(報道官)私から2点まず申し上げます。
一つは、イスラエル中部ハデラ市における自爆テロについてです。10月26日午後4時頃、イスラエル中部のハデナ市においてパレスチナ過激派による自爆テロが発生したことを強く非難します。テロはいかなる理由によっても正当化できません。ご遺族に哀悼の意を表するとともに、多数の負傷者の方々に心からお見舞い申し上げます。今次テロ事件は、イスラエルによるガザおよび西岸の一部からの撤退完了以降、イスラエル・パレスチナ両当事者が真摯な和平努力を重ねている中で発生したものであり、今後の和平プロセスの進展に悪影響を及ぼすことを強く懸念します。わが国は、パレスチナ自治政府が過激派の取り締まりに最大限の努力を払うことを求めます。また、イスラエル政府に対し、最大限の自制をもって対応することを期待します。
次に、皆様にも以前からご紹介していましたが、わが国の核軍縮決議案についてです。わが国が提出した核軍縮決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」が、ニューヨーク時間26日、国連総会第一委員会において、提出以来最大の支持を集め圧倒的多数で採択されました。本年は、賛成が166、反対2、棄権7。昨年は、賛成151、反対2、棄権16。こういうことで、本年は非常に多数の支持を集めました。わが国としては、多数の支持を得ることができたことは、誠に喜ばしいことと考えています。
また軍縮関係でもう一つ、これも一度ご紹介しましたが、わが国小型武器決議案が、やはり国連総会第一委員会で26日、採択されました。これは無投票、コンセンサスで採択されました。わが国としても、これは非常に喜ばしいことであると評価しています。私からは以上です。
(問)六者協議ですが、具体的な日取りについて、中国側から何か話はあるのですか。
(報道官)六者協議についても、目下、特に中国政府が中心となって日程調整に努めていると思います。私どもとしては、できる限り早く開催されることを期待していますが、今の段階で具体的に何日ということはまだ申し上げられません。
(問)日韓関係なんですが、今日これから日韓外相会談が行われるかと思いますが、総理の靖国参拝を受けて韓国側がこのほど、今回の外相会談は必要不可欠な会談なので来日すると。ただ年末に予定される首脳会談については必要不可欠とは位置づけていないというようなことを決めたという風に報道されているのですが、このことについて外務省としては確認されているのかどうか等、外務省としてはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。
(報道官)そのような韓国側の立場というものは確認はしていません。私どもとしては、今日、日韓外相会談を開きます。また、日韓関係は日本にとっては最も重要な二国間関係の一つですので、引き続き、首脳レベルを含めた対話が継続することを希望していますが、今後、いろいろな会議の具体的な日程がどう進むかということは、今日の日韓外相会談をも踏まえてこれから決められていくものだと考えています。
(問)日中ガス田協議の見通しはどうですか
(報道官)今の段階では次の局長級協議がいつ行われるかということは確定していません。
(問)前回の協議で基本的に10月中の早い段階で開催するという合意はあるのですが、まだ日本政府としては10月中に開かれる見通しがあるとお考えでしょうか。
(報道官)我が方としては、折角今まで協議を続けてきたわけですし、出来るだけ早く次の協議が開かれればと思っています。ただ今述べたように今の段階で中国側との関係でいつ開くかはまだよくわかりません。
(問)月内開催は難しいということですか。
(報道官)私としては今の段階で難しいとか難しくなるとか言うべきでないと思いますし、日本側の立場としては出来るだけ早く次の局長級会議を開きたいという立場であることには変わりはありません。
(問)春暁と天外天のガス田と、ガス田を結んでいるパイプラインは現状どうなっているのですか。開発はストップしているのでしょうか。それとも進んでいるのでしょうか。
(報道官)すみません。その点についての情報を、今ちょっと持ち合わせていません。
