記者会見

報道官会見記録(平成18年5月)


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報道官会見記録(平成18年5月31日(水曜日)17時04分~ 於:本省会見室)

ロドルフ・アダダ・コンゴ共和国外務・仏語圏大臣の来日について

(報道官)冒頭、2点ご報告します。ひとつは、「日・印交流年」実行委員会第1回会合の開催についてです。「日・印交流年」実行委員会第1回会合は、6月1日(木曜日)開催されます。この実行委員会は、「日・印交流年」の日本側事業、即ち2007年インドにおける日本年の基本方針を決定し、また様々な行事について認定、広報等を行うことを目的としています。この「日・印交流年」について、簡単に改めて背景を申し上げますと、2005年4月に小泉総理がインドを訪問されて、シン首相と共同声明に署名しました。その共同声明の内容を具体化するため、行動計画として「8項目の取組」を発出しました。その取組のひとつが、二国間関係の基礎である国民交流に重点を置いた、文化・学術交流、人と人との交流の強化です。日・印文化協定締結後50周年にあたる2007年に日・印両国がそれぞれの国において周年記念事業を実施することとしています。これが今回の「日・印交流年」第1回会合の背景です。
 ふたつめは、ロドルフ・アダダ・コンゴ共和国外務・仏語圏大臣の来日についてです。アダダ・コンゴ共和国外務・仏語圏大臣は、6月5日(月曜日)から8日(木曜日)まで外務省賓客として来日します。アダダ外務・仏語圏大臣は、滞在中、麻生外務大臣をはじめとするわが国政府関係者と会談し、日・コンゴ共和国二国間関係、アフリカにおける平和と開発などについて幅広く意見交換を行う予定です。また、コンゴ共和国は2006年のAU(アフリカ連合)の議長国です。アダダ外務・仏語圏大臣は、2003年に開催された第3回アフリカ開発会議への出席以来、4度目の来日となります。今回のアダダ外務・仏語圏大臣の来日により、これまで良好な関係を維持してきている両国の友好協力関係が一層強化されることが期待されます。また、一部関連情報ですが、ご承知の通り、小泉総理が先般、エチオピア・ガーナを訪問しましたが、その後、アフリカとの交流は非常に活発化しています。ジブチのユスフ外務大臣も6月5日(月曜日)から8日(木曜日)に来日します。また、ボツワナのモハエ大統領が6月6日(火曜日)から9日(金曜日)来日し、また、ボツワナのメラフェ外務大臣も6月3日(土曜日)から9日(金曜日)に同行して訪日します。また、ルワンダの外務大臣ほか3閣僚が6月12日(月曜日)から17日(土曜日)に訪日する予定ですし、まだ具体的に日程は決まっていませんが、7月末にはコナレAU委員長が来日する予定となっています。このように、非常にアフリカとの交流が活発化しています。私からは以上です。

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イラン核開発問題

(問)イランの核開発問題のことで、明6月1日にP5とドイツの高官級協議が開かれて、包括的な見返り案というのを協議するという段取りになっていると思うのですが、日本政府として、今の協議の状況に対してどういう立場を取られているかをお願いします。

(報道官)ご承知のように、わが国政府もこの問題には非常に関心を持っており、安保理であるとかIAEAであるとか米国等関係国と協議を行っています。また、麻生外務大臣はモッタキ外務大臣とも1回直接話をしているほか、2回電話でこの問題についていろいろと日本側の立場を伝えているところです。我々としての立場は、イランがこの国際社会の要求、国際社会の考えというものを深刻に受け止めて、濃縮活動を止めてIAEAの諸決議に従うという方向に進むように引き続きイランと協議していきたいと思っています。今、我々が特に重視しているのは、まさに安保理でどういう形でイランに対するメッセージを発出するか、即ち国際社会が一致したきちんとしたメッセージをイランに対して発出することが重要だと考えていますので、このような観点から、先程申し上げましたように、関係国、IAEA、あるいは安保理の中で緊密に協議しているところです。

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東ティモール情勢

(問)東ティモールの情勢ですが、今、治安が非常に悪化していると思うのですが、今の状況を日本政府としてはどのように見ているのかということと、東ティモールの独立以来、国造りに積極的に支援した立場として、東ティモールの安定に向けて、日本政府としてどのように取り組んでいかれるお考えなのでしょうか。

