(報道官)冒頭3点あります。まず第1点は、ウクライナ議会選挙についてです。3月26日にウクライナにおいて実施された議会選挙が民主的選挙の基準に従い公正に行われたことを高く評価します。わが国から派遣した7名の選挙監視委員からも、今次選挙が2004年末の大統領選挙に比べ大幅に改善され実施されたとの報告を受けています。今回の選挙はいわゆる「オレンジ革命」において進展したウクライナの民主主義が定着してきていることを示すものであり、わが国としては、引き続きウクライナの一層の民主化及び公正な市場経済システムの確立努力への支援を継続する意向です。
第2点目は、既に午前中に貼り出しをしましたが、日韓ワーキング・ホリデー制度の査証発給枠の拡大について、日韓で合意をしました。今までは年間1800件でしたが、これが年間3600件へ拡大します。この措置を通じて、日韓の特に青少年の交流が一層拡大することを期待しています。
3点目は、拉致問題についての英文パンフレット更新です。最後に作ったのは2004年12月ですが、今度、更新しました。私からは以上です。
(問)拉致問題のパンフレットの件なのですが、改めて更新した狙いと、今後の英語以外の言語についてどのようにお考えなのでしょうか。
(報道官)先程申し上げましたように、2004年12月に最後に作ったわけですが、この度、ご家族の方が米国で公聴会に出席するとか、また我々としてもこれから拉致問題について国際的な理解を深めるために一層活動を強化しようと思っていますので、この機会を通じ、ご家族のご意向も踏まえ、新しく改訂したところです。英文以外については、今、特に準備していませんが、この英文の資料を改訂したことをもって、国際的な活動がいろいろと出来ると考えています。
(問)国連改革についてお伺いしたいのですが、報道などで、ニューヨークで大島国連大使が、安保理を21カ国に拡大する日本独自案について、提出しない旨をG4各国に説明したということですが、その事実関係の確認と、改めて国連改革に対する日本のスタンスをお願いします。
(報道官)国連改革、特に安保理改革の問題については、今、日本政府としては、ドイツ、インド、ブラジル等とも緊密に連携しながら、また、米国と協議を継続していまして、どのような案を作ったらより広い支持が得られるかという検討、そういう案の模索というものは続けています。我々としては、この安保理改革は国連改革の極めて重要な柱だと考えていますし、この安保理改革について、引き続き関係国との協議を続けていきたいと考えています。報道に、日本が案を断念する等の記事があったことは私どもも承知していますが、今、我々としてはまさに日本案というものを模索している段階です。また、その模索する過程で、インド、ドイツ、ブラジル3カ国とも緊密に協議していますし、米国とも協力しています。我々としては引き続き関係国と緊密に努力しながら、どのようにして安保理改革を実現できるかということを更に追求していきたいと考えています。
(問)そうすると、21カ国に拡大する案というのはまだ生きているわけですか。断念していないのですか。
(報道官)我々の案というものもいろいろと報道されたことは承知していますが、我々としてはどういう案が広い支持を得られるだろうかということで、新しい日本側の考え方、案を、今、模索している段階です。
(問)それに関連して、決議案の提出時期なのですが、9月までの総会には提出しないで、長期的視野でやっていくのでしょうか。
(報道官)今の段階では、まさに他のG4の諸国とも連携を緊密に保ち、また、米国とも緊密に協議している段階です。我々としては、できるだけ広い支持を得られるような案というものを早く固めていきたいと考えていますし、今の段階では、その協議に集中すると、とりあえずその作業に今、従事しているわけです。
(問)提出時期の見通しみたいなものはありますでしょうか。
(報道官)今協議を関係国としているところですが、この関係国との協議を踏まえながら、これからまた更に検討していく問題だと思っています。
(問)総理の外遊が発表されたみたいですが、外務省として、今回の総理の外遊の見通しみたいなものは。
