年ほど前、浜松市で日本人レストラン経営者が殺害されるという事件が発生し、その犯人として在日ブラジル人が容疑者として浮かんできた訳ですが、既にブラジルに帰国しているということで、日本政府から外交ルートを通じてブラジル政府に、ブラジル刑法における国外犯の処罰規定を適用してもらいたいと要請してきました。一昨日17日の時点で、地方裁判所の段階ですが有罪の判決が下ったと承知しております。判決の詳細はブラジル時間の今日19日に、官報において公表されると聞いていますので、まだ承知していませんけれども、伝えられる形で判決が出たということであれば、世に言う「逃げ得」を許さないという立場から、このような要請をブラジル政府にしてきた訳ですが、初めての事例として今回判決が下されたことについては意義深いことだと思います。
 大変残念なことに、在日ブラジル人の犯罪が、滞在者総数自体がかなり増えてきている中でかなり増加しているということがあり、犯罪を犯す人がブラジルに帰国してしまうという状況の中で、不処罰、つまり処罰されないという事態があってはならないということで、このような手続きを取ってきている訳です。一昨日の判決については地方裁判所段階での判決ということですので、今後も手続きが続く可能性があり、それを見守っていきたいと思います。一貫して社会正義を実現するという立場からも、こうした手続きをきちんと取っていく必要があると感じています。
 ご質問にありましたブラジルとの法的な取り決めについては、ブラジル憲法において自国民を引き渡さないと規定されており、現実にこの種の犯罪でブラジル人が外国に引き渡されたという事例は、私が知る限り一件もないと思います。従って、犯罪人引き渡し条約の必要性がしばしば指摘される訳ですが、日本で犯罪を犯し、かつ帰国してしまうブラジル人の処罰という観点で言えば、この犯罪人引き渡し条約そのものが直接効果をもたらすことは残念ながらないと思います。しかし、司法当局同士、或いは警察当局同士の協力関係を更に緊密にしていくという方向での協議はブラジル側と行ってきていますし、これからも継続していきたいと思います。今回の事例は外交ルートで行った要請を受けて行われた起訴及び裁判ですので、他の事案で起訴され、裁判になっている事例もありますが、そういった手続きの進捗状況を私どもはきちんと見届けながら、逃げ得、或いは不処罰と言われる事態がないようにしていく努力を継続して参りたいと思います。

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東シナ海における資源開発問題

(問)昨日の話になりますけれども、東シナ海のガス田開発で、経産大臣が総理訪中までは難しいと言っていますが、外務省としては如何でしょうか。

(報道官)東シナ海の共同開発の問題は非常に複雑な問題であり、共同開発の具体的な方途を見出していくのが大変難しい状況だということは、その通りだと思います。これまで11回に亘り事務レベルで協議を重ね、かつ先般は高村大臣ご自身も中国に行き、楊 潔チ外交部長、更には温家宝総理、胡錦濤主席とそれぞれ話をしましたが、現時点で進展があるかと言われれば、残念ながら無いという状況にあります。他方で、今年4月に温家宝総理が訪日した際、今年の秋までにこの共同開発の具体的な方途について協議し、その結果を両首脳に報告するという段取りで合意されており、かつ首脳レベルでもこの問題をきちんと解決していこうという意志が確認されています。福田総理の訪中が今、外交日程に上ってきている訳ですが、尚、協議を続け、両首脳に良い報告が為されるように、最大限の努力をしていくということに尽きると思います。

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報道官会見記録(平成19年12月18日(火曜日)17時07分~ 於:本省会見室)

四島交流等の実施及び後継船舶の確保に関する方針

(問)午前中の関係閣僚の申し合わせによる四島交流についてですが、交流の仕方を包括的に改善するということが確認されましたが、どの辺が目玉と言いますか、狙いでしょうか。