(報道官)東ティモールの情勢は、現在、非常に関心を持ってフォローしていまして、現時点では、グスマン大統領が防衛・治安の権限についてすべての責任を有し、様々な努力を払っているものと承知しています。また、治安情勢については、騒動の数は多少、減少しているという情報も入っているのですが、他方、略奪などの犯罪は増えているという話もありますので、引き続き、治安情勢について関心を持って見ていきたいと考えています。邦人の方についてですが、邦人保護についても安否確認を行いまして、現在23名がまだ現地におられるようですが、その23名の方については全員無事を確認しています。また、従来から、独立以後の東ティモールの安定について非常な関心を持ってフォローしてきており、わが国としても、現在の情勢を注視し、いかなる対応が適当かということを、引き続き考えていきたいと思っています。

(問)近く人的支援など、あるいは資金面も含めて、何か支援をされる考えはあるのでしょうか。

(報道官)今この時点では私は承知していません。

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報道官会見記録(平成18年5月17日(水曜日)17時10分~ 於:本省会見室)

日韓外務報道官協議の開催

(報道官)私から一点ですが、私は5月18日から20日まで韓国を訪問して、韓国外交通商部との間で外務報道官協議を行います。これは外務省が行っているカウンターパート協議の一つでありますが、秋圭昊(チュ・ギュホ)韓国外交通商部代弁人との間の協議の中では、広報分野における協力であるとか、日韓関係に果たす報道の役割等について意見交換を行いたいと考えております。私からは以上です。

(問)外務報道官協議というのは今回初めて開かれるのですか。

(報道官)外務報道官協議としては今回初めてです。実は、以前は韓国に海外弘報院というところがありまして、そこが広報を担当していたのです。その時は、外務報道官と海外弘報院との間でカウンターパート協議があったのですが、韓国外交通商部にもしばらく前から、外務報道官代弁人と呼んでいますが、そのポストができましたので、今回は外交通商部とカウンターパート協議を行うということです。ただし、韓国を訪問した際には、従来から協議をしていました海外弘報院とも会談はしたいと考えています。

(問)今後どのくらいの頻度で開かれるのでしょうか。

(報道官)カウンターパート協議ですから、1年に1回程度ではないかと考えています。

(問)これまでの海外弘報院の方でもそのぐらいの頻度でしたか。

(報道官)実は、海外弘報院との協議は、1995年から2000年まで毎年1回行っていました。2000年からちょっと途絶えまして、途絶えたというのは、日韓ワールドカップの共同開催などが進み始めたので、お互いに広報面で少し忙しくなったという事情があるのですが、1995年から2000年までは毎年1 回行っていました。今回、外交通商部と行うことにして、これからはまた1年に1 回くらい、定期的にやっていこうと思っています。

(問)再開するにあたって、何か理由というか何かあったのでしょうか。

(報道官)特に理由というのはないのですが、ただ、近隣諸国と様々な分野でカウンターパート協議を行うということは、経験を交換したり、また、協力できる分野を模索したり、いろいろな面で有益だと考えますので、今この機会を捉えてまた再開しようと考えた次第です。

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朝鮮総連と韓国民団の共同声明

(問)今日、朝鮮総連と韓国民団のトップ会談が行った協議で、共同声明が発出されましたが、これの受け止めと、共同声明の中身についてどう見ていらっしゃるのか、お願いします。

(報道官)この共同声明を見ますと、民団と朝鮮総連がいろいろな観点から和解と融合に向かおうとか、いろいろな面で協力をしようとか、共同でやろうとか協調しようということが書いてあると承知しています。しかしながら、この民団にしても朝鮮総連にしても民間団体ですので、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

(問)共同声明は基本的には歓迎の立場と考えてよろしいでしょうか。

(報道官)先程も申し上げましたように、民団も朝鮮総連もそれぞれ民間の団体ですので、私たちが歓迎とかそういうことを言うことは適切だとは思っていませんが、ただ、文章を読んでいまして、その中にはいろいろ、和解であるとか協力、協調ということが書いてあることは承知しています。

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日中ガス田協議

(問)明日から日中ガス田協議が行われるわけですが、改めて日本政府としての協議に臨む立場と、今日の日中の局長級が行われているのですが、ご紹介できるような内容があればお願いします。

