(報道官)今月末から来月にかけて、アフリカの9カ国から大統領あるいは外務大臣が訪日します。今日現在、既に、大統領2名、外務大臣2名が日本滞在中です。アフリカ諸国との首脳会談あるいは外相会談を通じ、これまでのアフリカ重視の立場について確認し、更に、我が国としてのアフリカ外交を一層積極的に進めていく契機としたいと思っています。また、各会談では、国連安保理改革あるいは北朝鮮問題についても話し合われる機会となるのではないかと思っています。ちなみに、昨日、麻生外務大臣がコンゴ共和国のアダダ外務大臣と会談しました。コンゴ共和国については、現在、安保理非常任理事国であり、加えて、AU(アフリカ連合)の議長国でもあります。私自身も、昨日、会談に同席しましたが、AU議長国であるコンゴ共和国と、国連改革問題あるいは北朝鮮問題について協力していくということを確認できたことは、意義深いことであると思います。現在、滞在しておられるのは、タンザニア大統領、今日首脳会談が行われた赤道ギニア大統領、そしてモザンビーク共和国からも外務大臣が滞在中です。各アフリカ首脳の方々は、今週末、中国でアフリカと中国の会議があるということで、その往路の立ち寄りという形を取っておられるものです。帰路の立ち寄りという方もおられると思いますが、こういう機会を利用して、関係強化を図る機会にしたいと思っています。
(問)アフリカ諸国首脳の訪日についてのお話がありましたが、現在わかっている範囲で、だいたい、各々の訪日の日程と、それ以外に、年明けに向けて、別のアフリカの国などについても更に日本外交というものを進展させていこうというお考えがあるのかという点について教えて頂けますか。
(報道官)既に、二人の大統領、二人の外務大臣、それぞれ別の国ですが、今日現在、日本に滞在中です。続いて、11月早々に、ガーナ、ルワンダの大統領、その後、レソト等の外務大臣がおいでになります。日程については、一部確定的でない部分もありますが、基本的には、11月中旬頃までには、皆様おいでになるかと思います。その後の話については、また別途、それぞれの招待計画というものもありますし、個別に検討していくことになると理解しています。
(問)積極的に招致していくという姿勢でよろしいですか。
(報道官)小泉政権時代のアフリカ重視外交というものを、安倍内閣においても継続していくというメッセージを各首脳にお伝えしていますし、具体的なプロジェクトでの協力も含め、建設的な話し合いが行われていると理解しています。
(問)次期事務総長の潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官の訪日日程は決まりましたでしょうか。
(報道官)20日にソウルで麻生大臣と潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官の会談が行われ、潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官から、事務総長就任前に日本を訪問したいというお話を頂き、日程を調整していきたいということでした。それを受け、日程の調整が進められています。現在、11月の早い時期を目途に訪日を実現をする方向で、最終的な日程調整を行っております。
(問)一部報道で、5日という話がかなり出ているのですが、それはまだ決まっていないということですか。
(報道官)確定はしていません。
(問)ただ、それを軸にして調整しているということですか。
(報道官)その頃の時期も可能性の1つとして調整がなされています。いずれにしろ、日程調整は最終的な段階にあります。
(問)どういう目的で来られるのですか。
(報道官)潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官自身が麻生大臣におっしゃったのは、来年1月、国連事務総長に就任するわけですが、そうしますと、大変多忙になり、国連の重要メンバーである日本を出来るだけ早く訪問しようとしても難しくなるかもしれない、従って、就任前の段階で訪問できれば有り難いという趣旨のお話でした。もちろん、日韓の二国間の話もあるでしょうし、国連次期事務総長という立場でお話をしたいというご趣旨でもあろうかと理解しています。
(問)潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官側の呼びかけで、日本がそれに応じて調整しているということですか。