(報道官)今朝、大臣からご報告した通り、本日の関係閣僚申し合わせとして、四島交流事業を一層充実させていくための政府の方針を立てた中で、後継船舶を用意することも話し合われた訳です。
 ご案内のとおり四島交流事業については、元島民の方、或いはその家族の方々への人道的な配慮ということは当然為されている訳ですし、領土問題の解決に向けた環境整備という観点からも極めて重要な事業であると思っております。必ずしも目玉という訳ではありませんが、我が国の国民と北方四島の住民との間の相互理解を一層増進させるという観点から、防災或いは環境の専門家の技術交流を実施していけるよう適切な方策を講じること、或いは冬季における航空機の利用の可能性についても検討していくことになります。
 それからご指摘のあったことと直接関連するかと思いますが、今回、「北方四島交流事業等関係府省等推進協議会」、すなわち、内閣府、外務省、北海道庁から構成され、独立行政法人である北方領土問題対策協会がオブザーバーとして参加する推進協議会を設置することが決まりました。これまでも様々な形で関係する方々との協議の場はあった訳で、その都度、個々の事業についての実施に係わる実務的な話し合いが行われて来ましたが、今回の推進協議会の設置は、この四島交流事業についての大きな方針、或いは政策的な課題に対して速やかに協議が出来るような体制を構築しつつ、この四島交流事業が安定的に実施出来るようにしていこうということです。
 今回の関係閣僚の申し合わせによって、今後の四島交流事業が参加者の拡大という点も含めて安定的に実施していけるように、政府として、しっかり対応していこうということです。

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報道官会見記録(平成19年12月12日(火曜日)17時05分~ 於:本省会見室)

平成19年度中南米大使会議の開催

(報道官)来週19日(水曜日)より21日(金曜日)まで、東京において19年度中南米大使会議の開催を予定しています。今回の中南米大使会議においては、特に中南米地域の政治情勢と我が国の対応、中南米地域と我が国との経済関係強化の方策、更に気候変動等国際場裡における中南米諸国との協力の可能性といったテーマについて、幅広い議論を行う予定です。

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アルジェリアにおける爆発事件

(報道官)昨日11日(火曜日)、アルジェリアの首都アルジェにおいて自爆テロが発生し、国連職員を含めて多数の死傷者が出ていますが、このような許し難い行為に対して、断固として非難する外務大臣の談話を本日発出します。日本政府からは、亡くなられた方々及びその御遺族の方々に心からの哀悼の意を表したいと思います。

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在日米軍駐留経費負担

(問)思いやり予算についての日米交渉が妥結したようですが、具体的な中身をもしご紹介頂けるならお願いします。

(報道官)在日米軍駐留経費負担の問題については、ご案内の通り、米国側と話し合いを行ってきた訳ですが、大詰めというか、ほぼ纏まるところまで来ており、今夕、シーファー米国大使が高村大臣を訪ねて来られると聞いております。その場でこの日米間の話し合いについて決着をつけるべく、協議が行われることになります。本件内容については大臣の方から直接、お話される予定にしています。

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日中ハイレベル経済対話プレス・コミュニケ

(問)日中ハイレベル経済対話の共同文書に関して、中国側から何か回答は現時点で来ていますでしょうか。

(報道官)私共の方から、中国側が発表したコミュニケの内容が、日本側と協議して合意した内容と違うということで訂正を申し入れてきている訳ですが、昨日、商務部の方から担当の局長が記者会見をされ、今回のコミュニケについては共同の発表文ではなく、それぞれが個別に発表するものとして取り纏めたものである、従って、中国としては中国側の発表を行ったものだといった趣旨の説明があったようですが、これは今回のコミュニケを纏める作業をした経緯に照らしても、それぞれが個別に発表するという文書を作る作業でなかったことは明らかですし、私共としては、改めて文書の訂正を申し入れていこうと考えています。

(問)商務部で局長が会見した内容については、今回改めて通告してきたりはしていないのですか。

(報道官)北京の我が方大使館の方で中国側と連絡を取っておりますが、私は先方から会見と同じ内容について通報があったかどうかは承知しませんけれども、どのような事情でこういうことになっているのかについては、我が方から訂正の申し入れをした際に説明があり、その際にも、会見で話されたような趣旨のお話はありました。
 実際、中国側では日本側と纏めた文書については、それぞれが発表するという思いで上層部に諮り、彼らは「批准する」という言葉を使っているようですが、「上層部に諮って」ということだと思いますけれども、そういう内容のものとして独自に発表したのであるという説明になっている訳です。
 私自身もこのハイレベル経済対話に出席していましたが、日中双方併せて13名の閣僚が出席し、非常に良い会議が行われたと思っております。様々な経済上のテーマについて、双方から相当率直かつ突っ込んだ意見が交わされ、参加した全ての閣僚の皆さんも「非常に良い会議であった」という感想を持たれましたし、是非、第2回の会議を東京で開催しようということでも合意しました。今回のコミュニケの件で、そうした会議そのものの成果が失われる訳ではないと思いますが、その発表をめぐり行き違いが生じていることについては残念であると思います。是非、中国側にはこの文書作成に至る経緯を考慮されて、適切な対応をして欲しいと思います。