(報道官)ガス田を巡る協議については、従来、ご承知の通り何回か協議を重ねてきていますので、これまでの協議を踏まえて、できる限りまたお互いの立場を説明していくことになると思います。難しい協議ですが、我々としてはできるだけ少しでも歩み寄りが図れれば良いと考えています。また、今回の東シナ海等に関する日中協議の関連で、先方の局長が来られておりまして、いろいろな機会を利用して非公式な接触というのはあると思いますが、その内容については、非公式な協議であるので、特に今、私の方でご報告する内容はありません。

(問)今回、ガス田協議で、前回これまで2日間だったのですが、今回、とりあえず確定では1日になっていますが、その辺の経緯はどういうことなのですか。

(報道官)特に経緯というのは聞いていません。いずれにしても明日、協議をして、どの程度話が進むかということだと思います。

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報道官会見記録(平成18年5月10日(水曜日)17:02~ 於:本省会見室)

「アフリカン・フェスタ2006」の開催/ムスタファイ・アルバニア共和国外務大臣の来日

(報道官)冒頭2点、ご報告します。まず、「アフリカン・フェスタ2006」についてです。「アフリカン・フェスタ2006」は、5月20日(土曜日)、21日(日曜日)の両日、日比谷公園において、外務省の主催、東京都、千代田区及び在京アフリカ各国大使館の後援により開催されます。アフリカ問題への国際的関心が高まる中、日本政府は、アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを通じ、アフリカ開発問題に一層積極的に取り組んでいます。「アフリカン・フェスタ」は、アフリカに対する幅広い層の理解と支持の増進を目的に、平成11年以降毎年開催しているものです。「アフリカン・フェスタ2006」では、様々な方の参加が予定されており、例えば、ギタリストのデ・ガリという方も参加します。次に、ベスニク・ムスタファイ・アルバニア共和国外務大臣が、14日から17日まで、外務省賓客として来日します。ムスタファイ外相の滞在中に行われる麻生大臣との会談では、二国間関係に加えて、コソボ情勢、国連安保理改革、バルカン・東アジア情勢等の国際情勢について意見交換を行いたいと考えています。昨年9月のアルバニアにおける新政権発足後、初の日・アルバニア外相会談であり、同政権との良好な協力関係の構築を目指したいと考えています。また、ご参考までに、わが国は従来から西バルカン、コソボの問題に関心を持って取り組んできています。2004年には、当時EUの議長国であるアイルランドと共催し、西バルカン平和定着・経済発展閣僚会議を東京で開催しています。その際、平和定着、経済発展、域内協力の3本柱を提案しており、2004年の会計年度末で、わが国も1187億円の貢献をしており、現在でも支援を継続しています。今回、アルバニアの外務大臣と意見交換し、またバルカン情勢、コソボ情勢について協議できることは極めて有意義であると考えています。私からは以上です。

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懲戒免職処分の公表

(問)懲戒免職処分の公表についてお伺いしたいのですが、4月に発表されました職員の懲戒免職処分は匿名で発表されましたが、警視庁は実名で発表していました。読売新聞の方で外務省にこの懲戒免職になった職員と警視庁発表の容疑者が同一人物かどうか確認を求めたのですが、応じてもらえませんでした。外務省の方で挙げた理由が、「人事院の懲戒免職の公表の指針」なのですが、人事院の方に取材したところ、あくまでこれは基本であって、社会的な関心の高さとか懲戒免職された職員の地位の高さによっては「例外的な場合」の適用もあり得るというような見解でした。今後、少なくとも逮捕された職員を懲戒免職にしたような場合、実名で発表するようなことは今後考えていかれるのかどうか、教えて頂きたいのですが。

(報道官)外務省におきましては、懲戒処分の公表内容は、今おっしゃられましたように、人事院作成の「懲戒処分の公表指針について」を踏まえて、事案に応じて決定しています。そしてこの指針ですが、「被処分者の属性に関する情報を個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」ということが書いてあります。今ご指摘の4月18日の事案については、人事院のこの指針を踏まえまして、被処分者の職責等を総合的に勘案して、外務省としては実名を公表しないこととしました。今後のあらゆる懲戒処分の公表においても、外務省としては人事院の指針を踏まえて、事案に応じて決定していくことになります。言い換えれば、外務省の基本的立場というのは、人事院作成の「懲戒処分の公表指針について」を踏まえ、事案に応じて決定していくということでして、すべての事案について公表しないという立場を取っているわけではありません。