(報道官)総理の外遊として、先程、エチオピア、ガーナ、スウェーデンということで発表されたと承知しています。それぞれの意義というものは、またご説明することになると思いますが、まずエチオピアについては、アフリカ53カ国が参加するAUの所在地であり、ある意味でアフリカの政治的首都というのがエチオピアであるものですから、AUとの協議、それからもちろんエチオピア首脳部との協議、それがエチオピアの目的になると思います。また、ガーナにつきましては、来年が日本とガーナの外交関係樹立50周年、またガーナは、色々な意味でアフリカの中では良い発展をしている国ですし、そういう観点を踏まえて、ガーナというものが対象になっていると思います。また、特に日本との関係においては、野口英世博士がガーナで研究されたということもありますので、そういう諸般の事情を踏まえて、エチオピアとガーナが決定されたと承知しています。また、スウェーデンについては、スウェーデンはまだ総理が訪問したこともありませんし、また日本とスウェーデンが色々な意味で協力をしています。また今、スウェーデンは国連総会議長国でもあります。そういう事情を勘案して、スウェーデンということになっています。
(報道官)私から、はじめに三点。第一点は、ベラルーシ共和国大統領選挙についてです。この件については、午前中に外務報道官談話を発表しました。わが国としては、今次選挙において、民主的選挙の原則に反する行為が数多く見られたことは遺憾であり、ベラルーシ当局に対し、民主主義の原則を確保することを求めると共に、引き続きベラルーシの民主化を促すべく、可能な支援と働きかけを行っていく所存であると、これは外務報道官談話でも述べたとおりですが、本日の午後3時半から約20分、欧州局の丸山審議官が在京ベラルーシ大使館のバチャノフスキー臨時大使を呼んで、この旨伝達したところです。先方は、本国に伝えると述べていました。
第二点は、ウクライナ議会選挙に対する選挙監視委員の派遣です。3月26日(日曜日)にウクライナにおいて議会選挙が行われます。その公正な実施を支援するため、わが国は、民間人2名、在ウクライナ大使館及び近隣の在外公館の館員5名の計7名を欧州安保協力機構/民主制度・人権事務所(OSCE/ODIHR)国際選挙監視ミッションに派遣し、選挙監視に参加することを決定しました。今回のウクライナの議会選挙は、2004年の同国大統領選挙を巡るいわゆる「オレンジ革命」以後、初めての国政選挙です。ウクライナの民主化の試金石として注目しています。わが国としては、今次議会選挙が民主的に実施されることを期待しています。
第三点は、ポーランド外務大臣の訪日です。ステファン・メレル・ポーランド共和国外務大臣が、3月30日から4月4日まで、外務省賓客として来日します。滞在中に麻生外務大臣と会談し、二国間関係に加えて国連安保理改革、東アジア情勢等の国際情勢について意見交換を行いたいと考えています。今回の訪日は、昨年10月のポーランドにおける新政権の発足後の初の外務大臣会談であり、同ポーランド政府との良好な協力関係の構築を目指していきたいと考えています。私からは以上です。
(問)在日米軍の再編について、普天間基地の移設計画、これに関して、1㎝たりとも動かさないというわけではないと、閣僚の方々はおっしゃっていますが、これは修正も当然入ってくるという認識で、外務省としてそういう認識でよろしいのでしょうか。
(報道官)私どもとしては、昨年の10月29日に共同文書ができまして、この共同文書も長い議論の末できたわけですから、基本的にはこの共同文書を踏まえて、日米間で最終的な合意に向けて、今後の実施計画を含めて議論していくということが重要だと考えています。もちろん、今ご指摘の発言は承知していますし、今後その実行計画を含めて、最終的な協議を進めていく過程においては、どういうことを考えればもっとも実行可能性の高い計画を作れるかということを考えていくことは重要だと思います。また、それを踏まえて、地元への説得等を行っていくことが今求められているわけですが、最初に申し上げましたように、政府としては、昨年10月29日の文書を基本的に踏まえて、今後とも米国側と協議していくというのが、基本的なスタンスです。また、ひとこと触れさせていただければ、まさに今、23日、24日と、日本と米国の間で鋭意協議が行われ、3月末までに具体的な実施の在り方を含めて協議していくことになっています。またその過程で地元への説明というのも大変重要だということは充分承知しています。この米軍再編の大きな目的というのは、従来から政府が申し上げている通り、一つは米軍の抑止力の維持、それからもう一つは地元住民の負担の軽減ということで、そういう二つの大きな柱を踏まえて、日米間で色々と話をしてきたわけです。そういう観点から、これからも地元への説明はしていかなくてはならないと思います。例えば、沖縄で言えばこの普天間の移設というのは大きな柱ですし、また本土については、岩国の移設問題というのが大きな柱です。岩国についても、地元への説得・説明ということはこれからもやっていかなくてはならないと思いますし、厚木の艦載機の問題にどう対応していくかということで色々と議論がされてきたわけです。仮に艦載機が共同文書に書いてある通り岩国に移設されたということがありましても、例えば防衛施設庁の算で言えば、騒音というのは、陸の部分について言えば、岩国の沖合飛行場が完了した後に移駐が行われるわけですが、この移駐が行われたとしても、この騒音の面積部分は今の面積に比べて3分の1以下に減るであろうと、そういう試算もできています。そういう観点も含めて、例えば岩国については、説得・説明をしていく必要がありますし、また、普天間についても、色々とこれから地元への説明をしていくというのが課題であると考えています。