(問)昨日の新聞が、民主党の野田国対委員長の質問主意書への答弁書を報道しました。我々はその中の「A・B・C、各級の先般は国内では犯罪人とは言えないことを明確にした」という点に気が付いて、外務省はこの報道をどう見てますか。そして、この問題に関して日本政府の公けの見解をお伺いしたいと思います。
(報道官)今御指摘の政府の答弁書というのは、衆議院議員・野田佳彦議員の質問主意書で、戦犯に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書であると思います。この答弁書について我々の立場を御説明します。
この答弁書においては、極東国際軍事裁判所等が科した刑について、「その刑は我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」との法的な事実関係を述べているものです。また、このような立場というのは決して新しいものではなくて、これまでも政府はいろいろな所で述べています。例えば、昭和26年11月14日、衆議院法務委員会における大橋法務総裁の答弁というのがあります。この中で、「極東軍事法廷あるいは連合国の戦争犯罪法廷におきまする裁判というものは、これは申すまでもなく日本の法律による裁判ではないのであります」という表現があります。従いまして、今回も政府としては新しいことを述べているのではなくて、この裁判というのは日本の法律によって裁かれたものではないという法的事実関係を述べているものです。今述べたように、この立場は新しいものではないのですが、他方、この答弁書の別の箇所で、「極東国際軍事裁判所において、被告人が極東国際軍事裁判所条例第5条第2項Aに規定する平和に対する罪等を犯したとして、有罪判決を受けたことは事実である。そして我が国としてはサンフランシスコ平和条約第11条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している」ということも明確に答弁しています。以上の通り、この答弁書の説明というものは、従来から日本政府が説明しているものであって、新たな内容を述べたものとは受けとめていませんし、そういうものでもありません。これがこの今御質問があった、政府の答弁書の趣旨です。
(報道官)先ほど官房長官からもお話がありましたが、パキスタン等大地震災害に対する国際緊急援助隊・医療チーム第2次隊の派遣についてです。本日10月19日、政府はパキスタンを震源とする大地震による被害に対し、被災地での医療ニーズが依然高いことに鑑み、国際緊急援助隊・医療チーム第2次隊約20名の派遣を決定しました。第2次隊は20日(木曜日)日本を出発し、現在バタグラムで活動中の国際緊急援助隊医療チームと交代し、約2週間を目処に活動する予定です。具体的日程としては、今申し上げたように20日出発しまして、明日の夜イスラマバード着を予定しています。そして21日に現在の医療チームと引き継ぎをして、新しく任務に就くということを考えています。私からは以上です。
(問)韓国の潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官ですが、来日を見合わせるという発言をしましたが、これに対する受け止めは。
(報道官)潘基文外交通商部長官が定例の会見で訪日について「日程は確定していなかった」ということを述べた後で、「現在のような状況で日本訪問を推進するのは適切ではない」旨述べたことは承知しています。ご承知の通り、今月末の日韓外相会談については、韓国側と相談をしていたことは事実です。こういう相談をしていたことを受けての会見であると思いますが、まだ日本政府としては韓国政府からこの外相会談について、行うのかあるいは残念ながら行えないのかということについて、直接、意思表示というものを受けていませんので、引き続き韓国側の対応を待っているという状況です。
(問)日本側から確認をするというようなことは。
(報道官)それも常日頃から接触もありますので。ただこの件はご承知のように韓国政府の方から日韓外相会談を今月末日本で行おうということで日韓両国政府間で相談していましたので、いずれ韓国政府から韓国政府の考え方が伝達されるものと考えています。
(問)12月の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の訪日もなかなか難しい状況かなと思われますけれども、その点は外務省はどうお考えでしょうか。