(報道官)潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官の方から、日本を訪問したいというお話があり、歓迎しますという流れです。
(問)来月上旬にも六者協議のうちの三カ国で、日米韓の首席代表で会議をするという報道がありますが、それについてどうですか。
(報道官)そのような事実は承知しておりません。
(問)APEC前に、六カ国の内の北朝鮮を除く五カ国の外相会談を行うという報道もありますが、それについてどういう見方でしょうか。
(報道官)そうした話があるとは聞いておりません。
(問)尖閣諸島の方に向かっている船の件について、外務省では現在どのように把握されていますでしょうか。
(報道官)22日以降、香港の活動家を乗せた抗議船「保釣2号」が尖閣諸島に上陸することを目的に出航したという話は承知しています。直近の段階では、台湾北部に停泊していると聞いていますし、故障が発生しているなど様々なことが伝えられています。いずれにしても、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、海上保安庁の巡視船が常時警戒に当たっております。もし活動家とされる方々が、不法な形で侵入してくれば、厳正に対処します。我が国の法令との関係では、領海に入った時点で出入国管理及び難民認定法に抵触することになりますし、巡視船等の警告を無視して限度を超えた悪質な公務執行妨害行為があった場合には、当然、刑法に触れることになります。政府としては、こうした点を踏まえて厳正に対処します。
(報道官)本日午後、東ティモールの首都ディリにあるニコラウ・ロバト国際空港が昨夜から閉鎖されているとの報告がありました。原因は、空港周辺で武装ギャング団同士の衝突とのことで、死亡者も出ているということです。現在、空港へのアクセス道路が封鎖されており、空港自体も閉鎖状態が継続しているようです。現地の我が方大使館が確認したところ、この騒動の発生を受け、既に国際治安部隊が展開し、現時点では情勢は落ち着き、邦人が巻き込まれたという情報も入っていないとのことです。念のため、本日午後、現地日本大使館から国連の東ティモール統合ミッションの警察部門に対し、邦人の安全確保及び市内の警備強化等の申し入れを行いました。
(問)中国の外務省が、唐家セン(とう・かせん)国務委員と金正日総書記の会談の内容について、若干の内容について言及しましたが、それについて中国からは何か日本に対して伝達があったのか、あるいは日本の外務省として把握していることはあるのか、お願いします。
(報道官)唐家セン(とう・かせん)国務委員が北朝鮮に行った後、北京において中国側から宮本大使に北朝鮮での金正日総書記との会談内容についての説明がありました。その後、私どもも、中国外務省の報道官が、金正日総書記との会談の概要について、記者会見の席で説明したということを聞いています。今回の唐家セン(とう・かせん)国務委員の北朝鮮でのやり取りについては、既に先週、ソウルで日米韓の外相会談が行われた際に、中国政府が今回の安保理決議1718を受け、その実施を北朝鮮に強く求める外交活動を展開しているということについて、これを評価するとの立場を大臣ご自身、あるいは三カ国の外相で表明しております。他方、中国自身が「意見交換をしたということ自体に意義がある」というコメントを出し、また、「六者協議再開等、北朝鮮による核放棄の見通しについては楽観はできない」とのコメントを出している中、引き続き、私どもは決議実施と北朝鮮の六者協議への復帰ということに向けて、継続的に努力をしていかなくてはならないと思っています。
(問)共謀罪の関係ですが、なかなか本国会の成立が難しい状況であるが、組織犯罪法の法改正について、外務省としてはどう考えているか。国際条約との関係で法改正は必要と考えるか。
(報道官)国際組織犯罪防止条約については、既に3年ほど前に国会において承認を得ており、政府としては、その締結を急ぐという立場に立っています。このため「共謀罪」について必要な刑法の改正措置が求められているのですが、前回の国会で継続審議となっていましたので、今次国会で改めてこの法案の審議をお願いしております。ただ、法務委員会においては、まずは信託法案を取り上げるという話がなされていると聞いています。しかし、政府の立場からは、是非、本国会において審議を頂いた上で、できるだけ早く国内法の成立を図って頂きたいと思っています。その上で、既に承認済みの条約の締結を取り進めたいというのが政府の立場です。
