(報道官)事務的な話ですが、最初に一つご報告させて頂きます。本日、北京において、第1回日中韓ラテンアメリカ協議が行われました。外務省からは坂場局長が出席しています。また、第2回日中ラテンアメリカ協議も開催されました。この報告をする趣旨は、外務省では、日本と中国と韓国の局長級会議というものも行ってきています。これまでは、アジア局長レベル、経済局長レベルで日中韓の協議を事務的に行ってきていますが、今回、ラテンアメリカの問題について第1回目の協議が行われたので、ご報告させて頂きます。私からは以上です。
(問)ラテンアメリカの問題で具体的にどういうことが挙げられたのですか。
(報道官)ラテンアメリカおいては、日系人がかなり多くいますし、また、韓国系の人も中国系の人もいますので、そういう問題について、いろいろ経験とか政策をお互いに伝え合うとか、それ以外に南米との関係についての経験や情報を交換するという点が特にポイントであると思います。
(問)中韓の出席者は。
(報道官)カウンターパートですから、それぞれ外務省のラテンアメリカを担当している局長です。
(問)これは初めてですか。
(報道官)ラテンアメリカについては今回が初めてです。
(問)今回、何らかの合意とかそういったものはなかったのでしょうか。
(報道官)これは事務的な協議ですので、合意とかそういうものはなかったと思いますが、事務的にカウンターパートで様々な協議を行う第1回目という風に考えています。
(問)今後、他の地域でも似たような協議をされるのでしょうか。
(報道官)カウンターパート協議ということで、二国間では既に日中でも日韓でも様々な分野で行っています。ただ、この日中韓の局長レベルというのは、今申し上げましたように、アジア局長、経済局長、今回のラテンアメリカ局長ということです。また、もちろんこれから他の分野に拡げるということは可能だと思います。ただ、今の段階で存在するのはこの3つの局長級協議です。
(問)今後、定期的に開いていく予定ですか。
(報道官)例えば私が前職で担当していた領事分野では、日中、日韓それぞれ1年に1回程度行っていましたが、およその目処としては、そういう感じではないかと思います。ただ、どの程度定期的にこれから開かれるかは、予断できません。
(問)今日、辛光洙(シン・ガンス)容疑者の身柄引き渡しを申し入れたということですが、この経緯と、先方からの反応、見通しについてお聞かせ頂けますか。
(報道官)辛光洙(シン・ガンス)容疑者については、我々は前にも身柄の引き渡しを要求しています。これまでは旅券法、それから入管法違反に基づく身柄引き渡しを要求していました。今回は、24日、原敕晃(はらただあき)さんの拉致容疑事案の実行犯として逮捕状が送付されたので、この拉致容疑事案の実行犯としての引き渡しというものを要請したところです。まだ北朝鮮側からは反応はありません。
(問)先日の日韓の次官協議で合意した、EEZを巡る局長級協議の見通しと、そこで竹島の領有権問題を話し合ったのかどうか、そういった点など見通しをお願いします。
(報道官)先般の次官級協議で、5月中にも排他的経済水域の境界画定に関する交渉を再開したいということでお互いに合意しています。まだ今の段階でいつ開かれるかはわかりませんが、双方で日程を調整していきたいと考えています。また、この排他的経済水域の境界画定の話は、基本的には竹島の領有権の問題とは別に、境界画定の問題について交渉するということでこれまで行ってきましたし、また、これからも基本的には境界画定の問題という形で協議を行うことを考えています。
(問)竹島の現状ですが、外務省としては不法占拠というような認識でいるのですか。
(報道官)竹島の問題については、ご承知の通り日韓で立場が違っていまして、日本から見れば不法占拠ということになると思います。ただ、いずれにしても、この竹島の問題については、日韓の立場は違いますが、やはり大局的な見地に立って、冷静に、そしてお互いに国民感情を煽らないような形で解決に向けて努力していきたいと考えています。
(問)現在、竹島周辺海域で、先般日本が中止した調査以外の日本側もしくは韓国側の調査の予定というのは把握されているものはあるのでしょうか。
(報道官)それは把握していません。
(報道官)まず最初に私から一点、ソロモン諸島の情勢について申し上げます。これについては別途また談話を出しますが、とりあえず現段階で一言述べさせて頂きます。現地わが方大使館によれば、ソロモン諸島の首都ホニアラにおいて、リニ新首相選出に反対した一部住民による暴動が発生しています。一部報道では、オーストラリアから治安維持のために派遣されていた警察官10数名が負傷し、外出禁止令が発出される事態となっているとのことであります。わが方在オーストラリア大使館によれば、こうした事態に対し、オーストラリア政府は本日午後、110名のオーストラリア軍部隊及び70名の警察官を治安維持のために現地に派遣したと承知しています。わが国政府は、ソロモンにおけるこうした事態を深く憂慮しており、事態の早期沈静化を期待しています。なお、ソロモンには邦人48名が在住しています。目下、安全を確認中ですが、現時点で在留邦人が被害に遭っているとの報告はありません。私からは以上です。