(問)もし、中国側が訂正に応じない場合、日中関係全般或いは総理の訪中に影響を与えることがあるとお考えでしょうか。

(報道官)文書の作成を巡る今回のやりとりが、総理の訪中そのものに影響するという性格のものではないと思いますが、事務的に「共同の文書を作る」という前提で作業してきたことが、こうした行き違いを生んでいるということについては、大変残念なことだと思います。重ねて、今ご質問にあったような意味での、総理訪中に影響するといったものではないと思っております。中国側が訂正に応じない場合ということですが、私共としては今訂正を求めている訳ですので、それに対して然るべく対応してもらいたいと思います。

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報道官会見記録(平成19年12月5日(水曜日)17時30分~ 於:本省会見室)

外交政策勉強会

(問)官邸で外交政策勉強会が立ち上がるそうですが、官邸主導で外交政策を進めていく意向の表れかとも思われますが、外務省の受け止めをお願いします。

(報道官)官邸での総理の勉強会について、総理として、有識者の方々から自由な形で議論をして頂き、お話を伺う機会を設けたいというご意向があることは聞いていましたし、内閣の外政担当官房副長官補のところで有識者の方々にご相談をしておられるということは承知していました。総理ご自身が、幅広く外交問題に造詣があり、見識をお持ちの方々からお話を伺う機会を持たれるということは、非常に大事なことだろうと思います。
 そのことと、今の官邸主導、或いは官邸外交という点については、外務省として官邸と緊密に連絡を取りながら、責任をもって外交を展開していくという基本部分には、当然ながら変更が生じるということはありません。私共、外務省としては、勉強会の過程でどういうテーマが取り上げられるのか、お手伝い出来ることがあれば一緒に行っていくということになるでしょうし、協力していくということだろうと思います。

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北朝鮮問題

(問)今日、衆議院の委員会で、北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に反対する決議が出されましたが、これに対して外務省の今後の対応がありましたらお聞かせ下さい。

(報道官)米国によるテロ支援国家指定解除の問題については、先般、総理が訪米された時にもブッシュ大統領との間で意見を交わされましたし、米国に於いて、六者の枠組みの中でテロ支援国家指定解除の問題について検討を開始するということは、六者の合意事項の一つとしてありますので、米国とは緊密に連絡を取りながら、適切な形で米国に対応して頂きたいと思っています。
 米国から、北朝鮮の非核化措置の実施状況を十分見つつ判断していくということ、その際、拉致問題についても考慮していくということが、改めてブッシュ大統領から福田総理にお話がありましたので、そういうものとして引き続き米国とは連携していくことになります。今回、国会が決議という形で御意見をまとめられたということは、日本の立法府に於いて、拉致問題を米国によるテロ支援国家指定解除と絡んで非常に重視しているのだ、というメッセージとして外に伝わっていくものと思います。
 今日の議論に於いても、政府として拉致問題について現在どのような努力をしているのかということについて、十分ご説明が出来たと思いますし、行政府、立法府共々、十分に意思疎通、連携を図りながら、拉致問題に対処していくということを改めて確認させて頂いたと思っています。

(問)これは立法府の決議ですが、米国側への伝達は外務省で行われるのでしょうか。

(報道官)まだその点について、立法府からどうしてくれというお話があるとは、私自身は聞いていませんので、段取りを承知している訳ではありませんが、例えば、在京米国大使館に伝えるというやり方もあるでしょうし、或いは外交ルートで米国の政府ないし立法府に伝えてくれということであれば、そのようにするでしょうし、いずれにしても国会の意向を受けて対応していくということになるのだろうと思います。今この時点でどういう形で連絡をするのかについて、私自身は具体的な話を承知していません。

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報道官会見記録(平成19年12月4日(火曜日)17時17分~ 於:本省会見室)