(問)締結の為には国内法の整備が必要だという立場でしょうか。
(報道官)そういう立場です。
(問)今日、麻生外務大臣が国会の委員会の場で、核保有を巡る議論について、大臣は従来からお考えを示しているように、議論自体は容認するというお立場のようですが、一方で、防衛庁の久間長官は、議論すること自体が、そういう議論が高まっているという誤解を与えかねないということで、慎重な姿勢を示しているのですが、外務省としては、核保有議論にはどのような姿勢で臨むお考えなのでしょうか。
(報道官)日本の核保有の問題については、国内でも、海外でも関心を持たれている状況にありますが、総理ご自身が公の場で何度も「日本政府として、非核三原則を堅持するとの立場に変わりはない」と明確におっしゃっていますので、外務省の立場は、これ以上に、本件について申し上げることはありません。
(問)今日、ライス米国務長官が来日して、これから外相会談を行うと思うのですが、改めて、会談の狙いをお願いします。
(報道官)国連安保理決議1718の採択を受けて、二つの重要なポイントがあるかと思います。一つは、北朝鮮に関わる制裁措置について、これを着実に実施していくことについて、各国間での情報交換と言いますか、意見交換、連携、調整の必要がありますので、そのことについて話し合いをすることです。また、同じく国連決議の中で、北朝鮮の諸懸案を外交的、平和的に解決していくための努力が求められていますので、六者協議の早期再開に向けて取り得る方策などについても意見交換をすることになります。
(問)米国のテレビ報道ですが、北朝鮮は複数回核実験をするつもりだという意向を中国側に伝えていたのではないかという話がありますが、日本政府としての認識はどのようなものなのでしょうか。
(報道官)これは官房長官もお答えしておられると思いますが、北朝鮮の核実験については各国と様々な情報交換をしているわけですが、その内容については、インテリジェンス情報でもあり、ご紹介することは控えたいと思います。他方で、一般論として言えば、過去の他国の核実験の事例等を見ますと、複数回の核実験をしていることもあり、あくまで一般論ですが、そういう事態も有り得ると考えておくべきかと思います。
(問)トルコでの邦人バスツアーの事故ですが、雨が降っていてスリップしたのではないかということですが、その後、事故原因等、情報は何かございませんか。
(報道官)その件については、現地で状況の調査が行われていると聞いており、情報収集中です。今の段階でこれまで報道されていることに加えて私の方からご紹介できる新しい情報はありません。
(問)北朝鮮に対する制裁決議の中で、「ぜいたく品の禁輸」というのが入っているのですが、「ぜいたく品」というのはどういうものをイメージしていらっしゃるか、教えて頂けますか。
(報道官)まさに、「ぜいたく品」の中身、定義については、これから各国と調整をしていかなければいけない事項であると思っています。一般的な意味での「ぜいたく品」というものの定義は難しいと思いますが、今回は北朝鮮を念頭に置いて、何を「ぜいたく品」とするかについて、関係国と調整を行っていくことになると理解しています。
(問)船舶検査がどこまでできるのかなど、色々なテーマがあると思うのですが、日本としての方針というのはどうなっていますでしょうか。
(報道官)貨物検査の問題については、安保理決議の中で、各国それぞれが国内法令に従って判断し、協調した行動を取ることとされています。日本についても、対応を検討中です。
(問)明日、ライス米国務長官が来日するわけですが、日米外相会談の内容はどうなりますでしょうか。
(報道官)北朝鮮に対する安保理決議1718の採択を受けて、各国とも決議に盛り込まれた措置の実施に移っていく段階にありますので、それぞれ取るべき措置について意見交換、調整を行うことになるだろうと思います。また、決議そのものの目的は、北朝鮮の問題の解決に向けて動いていくことですので、その中で六者協議の早期再開といったことについて、どのような手立てがあるのかをめぐり意見交換が行われるだろうと思っています。
(問)ライス米国務長官の歴訪にあたり、麻生大臣が韓国で合流して三者の外相会談を行うというのは、ある種、異例だと思うのですが、敢えて麻生大臣がソウルに行って三者会談を行うという意味は、外務省としてはどう受け止めているのでしょうか。