(問)竹島周辺海域の海底調査の件なのですが、官房長官が会見で、韓国側と接触しているということだったのですが、どのレベルで接触をされているのでしょうか。
(報道官)ご承知の通り、月曜日には次官と羅鍾一(ラ・ジョンイル)大使が会いまして、次官よりわが方の立場を説明しています。また、韓国政府との間では東京でも、また、ソウルでも不断の接触がありますから、私も具体的にいつ誰がどこでというのは承知していませんが、必要に応じ、接触はしているものと思います。
(問)月曜日に谷内次官と羅鍾一(ラ・ジョンイル)大使が会ったときに、どのような申し入れをして、向こう側からはどういったリアクションがあったのでしょうか。
(報道官)詳細については差し控えたいと思いますが、この調査についての日本側の立場、日本が何故調査をするのかということを、次官から羅鍾一(ラ・ジョンイル)大使に対して説明をしました。その内容については次官が17日5時の会見でも述べましたが、わが方としては6月の会議の準備のためにこの海域の調査を行うことを考えているという趣旨を述べたところです。
(問)向こう側からのリアクションは何か。
(報道官)それについては差し控えたいと思います。
(問)その時に日本側から、6月の国際会議で、韓国側が海底地形の名称を付けることをやめてくださいという要請をしたというような話もあるのですが、その辺の事実関係は如何ですか。
(報道官)どういう話が行われたかという詳細については、差し控えさせて頂きます。
(問)次官がこの前の会見で、韓国側に名称を付ける動きがあるので日本としても調査をするという話をされていたのですが、韓国側がそういう動きを止めれば、日本政府としては測量をしないということがあるということでしょうか。
(報道官)現時点で私の方から何か先のことを予断することは差し控えたいと思いますが、この問題についても緊密に韓国側とはこれからも接触はしていきたいと考えています。
(問)測量の時期なのですが、いつからやるということは。
(報道官)これは個々の、海上保安庁の艦船の動きに関することで、その個々の艦船の動きについては差し控えたいと思いますが、私の承知している限り、現時点において、まだ調査は行われていないと理解しています。
(問)韓国側は、向こうが主張しているEEZに入った場合拿捕するというような報道も出ているのですが、一応、公海上では、国連海洋法条約等によると管轄権は日本にあると思うのですが、国際法上、どうなのですか。
(報道官)今ご指摘の通りで、調査船は日本政府の、海上保安庁の調査船であり公船です。民間の船ではありません。公船については、管轄権は日本にありますから、この公船について韓国が拿捕あるいは臨検するということは、国際法上は認められないことだと考えています。
(問)昨日、横田めぐみさんの夫とされる方のDNA鑑定が出されましたが、韓国側にその資料をもう渡しているという話があるのですが、渡したその経緯を教えて頂けますか。
(報道官)キム・ヘギョンさんの生体情報、これは血液サンプルですが、これは昨日夜、在京大使館を通じて韓国側にお渡ししています。また、鑑定結果については、本日お渡しするという段取りになっています。
(問)日本の韓国大使館に渡したと。
(報道官)そうです。
(問)今日のいつ頃になりますか。
(報道官)そこは正確にはまだわかりません。
(問)今まで韓国は、日本政府の積極的な取り組みに比べて韓国人の拉致問題については日本とは温度差があったという見方が主流だと思うのですが、今回の結果を受けて、韓国政府の姿勢や取り組みに変化が生じると類推されるのか、あるいは日韓で今後拉致問題についてどういう協力をしていく、外務省としてどう取り組んでいくのかということを。
(報道官)今回、こういうDNAの鑑定の結果が出てきて、先程申し上げたとおり、その結果についても韓国側にお伝えしますし、我々としては、韓国との協力を、できればこれまで以上に強化していきたいと考えています。ただ、いずれにしても韓国政府も自ら鑑定をやるということなので、まず、韓国政府の鑑定を待って、その鑑定を得て、我々としても日韓両政府間でどのような対応ができるか、どのように協力を強化できるかということは考えていきたいと思っています。
(問)具体的な話はこれからですか。
(報道官)そうです。まず、韓国自身が鑑定をされるので、この鑑定の結果を待って対応していきたいと考えています。
(問)それは、科学的な鑑定を二カ所で行ったわけですから、大きく異なる結果が出ることは想定していないわけですね。
(報道官)我々の鑑定は非常に権威のある鑑定だと考えています。
