(問)今朝、日韓で電話による首脳会談があったかと思うのですが、そのブリーフを、官邸の世耕補佐官がされました。これまでは、総理の会談は外務省でブリーフされていたと思うのですが、今後は官邸の方で一括してやるということになったのでしょうか。
(報道官)官邸で行われる外交上の諸行事のブリーフを、官邸でするのか、あるいは外務省でするのかということについて未だ確立されたルールはありません。通常、電話による会談の場合には、外務省の記者クラブ、官邸のクラブ双方で、貼り出しという形でお知らせするのですが、今回の場合は、話の中身もあり、世耕補佐官の方から官邸で説明をしますというお話を頂いたものですから、そのように実施されたということです。過去の例を見ますと、首脳会談が官邸で行われたとき、外務省の方で、担当の課長あるいは局長がブリーフしたケース、官邸の方に外務省の者が伺ってブリーフをしたケースと、まちまちな状況です。今回、広報担当の総理補佐官ポストが設けられたことによって、官邸で行われる外交行事のブリーフをどうしていくかについては、官邸の方とも相談していきたいと思います。多少のバリエーションと言いますか、必ず一定の決まった形という風にはならないかもしれませんが、相談しながらやっていこうと思います。
(問)確認ですが、今まで官邸側で首脳会談のブリーフを行うということはあったのですか。
(報道官)私の知る限りですと、森内閣当時、官邸の方へ外務省の者が伺って、ブリーフを行うということはありました。
(問)官邸のスタッフによってというのはあるのでしょうか。
(報道官)今回、広報担当の総理補佐官というポストが新たに設けられたことを受けて、官邸でブリーフしましょうという話があり、それではお願いしますということになった次第です。
(問)昨日の報道各社のグループ・インタビューで、大臣が、北方領土問題について、3島返還での解決という意見を出されましたが、この大臣発言の狙いと、3島返還と具体的に省内では検討されているのか、それをお伺いしたいと思います。
(報道官)大臣が、昨日のグループ・インタビューの中で、北方領土の解決について、ものの例えという形だったと思いますが、「2島でも駄目だし4島も受け入れられないということなら3島か」というような言い方をされたのですが、これまでの日露間のやりとりとして、昨年11月のプーチン大統領訪日の際の首脳会談、あるいは今年7月のサンクトペテルブルクでの日露首脳会談において、領土問題については、日本とロシア双方にとって共に受け入れられる解決策を見出すために努力していくことで一致を見ているわけです。まさに、この、「共に受け入れられる解決策を模索する」ということを、大臣が言葉を換えて、一つのたとえとして先のような表現で言われたのだと理解しています。従って、3島解決案なるものが公式に検討されていることはありません。ただ、前にもこの席で申し上げたと思いますが、今月プーチン大統領が諸外国の有識者と懇談をした中で、非常に積極的に北方領土問題の解決について語られたということについては、私どもも注目しています。安倍総理ご自身も、会見の席でロシアとの関係については、日本として非常に重要なものと考えているということをおっしゃられていますように、新政権は領土問題も含め、対露関係について積極的に取り組んでいくという判断でいます。ただ、改めて申し上げますが、3島解決案なるものが公式に政府内で検討されているという状況にはありません。
(問)夕刊で潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官が、通信社とのインタビューで、日韓首脳会談に向けて前向きな発言をされていたのですが、通常の正式な外交ルートでそのような意向というのは伝えられているのでしょうか。
(報道官)日韓間の関係をこれからどのように発展させていくかということについては、色々なレベルで話し合いが行われています。ご案内の通り、谷内事務次官が韓国を訪問した際、先方の事務次官と話をする機会があり、海洋調査のことが主たる話題ではあったのですが、日韓関係全般についても幅広く意見交換をしております。日韓双方は、様々な機会、あるいは外交ルートで話をしています。実際、韓国・中国を含む東アジア諸国との関係を重視し、関係発展を図っていくということは、安倍新総理ご自身が昨日明らかにしているところですし、そういう大きな方向性の中で、引き続き話し合いをしていくということになると思います。ただ、現時点で何か、具体的に首脳会談の段取りが話し合われているのかというご主旨であれば、今はそういう段階にはありません。
(問)一部報道なのですが、ロシアの首相が年内にも来日するという調整が行われているということなのですが、事実関係はどうなのでしょうか。