(報道官)安保理決議1718の採択を受け、関係国間の連携と協調した行動が重要な段階を迎えております。そうした中、もともと、麻生大臣は韓国側と意見交換の機会を持つことを希望しておられましたので、この重要な局面に当たり、ライス米国務長官がソウルに行かれるということであれば、その機会に三カ国で今後の対応について意見交換、協調行動に向けての協力について話をしようということだと思います。
(問)午前中に、麻生大臣が委員会で核実験について、今日中に2回目の核実験が行われるとの情報を入手しているという発言をされました。これは、今日中にという具体的なそういう情報が実際にあったのかどうかということと、また、その2 回目以降の実験があるのかどうかということについてのお考えをお聞かせ頂けますか。
(報道官)北朝鮮による核実験の実施についての発表を受け関連情報については、鋭意、収集・分析を行い、事実関係の把握に全力を挙げております。ただ、個々に入手している具体的な情報については、事柄の性質もありますので、私の方から申し上げるのは差し控えたいと思います。
(問)安保理での制裁論議の中で、臨検というのが一つ大きな話になっていますが、日本政府として臨検というのはできるのかどうか、教えてください。
(報道官)現在、安保理における実務者レベル会合、あるいは非公式協議という形での、大使レベルの協議が重ねられています。その中で、具体的にどのような措置を取るべきかについては、様々な意見が出ていますし、我が方としては、議長国という立場で全体の調整にあたっております。ただ今、安保理の場で、臨検という話が出ているというご指摘があったのですが、具体的にどういう措置を取るべきかという議論の中での個々の理事国の意見については、安保理の秘密会の申し合わせにより、私の方から確認することはできません。ただ、一般論として、臨検という措置が、そもそも我が国において制度的に可能なのかということであれば、これはご案内の通り、船舶検査法という法律があり、また、周辺事態法というもう一つの法律もありますから、そうした法律の中で何ができるのかできないのかということを考えなくてはいけない事柄だと思います。これはあくまで一般論として申し上げたわけで、個々に、安保理においてどのような議論がなされているのかということについては、なお協議続行中ということでありますし、現地時間10日の時点で引き続き協議を行うとことになっており、11日、日本時間ですと今夜、改めて実務者レベル、そして大使レベルの非公式協議で検討が続行されると聞いていますので、その中身を更に見極めていくということになろうかと思います。
(問)臨検にも、できる臨検、できない臨検があるということですか。
(報道官)理論上どうなのかということであれば、その点を含め、検討が必要と思います。
(問)安保理協議ですが、中国が制裁に理解を示してきていますが、まとまる見通しというのは。
(報道官)ご案内の通り、安倍総理が先般、中国・韓国を訪問したわけですが、中国においても、北朝鮮による核実験の問題について、強い懸念を表明していますし、国際社会として強い対応をする必要があるという認識を共有することができております。その他、主要な安保理理事国との外相レベルでの電話会談も重ねられており、大きな方向としての認識、つまり、北朝鮮の今回の発表を受けて、安保理として毅然とした対応をする必要があるという点については、基本的には認識の一致があると思っております。ただ、具体的な措置をどうするという議論に当然入った段階では、それぞれの理事国によって立場の違いもあろうかと思いますので、その点を、議長国という立場を踏まえ、意見の一致をできるだけ早く見いだせるように努力していくということを、現時点では申し上げておきたいと思います。
(問)安保理の対応と、日本独自の制裁が検討されています。これは、要するに、核実験であったという確認ができない状態では、核実験をしたという声明を出したということについての制裁の議論という立場ですか、日本政府は。
(報道官)日本独自に今回の事態にどう対応するかということと、国連の場でどう対応するかという2点についてですが、先ず、国連における対応については、日本もそうですし、米国もそうだと思いますが、基本的には、あれが核実験であったのか否かについてはまだ確認をしておりません。ただ、昨日も申し上げましたとおり、核実験を行い、それが成功したと北朝鮮が発表したこと自体、極めて重大なことであると各国とも受け止めており、すべての理事国がその認識を共有した上で、現在、作業が行われていると理解しております。むろん、各国とも事実関係の把握に努めている訳ですが・・・。我が国独自の対応はどうかというお尋ねですが、我が国においては、事実関係の把握に努めるという点では同じですが、事実関係全体を含め、特に核実験を行いそれに成功したのだという発表自体が極めて重大なことであるという前提で、強い措置を取るべしという総理の指示を受け、現在検討がなされています。その上で、事実関係を踏まえつつ、総合的な判断をするというのが、我が方の現在の立場です。