(問)例えばそういった場合は、どういう事案でしたら実名になって、どのような場合はならないのか、どの辺りで線引きをされているのでしょうか。

(報道官)この指針を踏まえて外務省が判断するわけですが、まさに今回の場合には、被処分者の職責等、そういう状況等を総合的に判断して、実名は出さないということにしたわけです。その際、どういうことを判断するかというのは、ケースに応じて、事案に応じて異なりますので、一般論として言うことは難しいのですが、ただ、今申し上げましたように、外務省としては、その事案ごとに様々な状況を勘案し、名前を出すか出さないかを決めているという方針です。

(問)逮捕者の場合は、少なくとも犯罪ですから、その犯罪者の名前を警察が発表しているのに外務省は発表しないというのは、そもそもその懲戒処分の指針が作られた趣旨にも反するのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

(報道官)指針の趣旨というのは、先程申し上げたとおり、「被処分者の属性に関する情報を個人の識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」ということですから、もちろん幅があるのだと思います。今ご指摘になりました警察の場合ですが、警察と外務省では、当時置かれていた状況が異なると思います。外務省は、懲戒免職をする省員について名前を出さないという判断を、先程申し上げましたように総合的に判断して決めたわけですが、警察の場合は、既に懲戒処分を受けた人について警察としての発表をしたと理解しています。

(問)そうすると、今後も今回と同じようなケースの場合は、匿名で懲戒処分の事実のみを発表するということなのでしょうか。

(報道官)今後同じようなケースといっても、またいろいろ状況はそれぞれあると思いますが、先程申しましたように、その都度、その時の状況を勘案することになるのだと思います。全く同じケースが起こるかというのは、我々は想像したくありませんし、また、どういうケースが将来起こるか判りませんが、先程申し上げましたように、一切名前を出さないという立場を取っているわけではなく、過去に外務省の処分においても氏名を出したことはあります。従って、将来どういう事案が起きるかによって決めていくことになると思います。

(問)最後に、外務省独自にガイドラインを作るようなことは考えていらっしゃいますか。

(報道官)これからも今までの経験を踏まえて判断していくことになると思います。ガイドラインといっても、様々な事案があり得るし、どの程度有効なガイドラインがあるかわかりませんが、外務省も外務省なりの経験を蓄積していますから、この経験を踏まえて、また事案に応じて考えていくということになると思います。

(問)あくまで個別の事案に応じて今後も判断していくと。

(報道官)その通りです。

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国連人権理事会

(問)国連で新設されました人権理事会に日本が選出されましたが、政府として今後これにどう取り組んでいくのか、また、特に北朝鮮の拉致問題を人権理事会の場でどのように提議していく考えなのか、その辺をお願いします。

(報道官)わが国は、拉致問題をはじめとする北朝鮮の人権状況について深刻な懸念を持っています。今ご指摘の人権理事会においては、議論の進め方等、具体的な手続き事項はこれから確定されていくことになると思います。しかしながら、わが国としては、権威と重みのある人権理事会の場においても拉致問題を含む北朝鮮の人権状況を積極的に取り上げたいと考えています。わが国としては、この新たな人権理事会を積極的に活用して、拉致問題をはじめとする北朝鮮の人権状況について、その改善に向けて国際社会との更なる連携を深めていきたいと考えています。

(問)今回、国際人権団体などから問題視されている中国とかキューバなどもこういった理事会のメンバーに入っているのですが、こういった構成についてはどのようにお考えでしょうか。

(報道官)この構成は、選挙によって選ばれたわけですので、その選挙の結果について私がここでコメントすることは差し控えたいと思います。

(問)北朝鮮に関する国別人権状況決議の審議などもこれから予想されると思うのですが、日本は積極的に関与していくと考えているのですか。

(報道官)先程申し上げましたように、この人権理事会においては、北朝鮮の人権状況については日本としてはもちろん積極的に関与していきたいと考えています。ただし、この人権理事会において、これからどのような形で議論が進められるか、例えば国別についていろいろ議論が行われるか等については、まだ人権理事会そのもので議論を行い決めていくことになると思います。いずれにしても、我々としては、人権理事会における議論の進め方等が明らかになった段階でこの人権理事会の枠組みの中において、積極的に北朝鮮の人権状況の問題、特に拉致問題に対応していきたいと考えています。

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