(問)名護市長が東京にいらっしゃって額賀防衛庁長官やら防衛庁幹部の方と精力的に協議されているのですが、これについて外務省に報告というのはありましたでしょうか。
(報道官)私どももこの問題についてはいつも緊密に防衛施設庁と連絡を取りながらやっていますので、関係部局の方はその時々の状況というのはきちっと把握していると思います。また、この問題はご承知の通り、政府一体として取り組んでいますので、一部報道には、あたかも外務省と防衛庁とちょっと立場が違うようなことも指摘されていますが、そのようなことは決してありません。我々、政府一体として非常に緊密に連絡を取りながらやっていますし、普天間の移設問題についても外務省と防衛庁とは同じ考えで臨んでいます。
(問)国連改革で、今次総会での安保理採択案の提出を政府は断念したという情報がありますが、今のところ外務省としてはどうでしょうか。
(報道官)私どもも今、安保理改革は国連改革の非常に大きな柱だと考えていまして、安保理改革を重視しているわけです。また、どういう形で安保理改革を進めていくかということで、もちろん、ドイツ、ブラジル、インド等とも連携を緊密に取っていますし、また米国とも緊密に協議しています。今の段階で私どもが安保理改革について、例えば案を出さないというような確定的な意志決定を行ったということはありません。
(問)9月までの国連総会中に安保理決議案を出せる見通しというのは、今のところどうなのでしょうか。
(報道官)その点については我々も今関係国と協議していますし、努力を継続しているということです。
(報道官)冒頭、私から二点。一つは、ベラルーシ大統領選挙に対する選挙監視要員の派遣。3月19日にベラルーシ共和国において実施される大統領選挙について、その公正な実施を支援するため、わが国は、在ベラルーシ大使館及び在ポーランド大使館の館員計4名を、欧州安全保障協力機構(OSCE)/民主制度・人権事務所(ODIHR)国際選挙監視ミッションに派遣し、選挙監視に参加させることを決定しました。今回のベラルーシ共和国の大統領選挙は、2004年10月に行われた国民投票の結果、大統領の三選を禁ずる憲法規定が削除されてからの最初の選挙となります。これまで、ベラルーシにおいては、野党の候補者及び支持者が、選挙キャンペーン中に拘束されるなど、民主的選挙の原則に反する事態が生じていることを懸念しています。わが国としては、今回の選挙において、ベラルーシ国民の意思が反映される形での民主的な投票が実施されることが極めて重要であると考えています。これが第一点です。
第二点は、国際セミナー「西バルカンの多民族社会におけるコミュニティ構築─人間の安全保障の視点から─」という長いタイトルですが、このセミナーの開催についてです。22日、三田共用会議所においてこの国際セミナーを開催します。このセミナーは、2004年に東京で開催した「西バルカン平和定着・経済発展閣僚会合」のフォローアップとして行われます。西バルカン地域における多民族コミュニティの構築の法則について、人間の安全保障の視点から討議が行われる予定です。この会議は、山中外務大臣政務官が議長を務めます。わが国としては、バルカン地域についても、特に平和定着の観点から、従来から関心を持ってきましたし、また、コミュニティ構築という観点からは、特にコソボ地域の安定促進というものに貢献できればと考えています。そういう色々な視点を踏まえて、今回のセミナーが開催されます。私からは以上です。
(問)米軍再編の関係ですが、沖縄の海兵隊のグアムへの移転費用、これが100億ドルという額をアメリカ側が言ってきて、そのうちの75億ドルを負担して欲しいという、そういう風に国防総省の当局者が記者に語ったという報道が出てますが、事実関係を教えてください。
(報道官)沖縄の米軍基地の再編問題、これは海兵隊のグアム移転を含めてですが、この問題について、鋭意協議されていることは事実です。先般のハワイの会議でも協議されています。他の問題も協議されていますが。私どもも、報道で色々な数字がこの関連でコストとして出ていることは承知していますが、この問題についてはまだ米側と協議中ですし、また、協議の内容について、まだお答えできる状況にはありません。