(報道官)日韓の首脳会談については、私どもも日韓のハイレベルの対話という観点から、実現できればいいと考えているわけですが、今の段階で次の日韓首脳会談について情報はまだ確定していません。
(問)日朝の政府間対話、あるいは六者協議について当初言われていた予定が近づいてきていますが、現段階での見通しや日程の調整等はどうなっているのでしょうか。
(報道官)日朝についても、北朝鮮側と調整は続けていますが、また固まっていません。また六者協議についても現時点ではまだ日程が固まっていません。見通しというのもまだなかなか述べにくいので、我々としては今どういう形で調整がつくかということを、日朝については努力していますし、六者協議については引き続き待っているところです。
(問)中国のガス田協議ですが、日本側は19日、つまり本日開催する方向で申し入れをしたはずですが今日の段階では開かれていません。やり取りはどうなっているのでしょうか。
(報道官)先般もアジア大洋州局長は中国を訪問していましたし、このガス田協議の必要性については、その段階でも指摘されましたけれども、日程についてはまだ確定していないというのが現状です。
(問)月内にしようという努力はまだしているのですか。
(報道官)できるだけ早くこの協議を継続したいという意志は我が方から伝わっています。
(問)日程が確定しないというのは、日本がこの日にしましょうと言ったことに対して中国側から回答がまだ来てないという状況ですか。
(報道官)できるだけ早くしたいという意志は双方にありましたが、何か特定の日についてとかそういうことではなく、いずれにしてもできるだけ早い段階で会合を開こうという事で、これまで中国側と話をしてきたし、これからも話をしていきたいと考えています。
(問)来月に釜山APECがありますが、その際に日中首脳会談や外相会談を日本政府として求めていくということはあるのでしょうか。
(報道官)今の段階ではまだどういう対応をするか決まっていません。
(問)総理が靖国神社を参拝されてから今週末が最初の週末になるわけですが、韓国、中国共に政府レベルで反発を強めていることもあって、週末に反日デモ等々が行われる可能性もあると思いますが、外務省として何か態勢を組んで警戒をするような考えはあるのでしょうか。
(報道官)今はまだ具体的な態勢ということは考えていませんが、邦人の安全の問題については17日の段階で中国側に対しても韓国側に対しても在留邦人に影響が及ばないように善処を申し入れています。
(報道官)まず私から、第一にパキスタン等における大地震についてです。これまでの日本の支援についてはご承知の通りですが、順不同でもう一度言いますと、第一に、9日に49名の国際緊急援助隊が派遣されました。現地時間10日正午にバタグラムに到着して活動を開始しています。第二に、10日、21名の国際緊急援助隊医療チームが派遣されました。11日午前、バタグラムに到着し、活動を開始しています。第三に、緊急援助物資約2500万円相当について、現地時間11日朝、物資がイスラマバードに到着して、引き渡しが行われました。第四として、無償支援の実施ですが、11日、緊急ニーズに対応するため、2000万ドルの無償支援の実施を発表しました。第五に、NGOですが、ジャパン・プラットフォーム傘下NGO4団体が緊急調査団をパキスタンに派遣しました。9日にピースウィング・ジャパン(PWJ)、JEN、10日に日本紛争予防センター、及び日本レスキュー協会です。また第六として、9日、日本赤十字社が被害状況調査団をパキスタンに派遣しています。また、ご承知の通り、谷川外務副大臣が、今、パキスタンを訪問中です。現地時間12日9時に、アジーズ首相表敬をしまして、この会談は終わっています。谷川副大臣の訪問の大きな目的は、現地のニーズを把握するということです。アジーズ首相からは、谷川副大臣に対して、(1)テント、毛布が必要、数百万人が家屋を失っており、かつ今後寒い季節になる。(2)今後、遺体が腐乱するので、伝染病対策の薬およびそれを散布するスプレーマシンが必要。(3)瓦礫を取り除く重機が必要。例えば掘削機、ドリル、パキスタン内にブルドーザーはあるが道路が破壊されているので運べないというような指摘がありました。私どもとしてはまたこういう指摘を受け止めて、また対策を考えていくことになります。また、ご承知の通り、国連は緊急アピールを出しています。その緊急アピール2億7200万ドルですが、これに対しては、私どもとしても、総理が会見でも述べましたように、できるだけの支援を引き続き行っていきたいと考えています。以上がパキスタンの地震関連です。