(報道官)ロシアのフラトコフ首相の件ですが、昨年の11月に、プーチン大統領が訪日されて、小泉前総理と会談されたときに、政治レベルの交流として、同首相の訪日について、実現に向けて話し合いをしていきましょうということが、話し合われております。それ以降、具体的な訪日の日程、段取りについて協議してきてはいますが、現時点で具体的な日取りが固まっているという状況にはありません。引き続き、調整を図っていくという段階です。
(問)一応、年内の実現を目指しているのですか。
(報道官)年内も含め、そういう段取りになるかどうか、まだ確たる見通しが立てられる状況にはありません。
(報道官)冒頭、外務省のホームページの新しいコンテンツを紹介させて頂きます。9月22日から、外務省のホームページの中に、新しく「チャレンジ41カ国語~外務省の外国語専門家インタビュー」ということで、外務省の外国語専門家のインタビュー等を掲載することになりました。これは、外務省で世界41の言語の専門家を育成している状況を紹介しようということで、それぞれの専門家から、専門語あるいは研修地・勤務地に関する思いなどをインタビュー形式で語って頂くというものです。基本的に、外務省の業務に対する理解を深めて頂くということが目的です。
(問)タイのクーデターの件ですが、今何が起こっているのかという政府としての現状認識と、なぜ起こったのかという分析と、日本政府としてどのように対応していくのか、この3点についてお願いします。
(報道官)背景等については、色々なことが語られていますし見方があるわけですが、基本的に、タクシン政権に対する不満があり、それが今回、首相の外国訪問という機会にクーデターという形で表れたということです。ご案内の通り、タイにおける先の選挙を巡って、選挙をやり直すべしという判決が出されるといった事態があり、選挙のあり方等について混乱したところがあったわけです。今回、軍の関係者によって国家の統治権が奪われる、そして、憲法あるいは内閣の機能が停止するといった事態となっていることについては、これを事態を憂慮しますし、残念であると思っております。外務大臣の談話でも発表した通り、日本としては、速やかに状況が正常化すること、更に、民主的な政治体制が速やかに回復されるということを、強く期待しております。なお、邦人の安全については、本日、渡航に関する情報、スポット情報を発出し、タイに滞在する邦人及び渡航を予定する邦人の方々に対し、注意喚起の呼びかけをしています。特に、バンコクの危険度を、従来の「十分注意してください」というレベルから「渡航の是非を検討してください」としていますので、邦人の方々については十分注意をして頂きたいと思います。
(問)自民党の総裁選が終わり、麻生外相が国連総会並びにその国連総会の場で予定されている北朝鮮を巡る多国間協議に出るか出られないかということがまだ確定になっていないのですが、その点に関してはいかがですか。
(報道官)大臣は出席されません。今回の選挙の結果を受けた上で、改めて大臣と相談したところ、今回の国連総会に行くことはできないということでした。現在、西田外務審議官がニューヨークにおり、一連の会合には西田外務審議官が出席することになると思いますし、国連総会での演説については、大島大使が行われるという段取りになります。
(問)過去、3回ほど大臣が行かれなかった記憶があるのですが、過去いずれも、天皇のご病状であったり、日中国交正常化の大詰めの交渉があったりという経緯がありますが、今回そういった理由というのはあまり見受けられないのですが、各国の要人が集まった、国益といったら変ですが、色々な会談などができる絶好の機会だと思うのですが、それに出られないというのはどういうことでしょうか。
(報道官)ご案内の通りの国内的政局の中で、大臣自身が判断されたということです。ご指摘のように、ニューヨークにおいて、各国から外相、首脳が来て、いくつか、中東あるいは北朝鮮について話し合う場もありますし、G8の会合、あるいは安保理の閣僚会議も行われますので、私どもは、大島国連大使並びに西田外務審議官によって、適宜対応していくことになります。
(問)日本は、かねてから安保理の常任理事国入りというのを悲願としているわけですが、そういった場で、絶好の、政治レベルの要人が行ってスピーチをするなり、各国代表が会ったりする機会だと思うのですが、そこについてのご判断というのは大臣はされたわけですか。
(報道官)国内的な状況全体の中で、あるいは国際的な状況に照らしつつ、総合的に判断した上で、可能な対応をしていくということです。今回については、大臣自身の判断として、ニューヨークに行くことはできないという状況ですので、その中で、外交上不都合がないように、最善の対応をしていこうと思います。