(問)昨日まで開催されていました北東アジア会議で、六者協議の各国の首席が来ていたわけですが、注目の米朝協議は開かれなかったわけですし、六者協議、非公式なのかもしれませんが。この結果についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(報道官)この結果ですが、皆様御承知の通り、六カ国、ロシアを除いてですが、首席代表が東京に集まってきたわけです。このこと自体、やはり各国とも、できればなんとかして六者協議再開の展望を開きたいという気持ちがあったと思います。現に、各首席代表とも今回の機会を最大限利用して、なんとか六者協議の再開に繋げたいという考えで、色々なバイの会談というものをやってきたわけです。私どもとしても、今回、六者協議の再開に向けての具体的展望が開かれなかったということは残念だと考えていますが、今回、こういう形で協議が行われたこと自体は、貴重なことであったと思っています。結局、特に米国と北朝鮮の立場の違いというものもありましたので、米朝の接触も実現しなかったわけですが、我が国としては、今回のこの一連の会議の結果も踏まえ、今後とも引き続き北朝鮮に対して六者協議へ無条件で復帰するようにということで働きかけていきたいと思います。
(問)米軍再編の関係なのですが、明日、明後日と外務審議官級協議がありまして、今、グアムへの移転費用の問題がひとつ焦点となると思いますが、両国間、かなり考え方に溝があるという風には伝えられていますが、その辺の見通しと、今後の協議の進め方を。
(報道官)この問題について、普天間の代替飛行場の問題については、7日、あのような合意ができたわけです。そういう意味では、ひとつ前進があったと考えていますが、今ご指摘のグアムへの移転の問題、これについては米国側と協議を続けなくてはならないというのは、その通りです。明日、明後日と協議しますが、どのような段階でどういう結果を生むかというのは、まだ今の段階ではわかりません。ただ、10月に今の共同文書を作ったときに、3月末までに結論を出すということで合意しているわけですから、私どもとしても出来るだけ早く新しい合意を作りたいと思っていますが、まだそれはこれからの課題です。
(報道官)本日、報道で、日本の外務省による日本の企業支援という記事がひとつありましたので、若干、この点についてご説明させて頂きます。外務省としては、グローバル化が進展する中で、日本企業の海外活動に必要な環境を整備するために、官民連携を一層強化するということが必要になったと考えてきました。また、本年の国会での外交演説においても、麻生大臣から、「日本企業の活動を世界で支えていくことは、わが国外交が最も重んじる仕事の一つである」と発言しました。外務省は、平成11年から、すべての在外公館に「日本企業支援窓口」というものを作り、日本企業の支援を強化してきたわけですが、特に昨年5月の大使会議で、更に一層積極的に日本企業支援を行うということを決め、対応してきています。特に、新しい要素としては、個別企業に対しても支援要請の対応をするとか、あるいは「日本ブランド」を大使館も在外公館も支援しながらPRするという観点から、大使公邸であるとか総領事公邸であるとか、在外公館の施設を使って官民共同でセミナー等を開催する、あるいはレセプション等を開催するということを進めてきました。本日、その関連の記事が一つありましたので、以上、追加的に説明させて頂きました。私からは以上です。
(問)9日から開かれる「北東アジア協力対話」という会議についてなのですが、この会議の概要と、日本を含めて出席者、現地でどういう方が出席されるか、予定で結構ですので教えてください。
(報道官)この会議は、ご承知の通り、民間の会議でありまして、今回が17回目です。前回は昨年4月ソウルで行われました。民間の会議というのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校が主催します。我が国では、日本国際交流センターが協力します。参加者は6カ国の学者の方々、有識者、それから政府関係者です。内容としては、特にこの北東アジア地域における情勢、北東アジア地域を今後どのように発展させていくか、北東アジア地域の情勢を今どう見るかということについて、皆、個人の資格で忌憚のない意見交換を行うという趣旨です。外務省からは、総政局の鶴岡審議官が参加します。韓国からは千英宇(チョン・ヨンウ)外交政策室長が今、参加予定だと聞いています。北朝鮮の参加者はまだ決まっていないと聞いています。ただ、今、金桂冠(キム・ケグワン)副大臣が参加する可能性があるかもしれないとか、色々な情報は入っていますが、まだどなたが参加するか確定していないと承知しています。米国からはヒル次官補が、この地域を訪問する際に、この会議にも出席すると聞いています。
(問)民間ということで、個人の仕事で皆さん参加されると思うのですが、外務省は何かコミットされていることはありますでしょうか。