第二番目ですが、今日12日、フランス・パリにて、第33回ユネスコ総会が開催されています。ちょうどフランス時間の午後3時頃に、11月に任期満了となる松浦ユネスコ現事務局長の再任が決定される予定です。わが国は、機構改革、分権化およびプログラム改革など、松浦事務局長のユネスコにおける取り組みを高く評価しています。同事務局長の再選を歓迎し、同事務局長が引き続き国際社会のために貢献を続けることを期待しています。
あともう二点は簡単にしか触れませんが、先ほど記事資料2枚をお配りしました。一つは、第2回日・タイ次官級政務協議の開催についてです。私どもはこれまでタイとは経済関係において非常に緊密な対話を続けてきましたが、昨年以降、政治面でも緊密な対話を継続したいと考えています。今回の対話は、そのための次官級政務協議です。
もう一つ、先ほど記事資料をお配りしましたのは、わが国小型武器決議案の国連総会への提出についてです。この決議案は、1994年以降毎年提出している核軍縮決議案とともに、わが国の軍縮分野における具体的なイニシアティブの一環です。第一委員会における審議を経て、10月24日(月曜日)以降に採択が行われる予定です。
私からは以上です。
(問)パキスタンへの追加支援の中身についてはまだ全く決まっていないのですか。
(報道官)2000万ドルの使い道についてはまだ具体的には決まっていません。
(問)今まで出ているもの以外に追加する方針ですが、まだ具体的な内容は決まっていないのですか。
(報道官)まだこれから、今まで表明した支援以外にどういう支援をやっていくのかはまだ決まっていません。
(問)どんなものが想定されるのですか。
(報道官)緊急支援としてとりあえず2500万円、2000万ドルの無償を決定しています。それ以外にいずれ復興という話が出てくれば、その中でいろいろと考えていくことが必要だとは思いますが、今の段階ではとりあえず緊急のものを考えていまして、既に我々が発表した2500万円、無償の2000万ドルが今まで決定した内容です。
(問)きょう谷川副大臣とアジーズ首相との会談で、副大臣が復興・復旧のための円借款を表明していますが、これは今後どうなるのでしょうか。
(報道官)とりあえず緊急に必要なものに対応しています。またこれは非常に長くかかる話だと思いますが、壊れた道路やいろんなインフラをどうするのかという話はいずれ出てくると思いますが、その段階で、わが国として円借款を含め新たな支援を考慮・検討していくということはあると思います、今の段階でどういうことをするかは決まっていません。
(問)邦人旅行者3人について、連絡が依然つかないようですが。
(報道官)邦人旅行者3名については引き続き安否を確認中ですが、まだ結果は分かっていません。
(問)それ以外のパキスタン在留の邦人の安否はほぼ把握できているのですか。
(報道官)在留届けベースで我々が把握している邦人については確認しました。
(問)チャールズ・ジェンキンスさんが記者会見を開き、北朝鮮時代の生活について詳しく言及し、またそれに先だって色んなメディアで発言しているようですが、ご覧になってご感想は。
(報道官)申し訳ありませんが、今の時点で特に感想、コメントはありません。
(報道官)私から二点、紹介させていただきます。第一点は、日・インドネシア経済連携協定交渉第2回会合の開催についてです。交渉の第2回会合は、10月11日(火曜日)から14日(金曜日)まで東京において開催されます。この会合には、我が国から藪中外務審議官をはじめとする各省庁の関係者が、またインドネシアからはスマディ大使をはじめとする各省庁の関係者がそれぞれ出席します。この会合においては、全体会合のほか、交渉分野、物品貿易、サービス貿易および投資等の分野ごとの会合が開催され、関心事項や協定の案文等について議論が行われる予定です。以上が第一点です。