(問)それは、大島大使なり西田外務審議官が各国に説明するということですか。
(報道官)日本の代表として、既に出席を予定している、あるいは期待されている場がありますので、そういう席において日本の立場をきちんと述べて頂く、必要な対応を取っていくということになります。
(問)G8とか安保理の閣僚会合、一連の会合日程の予定は。
(報道官)国連では、各国外相レベルで集まる予定がいくつかあります。中東情勢、イランに関する事案、あるいはレバノン・パレスチナ情勢に関すること、北朝鮮の核問題等について、既に開催が、確定しているもの、あるいは現在調整中の会合等があります。ここで全体像をお話しすることはできないのですが、これらの機会を利用して、一連の外交事案について関係国の大臣が集まって協議をしましょうという計画が取り進められているという状況です。
(問)西田外務審議官が外務大臣の代理ということになるのですか。
(報道官)先程申しましたように、総会での演説というものがありますので、それは大島国連大使ということになるかと思いますし、その他個別の外交事案についての会合については、基本的には西田外務審議官が出席するものと考えています。
(問)大島大使の演説は何日くらいに予定されていますか。
(報道官)それについては、確定したという情報は持っていません。ご案内の通り、外務大臣ではなく国連大使が演説を行うこととなった場合には日にちが違ってきますので、新たに大島大使について、これから日にちを確定するということになります。
(問)では22日以降になるのですか。
(報道官)そうです。
(問)北朝鮮に対する多国間会合がその22日に開かれるとなっていますが、開かれた場合には西田外務審議官が出席するのですか。
(報道官)そうなると思います。
(問)多国間会合については、正式にやるというような話しでしょうか。
(報道官)出席国を含めて、最後の調整が行われているところと承知しています。
(問)宮腰農水副大臣が、先日台湾を訪問して、陳水扁総統と会談したと報告されました。外務省では、以前、公務員の台湾出張に関する内規があって、課長以上は禁じられていたけれどもその後改正されて緩和されたと聞いていますが、現在、そういう内規があるのか、もしあればどういった内容なのか教えて頂きたいと思います。
(報道官)宮腰農水副大臣の台湾訪問の件については、公務ではなく私的な訪問であるということですので、それ自体について政府としてコメントすることはありません。今ご指摘がありました政府関係者の台湾出張ですが、台湾関係については、日中共同声明に従い、非政府間の実務関係として維持するというのが基本的な原則となっています。その実務関係を取り進めていくにあたり、我が国政府と台湾当局との間のパイプの役割というのは、日本側の交流協会と台湾側の亜東関係協会が果たすというのが原則となっています。ただ、実務関係を取り進めていく上で、我が国の政府が関与することが必要な場合、あるいは必要な問題が生じ、そのために政府職員が台湾へ赴かざるを得ないという状況が近時益々増えてきているという状況にあります。ご指摘の点ですが、まさにそういう状況に鑑み、交流協会あるいは民間機関のみに委ねては遂行ができないというような専門的あるいは技術的な職務を目的とする場合に限って、我が国政府関係者の台湾出張に関しては、原則としてこれを認めるということになっています。内規という話がありましたが、私どもは、専門的、技術的な用務に応じ、対応していくというのが、今の基本的な考え方です。
(問)課長級とか何級というのは関係なくということですか。
(報道官)専門的、技術的という事柄から、自ずからある種のレベルが出てくるかと思いますが、内容に応じてそこは柔軟に対応していくという立場です。
(問)今回、副大臣には政府の関係者というのは同行されているのでしょうか。
(報道官)私的な訪問ということでしたので、政府の関係者が一緒に行ったということは聞いていません。
(問)ロシアのプーチン大統領が、9日にロシア専門家の人たちを集めて意見交換した際に、北方領土問題に関連して「双方の妥協で解決したい」とかなり意欲的な発言をされているのですが、日本政府としてこれをどう受け止めて、どう対応していく考えなのかお聞かせください。
(報道官)ご指摘のプーチン大統領の発言というのは、通常、ヴァルダイ会議と呼ばれている、有識者、専門家の方々との意見交換の会議の席上でのものと承知しています。