(報道官)コミットされているというのはどういう意味でしょうか。
(問)資金を外務省から、外務省予算をこの会議に支出することはあるのでしょうか。
(報道官)その点は今わかりませんので、追ってまたお答えします。
(問)では、特に今回は、外務省として何かコーディネートしたことはないのでしょうか。
(報道官)これは主として国際交流センターがアレンジして実施されるものと承知しています。我が方も参加しますが、全体のコーディネーション、調整は国際交流センターがやると思います。政府の資金が入っているかどうかについては、ちょっと私は今、即答はできませんので、追って、調べてお答えします。
(問)関連ですが、先程「個人の資格」とおっしゃいましたが、これまで、前回はソウルでやったりと、これまでも色々な所でやって、今回日本でやるということなのですが、その際、参加される方の宿泊費であったり交通費であったりというのは、それは税金から出ているのですか。それとも、個人が自腹で払っているのでしょうか。
(報道官)今、それはお答えできないので、追って、調べてまたお答えします。
(問)六者協議の交渉の担当者の方が大勢いらっしゃるようですが、この会議以外で、例えば佐々江局長と会談をもたれるとか、そういうご予定はありますでしょうか。
(報道官)今の段階で具体的な日程が決まっているということは承知していませんが、ヒル次官補が来られれば、我が方政府関係者とも会談することとなると思いますし、また、それ以外にどういう会談が行われるかということは、今まだ決まっていません。
(問)中国からの参加者は誰が来るのですか。
(報道官)中国の参加者はまだ承知していません。
(問)9日から13日までと言っているのですが、もう少し、この日は何があるとか、ヒルさんはどこまでいるとか、そんな話を聞かせてください。
(報道官)まず、全体の日程ですが、10日、11日が本会合です。ヒル次官補については、10日から14日の日程で東アジア地域を訪問する予定で、その間、東京にも来られると聞いています。
(問)9日に何をやってとかそこまでは。
(報道官)9日はワークショップが行われると聞いています。北朝鮮の経済、エネルギー問題に関するワークショップです。
(問)先程のヒルさんの日程は、東アジア訪問が10日から14日ということで、日本にいるのが10日から14日ということではないのですね。
(報道官)東アジアが10日から14日と聞いています。
(問)日本にいらっしゃるのはいつ頃とお聞きになってますか。
(報道官)この会議が10日、11日に開かれるので、この会議に合わせて日本に滞在されるのではないかと、今、私は考えていますが、正確にはまだ承知していません。
(問)韓国メディアで、一部報道されているところで、日本の外務省がまとめた韓国の政治情勢の報告書ということで、竹島を素材としてナショナリズムを扇いでいるだとかそういう文章だということで、韓国側はこれに反発しているようなのですが、事実関係と、これに対しての対応を聞かせてください。
(報道官)韓国の、確か中央日報だったと思いますが、日本の外務省の資料というものについて報道されたことは承知しています。外務省としては、当然のことながら、仕事の一部として、それぞれの課が各国の状況であるとか、日本と各国との関係について色々と作業をしていますし、また、ペーパーも作りますが、今回、中央日報で報じられた文書について、それが外務省のものであるか等についてのコメントは差し控えたいと思います。ただ、いずれにしても日韓関係は我々にとって極めて重要な、最も重要な二国間関係の一つですので、我々の韓国との関係における基本方針というのは、あくまでも、今後とも日韓関係を発展させる日韓の未来志向的な関係を構築するということで取り組んでいます。
(問)韓国側に対して、政府として何か、日本政府から韓国政府にこの件で何かお伝えになられたのでしょうか。
(報道官)今、この件で日本政府から韓国政府に何か伝えたということは承知していませんが、いずれにしても、もしもそういう機会があるとすれば、先程私が後半に申し上げたように、日本政府としての韓国に対する方針、政策というのは、未来志向的な関係を構築していくものだと、それが日本の姿勢であるということを改めて強調することになると思いますが、今のところそういう接触はなかったと思います。
(問)東シナ海のガス田開発なのですが、一部報道で、中国が春暁で1月28日に生産を開始したという報道があるのですが、この事実関係、あるいはどんな風に見ていらっしゃいますでしょうか。
(報道官)そういう事実があったということは、私は確認していません。東シナ海の問題については、我々としてはご承知の通り出来るだけ早く次の会合を開きたいと思っていますし、そのために今、中国側とは協議をしているところです。まだ次の会合は決まっていませんが、我々は今までもこの問題について協議してきた次第ですし、また、引き続き出来るだけ早い段階で協議していきたいと考えています。