(問)3月末に合意を目指すという方針でこれまで両国来ていると思うのですが、今、この方針は変わらずということでしょうか。
(報道官)この方針には変わりありません。我々も色々な形で米側と鋭意協議していますし、また、10月に決めました3月末までという方針については、今の段階では変わりません。
(問)各基地を抱える地元では反発も色々でてきてまだ調整が難航しているのですが、これとは別に、この3月末の合意を目指すということになりますでしょうか。
(報道官)もちろん、地元の方々に対しては、引き続き説明は鋭意実施しなくてはいけないと考えていますが、米国側と日本側で1 0月に合意したライン、すなわち3月末までにこの具体的な再編計画について固めるというラインについては、現段階でも変わっていません。
(問)大臣が、中国の対北朝鮮貿易量の増加について中国側に問い合わせしているというように答弁されているのですが、これは具体的に、いつ、どのような形でされたのか。
(報道官)申し訳ありません、それについては、いま回答を持っていませんので、要するなら追って、もしわかるものであればまたご説明します。
(問)ウィニーの問題で、外交機密を扱っている外務省として、どのような対策を今取られているのか教えてください。
(報道官)基本的には、個人のパソコンは外務省では使わないということで我々は統一していますし、今、私が承知している対策としては、もうパソコンはすべて外務省でチェックしたパソコンのみで個人パソコンは持ち込まないというラインだということです。
(問)現在、被害が出ているとかそういったことはないですか。
(報道官)そのようなことは一切まだ聞いていません。
(問)昨日、中国の温家宝首相が、記者会見の中で、対中関係改善の3条件を出しています。戦略対話の継続とか、経済貿易の安定化などを出しているのですが、これに対する外務省の評価と言いますか、どう捉えているのか、受け止めをお聞かせください。
(報道官)日中関係はわが国にとって最も重要な関係の一つですし、わが国としては今後とも日中関係の発展のために努力していきたいと考えています。その間点からも、先般、温首相が指摘されました3点については、今、ご指摘がありましたように、戦略対話の実施であるとか、相互信頼の増進であるとか、経済関係の安定・発展という3点が含まれていますが、この3点については、我々は前向きに受け止めています。わが国としては、今、中国との間で、個別の問題について相違があるかもしれませんが、引き続きあらゆるレベルで対話を続けていきたいと思っていますし、今後とも日中間の共通の利益の拡大に努力していきたいと考えています。
(問)当初、これは会見でおっしゃられたのですが、直接、公式ルートでですね、中国政府から日本へそういう伝達はありますでしょうか。
(報道官)今の段階で私が承知しているのは、この会見の中の温首相の発言です。
(報道官)冒頭、1点だけ、私の方からご報告します。記事資料追って配布しますが、第3回日・WFP(国連世界食糧計画)政策対話が、3月16日(木曜日)東京において開催されます。我が方より、神余国際社会協力部長他が、WFPよりはジョン・パウエル事務局次長が出席します。WFPは国連の中で最大の人道支援機関の一つとして、世界の食料援助の約半分を担っており、従来よりわが国は同機関の主要ドナーとして積極的に支援を行ってきています。今回の対話では、WFPの食料支援状況、わが国との今後の協力関係の在り方等、幅広い問題について意見交換が行われる予定です。なお、3月16日の会議の後には、神余部長とパウエル事務局長が日本記者クラブで記者会見を行う予定になっています。私からは以上です。
(問)昨日、東シナ海のガス田開発を巡る協議が行われて、中国側からは新たな提案があったということなのですが、今後、日本としてどのような方針で臨まれるのか、中国と意見の隔たりがまだあるようですがどういうような形で臨まれるのですか。
(報道官)ご承知の通り、中国側から提案が出ました。東シナ海の北と南の2地点について共同開発を行うという提案です。提案の詳細については差し控えさせて頂きますが、我々としては、この中身を吟味していきたいと思います。今、中国提案を見る限り、我々のこれまでの立場とは相容れない面があると考えていますが、いずれにしても我々としては吟味していきたい。また、中国側は日本側の提案を検討してきたわけで、中国側としては日本側の提案について問題があるという立場です。しかし、いずれにしても、日本側としては、中国側の提案を更に吟味しますし、中国側においてもまた日本側の提案を更に吟味していくというプロセスを経て、次回にまたそれぞれの立場を踏まえて協議するということが、今の基本的な考え方です。