第二点は、エルサルバドル共和国における熱帯性低気圧スタン(STAN)による豪雨災害に対する緊急援助です。我が国政府は本6日、熱帯性低気圧スタン(STAN)による豪雨災害を受けたエルサルバドル共和国政府に対し、約1,200万円の緊急援助物資、スリーピング・マット1,000枚、毛布2,000枚、浄水器30台を供与することを決定しました。エルサルバドル共和国では、10月1日以降、全土において熱帯性低気圧スタン(STAN)による集中豪雨が発生した結果、国内各地において洪水、土砂崩れ等の自然災害が発生し、死者49名、避難者32,045名の被害(5日(水曜日)時点)をもたらしています。現在エルサルバドル共和国では、広範な地域において被災者が不自由な避難生活を強いられている状況にあり、同国政府は、復旧のための自助努力を行うとともに、我が国に対し緊急援助を要請しました。我が国としては、今回の災害による被災者に対する人道的支援の観点および我が国とエルサルバドル共和国の友好関係に鑑み、同国に対し緊急援助を行うこととしたものです。以上、私からの報告です。
(問)ラムズフェルド米国防長官が中国を訪問する予定になっているようですが、今のところ日本に立ち寄る予定はないということですが、イラクなどを含めて緊密に協力している米国の国防長官がアジアを訪問する中で日本に立ち寄る予定がないということをどうお考えですか。
(報道官)米国とはいろいろな機会にわが国としては緊密に協議しています。ラムズフェルド長官の訪日に関しては何ら具体的に決まっているということはありません。
(問)2+2を10月29日にやることを打診しているという話がありますが。
(報道官)ご承知のとおり、在日米軍の兵力構成見直し等についてできるだけ早く中間的なとりまとめを行いたいというのは、前々から日米が努力しているところです。また、もしもそのような中間的なとりまとめができる段階になれば、例えば2+2の会合でそれを発表するということは一つの可能性として有り得る話ですが、まだ現在のところ中間的なとりまとめがいつ頃行われるかということも決まっていませんし、2+2を開くということも日米間で何らかの合意あるいは決定が行われているわけではありません。
(問)中間報告で普天間の移設問題を盛り込まないということはあり得るのですか。
(報道官)この問題は従来から申し上げているとおり、日米間でいろいろな施設・区域の問題について鋭意協議しているところですが、現在までのところ具体的な特定の施設・区域について何らかの決定に達したということはありません。
(報道官)私から最初に二点、ご報告させていただきます。まず第一点は、「国際協力の日」についてです。1954年10月6日、日本はコロンボ計画への加盟を閣議決定し、開発途上国に対する政府開発援助、ODAを開始しました。コロンボ計画とは、アジア及び太平洋地域諸国の経済社会発展を促進することを目的として、1950年1月に発足した地域協力機構です。1954年以降、日本のODAは、東アジアをはじめとする開発途上国の発展や我が国との関係の緊密化に大きく貢献してきました。政府は1987年9月の閣議了解により10月6日を国際協力の日と定め、国際協力への国民の理解と参加を呼びかけています。明日はこの国際協力の日にあたりますが、明日の国際協力の日に国民各層におけるODAに対する理解を深めることを目的として「ODA出前講座」というものを開始することにしました。明日の10月6日より募集を開始することとしています。「ODA出前講座」では、外務省経済協力局職員が高校、大学、大学院、地方自治体(国際交流協会)、国際協力NGO、商工会議所などに赴き、ODAや国際協力全般について講演を行うことを考えています。外務省としては、年6回程度、この「ODA出前講座」を実施したいと考えています。若干、背景についてご説明しますと、外務省は平成13年8月から、ODAタウンミーティングというものを行ってきていまして、今年の2月までに回数で29回実施してきています。ODAタウンミーティングでは、経協局の幹部、あるいは有識者と共に、主としてODAの改革について講演あるいは情報発信をしてきました。