(問)北朝鮮の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が、今日、平壌で共同通信と会見をし、核実験継続に関して、米国の政策動向に関連するという言い方で、米国の出方次第だというような認識を示したのですが、この北朝鮮側の姿勢について、どう受け止められていますか。
(報道官)まず、中身に触れる前に一つ申し上げたいのは、ご案内の通り7月5日以降、政府が我が国から北朝鮮への渡航の自粛を要請してきたわけであり、これを無視するような形で、今回、2名が北朝鮮を訪問したということについて、遺憾の意を表明したいと思います。その上で、中身についてのお尋ねでしたが、北朝鮮の核の問題について、日本政府そして国際社会は国連の安全保障理事会において、累次にわたる決議を採択して、決議1695の履行、六者協議への早急なる復帰を強く求めております。従って、先ずは、これら安保理決議をきちんと履行すべしということが前提であります。金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長の個々の発言について、今コメントすることはありません。ただ、今回、核実験を行ったという北朝鮮の発表が事実だとすると、平壌宣言に違反するわけで、極めて遺憾だと言わざるを得ません。日朝平壌宣言については、全体として履行することが、北朝鮮との間の諸懸案を解決し、日朝の関係を前進させる上で、最も効果的だと考えています。その上で、引き続き北朝鮮が日朝平壌宣言で確認した諸事項を誠実に履行するということを、強く求めていくのが日本の立場です。
(問)北朝鮮の2回目というのは、現段階でも特に政府として把握はされていませんか。
(報道官)様々な情報の収集、事実関係の把握を含め、現在、関連する諸機関、省庁が活動をし、国際的な情報収集も実施しているわけですが、2回目の核実験があるのかないのかという点も含め、これまでどういう情報が得られているのかということについては、事柄の性質もあり、私の方から申し上げるのは控えておきたいと思います。
(問)来週、日ソ共同宣言から50周年ということで、日露国交回復から50周年ということになるわけですが、改めて、現在の日本としての国交回復から50周年ということに対する見解と、共同宣言では、領土問題に関して、歯舞、色丹の2 島返還を謳っているわけですが、それに対する現在の評価を教えて頂けますか。もう一点、それに関連して、安倍政権が誕生し、日露首脳会談の検討は始まっているかと思うのですが、現在、いつ頃できそうかという見通しについても教えてください。
(報道官)対ロ関係については、安倍総理御自身が、就任直後の記者会見、あるいは国会での演説等におきましてその重要性に触れておりますが、ロシアは大事な隣国で、関係発展の可能性を大いに秘めているにも拘わらず、平和条約の締結に至っていないという現在の状況については、大変残念であると思っております。これまで日露行動計画に基づいて、幅広い分野で、日露関係の進展に努めておりますが、残念ながら、領土問題については解決に至っていない、平和条約が締結されていないという状況です。今後、両国間で信頼関係を築いていく努力、パートナーシップを構築する努力を更に行っていきたいと思っております。領土問題については、日露間の最大の懸案であり、これを解決すべく、粘り強く取り組んでいく所存です。日ソ共同宣言50周年のご指摘でしたが、領土問題の解決にあたっては、これまで合意されてきた諸文書がベースになる訳であり、その中に日ソ共同宣言があるわけです。これらの日ソ間の文書を踏まえ、領土問題の解決に粘り強く取り組んでいく必要があろうと思います。
(問)日ロ首脳会談は。
(報道官)日ロ首脳会談については、そのような話が今、具体的にあるとは承知していません。
(問)北朝鮮の核実験の分析状況についてお願いします。
(報道官)9日に北朝鮮が核実験を行ったという発表をしたことを受け、国際的に様々な情報が出てきています。私どもも独自の手段も含め、事実関係の把握、情報収集・分析を行っているところです。ただ、その一つ一つについて、ここでコメントするのは控えたいと思います。