(問)その関連なのですが、提案を吟味するというのは、提案について受け入れられる部分はあるということで吟味されるという意味なのでしょうか。
(報道官)非常に大きな問題ですし、中国側の提案を得てからまだそれほど時間も経っていませんし、また我々としては我々の立場上、受け入れられない面もあると、我々の立場と相容れない部分もあるということは感じていますが、いずれにしてもまだ提案を受けたばかりですので、これからもっと内容を勉強していくということです。
(問)吟味ということですが、前回の10月のときから比べて、双方の意見の隔たりというのは埋まっていないと思うんですよね、今回の提案も。このまま吟味されるという風におっしゃいましたが、落としどころと言ったら変ですが、全く違う方向のことを話しているところを、どうやって決着に持ってくるという考えですか。
(報道官)この問題については、まさに更に検討していかなくてはいけないのだと思います。ただ、前回の協議で、日本側は日本側の一つの考えを提案として中国側に提示しましたし、今回、中国側の提案というものが出てきたわけですから、お互いの提案を更にお互いで検討していくということを、次の段階としてやることを考えているわけです。
(問)今日、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が、「3・1」独立運動記念式典で、小泉総理と名前は明確に出していないのですが、総理に対する批判とも受け取れる発言をされていたのですが、それについてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(報道官)本日の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の「3・1」節の記念演説ですが、昨年のものと厳密に比較しているわけではありませんが、日本への直接の言及というのは昨年に比べれば少し少なかったのではないかと。本年はむしろ韓国の国内の歴史の整理により重点が置かれたのではないかと考えています。ただ、もちろん日本についても言及がありますし、それは基本的には盧武鉉大統領が、日韓両国が過去の歴史は踏まえつつも、日本と韓国は真の和解と協力に向けて努力していくべきだと、そういう盧武鉉大統領の意志を表現したのではないかと考えています。また、私どもも日韓関係は極めて重要と考えていますので、過去の歴史の問題は踏まえつつ、例えば過去に起因する問題、これらの問題については、人道的観点から一つ一つこれからもきちんと対応していきたいと考えています。また、今ご質問にありましたが、その盧武鉉大統領の演説の中で、日本が侵略と支配の歴史を正当化しているのではないかとか、いくつかの問題点が指摘されていることは事実だと思います。このような問題については、我々はまた韓国との間でいろいろな機会に日本としての立場を充分説明していきたいと思いますし、日本と韓国、これは先程申し上げましたように極めて重要な関係ですので、未来志向的な、また幅広い関係を強化できるように、いろいろな機会に日本の立場を説明していきたいと思います。特に、過去の歴史認識の問題については、日本としてはいろいろな機会に反省の気持ち、あるいは植民支配についても反省の気持ちや謝罪の表明をしているわけですし、また戦後60年間、日本というのは、いろいろな面で平和国家としての道を歩いてきたと思いますので、そういうような点をいろいろな機会にまたきちんと韓国側にも説明していきたいと考えています。
(問)それに関連してなのですが、昨年の演説の時は小泉総理が、国内事情もあるのでしょうねというような発言をされて、それに対してまた反発をしたという経緯があったのですが、今回、日本政府全体の受け止めとして、非常に慎重というか冷静に受け止めていらっしゃる気がするのですが、国内事情いろいろあるという発言で韓国政府が反発したということについて、それをどう克服していくかという考えはありますでしょうか。
(報道官)盧武鉉大統領の今度の発言の内容については、先程申し上げましたように評価していますが、日本としては日韓関係を非常に重視しているわけですし、過去の問題についてもいろいろな機会にきちんと表明しています。また、単に韓国との関係だけではなく、戦後60年間日本としては肯定的な世界に誇れる歩みをしてきたと思いますので、そういう点についてもまたきちんと説明して、日韓の非常に重要な関係を広い観点から、また未来志向的な観点から発展させていきたいと思います。