青山学院大学の袴田先生の方からその時の発言を伺うことができているわけですが、ご指摘の、北方領土問題に関するプーチン大統領の発言というものは、私どもも注目しています。昨年の11月の日露首脳会談で、北方領土の問題に関して、日露間に意見の相違はありますが、その溝を乗り越え、これまでの日露間の合意、あるいは諸文書に基づき、両国が共に受け入れられる解決策を見出す努力を行うということで一致しているわけです。更に、ご案内の通り、去る7月のサンクトペテルブルクにおける日露首脳会談でも、領土問題に関する交渉を活性化させるということで認識が一致しています。そういうことを背景として、今回のプーチン大統領の発言というものは、今後の領土交渉を加速化させるという両国共通の認識を確認したものという風に受け止めており、それとして私どもも評価しているということです。
(問)中国の新華社が、国内で外国の通信社が記事を配信することを規制するような規則を公布しましたが、それに対して米国、EUからも大きな圧力が出ていますが、日本政府としてこの方針に対する立場を。
(報道官)外国通信社の配信に対する管理規則に係る報道がなされていることは承知していますが、現時点で、事実関係について詳細を把握しているわけではありませんので、具体的な中身について、今コメントすることはできない段階です。ただ、一般論として言うと、報道の自由ということに関しては、基本的権利として当然尊重されなければならないと思っています。そういう我が国の考え方に立ち、今回の中国国内の動きについては、当然、関心を持って注視しています。
(問)詳細は把握されていないということですが、新華社の方で言い出しているわけですが、それで詳細を把握されていないというのは、どういった詳細を把握されていないということですか。
(報道官)私どもは、配信に関する新たなルールについて、報道されている範囲でしか承知しておりません。それが具体的にはどのような規制として適用されようとしているか、その詳細について注視していかなくてはいけないという趣旨です。
(問)昨日の、日韓外相電話会談の事実関係についてはどうなのですか。
(報道官)昨日、韓国の外務大臣の方から麻生大臣に電話があったと聞いています。その中で、今回の放射能調査に関する話し合いの結果を受けて、満足する結果が出てよかったという趣旨の、非常に短い電話であったと聞いています。大臣の方も、その結果については満足しているという趣旨でご連絡をされたということで、特に発表なされなかったということです。
(問)電話があったのは昨日の夜ですか。
(報道官)昨日の昼前と聞いております。
(問)今月22日に日中総合政策対話があるという報道がありますが、事実関係は。
(報道官)現時点で、次の総合政策対話の日取りが決まっているとは聞いていません。調整中の段階だと思います。
(問)今回の、調整されている日中総合政策対話なのですが、主なテーマは何になりますでしょうか。
(報道官)通常、総合政策対話のときにはあまり細かく議題を定めていないと聞いていますので、その点も含め、今回どうするのかということを中国側と話している段階だと承知しています。
(報道官)冒頭、私から一点ご紹介があります。現在、外務省外交史料館で「幣原外交の時代」という展示会が、8月はじめから年内いっぱいの期間行われています。その中で、来週金曜日、9月15日に、著名な専門の学者の方の参加を得て、パネルディスカッションが企画されています。特に、基調報告ということで、対象期の外交を専門にしておられる、東京女子大学の黒沢教授の報告、また、一橋大学の細谷千博名誉教授などに参加して頂きます。ご関心があれば、是非ご参加頂ければと思います。
(問)今、ソウルで行われている次官の戦略対話ですが、まだ交渉中だと思うのですが、途中の結果などは入っていますでしょうか。
(報道官)交渉中といいますか、戦略対話ということで、「協議」を行っています。今回、谷内外務次官がソウルに伺い、地域情勢、日韓二国間関係、あるいは国際情勢全般について、幅広く、予め議題を定めずに話し合いをしましょうということで、意見交換をしているということです。昨日、一昨日に同じソウルでEEZ の境界画定及び海洋調査に関する事前通報制度について、局長級の話し合いが行われたわけですが、次官級の話し合いの中にもこれらのテーマが含まれてくると思います。ただ、今日現在、どういう話をしているということは報告を得ておりませんので、中身についてここでお話しすることはありません。
(問)ロシアの、北方領土での拿捕事件ですが、一部で見通しとかいう報道が流れているのですが、政府としてそういう事実関係は確認されていますか。
(報道官)ロシア側からその種の見通しについては話を聞いておりませんし、コメントすることはありません。私どもとしては、何度も申し上げているとおり、船長及び船体について、一日も早く解放すべきであるということをロシア側に申し入れてきている訳で、それが早く実現することを希望するという立場です。