(問)実験の確定には至っていないということでしょうか。
(報道官)引き続き、事実関係の確認作業を継続している段階です。
(問)国連安保理で、実験の発表を受け、非難決議案の検討等に入られているかと思うのですが、決議案の成立についての見通しは今どうでしょうか。
(報道官)今回の北朝鮮の核実験の発表を受け、安保理で実務者レベルの会合が開催されております。現地時間の9日に会合を行い、引続き10日、すなわち日本時間で今夜から、実務者レベルでの協議を継続することになっています。我が国としては、今回の事態を受け、出来るだけ早く毅然とした強い措置を決議の形で採択すべきであるという立場に立ち、関係国と協議を行っていきます。従って、決議案がどういうものになるのかについては、今後、話し合いを続け、出来るだけ早く一致を見出したいと思っていますが、現時点でその内容については何とも言えません。我が国は議長国という立場ですので、各国の意見を聞きながら意見の一致を目指したいと思っています。
(問)日本は、単独制裁の計画にも入っているかと思うのですが、あくまで国連安保理の決議の方を優先して進んでいくということになりますでしょうか。
(報道官)先ず事実関係の把握ということがあり、当然、それを踏まえた上でという前提ですが、日本として今回の事態に対応するための措置というものが検討されていますし、国連での制裁を含む措置についても、いわばこれと並行して進むという状況です。従って、国連の場で議論された措置と、独自に今検討している措置が重なる部分もありますし、場合によっては、国連での決議の中に盛り込まれるであろう措置とは重ならないこともあるかもしれません。いずれにしても、現地時間で10日、引き続き実務レベルで話をしていくという状況ですので、その状況を見極める必要があります。
(問)事実関係が確認できなければ単独の制裁には入らないということですか。
(報道官)ご案内の通り、7月に安保理において決議1695が採択され、北朝鮮に対して核の問題に対する国連安保理としての強い懸念を伝え、この決議の履行を求め、そして、六者協議に復帰するようにという立場を伝えたわけですが、それにも拘わらず、今回のような(核実験を行ったという)発表が行われたということについては、それ自体が非常に重大なことであると受け止めています。従って、事実関係が確認できない場合には何もしないのかというお尋ねであれば、そもそも今回の発表自体が極めて重大なことだという思いで、現在対応を検討していると申し上げるべきかと思います。
(問)今日、北朝鮮の核実験に関する省内の対策本部は、いつ頃開かれて、どういう方針になったのでしょうか。
(報道官)本日は二度、対策本部の会議がありました。早朝と夕刻です。そこでは事実関係についての情報の分析を行い、また、安保理でどのように対応していくかということについて、議論が行われております。
(問)そこで決まった方針みたいなものはないのでしょうか。
(報道官)今後どういう形で事態が展開していくのかを確認しつつ、日本としての取り組みについて話をしているところです。方針はどうかということについては、説明は差し控えたいと思います。
(問)当面、一日二回は開催されるのですか。
(報道官)原則として、午前と午後に1回ずつということで考えていますが、様々な行事が同時並行して行われていますので、その辺も勘案しながら、場合によっては、会合を見合わせるということもあり得ます。現時点では、都合のつく限りにおいて、午前と午後の1回ずつを原則とする、というように御理解下さい。
(問)イランのアザデガン油田ですが、イラン側が打ち切りとし、日本は契機を失ったという報道が出ていますが、日本側の受け止めは。
(報道官)私どもも現地からの報道を通じ、関係の責任ある立場の方から、アザデガンにおける日本の立場に関し、機会を失ったのではないかという発言がなされていることは承知していますが、他方で、同じ責任者の方の発言の中に、なおその交渉は最後の段階だとも述べられておりまして、交渉自体を否定しているわけではないのではないかと思っております。基本的には、商業ベースの話ということではありますが、なお話し合いが続いていると理解しています。
(問)イランの政府から日本の政府に何らかの話が来ているということはないのですか。
(報道官)政府から政府へという形で連絡があったとは聞いておりません。