TICAD・日本アフリカ交流年推進協議会第1回会合

(報道官)12月7日(金曜日)に、TICAD・日本アフリカ交流年推進協議会を立ち上げ、第1回の会合を開催する予定です。この第1回の会合は、高村外務大臣が主催します。
 ご案内のとおり、来年5月末に第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が開催されますが、今回この官民合同の協議会を立ち上げ、アフリカの問題に取り組むための、いわばオール・ジャパンの体制を作るということが目的です。7日に第1回会合を行った後、計4回の会合を予定しており、アフリカ諸国との貿易投資拡大のための環境整備、或いは政府開発援助(ODA)の在り方等について協議する予定です。この協議会の座長は、米倉日本経団連副会長にお願いしており、民間セクターからは主要な商社、メーカー、金融機関等の代表の方、政府サイドからも関係省庁に加え、JICA、JBIC、JETRO等々の参加を頂き、幅広く意見交換していきたいと思っております。
 特に協議会を通じて、民間の方々が持っておられる様々な知見、ノウハウというものを積極的に活用させて頂きたいと思っております。

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北朝鮮問題

(問)六者の首席代表会合ですが、当初予定されていた6日からの開催は事実上難しいと思うのですが、先送りされるという認識でよろしいでしょうか。

(報道官)報道されておりました12月6日から8日という日取りについて、そもそもそれで確定したという状況にはなかった訳で、現在も議長国中国による調整が続いている状況です。6日から8日ということですと、明後日からということになりますので、直ちにそのような会合を開けるような状況にはないのではないかと思います。とにかく議長国中国による調整の結果を待ちたいと思います。

(問)北朝鮮サイドから、議長国の中国に6日からの開催は難しいという話があったという報道があるのですが、事実関係についてお聞かせ下さい。

(報道官)議長国の方で日程を提示して、他の五者の都合を聞いている訳ですので、それぞれの反応はあるだろうと思いますが、個々にどのような反応があったのかということについては、ここで申し上げることではないのかなと思います。
 何れにしても、議長国が全体としての調整結果をまとめておりますので、その連絡を待ちたいと思っています。

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日中関係

(問)東シナ海に関する日中協議についてですが、12月に入り、局長級ではなくハイレベルへとレベルを上げて前進させていこうということなのですが、具体的にそのレベル、または月内に協議を行うのか等、その辺はどのような調整なのでしょうか。

(報道官)ご案内のとおり、高村外務大臣が今回、中国を訪問されて楊潔チ中国外交部長と3時間以上に亘って様々な問題等について協議しましたし、その後も温家宝総理、さらに胡錦濤国家主席との間でも、今仰られた東シナ海の問題を含めて話をされております。
 高村大臣の方からは、福田総理の訪中前に東シナ海の問題を解決したいということを繰り返し仰り、中国側からも、特に昨日会われた胡錦濤国家主席から是非この協議を加速して、早く解決に至るように努力しましょうというお話がありましたので、総理の訪中自体は年末、或いは年初ということで中国側に伝えておりますので、その意味では何らかの形で早い段階で中国側と協議する機会を設けることになろうかと思いますが、どのようなタイミングで、どのレベルで開催するかということについては、現在中国側と話をしているところです。未だ、その段取りについて具体的な方針、或いは方向が決まっている状況にはありません。

(問)中国側から度々、係争の点は棚上げにしてという表現があったと思うのですが、その係争の点というのはどのようなことを想定しているのでしょうか。

(報道官)中国側の言う係争を棚上げしてという趣旨は、私どもの理解としては、国際法上の問題、直接的には海上の境界線のことについて議論を棚上げしたい、或いはすべきだという趣旨で言っているのではないかと理解しております。

(問)台湾の問題について、胡錦濤国家主席から初めて台湾名称での国連加盟の是非を問う国民投票について反対を明言して欲しいという要請があったと思うのですが、それに対して政府は、どのように対応するお考えでしょうか。

(報道官)国民投票の件については、私どもは公の形ではこれまで日本の立場を述べていない訳ですが、他方で台湾の国連加盟については支持出来ないということは公に述べておりますので、国民投票の問題についての日本の立場についても、台湾側は理解しているだろうと思います。国際場裏に出て来ている問題、つまり国連加盟それ自体ということであれば、日本の立場ということで申し上げることもあるのでしょうが、台湾の中で何かをするということであれば、それについて日本から公に述べるというのはどうかなと思います。そういう意味では、少なくとも台湾の国連加盟を支持しないという、日中共同宣言を踏まえた日本の立場については、自ずから中国側にも理解を頂けるのではないかと思います。

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