ただ、もうこれも29回実施してきまして、率直に言いまして、セミナーとかあるいは講演会、シンポジウムというものは、なかなか関心のある人を集めるというのも常に容易なわけではありませんので、我々としてはこのODAタウンミーティングをこれからも年1回ずつ、東京、大阪、大都会ではやりたいと思っていますが、今後はこの「ODA出前講座」というものを機動的に使い、国際協力についての理解を深めていきたいと考えています。すなわち、「ODA出前講座」というのは、ニーズのあるところ、大学や大学院、高校、地方自治体、そういうところにご要望に応じて出張して、国際協力についていろいろ情報を提供するということです。また、最近では特に若い方々が国際協力について非常に関心を高めておられます。これはインターネットあるいはテレビを通じて、アフリカであるとかアジアであるとか、あるいは貧困の問題、開発の問題、こういう問題について関心を高めておられるので、こういうような背景の中で、より機動的にこの「ODA出前講座」というものを実施したいと考えた次第です。
二点目は、「APEC人間の安全保障セミナー」で、このセミナーについては既に記事資料をお配りしていますのでご承知のことと思いますが、これが明日、帝国ホテルで開催されます。この「APEC人間の安全保障セミナー」は、二つの観点から重要であると考えています。「人間の安全保障」の問題は、第一に、APECでこれまで重要な課題となってきており、例えば2003年10月のバンコクAPEC首脳会議首脳宣言、あるいは2004年11月のサンティアゴのAPEC閣僚共同宣言の中で、「人間の安全保障」に言及されています。11月には、ご承知の通り、釜山でAPEC首脳会議及び閣僚会議が開かれますが、この段階で、「人間の安全保障」について議論を深めることは有意義であると考えています。第二点は、先般の国連首脳会合の成果文書において、「人間の安全保障」という概念が初めて首脳レベルの文書に書かれました。外務省は1998年から「人間の安全保障」を一つの重要な政策としてこれまでも推進してきましたが、今回この「人間の安全保障」の概念が成果文書の中で、首脳レベルの文書の中で記載されたということは一つの重要な成果と考えています。この問題について更に議論を深めることは有意義と考えています。明日開かれるセミナーは、公開セミナーで、APEC地域の16の国、地域から約40名、国際機関約20名の参加を得て行われます。緒方貞子・元人間の安全保障委員会共同議長・国際協力機構理事長の基調講演が行われます。私からは以上です。
(問)北朝鮮の関係で二点お伺いしたいのですが、一点目は、政府間対話の見通しについて、もう一点は、今日の国会でも中川経産大臣が経済制裁をすべきだということを仰ったのですが、これについてどう受け止められますか。
(報道官)まず、日程の方は、引き続き調整中でまだ決まっていません。また、経済制裁の問題については、これまでもいろいろとご質問が出てお答えしています。この問題を検討するに当たって、どういうことが最も効果的かという観点から政府としては考えなくてはならないのですが、北朝鮮との関係においては、六者協議も近く予定されていますし、日朝の政府間対話も今そのために調整を進めているところですので、まずそういう協議を踏まえて、また今後どういう対応を取ればいいのか考えていくというのが今の政府の立場です。
(問)日本政府としては、六者協議の前に日朝政府間対話をやりたいという考えにはお変わりないのですか。
(報道官)先般、北京で最終日において、六者協議の前に日朝政府間対話ができればいいということで先方とも協議していますし、今でもその考えに変わりはありません。
(問)北朝鮮の方も六者協議の前にやるということで合意があるわけですか。
(報道官)合意というか、北京における段階では、そういうことで話をして、日朝政府間対話を出来るだけ早く開催しようということで別れているわけですが、今の段階でも我々としては出来るだけ早くしたいという気持ちで調整を続けています。
(問)日朝政府間対話を巡る調整ですが、現在その時間・場所以外に、例えばテーマを巡って調整になるところがあるということはありますでしょうか。
(報道官)基本的に調整中ということしかお答えできないのですが、テーマについては、従来から、日朝国交正常化については諸懸案を包括的に解決して日朝国交正常化に結びつけるというのが我々の考えですし、その日朝国交正常化に繋げようと考えている日朝政府間対話においても、我々としては同じ立場で臨む考えです。