(問)先月末に、横須賀で米国の原子力潜水艦が出航した際に海水から放射性物質が検出されたという事案があったと思うのですが、この時に、外務省が、在日米国大使館を通じ、米側に事実関係を依頼しているのですが、仮定の話で恐縮ですが、仮に同じような事態がもう1回別に判明した場合、外務省としてはどのような対応を取るのでしょうか。
(報道官)同じような事案が再度発生した場合という、いわば仮定のお話ということでは答えにくいのですが、ご案内の通り、今日、調査を依頼した米側から調査結果なるものの報告がありました。それによると、原子力潜水艦ホノルルからの放射性の液体物質については、米側の調査結果として、意図的あるいは不慮、いずれのケースにおいても放射能の排出は一切なかったという事実を確認したという報告を伺いました。他方、日本側においても、専門家のチームが独自に調査をしたわけですが、それによっても、その後の調査においては、いずれの調査対象のサンプルからも放射性の物質は検出されなかったという結果が出ています。そうした調査結果を総合しますと、今回、ホノルルから懸念を抱かれたような放射性物質であるコバルトが排出されたということは断定できないという状況であると承知しています。特に、今回、米国は、私どもの方からの調査依頼を受け、非常に迅速に、今回の調査結果を日本側に連絡すると共に、公表しています。できるだけ透明性を確保して、今回の事態に対応しようという米側の姿勢そのものも評価して良いのではないかと思いますし、当初、発表されたコバルトの量についても、環境上あるいは人体に対するものとしても、その影響は極めて微少であると承知しています。今後類似の事態があったらというお話しでしたが、むしろ、そうならないように、きちんと米国においては安全性の保障といいますか、これまでどおりのチェックというものを厳格に実施して頂くということで、引き続き米国側に働きかけを行っていきたいと思っています。
(問)北朝鮮の核実験宣言に関係して、今、日本政府は米国などと国連の場で何らかのステートメントを出すということで努力されていると思うのですが、これは議長声明というランクにあくまでも拘っているという理解でいいのでしょうか。
(報道官)プレス・ステートメント、或いは議長声明、それぞれ異なる形式ではありますが、日本側の立場は、形式がどうあるべきかというよりも、できるだけ早く国際社会としての一致した立場を強い形で伝えるということが大事であるという観点に立って対応しています。現在、議論が続いている状況ですので、最終的な姿が議長声明という形になるのか、或いはプレス・ステートメントになるのか、それは今後の議論を待つ必要があると思います。いずれにしろ、形式、様式を巡って時間をかけるよりは、日本は議長国でもありますので、できるだけ速やかに安保理全体の意見を取りまとめ、速やかに声明という形で共通の立場を明らかにすることが大事であるという思いで臨んでいます。
(問)当然、報道声明よりは議長声明の方が、格というか、重みが上だと思うのですが、敢えて、格を落としても早い方が重要だという理解でよろしいのでしょうか。
(報道官)格が落ちるという点については、必ずしも強い拘りを持っているわけではありません。安保理においては、決議を採択する、特に第7章に言及するという場合には、格段に重みが違うわけですが、今回の場合には、議長声明か、或いはプレス・ステートメントか、という声明の形式の違いの部分に拘るべきであるとは思っていません。現在の事態の緊急性に鑑みますと、できるだけ早く安保理として意見を表明することが大事であるし、議長という立場にもありますので、できるだけ全体の意見を取りまとめる努力をしていきたいと思っております。
(問)今、緊急性とおっしゃっていましたが、北朝鮮の動き等については、何か兆候等は、情報収集、入手されましたでしょうか。
(報道官)新たな事態の展開があるということはありません。昨日申し上げたとおりですが、私どもは、十分に情報収集・分析を行い、状況を見極めていくという態勢を取っています。引き続きそのような形で、今後の事態の推移について、重大な関心、懸念を持って注視していくという状況です。
(問)日中、日韓首脳会談の日程が発表されましたが、例の北朝鮮の核実験声明が両首脳会談にどのような影響を与えるか、受け止めをお願いします。
(報道官)ご案内の通り、核実験を行うという北朝鮮の声明については各国において重大な事態と捉えられており、特に東アジアの平和と安定という観点からは大きな脅威であると受けとめられています。今回、総理の中国、韓国訪問にあたっての首脳会談では、最重要課題の一つとして協議されると思っています。
