(報道官)明日8月30日、東京において日露軍縮・不拡散協議が開催されます。この協議には、我が国から中根外務省軍縮不拡散・科学部長を首席代表とする代表団が、ロシアからはアナトリー・アントノフ露外務省安全保障軍縮局長を首席代表とする代表団がそれぞれ参加致します。ちなみに、日露の軍縮・不拡散協議は過去何度も行われていますが、前回は昨年2月ですので、約1年半ぶりの開催です。軍縮・不拡散分野における様々な問題について、幅広く議論を行った上で、それらの問題について日露間の認識を深める機会となることを期待しています。
(問)北朝鮮の水害支援に対する日本政府の考え方、対処法を改めてお聞かせ下さい。
(報道官)今回、北朝鮮における水害の被害状況が極めて深刻であるということで、国連から各国に対して災害援助の呼びかけが行われています。我が方にも国連からその呼びかけが届いておりますので、それを受けて、どのような対応をするか検討しているというのが現在の状況です。現時点において何か具体的な措置を検討しているという訳ではありません。今後の諸状況を見極めつつ、対応を検討していこうということです。
(報道官)9月2日、テヘランにおいて第6回日・イラン領事当局間協議が開催されます。この協議には我が国から谷崎領事局長他、イランからミールファハー外務省領事局長他が出席する予定です。この協議では日本とイラン両国の健全な交流の促進を図る為に、不法滞在、犯罪等の出入国管理に関すること、2つ目に我が国国民のイラン在住にかかわる手続き等の在留自国民に関することについて意見交換が行われる予定です。今回の領事当局間協議は2005年1月以来、2年半ぶりの開催となります。6月に藪中外務審議官とイランのサファリ外務次官が次官級協議を行った際、イラン側から開催について強い要望があり、それを受けて開催に至りました。この6月の次官級協議以降、7月には日本とイランの間の人権対話、さらに同7月に軍縮不拡散協議が行われています。それに続く、局長級での日・イラン間の協議ということになります。
(報道官)一昨日、イラクにおいて、「イラク政治指導者間の合意」が発表されております。タラバーニー大統領、マーリキー首相他副大統領2名並びにクルド地方政府の代表5名の間で合意され、合同記者会見の場で国民融和に向けた合意が発表されております。日本政府としては、今回の合意を歓迎し、この合意が早期にかつ着実に実施されることを期待致します。また、我が国はイラク国民が互いの民族、宗派を尊重し、国民融和を図りつつ、国づくりに向けた努力を引き続き払うよう期待致します。我が国はそのようなイラク国民の努力を引き続き積極的に支援して参ります。
(問)日朝作業部会の日程がようやく固まった訳ですけれども、それについての対処方針をお聞かせ下さい。
(報道官)本日、2月の合意を受けて2度目、前回のハノイでの二国間の作業部会に続く作業部会の開催が9月5日、6日、モンゴルのウランバートルで開催されるという発表を行わせて頂きました。基本的な姿勢という点ですが、今回の会合においては、日朝平壌宣言に則り、不幸な過去を清算し、拉致問題を含む懸案事項を解決して、国交正常化を早期に実現するための方策について、有意義な意見交換を行いたいというのが我が方の基本的な立場です。特に3月のハノイでの作業部会で何ら具体的成果が得られなかったことを考えますと、今回、具体的な実りある話し合いを行うために、北朝鮮側が懸案となっている事項について、是非誠意ある対応をしてもらいたいと思っています。
(問)韓国と北朝鮮の南北首脳会談について、本日の午前中に発表がありましたが、これについては日本政府はどのように受け止めているのかお聞かせ下さい。
(報道官)月末に開催される南北首脳会談は、7年ぶりということもあり注目していきたいと思いますし、積極的な成果があがることを期待しています。
先ず第一に南北間の対話の継続的な進展により、朝鮮半島の緊張が緩和されていくことが期待されます。
また、ご案内のとおり六者会合が進行中であり、特に今月は作業部会が連続して開催され、9月に入ると全体会合へと続いていきます。この南北首脳会談が、六者会合の枠内で進行している朝鮮半島の非核化の問題、さらに北東アジアの平和と安全の問題に良い影響を及ぼしていくような成果があがることを期待します。
(問)総理から拉致問題について、韓国政府に働きかけをというような指示もあったようですが、それについては具体的に今後、どのように対応されるのでしょうか。
(報道官)拉致の問題は、繰り返すまでもなく日本政府にとって最優先の課題として取り組んで来ております。南北首脳が会われることになれば、日本の立場について改めて韓国の方に説明し、会談の場で積極的に取り上げて頂けるように希望します。他方、近い時期に日朝のバイの作業部会が開催されることになりますが、そちらの作業にも良い影響が出るように期待しています。