(問)日中首脳会談が行われる8日は、中国の共産党の六中総会の初日なのですが、日程的にはどうはまるのでしょうか。この時期に行われる意味は背景的にあるのでしょうか。
(報道官)ご案内の通り、総理は就任後出来るだけ早く近隣の中国、韓国両国を訪問したいという気持ちを強く持たれ、両国と日程の調整をした結果、今日発表した日程になったということです。中国側の内政上の事情など色々あるかと思いますが、中国政府としてはこの日で受け入れられるということだと理解しています。
(問)北朝鮮の核実験の危機レベル、状況分析というのはどのぐらいにあるかという新しい情報はあるのでしょうか。
(報道官)北朝鮮における様々な動きについては、日頃から情報収集、分析をしています。今回の核実験声明に関連してという趣旨の質問であれば、個別具体的にどういう状況にあるということを申し上げるのは控えたいと思います。ただ、本日午後の官房長官の会見でも申し上げたと思いますが、差し迫った状況があるかと問われれば、そういう状況は承知していないということです。
(問)政府は北朝鮮が実際に核実験が出来るかどうかという能力についてどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
(報道官)北朝鮮の能力についての判断について、今ここで述べるのは適当だとは思いません。ただ北朝鮮があのような声明を出しているということからしますと、先方は少なくともそういう意図、能力を持って、立場を明らかにしたと受けとめるべきかと思います。
(問)先程、北方領域で拿捕されていた坂下船長が解放されて記者会見をしまして、その中で、領海侵犯も密漁もしていない、中間ラインは越えていないということを述べられました。ということは、逆に、ロシア側が日本側の中間ラインに入ってきたということになりますし、他の密漁等に関しても、真偽の辺りというのが非常に怪しくなってくるのですが、それについては、今後、外務省はどのような対応を取られるお考えですか。
(報道官)坂下船長の記者会見の中身について、私自身は未だ詳細を承知していませんが、いずれにしろ、船長が戻られた時点で、事実関係の詳細について伺おうと思っていましたので、これから、ご指摘になられたような点も含め、拿捕・銃撃を受けた時点での状況というものを、海保も含めた関係当局の方で詳細を聞き取るということになるかと思います。その上で、政府としての対応を新たに検討していくということになろうかと思いますが、それと併せて、何度もこの場でも申し上げていますが、船体が今回引き渡されなかったということについては非常に残念であると思っています。この点については、引き続きロシア側に船体の引き渡しを求めていきたいと思っています。また、再発防止の問題があり、これについては、1998年の操業枠組み協定について、これを引き続き堅持するということではありますが、その枠組みの下で、安全かつ安定的な操業を互恵的な形で発展させていくために、ロシア側との間で協議をする機会を持ちたいということで、ロシア側に今、申し入れを行っているという段階です。併せて、取り締まり当局同士の協力という点についても、これを一層強化していきたいということで、同じように、当局同士の協議の場をできるだけ早く設けたいと、ロシア側に申し入れを行っています。
(問)今回の事件に対する現在の外務省の対応というのは分かったのですが、新政権になったことで、今後の対ロ外交というものの大枠といいますか、大きな交渉の枠組み作りといいますか、そういうものにはどういう風に取り組まれていくお考えですか。
(報道官)ご案内の通り、安倍総理ご自身が、記者会見の場あるいは国会での演説の中で、ロシアについて、重要な隣国であり、その関係を発展させていくために努力をしていきたいということをおっしゃっています。当然、北方四島の帰属の問題というものを抱えていますので、この問題についても対ロ関係という大きな枠の中で話し合いを行っていきたいと思っています。
(問)北朝鮮が、朝鮮通信で、核実験を実施するという声明を発表したということなのですが、その事実関係を外務省として今どのように把握されているか、また、それに対する対応をお聞かせください。
(報道官)北朝鮮の核実験に関する声明というのは、(今この時点で)私自身は承知していません。また、私どもは北朝鮮の状況について、様々な情報収集・分析を行っていますが、にわかにそのような動きがあるとは承知していません。