(問)韓国への働きかけですが、どのような形で行われるのか分かっていることがあれば教えて頂けないでしょうか。
(報道官)まだ具体的な段取りは決まっておりません。外交ルートを含め、日本と韓国間には頻繁な対話と連絡の手段がありますので、適切な形で韓国との話が出来るようにこれから段取りを固めていくということになると思います。
(問)「初期段階の措置」がまだ完全に履行されていない状況の中で、仮に韓国が大規模な北朝鮮の支援に踏み切った場合、これは北朝鮮をかなり利することになるのではないかとの懸念もありますが、その点については如何でしょうか。
(報道官)北朝鮮に対する支援については、昨日及び本日、板門店でエネルギー作業部会の会合が行われておりますが、六者全体の枠の中での非核化の作業に対応する形で、支援内容を検討していくことになります。韓国は六者会合の一員としてその議論に参加し、作業部会においては議長として全体の議論をリードして頂いてますので、六者会合全体のバランスの取れた形での実施ということに寄与するよう首脳会談で議論を進めて頂きたいと思います。ご指摘のあった大規模支援については、仮定の話でもあり答えにくいのですが、六者会合のエネルギー等の支援についての作業部会議長である韓国の立場から、是非、前向きな形で非核化に向けての全体の作業が進捗するように取り進めて頂きたいと期待しております。
(報道官)11日(土曜日)にアフリカのシエラレオネで大統領・国会議員の選挙が行われます。この選挙に我が方から、在ガーナ大使館員2名を選挙監視要員として派遣することを決定しました。これは、シエラレオネの選挙管理委員会からの要請を受けて実施するものです。シエラレオネでは2005年末に、国連のPKOが撤退しており、それ以降に実施される初めての選挙です。さらに背景を付け加えて申し上げますと、今年6月に我が国は、国連の平和構築委員会(PBC)の議長に就任していますが、シエラレオネはPBCの検討対象国になっております。その関係もあり先月、浜田大臣政務官がシエラレオネを訪問し、同国の大統領を表敬した他、シエラレオネ政府、或いは国連の関係者と今回の選挙について協議を行った経緯があります。さらに、今回の選挙準備にあたり、日本は国連開発計画(UNDP)を通じて約280万ドルの選挙機材の支援を行っております。
(問)今回の参院選で民主党が参議院を制したということで、外務省は今後、民主党との関係作りについて、従来とは改めて対応を変える等、役所としての政党対策はあるのでしょうか。
(報道官)私が承知する範囲で申し上げますと、現時点で外務省という組織として民主党、或いは野党との対応について、特定の方針を立てたというようなことは一切聞いておりません。他方、実際に国会が始まり、様々な実務的な問題が出て来る際に当然、民主党の方から説明を求められたり連絡を取るということも、これまで以上に増えるのかなと思っております。そのような際には、これまでにも増して、個別にきちんとした説明をしていく必要が出て来ると思います。ご質問の点については多分、外務省だけの問題というよりも、政府の中で民主党、或いは野党に対する説明、或いは連絡等の対応を今後どのようにしていけば良いのかについて、横で連絡を取り合っていくことになるのかなと思います。ただ現時点で、今の点も含めて外務省という組織として議論が為されているということは私は承知しておりません。
(問)今月末にメルケル・独首相が訪日されると発表されたのですが、首脳会談の主な議題はどのようなものになるのでしょうか。
(報道官)メルケル・独首相の訪日にあたって、二国間の様々な議論もあると思いますが、それにも増して、今回は気候変動を含む環境問題に対する日独間の協力が大きなテーマになるのではないかと思います。独は、先般のハイリゲンダムサミットを議長国として主催したわけですし、次回は日本が議長国として主催することになりますので、サミットの前議長国から次期議長国への引継ぎというような意味で、ハイリゲンダムで議論された様々な点を現在、ドイツがどのような形でフォローし、それを日本が北海道洞爺湖サミットに向けて、どのような形で準備していくのかという側面も加わってくるかと思います。こうした事情から、今申し上げた気候変動を含む環境問題、或いはアフリカに対する支援の問題等、日独間の所謂、純粋な二国間の話題にも増して、国際的な課題、情勢への対応というものが大きなテーマになるのではないでしょうか。いずれにしろ、現在、独側とは議題等も含めて調整中であると聞いています。